ブレイク・オブ・ディスティニー(原作すぺしゃる第23巻)



オールディズ・プライド ※ナーガ 登場
ストーリー

 リナがモンテール・シティの魔道士協会に顔を出すと、評議長のミルトンじーちゃんが声をひそめて頼みごとをしてきた。いわく、「攻撃魔法を教えてほしい」――。攻撃呪文を他人に教えるのは、魔道士協会ではご法度。そこを曲げてまでリナに頼み込む理由は、なんと隣町の魔道士協会評議長のケールと、互いの孫のどちらが、かけっこでズルをしたか実力で決着つけようというしょーもないものだった。しかしそこそこの依頼料と、秘本中の秘本という魔道書を見せてもらえるという条件につられ、リナは依頼を受けることに。
 できるだけカンタンな呪文を教えようとしたリナだが、ちょっとした手違いから、ミルトンじーちゃんを穴に落として、足をひねらせてしまう。実は決戦はあさって。しかも治療(リカバリイ)の呪文で傷を治すと、体力のない老人は数日動けなくなってしまうという。呪文を使わないと、やはり治るのに数日かかってしまう。このままでは依頼料の魔道書も見せてもらえなくなると、リナは苦肉の策を考えた。
 そして当日。会場に現れたミルトンじーちゃんは、おおきなローブの下にやたら盛り上がった体を隠して現れた。リナがじーちゃんを背負い、二人羽織の状態で現れたのだ。決戦の実行委員たちは、しかしツッコミを入れる者はいない。その理由は対戦相手のケールにあった。なんとケールの方も、誰かに抱きかかえられた二人羽織の状態でそこにいたのだ。しかもローブの下は、どうやらナーガらしい。
 そんな四人二組による決戦が開始された。しかし実行委員は、こんなアホな争いは無駄だと気づかせるべく、無理難題をふっかけてくる。じーちゃんたちだけならば、白旗を上げていたかもしれないが、その後ろに(文字通り)ついているリナとナーガにはさほど難しくはない。竜を倒してくる、という難題を、ナーガ&ケール組はしてのけてしまった。
 とうとうキレた実行委員によって、実はミルトンとケールの孫が彼らの手の中にある(=招かれていた)ことを知る。逆上した二人のじじいと、いつの間にかのってきてしまったリナ、そして最初からノリノリのナーガは孫たちを探し始める。そしてついに見つけた孫たちは、リナとナーガがついてることによって八頭身になったじーさんたちを見てこう言った。『うわっ。キショッ。』
 撃沈した孫ラブじじいたちは、すっかり大人しくなり、二つの町には平和が戻ったのだった。

ここがポイント

 本編とつながっているポイントとして、リナの見た「群狼黙示写本(アポカリプス・オブ・ザ・ビースト)」。これを見たリナは呪文を開発し、けれど人間の持つ魔力容量では発動しなかった、という記述があります。これはほぼ間違いなく、本編5巻で増幅のタリスマンを手に入れたリナが使えるようになった、ゼラス・ブリッドでしょう。あの呪文の開発にも、こんなエピソードがあったのか……。
 ミルトンじーさんが足をくじいて、それをフォローするために二人羽織をしたリナですが、ナーガも同じことをやったってことは、発想が一緒ってことですよね。リナは気づいてないみたいだったけど。気づいたら愕然としそーですねえ(笑)
 久々のリナvsナーガだったけど、決着は着かずじまい。……最後に決着がついたのって、いつでしたかね?たまには小狡い手段でナーガを出し抜くリナが見たいです。



