――――――暗い。
日の光は射し込まず、明かりすらない小部屋。いつもより不自由な視界は、代わりに他の感覚を敏感にさせる。
鼻に届くのは地下室特有の湿った臭いと薬の臭い、何年もこの部屋全体に染み込んだ死臭。否、部屋だけではない。その臭いの発生源は、今なお彼女の目の前にある。
『ソレ』らが発していた声なき声は、いつの間にか消えてしまった。だから唯一つ響く低い声が、耳朶をうって彼女の耳に染み込んでゆく。まるで布地に何か色のついた液体をこぼしてしまったように、じわじわと。そう―――例えば、血とか。
『セイバー。聖杯を欲するのなら――――』
聖杯。
それは彼女が求め続けたもの。
王になってしまうという過ちを正すため、自らの死後を捧げてまで得るのだと、固く心に決めたもの。
『――――その手で自らの■■■■を殺せ』
誰を…………?
誰を殺すというのだろう?
彼女の足元には、赤毛の少年が倒れている。胸を貫かれ、彼の髪よりもなお赤い血を流し、苦しそうに呼吸していた。その強い意志を宿した瞳も、今は痛みに耐えるためか閉じられて見えはしない。
一体、誰を、殺さなければならなかったのだろう…………?
長かった旅の終わり。
自らを代償にして願った聖杯。
それが、ただ剣を振り落とすだけで叶う。
もとより、マスターとサーヴァントは聖杯を手に入れるまでの協力関係だ。
ここでそれが終わっても、それは――――
――――――それは、誰に責められる事でも――――
「――――――――!!!!!」
体中の力を全て使ってセイバーは跳ね起きる。
体が熱い。息が荒い。寝巻きがぐっしょりと濡れるほど、全身に汗をかいていた。
「…………ッハ……ハァ……ハァ……
い―――今のは―――」
夢。なんて悪い夢。
いや――――夢なんかじゃない。
今のは。今の、光景は。
「…………記憶」
聖杯戦争の頃の。ただひたすらに聖杯を求めていた頃の。それが絶対の使命だと信じていた頃の。
あの、教会の地下で。死にかけていた、己がマスターに対し。
聖杯が手に入る、と誘惑され。
自分は――――何を振り下ろそうとしていた…………?
「…………ぃゃ…………」
ぶるり、と大きく躰が震えた。
手足の先に力が入らない。吐き気がする。―――空気が淀んでいるせいだろうか。
外の空気を吸えば、少しは気がまぎれるだろう。
厭な思い出の残滓を振り切るように、セイバーはよろよろと部屋を出た。
大きな白い月が、廊下を照らしている。
そのわずかな明かりの下、セイバーの目はひとつの人影を見つけた。
「……ライダー……?」
「どうかしましたか、セイバー」
問いかける彼女の声はいつも通り、嫌になるほど冷静だ。
間が悪い、と一瞬思った。今はともかく、誰にも会いたくなかった。
「――――なんでもありません」
「なんでもなくて、夜中に部屋から出てくるのですか、貴女は」
「私の勝手でしょう。頼むから放っておいて欲しい」
「そうですね……誰かを殺す夢でも見ましたか?」
「――――――――!!?」
愕然とセイバーはライダーを見た。
何故。何故彼女が、夢の内容を。
ライダーは一瞬だけ哀れむようにセイバーを見、しかし瞬きひとつでいつもの彼女へと戻った。
「夜半過ぎに貴女の部屋から何かにうなされるような声と聞き覚えのある名前が出てくれば、大体察しはつくというものです」
「…………そうでしたか」
ライダーとてサーヴァント。隣の部屋にいる人物の異変ぐらい、仮に眠っていても気づけるだろう。もとよりサーヴァントの彼女は、この時間でも寝ていなかった可能性の方が高い。
ライダーは口調を変えず、さらに一言呟く。
「もっとも―――今のセイバーの顔を見る限り、ただの夢とも思えませんが」
「………………………………」
ギリ、と。
奥歯を噛みしめ、セイバーは敵意を込めてライダーを睨みつける。
誰にも見せられない心の闇を一目で看破され、怒りがこみ上げてきた。
