成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
マックス…赤 | |
ミリカ…黄 | |
トミー…紺 | |
ベン…灰 | ← |
リロ…橙 | → |
アクロ…紫 |
地方裁判所 被告人第5控え室 | |
マ: | まさか‥‥あの、アクロが! |
成: | やっぱり、ショックですか‥‥? |
マ: |
そりゃそうだあ。アイツ、 いちばんマトモだったのに‥‥ オラ‥‥ここまで キラわれたんだあ! |
あー、おほん。 | |
真: |
でも! アクロさん、ワザと 罪を着せようとしたワケじゃ‥‥ |
マ: | うう‥‥そうだんべか? |
ゴホッゴホン! ‥‥げふっ! | |
マ: |
オラ‥‥ただの キラワレ者なんだあ‥‥。 |
真: | そんなことないですから。 |
糸: |
コラァ! アンタたちッ! ヒトがセッカク、証拠品を 持ってきたのに‥‥ムシッスかッ! |
真: | あ。イトノコ刑事さん‥‥。 |
糸: |
もう、いッス。帰るッス。 有罪でもカッ食らえばいいッス。 |
成: |
まま、まあまあ。 ゆっくりしてってくださいよ。 |
真: | おいしい牛乳もありますから。 |
マ: |
楽しいトランプの手品は どうだい? ミスター。 |
糸: |
‥‥‥‥‥‥ はっはっはっ。 いやー、しかたないッスねー。 |
真: |
で? で? ”証拠品” って‥‥なんですか? |
糸: | これッス。 |
真: |
あれ。‥‥これ、きのう アクロさんの部屋で‥‥? |
糸: |
分析結果が出たッス。 ‥‥あとで見ておくといいッス。 |
真: |
こんなコトしちゃって、 かるま検事に怒られませんか? |
糸: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ないしょッス。 |
成: | はあ‥‥。 |
糸: |
ベツにワレワレは、アンタに 味方するワケじゃないッス。 ここまでの法廷の流れは、 ワレワレの予想どおりッス。 |
真: |
かるま検事、かなりアセってた みたいだけど‥‥。 |
糸: |
‥‥いずれわかるッス。 ワレワレはきのうのうちに、 最後の手を打っておいたッス。 |
成: | ”最後の手”‥‥? |
糸: |
あー。それから、検事から 伝言があるッス。 ”判決のゆくえは、 最後の瞬間に決まる” ‥‥以上ッス。 じゃ。自分は帰るッス。 |
真: |
‥‥どういうこと? ”最後の瞬間”って‥‥。 |
成: | さ、さあ‥‥ |
糸: | あ。そういえば。 |
真: | きゃっ。 |
糸: |
被告に、サーカスの芸人たちから 大量の差し入れが来てるッス。 |
マ: | え。オラに‥‥? |
糸: |
牛乳ッス。 ‥‥受付が、給食センター みたいになってるッスから、 早く飲むッスよ。 |
マ: | みんなが‥‥オラに‥‥? |
地方裁判所 第2法廷 | |
裁: |
では、審理を再開しましょう。 狩魔検事。先ほどの つづきから、おねがいします。 |
冥: |
アクロ氏に証言をおねがいする ‥‥被害者との関係について。 その上で、弁護側に 立証してもらうわ。 ‥‥この証人に、いったい どんな動機があるのか‥‥をね。 |
裁: |
‥‥わかりました。 では、証人。 |
ア: | はい。 |
裁: | 証言をおねがいします。 |
真: |
ついに”ドーキ”だよ。 だいじょうぶ? なるほどくん。 |
成: |
‥‥ヘンジに困る質問を しないでほしいな。 |
真: | ‥‥ぐ。 |
ア: |
『小さいころ、オレたち 両親に捨てられたんです。』(証言1) 『それで、立見団長のサーカスに 引き取られることに。』(証言2) 『アクロバットは、 9才のころからやっています。』(証言3) 『‥‥団長に、恩返しがしたかった。 そのために生きていたのに‥‥。』(証言4) |
裁: |
ふむう‥‥ 感心なワカモノですなあ。 |
冥: |
お聞きのとおり、証人は被害者に 大きな恩を感じている。 こんなアクロ氏が、どうして 団長を殺害できたと言うのかしら? |
裁: |
まったく、そのとおりですね‥‥。 いかがですかな、弁護人。 尋問するまでもないと 思いますが‥‥? |
成: |
(ぼくが今、 求められているのは‥‥ ”アクロさんがなぜ、 団長を殺害したか?”‥‥ まだわかってないのなら、 これが最後のチャンス、か) |
成: | ‥‥尋問はしません。 |
裁: | な‥‥なんですって! |
成: |
”どうして立見団長が 殺害されることになったのか?” ‥‥そのコタエを知るのに、 アクロさんの尋問は必要ない! |
冥: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
‥‥弁護人。 あなたにお聞きしたい。 |
成: | はい。 |
裁: |
どうですか? あなたに 証明できるのですか? アクロ氏が立見団長を殺害した ‥‥その動機を! |
成: | ‥‥‥‥ |
真: | なるほどくん‥‥? |
成: |
(‥‥そう、考えるまでもない。 最初から、明白なことだった!) 裁判長。 団長を殺害した動機‥‥ それを立証するのは不可能です。 |
裁: | な、なんですと! |
成: |
だって、アクロさんが被害者を 殺害する理由はありませんからね。 あいて! |
冥: |
バ‥‥バカのバカさカゲンは バカにできないものね‥‥ 忘れたの! あなたは、 この証人を告発したのよ? ”立見 七百人殺害の真犯人” ‥‥としてね! |