ブレイク・オブ・ディスティニー ※ナーガ 不参加
ストーリー

 山道を歩いていたリナは、子供を袋に詰めて運んでいる、怪しい二人の男とでくわした。ひとまずぶちのめし、少女マリリンを救出して事情を聞くが、しかしマリリンの家はたいして裕福でもなく、さらわれる理由はわからない。とりあえずマリリンの住んでいる村が、リナの目的地であるリシアルド村でもあることから、リナはマリリンを家まで送り届けた。
 この村では、名物の雪アスパラガスがとれるのだが、最近野盗が出るため物資の流通が滞っているという。リナも本来ならばふもとでこの雪アスパラが食べられるはずだったのに、わざわざこの村まで来なければ食べられなかったのだ。マリリンの父・クライヴに紹介してもらい、村長に野盗退治を申し出、その夜は村長の家に泊めてもらうことに。
 しかしその晩、村には野盗の襲撃があり、クライヴの家が襲われてマリリンがさらわれた。リナはクライヴに協力を申し出る。クライヴはかつて、盗賊団の首領、ルゾットと手を組んで悪事を働いていた。しかし今は足を洗い、健全な生活を営んでいるという。しかしルゾットは、再び手を貸せと言い、マリリンを人質にとったのだ。ルゾットの一味の置き手紙に記された場所に行くと、そこにはルゾットもマリリンもおらず、ルゾットの部下がひとりいるだけだった。
 なんでもその部下がクライヴと戦い、勝てば次の場所への手がかりを教えるという。なんだかリナには納得できない理屈で、案外強かったクライヴは勝利をおさめるが、次の場所でもまたルゾットの部下がひとりいるだけ。それを倒して手がかりの場所へ行くと、またまた部下が。そんなことを幾度も繰り返し、二人はとうとうルゾットにたどりついた。
 いよいよ最終決戦。しかしルゾットは、あっさりとマリリンを返して立ち去ろうとする。ルゾットを倒さねばまた同じことが起こるかもしれないし、マリリンをさらった怒りはおさまらないと一発殴りかかるクライヴだったが、ルゾットはおとなしくそれを受けた。そのルゾットの態度に、リナは不可解な思いを抱く。
 やがて、一度吹っ飛ばしたルゾットの部下たちがその場に現れ、一気に形勢は不利に。しかしルゾットは、なぜかそれを好ましく思っていない様子。それを見たリナは、すべてを理解した。彼女は皆の前でルゾットの企みを暴露する。ルゾットはクライヴと部下たちを戦わせ、部下たちを皆始末して、おたからをひとりじめするつもりだったのだ。そう言うと、ルゾットの部下たちは不信そうな目をルゾットに向ける。そこでちょいとリナが引っかけてやると、部下のひとりがうっかりおたからの在処を言ってしまった。あわててリナを始末しようとする野盗たち。そこでクライヴがリナの正体をバラし――山には竜破斬が炸裂した。
 野盗を退治しておたからがっぽり、野盗退治の依頼が果たせて村長からはお礼の雪アスパラ食べ放題、手伝いをしたということでクライヴからは礼金と、リナは久々にいい気分で事件を解決したのだった。

ここがポイント

 クライヴの「ノリで魔力が上がる」という驚くべき特性(?)がスゴかったですねー。彼は本当はすごい魔道の実力を持っているのに、テンションが上がらない時には精神的な抑制力がかかり、ショボい力しか出せないという人間。まーたしかに、魔法というのは精神力に依るところが大きいわけだから、そーゆうこともあるのかもしれませんが……だからってこんなに変わるものかフツー。よっぽど思い込みの激しい人なんですねえ。
 クライヴvsメギストの、分身した敵の本体がわからず、心の眼で本体を見つける、とゆーのは三昔ほど前の格闘マンガでよくあったパターンですが、それにあちこちツッコミを入れるリナが面白かったです(笑)大抵格闘マンガでは、幻術ではなく高速で動き回っているので、リナのツッコミのごとく「最初の位置にいるのがホンモノ」とゆーふうにはいかないと思いますけど。でも本来なら、心眼なんてぇもので分身の本体が見極められるハズがないのですよね、理屈ではね……。
 今回は珍しく、リナが楽しておいしいトコ持ってく回でした。苦労してもナーガにメチャクチャにされることは多いけど、楽してがっぽりというのはあまりないパターンですよね。結末的にはちょっと物足りないけど、たまには良い目を見てもいいのではないでしょーか。ただ、最後の最後、結局リナの呪文でカタがついてしまい、クライヴ自身は決着がつけられなかったよーですが、どうやら誰も気づいてないみたいです。