ライダーはしかし、そんなセイバーの敵意を軽く受け流して、
「私が言えた義理ではありませんが、鏡を見てみなさい。貴女の方が死にそうな顔をしていますよ」
どこまでも静かに一言残し、ゆっくり部屋へと戻っていった。
「……………………」
またも一人になり、そっと肩の力を抜く。
ライダーに八つ当たりするのは筋違いだ。
筋違いだけど。
今のセイバーには感情をコントロールすることができなかった。
足音をたてずに廊下を歩き、縁側へ出る。半円となった白い月が、皓々と屋敷を照らしていた。
その月を見上げ、ため息をつく。
大丈夫。あれは夢。夢でしかない。
きちんと自分は踏み止まれたではないか。実際にあの剣が振り下ろされる事はなく、士郎は今もちゃんと生きている。さっきだっておいしい夕食をふるまって、彼女がおいしいと褒めると喜んでくれた。
彼女の大切な人。特別な人。
その彼を――――聖杯と、秤にかけた。かけてしまった。
本来なら、何かと秤にかける事すら赦されない物を。
「私は―――私は何ということを――――」
あの聖杯はセイバーの求める物ではなかった。ギリギリのところでそれに気付くことができたから、彼女はこうやって考えるのも恐ろしい罪を犯さずに済んだのだ。
――――――――でも。
でも、もし。
あの時、秤にかけられた『聖杯』が、彼女の真に必要な存在であったならば…………?
「っ――――――――!!!」
声にならぬ悲鳴をもらす。セイバーは必死に自分の想像を否定した。
ありえない。そんなものは存在しない。
聖杯などいらなかった。彼女に必要な物は、もう全て揃っていたのだ。
自分には新たに必要な物など、何もなかった。
だから。
本当に必要な物と引き替えだったら、どうしていたかわからない、など。
「ありえ…………ない…………」
背筋が寒くなり、痛いほど強く自分の腕を抱きしめる。
筋肉のついた腕。士郎は可愛いと言ってくれたけれど、同じ年頃の女の子と比べるとどうしても筋肉のついたこの腕は、外見的なコンプレックスのひとつだった。
――――だが、それでもいいと思っていた。この腕は大切な物を守る腕。自分はそのために強くなった。
それなのに。この腕はあの時、何をするところだった?
彼が綺麗だと言ってくれたこの腕で。彼の首を。
「…………ぁ…………ぁぁ…………」
弱々しく首を振る。自らの過去と罪を否定するかのように。
なんということだろう。これでは、なんのために。
大切な物を守りたくて強くなった。だから迷わなかった。だから頑張った。
それなのに。
そうして得た力で、大切な物を、あと一歩で、この腕が。
「………………シロウ」
耐えきれなくて、正気を保てなくて、思わず名を呼ぶ。
この世で最も愛しくて、今は最も遠ざけていたいその名を。
彼の名前を口に出すと、同時に思い出すのは彼の顔。
先程見た、彼女に向けられた嬉しそうな顔。罪の意識はますます強くなったが、彼の存在がはっきり感じられて、かろうじて意識を正常に保つことができた。
大きな半月に重なるその笑顔が、今はあまりにも眩しすぎる。
―――明日、どんな顔をして彼と向き合えばいいのだろう。
「シロウ――――――」
助けを求めるように、口の中で呟いたその言葉へ。
「………………呼んだか?」
思わぬところから、答えが返ってきた。
「え………………?」
反射的に声のした方へ振り返る。
そこには。
今最も会いたくて、最も会いたくない人の姿が。
「シロウ……!?」
口から出た声は、悲鳴に近かった。
「何故ここに!?」
「なぜって……ライダーが教えてくれたんだ。セイバーがヘンな夢見たみたいだから、ちょっと様子を見た方がいいって」
言葉が終わる前に、士郎はセイバーの方へ歩きだしている。
ぺたり、ぺたり。
裸足の足が廊下を踏む、どこか粘着質な音。
「――――――――」
