ストーリー
ガウリイとアメリアを捜し、海を行くリナたちの船は、いきなり沈没しそうになっていた。港でボロ船を
盗んだのが祟ったのだ。必死に海水と格闘するリナたちの前に、一艘の船が現れた。たしか、今日は年に
一度、幽霊船が出る日だからと船を出してもらえなかったのだが……。たとえ幽霊船でも、このまま沈没
する船よりはマシと、リナたちは謎の船に乗り込んだ。
船の中には想像通り、誰もいない。しかし、船の奥から、動く壺が現れる。壺は、この船の船長、
ツボスキーと名乗り、この船にいる悪霊によって、壺の中に閉じ込められてしまったのだと言った。船長は
リナたちが空腹だと知ると、食事をごちそうしてくれた。そして、リナに悪霊退治を依頼してくる。悪霊を
退治してくれたら、目的地の東の島まで送るし、彼が以前趣味で集めた、高価な壺を報酬として渡す、と。
フィリアは好みの壺のために、リナは売り払ったら高値がつく壺のために、依頼を受ける。ゼルガディス
は、気が乗らないと、船で見つけたギターを一人爪弾いていた。
話がまとまったとき、くだんの悪霊が姿を現す。こっそり様子をうかがっていたが、大事な壺を割られる
のに我慢できない船長が飛び出し、悪霊に見つかってしまった。悪霊に追われ、甲板まで逃げたリナ
たち。悪霊は船長の壺を使い、大きな身体を造り上げる。しかし、フィリアが非常にいい壺をその中に
見つけ、そっと引き抜くと、壺悪霊は重心を崩して割れ落ち、本体は再び船の中へと逃げ込んだ。
リナは船長と共に悪霊退治、フィリアは一足先にもらえる壺を見繕っていた。その途中、フィリアは昔の
航海日誌を見つける。それによると、ツボスキーは壺に異常な執着を持っていた船長で、とても巨大で高価
な壺を手に入れたある日、それを船員総出で磨かせていたらしい。腹を立てた船員が抗議しても、取り付く
島がなかったのだ。そして耐えきれなくなった船員たちが、壺を海に捨てようとしたとき、巨大な壺を
タコ壺と間違えて、巨大タコが入ってしまった。そのせいで、船は沈んでしまったのだという。
一方、リナは悪霊退治に勤しんでいた。あとは悪霊の親玉、ラルムスの死霊を残すのみ。そこへフィリア
が合流し、戦いは一転、鈍器戦に。しかし、フィリアの放ったモーニングスターが船底を破壊、船に浸水が
始まってしまう。
やがて元の姿で再び現れたラルムスは、涙ながらに船長に訴える。船長さえあんなものを積まなければ、
自分は死んだ仲間を決して忘れない、と。同情したフィリアが死者を送る呪文を唱えると、ラルムスは
笑ってあの世へ旅立つことができた。そして船長も、ラルムスの念から解き放たれて、あの世へ行くことが
できると笑った。二人の死者の魂を見送り、事後の余韻にひたっていたリナたちだったが、間もなく船は
限界を迎え、完全に沈没してしまった。
結局報酬は海の底。残っていた板きれをいかだ代わりにしながらリナがぼやくと、フィリアは自分の
戦利品を取り出した。しかし、高価な壺は、見る間にフジツボとフナムシだらけの汚い壺になってしまう。
どうやら壺も幻だったらしい。ということは、自分たちが昨日食べた料理も……?リナとフィリアは悲鳴を
上げて、倒れ伏すのだった。
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