るなてく・へすてばる(原作すぺしゃる第19巻)



魔王降臨 ※ナーガ 登場
ストーリー

 名物のラテル芋を目当てに、山あいの村・ニブスにやって来たリナ。村長の家に招かれ、「予言の 魔道士として、剣士(村の青年)・モーゼルと一緒に魔王を倒してくれ」と依頼される。リナは、 ものすごくうまいラテル芋を報酬にして、魔王と呼ばれる村の小悪党・ジェイコブを倒すことを 決めた。
 翌朝、ジェイコブのアジトへ向かうリナの前に、ジェイコブに雇われたナーガが立ちはだかった。 お互い目当てが芋だとわかり、またお互い譲り合う気がないことを悟り、魔法合戦を始めるリナと ナーガ。やがて魔法対決の舞台は村へ移るが、二人は全くやめようとしない。その結果、村は ボロボロ。そんなリナに村長は言い放った。「お前が魔王だったのか!」
 ナーガはここぞとばかり、リナを魔王呼ばわりし、リナは撤退を余儀なくされる。予言の剣士として モーゼル、魔道士としてジェイコブを立て、魔王であるリナを倒そうと決意する村長に、ナーガは魔王 リナを裏切ったフリをして金をせしめようとした。リナも、ここで襲いくる村人たちを傷つければ お尋ね者になってしまうと、ナーガの計画を一部変更して、魔王のフリをして倒され、後でナーガの せしめたお金を山分けするつもりだった。しかし、魔王リナを倒した後の、あまりのジェイコブや村長 のうっとうしさにプッツンきて、村長とジェイコブを呪文で吹っ飛ばす。
 「予言自体が間違ってる」と村人に喝を入れ、どさくさまぎれでナーガの受け取った金貨百枚を 持ってゆこうとするリナ達だったが、やたら鋭い村人Aに気づかれ、結局二人の収入は最初の約束 通り、ふかしたラテル芋のみとなるのであった。

ここがポイント

 そんなに特筆すべきほど、面白い話ではないんだけど……最後、村人Aに金を回収させる辺り、 かなり強引っぽい気がするし。
 ただし、村長のじいさんが書いた予言は必見。本編1巻の事件を忠実に予言している。すぺしゃるは サザエさんワールドで、どれだけ長くなっても本編1巻より前の時代ということになっているから、 この予言も時間軸で見れば本編1巻の前に予言されてる。どんなじいさんだったんだろう?



愛は強し ※ナーガ 登場
ストーリー

 お昼ごはんを食べて、ほどよい陽ざしに身をまかせて昼寝♪…してたリナをジャマした、とある カップルにからむごろつき。頭に来て吹っ飛ばしたが、そのからまれていたカップルは、周囲のことが 全く目に入らず、『二人のために世界はあるの』な、イチャイチャベタベタのバカップルであった。 呪文で思いっきり吹っ飛ばして、とっとと去る。
 その後訪ねた魔道士協会で、リナは評議長に、自分の息子と息子の恋人を別れさせてくれと依頼される。 リナが昔、郷里で「赤い糸切りのリナ」と呼ばれていたことを調べ上げたのだ。リナはそんなしごとは していないと断るが、評議長は聞いていない。さらには再び会ってしまったバカップル――マーカスと レイチェルには、二人を守るキューピッドと呼ばれる始末。リナは、評議長の雇ったごろつきと手を組み、 二人を吹っ飛ばそうとするが、運悪くナーガの手で阻止されてしまった。
 ナーガもキューピッド仲間に加わり、脱力する彼女たちの前に、マーカスとレイチェルを別れさせる べく、縁切り業を生業とする二人組、ギルメジアとルロウグが現れる。その彼らを使って、またもマーカス とレイチェルを吹っ飛ばそうとするリナとナーガだったが、慎重なギルメジアが挑発に乗ってこない。 やっと二人の裏をかき、バカップルを吹っ飛ばしても、彼らの『愛の力』は、バカップルを容易に復活 させるのだった。
 あまりにしつこい、そして精神汚染著しいマーカスとレイチェルに嫌気がさし、リナは黒幕であるはずの 評議長のところへ行って直談判し、ギルメジアとルロウグを退かせ、さっさと縁を切ろうとする。しかし、 なんと二人を雇ったのは、評議長ではなかった。最終手段として、リナはギルメジアとルロウグを倒し、 事を終わらせようとする。タフな二人は、火炎球の炎をくらっても倒れなかったが、マーカスとレイチェル が『愛の力』に守られて無傷なのを見て改心、マーカスとレイチェルの仲を裂くという依頼を遂行しないと 心を決めた。また、評議長も同じく、強い愛(笑)に心を打たれて息子たちの仲を認める。そしてさらに、 実は職場結婚だった夫婦、ギルメジアとルロウグも、これからは愛をもっと育んでゆこうと誓うのだった。 八方すべてまるく収まり、ようやく解放されたリナたちだったが、その身には濃い疲労感が漂っていた。