月明かりにぼんやりと、彼の髪が浮かび上がる。
闇に融けた皓い薄明かりの中で、赤い髪はいつもに比べどんよりと暗く、赤毛というより赤黒く見えた。
「どうしたんだ? ほんとに顔色悪そうだぞ」
……それはセイバーには見慣れた色。そう、何度も戦場で見た。何度も何度も何度も何度も。
人の命を奪い去る色。……流れ出た、血の、赤。
――――どろり、と。
士郎の胸から、赤い血が流れ出すのを幻視する。
それでも。
それでも彼は、こちらへ――――――――
「来てはダメだっ……!!」
「え…………?」
「お願いです……来ないで下さい……!」
セイバーは硬く目をつぶって思わず叫んだ。
彼の顔を見ていられない。心の準備など全然出来ていなかった。
明日の朝でさえどうするか悩んでいたというのに、不意打ちもいいところだ。
士郎は足を止めて立ち尽くしているようだった。今度は彼の反応が恐くなり、セイバーはおそるおそる上目遣いに士郎を見る。
――――士郎は呆然としていた。当然だろう、セイバーがこんなにも彼を拒絶したことなど、今までなかったのだから。
「私のことは……放っておいてほしい…………」
再びギュッと目をつぶり、セイバーは小さく懇願する。せめて一晩でも時間をおけば、この気持ちも鎮まるだろう。
やがて士郎の足音が響く。
―――だが、遠ざかるだろうと思っていた足音は、だんだん大きくなっていった。
「馬鹿。そんな顔してるセイバーを放っとけるはずないだろう……!」
強引に士郎の胸へと抱き寄せられる。とっさに突き放そうと、彼の胸板に手を置いた。
「離して、シロウ…………」
「いやだ。セイバーが落ち着くまでは離さない」
「……………………」
とっさに突き放そうと動いた手は。
しかし力を込めることができなかった。
もしかすると自分も、彼のぬくもりを欲しているのかもしれない。士郎がちゃんと生きているのだと、確認したいのかもしれない。
たとえ同時に、己が手の奪おうとしていた物を、改めて思い知らされるとしても。
「……………………」
「――――――――」
何も言えず、何も動けない。どういう考えからなのか、士郎も言葉を発しなかった。
音のない世界の中、ただ相手の心音だけが伝わってくる。
とくん とくん とくん とくん とくん
小さく、けれどたしかにリズムを刻む心臓の音。
…………ああ、彼は間違いなく生きている。
耳朶をうつわずかな音も、彼女を離そうとしないぬくもりも、少し痛いくらい強く抱き締める武骨な腕も、無意識に小さく自分の名を呼ぶ低い声も。
それらは全て、全て現実のもの。
気持ちは次第に落ち着いてゆき、胸は次第に苦しくなる。
これ以上は耐えられなかった。
「――シロウ。もう大丈夫ですから、離してください」
「……ほんとか? 本当に大丈夫か?」
「ええ――おかげで落ち着きました」
嘘だった。本当はまだ心がざわついている。
けれど先程のように取り乱すことはもうないだろう。それにこれ以上彼に抱き締められていると、罪の意識で押し潰されそうだった。
だからセイバーは士郎に嘘をつく。
士郎は半信半疑ながらも、彼女を信じて解放してくれた。
そして何かを言いかけ、しかし言葉を飲み込む。あらぬ方向を見て、頭をかき、かすかに唸る。
言いたいことを迷っているのは明らかだったが、自分から聞き出すほどの気概は、今のセイバーにはない。
やがて士郎は何も言わず、セイバーの手をつかんで歩き出す。
「…………シロウ?」
「台所に行こう。夜中に起きたら腹減っちまった」
彼が何を言いたかったのか、ぼんやりとした頭ではわからなかったが。
士郎の勢いに逆らう気も起きず、セイバーは言われるままに後をついていった。
――――自分の指を握りしめる、彼のかための指の感触に、また少し心が痛んだ。
「あれ?」
不思議そうな士郎の声に下を向いていた顔をあげる。
居間には、こんな時間にもかかわらず、すでに明かりがついていた。