開戦前夜 ※ナーガ 登場
ストーリー

 ある山の中で、突然リナを取り囲んだ数多の気配。それはなんと、ゴブリンにオーク、ミノタウロス、ハーピーなどの、種々雑多な闇の獣たちだった。通常、同じ種類同士で群れることはあっても、種族を越えてこんなに集まることはない。いぶかしみながらも、リナが闇の獣たちを吹っ飛ばそうとすると、闇の獣たちを止める者が現れた。それは金髪のたてがみを持つ、1匹の美形マンティコアだった。
 マンティコアのメギガは言う。自分のかつての友ゴルバが、人間に対して脅威を感じており、人間に全面戦争をしかけようとしていると。その考えに賛同する闇の獣たちが、続々とゴルバの元に終結していると。ゴルバの考えを改めるために、どうか力を貸してほしいと。リナにしても、人間と闇の獣の戦争など起こり、治安が悪化して諸国漫遊食べ歩きができなくなるのは非常に困る。リナはメギガのために協力することを約束した。
 まずリナは近くの町で、最近変わったことがないか聞き込みから始めた。今日はリナの他にもう一人旅人が、しかもおかしな人がいると聞き、行ってみるとなんとそこには人間に変装した(つもりの)メギガの姿。あまりのヘンテコ変装っぷりに、思わず脱力するリナだったが、そんなメギガの秘密をエサに町の子供たちから闇の獣たちのアジトの場所を聞き出すことに成功する。
 危険がないよう、子供たちを気絶させてその場に放置した後、アジトへと潜入するリナたち。やがてアジトの奥深くにて、リナはゴルバと一対一の戦いを申し出る。ゴルバやその部下たちに、人間と戦うことのリスクをわからせれば、戦うよりは共存した方が良いという考えになるはずという作戦だった。しかしその場にゴルバはおらず、部下たちも自分たちだけで楽にリナを倒せるはずだと、彼女の実力を軽視している。実力行使でリナは闇の獣たちを黙らせ、それでもまだゴルバを出さない気かと交渉をはじめたその時、突然リナの放ったものでない呪文が炸裂した。
 そしてアジトの奥から姿を現したのは、脳に響く高笑いをアジト中に響かせる、白蛇(サーペント)のナーガだった。なんでも野菜売りのアルバイトをしていて、いつのまにかこの集団の副首領にまで祭り上げられてしまったらしい。闇の獣たちからおだて上げられ、すっかりナーガはリナと戦う気まんまん。リナにしても、ナーガを倒さねば先へ進めないと腹をくくり、戦いの火蓋が切って落とされようとした、まさにその瞬間。
 甲高い声をあげ、現れた1匹のマンティコア。それがゴルバだった。しかし、ゴルバはリナのイメージと違い、どうやら女の子で、しかもメギガがリナと一緒にいることに腹を立てているらしい。もしやゴルバは人間びいきのメギガにヤキモチをやいているだけなのでは、とリナが指摘すると、とたんにゴルバは乙女ちっくにもじもじとしはじめる。事情を察したメギガが、ゴルバに愛の告白をすると、ゴルバはあっさりOK、人間との戦いをやめる説得にも応じた。あまりのバカらしさに、闇の獣たちは皆、どこかへ帰ってしまった。
 やるせない気持ちを抱えつつ、いちゃいちゃする2匹のマンティコアを置き去りにして、リナとナーガは澱んだ気持ちをヤケ食いで押し流す。しかしふと、リナは子供たちを山へ置いてきてしまったことに気づき、ナーガとメシ屋のかんじょうを振り払って、山へと急ぐのだった。

ここがポイント

 マンティコアのメギガ。人語をしゃべるマンティコア。しかし意味は通じれど、言葉の使い方ははなはだしく間違っているマンティコア。けれどどうやら、リナのドラゴン語も、マンティコアから見れば似たようなものらしいです。外国人の日本語を聞いて、ああ日本人の英語も似たよーなもんなんだろーな、というのととても似ていますね。ネーミングセンスといい、通じる言葉が違う相手のことを理解するのは、決して楽なことではない、とゆーことですね(なんか違う)。
 さて引き続きメギガのことで。本来マンティコアは、老人の顔をしてるものらしいですが、金色のたてがみをなびかせた、バラの花でもくわえてそーな美形のマンティコア。……これって、マンティコアの美的感覚からいったらどーなんだろう……?普通、自分たちの顔と大きくかけはなれた造作の顔は「ぶさいく」と形容されてしまうことが多いものですが。あるいはもしかしてもしかすると、メギガが人間かぶれになったのは、そこらへんの事情があるのかもしれないです。でもゴルバは、自分の目尻にシワが多いこと気にしてたしなあ……。うーん。あと、人間かぶれで人間のことをある程度知ってるはずのメギガでさえ、人間の男女の見分けは難しいと言っていたのに、なぜゴルバは一目で、リナが人間の女であることを見抜けたんでしょう。これがフシギ。もしかしてゴルバも、色々と人間の情報を仕入れていたのかもしんないです。
 闇の獣たちの間で使われているのは、リナにはドラゴン語に聞こえたけれど、細かく言えばドラゴン語ではないそーで。つまり闇の獣の共通語ってことですね。リナも言ってましたけど、これって日本人が共通語として英語を習うがごとく、ちゃんと自分たちの種族の言葉(マンティコア語とか)の他に勉強してるってことですよね。ゴブリンもミノタウロスもオークも。少なくともゴブリン語があることは、本編1巻で言われてますし。そんなに知恵のある獣たちには見えないけど、案外人間より言語には気を使ってるのかもしれないです。