ここがポイント

 恋愛系は苦手、と言い切る神坂先生が、それを押し切ってまで書いた、最強…もとい最凶の カップル、マーカスとレイチェル。リナが、もう逃げ出したいと感じる、数少ない人物のうちの二人 だろう。なにせ、珍しく「とーちゃんかーちゃんねーちゃん助けて」と、家族に助けを求めているの だから、ものごっつい。しかし、久々にリナにとーちゃんを思い出させてくれたのだから、オヤジ様 好きにはありがたい二人♪
 リナが裸足で逃げ出したくなるような、本気でイヤな人物は、ナーガも同じく逃げたくなる、という のはなかなか面白い話。…ということはつまり、そういう人々はナーガよりも非常識、ということ だろうか?



るなてく・へすてばる ※ナーガ 登場
ストーリー

 テシーモの村の祭りに、精霊役として参加してくれと、魔道士協会から依頼を受けたリナ。しかしいざ 祭りに参加してみると、それは怪しげな邪神を祀る、儀式が始まろうとしていた。リナは問答無用で祭りを 攻撃呪文で吹き飛ばす。
 翌朝、魔道士協会評議長に怒鳴り込むリナは、同様に祭りを台無しにされたことを怒る村祭り実行委員長 ・クレヴィルと出会った。なんでもこの祭り、セイルーンから来た元神官と名乗る男の言うとおりにやった らしい。どう考えてもダマされている、と真実を見抜いたリナに、クレヴィルは、どちらが正しいか見極め たいから、一緒に来てほしいと言った。
 アドバイザーことラガスタインは、陰気で不健康そうなイメージのただよう、めちゃくちゃ怪しげな 魔道士だった。ラガスタインは、村人たちを『説得』したのと同じ理屈でリナを言いくるめようとするが、 あの邪神像の怪しさは何をどう言っても隠せない、と一刀両断され、力づくでの『説得』を試みようと する。彼の部下の一人として現れたナーガの暴走のおかげで、リナは労せずして、ラガスタインの部下たち と、ついでにクレヴィルを一掃できたのだった。
 そこにやって来た他の村人たちの前で、リナはラガスタインが村人たちを騙していたことをぶちまける。 これまでと思ったラガスタインは、リナと、騙されていたと知って敵に回ったナーガに、攻撃をしかけて きた。しかし、レッサー・デーモンごときではリナたちの敵ではない。彼女たちが強敵と知った ラガスタインは味方を呼ぶ。なんとそれは、純魔族だった。
 純魔族・ラギアソーンの力は並ではない。リナたちは苦戦し、一進一退の攻防が続く。やがてナーガは 呪文で、カタート山脈に棲む最強の竜、魔王竜を呼び出した。しかしそれでも、ラギアソーンには 通じない。するとそのとき、突然ラギアソーンが、魔王竜の足下にひっしと抱きついた。
 なんでもこの魔王竜(名前はジョン)は、昔ラギアソーンの飼っていたペットで、二十年前の降魔戦争の 折りに生き別れになっていたらしい。再び出会えたことをナーガに感謝して、ラギアソーンは立ち去った。 ふと我に返ると、身を守るものはなにもなくなったラガスタイン。リナたちが改めて彼をどつき倒そうと すると、その前に復活したクレヴィルが、後ろからラガスタインをどつき倒してしまった。純魔族の一件を 知らないクレヴィルは、きっとラガスタインが溜めたおたからを、村祭りの資金を横領した償いとして、 持っていってしまうだろう。タダ働きなんてまっぴらごめん。リナはクレヴィルをこっそりどついて気絶 させ、ナーガとともに、宝物部屋に向かうのだった。……しかし、宝物部屋には、骨董屋にだまされた ラガスタインの買い込んだ、ガラクタ骨董品であふれていた……。

ここがポイント

 すぺしゃる初の純魔族登場。……それでもきっと、ゾロムとか、ヴィゼアとか、あのあたりのレベルの 下級魔族なんでしょうけどね。どこからどう見ても、一目で魔族とわかる外見。それでも、初めて魔族と 戦うリナにはかなりの強敵。結局、あのままラギアソーンと戦っていたら、倒せたんでしょうかね?