士郎が障子を開けると、台所でうごめく背の高い人影が見える。
「ライダー? まだ起きてたのか」
「はい。こんな時間に起きるとなかなかすぐには寝つけなくて……。ホットミルクを入れていました。士郎たちもいかがですか」
「そりゃありがたい。遠慮なくいただくよ」
居間へ入ると、廊下との光量の差で一瞬だけ目がくらんだ。そのわずかな隙をついて、士郎の手が離れる。
「!」
瞬時に硬直する体。白い闇の中へ、置き去りにされてしまう錯覚。
「ちょっと待っててくれよセイバー。あまったご飯でおにぎりでも作るからさ」
次の瞬間、彼の声が耳に届く。同時に視界も元に戻った。
目に映るのは台所へと歩いていく士郎の後ろ姿。それは今の刹那の恐怖がウソのように、現実感あふれるものだった。
…………いや、これくらいの事で恐怖を感じる方が、本当はおかしいのだろう。
セイバーは改めて、自分がどれほど気弱になっているか再確認した。
彼の命を奪う罪悪感に苛(まれているというのに、彼の命を失う恐怖に怯えている。
……そんなに怯えるくらいなら、初めから考えなければ良かったのだ、あんな事。なのになぜ、考えてしまったのか、あんな事を。
強く拳を握りしめる。爪が手のひらに食い込んでいるはずだが、まったく感覚がない。それよりもさっきからずっと消えない、胸の痛みの方がはるかに辛かった。
「――――――どうぞ」
突然目の前で声がして、ハッと顔をあげる。
そこにはいつの間にかライダーが立っていた。
これまたいつの間にかいれてくれていた、ホットミルクの入ったマグカップを手に持って。
「私も部屋に戻りますから、早くこれを受け取ってください」
「……………………」
無言でカップを受け取る。自分と士郎が居間へ来てからいれたにしては、やけに早すぎると頭の片隅でぼんやりと思ったが、その思考もすぐに消えた。
カップを両手で包み、目を落とす。人肌よりわずかに温かい温度がじんわりと染み込んで、手の感覚を取り戻してゆくようだった。
「セイバー」
ライダーは士郎に聞こえないような小声で囁きかける。
「大切な人を己が手にかけるというのは、貴女が思っているよりはるかに大罪です。罪の意識も、手にかけた瞬間の感触も、相手の死に顔も決して忘れる事はない。一生色褪せることはありません」
「……………………」
「ですが貴女は寸前で踏み止まることができた。ならばその痛みも、いつかは薄れるでしょう。
――――私はそれを羨ましく思います」
「………………え?」
伏せていた顔を上げると、すでに彼女は首を巡らせ、別の相手に話しかけている。
「それではお休みなさい、士郎」
「ああ、おやすみライダー。今夜はありがとうな」
「いえ、私は大したことをしたわけではありません。
それでも士郎が感謝の意を表したいというのなら、このお礼は二号のバージョンアップで是非」
「ははは、しっかりしてるなあ」
美しい笑顔を残して、ライダーは二人に背を向ける。
その背中を見送りながら、セイバーは今の言葉の意味を考えようとしたが、まだ頭がうまくはたらかない。
答えを導き出す前に、今度はもう一人の人物が声をかけてくる。
彼の手には相変わらず見事なスピードと技術でにぎった、3個の三角おにぎりの乗った皿があった。
「お待たせ。中の具があり合わせのものばっかりで悪いんだけど」
「あ…………ありがとうございます…………」
ぼんやりとした頭でも、反射的にお礼は出た。さっきのホットミルクのおかげだろうか。
士郎はセイバーを促し、食卓に座らせる。セイバーもすすめられるままおにぎりを口に入れた。
ほんのりしょっぱい塩味と、梅干しのすっぱい味を舌で感じる。
余り物だったはずのご飯は温められていて、自然と喉を通っていく。
ホットミルクも一口飲んだ。体の中から温まると、不思議に気持ちが落ち着いてゆく。
(美味しい――――)