リターン・オブ・ジジイ ※ナーガ 登場
ストーリー

 小さな村の、あるメシ屋に、突然駆け込んできた2家族6人。その子供たち2人にナーガは見覚えがあった。そう、たしかこの子たちは、ミルトンとケールの孫だ。ナーガがそう口にした瞬間、子供たちは泣きだし、親たちは震え上がった。そこへ現れたのは、くだんのミルトンとケール。しかし、その姿は前に会ったときと比べて、恐ろしいほどマッチョになっていた。怯える孫たちに、優しく(?)語りかけるミルトンとケール。しかし孫たちが怯える原因に、二人はまったく気づいていない。あろうことかその原因はリナとナーガにある、と誤解して、攻撃してくる始末。リナとナーガは二人を氷づけにしたが、それも長くは保ちそうにない。リナとナーガは孫たちとその両親たちと共に、その場を逃げ出した。
 落ち着いた場所で話を聞くと、以前の競技会から先、二人のじーちゃんは孫たちに距離をおかれてしまったという。それは他者の力を借りて強くなったせいで、自ら鍛えて強くなれば、また孫たちはなついてくれると勘違いしたじーちゃんたちは、体を鍛えはじめた。そしてある日、2日ほど姿が見えなくなって、戻ってきたときはあんな体になっていたらしい。リナとナーガは、お礼と子供たちの泣き落としから、彼らに手を貸すことに。
 おそらく魔道で体を強化したのだろうから、心当たりはないかと聞くリナに、ケールの孫・ラコックの母親が、じーちゃんが片眼鏡の女魔道士と会っていたことを伝える。町へ戻って、心当たりの魔道士リイタを訪ねると、たしかに彼女が「これで2人も懲りるだろう」と思い、筋肉を増やす薬を渡した、ということだった。リイタは、2家族へもっとよく話し合えという説教とともに、じーちゃんたちを元に戻す薬を作ってくれることになった。
 そして2日後。リイタの薬ができる直前、魔道士協会に近づく2つの黒い影。それは孫たちの居場所をかぎつけた、じーちゃんたちであった!魔道士協会の総力でもって、じーちゃんたちを食い止めようとするリナたちだが、じーちゃんたちの力はあまりに強力だった。とその時、リイタの薬が完成する。プールのような場所にじーちゃんを誘い込み、薬を水に溶かして使用すれば、じーちゃんたちは元に戻る。リナは孫たちを使ってじーちゃんたちをおびきだし、ナーガが井戸の地下水脈を利用して作ったプールに落として、じーちゃんたちは無事に元に戻ることができた。
 しかし、じーちゃんたちの孫バカが治ったわけではない。これからのことは、人類全体で取り組むべき問題なのだ(大ゲサ)。

ここがポイント

 やはり一番の見所といえば、対じーちゃんズの籠城戦。そういえば、リナたちが守る方の籠城戦って、あんまりないかもしんない。押し掛けでパッと行ったリナたちが魔道士協会の主導権を握れるあたりは、なんで?とも思いますが、それはきっと気にしてはいけないオトナの事情(笑)
 今回はターゲットを殺さずに、穏便に元へ戻すことが目的だったので、直接攻撃はしませんでしたけど、リアルに戦闘していたらどうなってたんでしょうね?リナが翔封界で上空を動けば、ほとんど追いつけはしないでしょうけど、そのまま繰り出せる攻撃呪文では筋力の発達したじーちゃんズに避けられてしまう、って感じ。もっとも、やはり戦い慣れしたリナの方が有利なんでしょうけど。うーん、見てみたかった……。
 リイタの薬は、筋力増強にせよその効果を打ち消すにせよ、かなり即効性のあるキケンなもの。彼女の研究をほっといていいのか、ちょっと不安なところではありますが……。まあ、テンションはともかく、一応常識人っぽい人(すぺしゃるの中では)なので、まともな研究をしてくれてると期待しよう。期待したい。それにしても、魔道士とゆーのは本当に、いろんな研究をしてるものなのですね。今までにいなかったと思うけど、もしかしたら星などの自然科学を研究してる魔道士もいるかもですね。リナもたまに、光の剣とか魔力剣を「研究したい」と言ってますけど、リナもリナなりに研究室がどこかにあったりするんでしょーか。それ以前に、魔法専門だったら、研究したいも何もまず知識がないですよね(魔法を覚えるには、カオスワードと印の解析しか使用しなさそうだし)。うぅん、たとえピンクのフリフリといえど、腐っても称号の服(ディグリー・ローブ)の持ち主ということか(ざすっっ!)←後ろからショートソード
 マイケルとラコックのパパママ4人の中で、一番冷静で頭の回る、ゼルガディスのよーなラコックパパ。ただおろおろするだけだった他のパパママとは一線を画しています。やはりじーちゃんズの説得は、彼にあたってもらうのがいいと思うのは、ジブンだけでしょーか。