うちのジョン知りませんか? ※ナーガ 登場
ストーリー

 道行くリナとナーガの前に現れた、どう見ても人間ではない不審者。それは、以前リナたちと戦いつつ も、なごやかなままに別れた純魔族・ラギアソーンだった。彼はふたたびペットの魔王竜 (ディモス・ドラゴン)のジョンとはぐれてしまい、もう一度ナーガに呼び出してほしいと言うのだ。 しかし、前回ジョンが出てきたのは単なる偶然。ならばリナたちにしかできないことではないから、と さっさと立ち去ろうとするが、なんとジョンは今、犬のような生き物に外見を変えており、そのくせ必殺技 の暗虚吠(ヴォイド・ブレス)を吐くという。つまり、この近くにいる犬のような生き物に、子供が遊びで 石を投げると、小さな村なら丸ごと消し去るブレスを吐く、ということなのだ。慌ててジョンを探す手伝い を申し出るリナたち。
 ラギアソーンがジョンと暮らしていた山の近くにある、フロネーズの町で、リナたちはジョンとおぼしき 生き物を、ドナルドという猟師が発見し、領主(ロード)に献上しに行ったという情報を得る。急いで追い かけると、山道の中で一行に追いついた。リナはなんとか穏便に説得してジョンを手放させようとするが、 交渉は見事失敗に終わる。護衛の男たちはヘボかったが、へたに呪文で刺激すると、ジョンがいつ暗虚吠を 吐くかわかったもんじゃない。
 なんとか優しく手間かけて、護衛を吹っ飛ばすが、ドナルドはその隙にジョンを連れて逃げ出していた。 ジョンを怒らせないよう、もう一度説得を開始するが、やはり失敗に終わってしまう。そうこうしている うちに、復活した護衛の男たちも加わり、ナーガがつい放ってしまった呪文のせいで、ジョンを抱いた ドナルドが倒れ、ジョンは下敷きに。怒ったジョンが、必殺・暗虚吠を吐く!最期の時をカクゴしたリナ だったが――出てきたのは、黒いもやもやだけだった。ジョンの外見を変えるための空間操作の影響で、 暗虚吠はこんなのになってしまっているのだ。
 これまでの苦労と努力の行き場を見失い、脱力するリナたち。ドナルドたちに、ジョンの本当の姿と ラギアソーンの正体を見せると、一気に抵抗する気をなくして土下座までしてみせた。リナがラギアソーン に、暗虚吠のことについての説明不足をグチると、ラギアソーンの口からはとんでもない話が出てきた。 ジョンの暗虚吠は、見た目はあんなだが、空間操作でねじまげられた威力はどこかで炸裂している、と。 つまりリナやナーガ、さらにはドナルドが戯れにこづいて吐かせた暗虚吠の威力が、海の中か町の中心か とにかくどこかで炸裂していたのだ。冷や汗を流しまくる人間たちには気づかず、ラギアソーンはジョンを 抱えて、ふたたびにこやかに姿を消したのだった。

ここがポイント

 ジョンにかけた空間操作の術は、すごいといえばすごいのですが、しかしラギアソーンのデッサン力は どうにかならなかったものか(笑)あれじゃあナーガ並です。つか、イラストのアレは、本気で生物では ないでしょう。デフォルメしたぬいぐるみにだって、あんなんないぞ。あと、ジョンのヴォイド・ブレス ですが、本編にも「空間をねじ曲げてどこかへ術の威力を逃がす」というワザを持った魔族が出てきました よね。たぶん空間を渡る魔族にはポピュラーなワザなのでしょう。
 せっかくナーガが出てきたのに、あまり活躍がなかったのが惜しい。ディモス・ドラゴン召喚の呪文の 説明役と、ジョンを怒らせる役で終わってしまっています。もっとナーガのトンデモ性を発揮してくれて も、良かったと思うんだけど……。
 ジョンとラギアソーンって、結局どんな感じの飼い主と飼い竜(ドラゴン)だったのでしょうね。個人的 にはもっと、どんな風な関係だったのかが見てみたかった。