なんでもない単純な料理だけど、この温かさが何より有り難い。
罪の意識と胸の痛みはまだ取れないが、だんだん頭がはっきりしてくるような気がした。
おにぎりを1個食べ終えたところで。
「…………セイバー?」
「――はい。なんでしょうか」
「その――何があったんだ」
控えめに問いかけてくる、不安そうな士郎の顔。
「ライダーはヘンな夢見ただけだって言ってたけど、おまえの顔、真っ青なんだぞ。
俺が力になれるかはわかんないけど、誰かに話すだけでも違うかもしれない。
だから、良ければ話してみてくれないか」
不安そうな顔の中に、絶対退かないという不屈の意志が見え隠れしている。
(シロウ…………)
それは、彼の覚悟の現れなのだろう。
どんな事でも受け止めると。共に彼女の悩みを解決すると。
彼女が彼の剣である事を誓ったように、彼も彼女の鞘として、守ることを誓った。
否、そんな誓いなど、元より彼には必要ない。
出逢った時からいつも、士郎は彼女の為を思い、行動してきたのだから。
そんな士郎の覚悟が、今はこんなにも胸に突き刺さり、消せない痛みとなって彼女を苦しめる。
(……シロウ。私に優しくしないでください)
彼はいつでも自分に優しくしてくれる。
いつでもどんな時でも。
―――彼を殺そうとした自分に嫌悪の念を抱いているこんな時でも。
彼を裏切り殺そうとした自分が、彼に優しくされるに足る人間だとは、今はどうしても思えなかった。
裏切られ、殺されることがどんなに惨いか、自分は誰より知っているはずなのに。
…………いっそ、彼に責められれば気は済むのだろうか?
全てを告白し、謝罪して、赦しを請うて。
彼に軽蔑され糾弾されるという罰を受ければ、贖罪した気持ちになれるのだろうか?
(――――けれど、貴方は優しすぎる)
しかし彼はおそらく、その罰すら与えてくれないだろう。
他人が他人を傷つけるのは我慢できなくても、他人が自分を傷つける事には無頓着な人だから。
きっと驚き、顔を強張らせつつも、すぐに立ち直って赦すのだ。彼女が罪の意識を抱いているという、ただその一事において。
そして誰もいないところで、彼女のために悩むのだろう。彼にはどうすることもできない彼女の悔恨を、それでもどうにかできないかと。
(私はシロウを守る剣なのだ。もう二度と貴方に傷をつけたくない)
だから。
「…………なんでもありません」
セイバーは、士郎に嘘をつく。
「セイバー…………」
「夢見が悪かっただけなのです。明日になればきっと忘れています。
だから…………本当に、大丈夫です」
自分は上手く笑えているだろうか?
士郎の顔から不安の色はまだ消えない。
誰かが言っていた。明けない夜などない、と。いつか必ず夜は明ける、と。
けれどそのいつかの時が来るのは、まだしばらく先のことに感じられた。
幸せ日常には似つかわしくない、切ない系のシリアスネタ。あああああ、セイバーかわいそうっっっ!!(テメエが書いといてなんだそれは)
あの教会地下の葛藤は必要なシーンなんだけど、後になってみるともしかして、セイバーは士郎を殺すということを考えたことにすら罪の意識を感じて悔やむかな?とか思ってみました。……まあでも、九を救うため罪のない一を殺してきた彼女だから、どうだろう。人によって意見の分かれるところかもです。
今回のお題は「見当違いな優しさ」。士郎は詳しい事情がわからないからセイバーに優しく接するし、セイバーは士郎に負担をかけたくないから黙ってる。でも士郎の「優しさ」はセイバーの慰めにはならないし、セイバーの「優しさ」はセイバーに打ち明けてもらえないという寂しさと無力感を士郎に感じさせることになるのですね。ううむ、人の心というものは難しいのお。
ライダーさんは当初出演予定ではなかったのですが、気づいたらぽんと出てきて、案外いい役回りをしてくれたと思うのですがどうか。 |