成: |
結果的には‥‥ そういうことになります。 |
裁: | け、結果的‥‥? |
成: |
アクロさん。 もちろん、あなたは団長を 殺害するつもりなどなかった。 あなたの本当のねらいは、 団長ではなかったのですからね。 |
冥: | な‥‥何を言いだすの‥‥! |
成: |
アクロさんがこの犯行で 亡きものにしたかった人物は、 立見 七百人ではなかったのです! |
冥: | ええええッ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 係官、かまいませんから、 うるさい人はつまみ出しなさい! 弁護人! ‥‥あ、あなたはいったい‥‥ あひゃは! |
冥: |
成歩堂 龍一! ‥‥あ、あなたはいったい‥‥ いったい、だれだったと言うのッ! アクロ氏が殺害しようとしたのは! |
冥: | ‥‥立見 里香‥‥。 |
裁: |
団長のムスメにあたる少女 ‥‥ですね? |
成: |
アクロさん。 あなたの本当のねらいは 彼女だった‥‥そうですね? |
ア: | ‥‥‥‥‥‥ |
冥: |
答える必要はないわ! ‥‥これは、悪質な誘導尋問よ! |
成: |
この質問には、カンタンに 答えられる! ちがうのならば”ちがう” ‥‥それだけのことです! |
冥: |
それならば! ‥‥そう、成歩堂 龍一! |
裁: |
‥‥そこまで! いいですか、成歩堂くん‥‥ わはほッ! |
冥: |
‥‥私の発言を止めるなんて、 100年早い。 |
裁: | は。 |
冥: |
あなたも弁護士なら ‥‥成歩堂 龍一! 証拠を見せなさい! この証人の、立見 里香に対する 殺意を証明する証拠を! |
成: | ‥‥‥‥! |
裁: |
そ、そう、それです! この私に提示してください! アクロ氏が、その少女に殺意を 抱いていたという証拠を! |
成: |
‥‥アクロさん。 コイツに見おぼえがありますね? |
ア: | ‥‥それは‥‥ |
成: |
立見団長の衣装のポケットから 発見されたメモです。 |
裁: | 被害者のポケット‥‥? |
成: |
アクロ氏が書いたものです。 ”殺人者に告ぐ”‥‥ 事件の夜10時、広場へ呼び出す ための手紙でした。 |
裁: |
立見 七百人は、その手紙で 呼び出されたわけですか‥‥! |
成: |
‥‥ただ、 ここで1つ、問題があります。 |
裁: | モンダイ‥‥? |
成: |
アクロ氏は、これをある人物の ポケットに入れた。 しかし、それは立見団長では なかった! |
冥: | ま‥‥まさか、それが‥‥? |
成: |
‥‥そう。 その人物こそ、 ‥‥立見 里香さんだったのです! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! な、成歩堂くん! 今の話は‥‥ |
成: |
本当のことです。 ただ、ミリカさんは、その手紙が 自分あてのものだと思わなかった。 ‥‥だから、それを事件の朝、 食堂に張っておいたのです。 |
冥: |
それを‥‥父親の団長が 読んでしまったわけ‥‥? |
成: |
そのとおり。 団長は、ミリカさんのかわりに 現場に行ったのです! そして、殺害された。 ‥‥ミリカさんのかわりに! |
裁: | ‥‥そ、そんなことが‥‥ |
成: |
さきほどの、アクロさんの 証言を思い出してください! |
ア: |
『‥‥胸像を持って、窓から 身を乗り出すのはムリですね。 オレの下半身は、今はチカラを 入れることができないんです。 そんなことしたら、 オレのほうが落っこちますよ。』 |
成: |
アクロさんは、窓の下に来たのが ”だれ”だったのか‥‥ 見ることができなかったんです。 |
裁: |
じゃ、じゃあ‥‥! アクロ氏は、 ミリカさんがいると思って‥‥ |
成: | 胸像を落としたのです。 |
真: |
‥‥ね。なるほどくん。 ミリカちゃん、これを今、 傍聴席で聞いてるんだよね? |
成: |
うん。‥‥これからもっと、 キビしいハナシになるはずだよ。 |
真: |
‥‥ミリカちゃん‥‥、 しんぼうできるのかな‥‥ |
裁: |
アクロさんが、ミリカさんに このメモを書いた‥‥! |
冥: |
‥‥バカはバカなりのバカバカしい バカがバカにバカなバカのバカはバ ‥‥‥‥自分で言ってて よくわからなくなってきた。 とにかく、成歩堂 龍一! このメモには、こう書いてあるわ! ”事件の決定的な証拠を あずかっている”‥‥ |
成: | そうですね。 |
冥: |
つまり‥‥ 立見 里香を”殺人者” として告発していることになる! |
成: | ‥‥よくわかってるじゃないか。 |
冥: | な‥‥なにッ! |
成: |
団長は、その事件を知っていた! だからあの夜現場に行ったんです。 ‥‥かわいいムスメさんの かわりに、ね! |
裁: |
ま‥‥待ちなさい、成歩堂くん! あなたは、メモに書かれている ”事件”を知っているのですか! |
成: | (半年前の”事件”‥‥) |
成: |
”半年前の事件”‥‥ 弁護側にはもちろん、 立証の用意があります! |
冥: | ‥‥‥バカな! |
裁: |
しかし! それは、今回の 事件にカンケイあるのですか? |
成: |
も、もちろんです! ”半年前の事件”‥‥すべては そこから始まっていたのです! |
真: |
そ‥‥そうだったの? なるほどくん! |
成: | た、たぶん。 |
冥: |
‥‥それならば、さっそく 聞かせてもらうわ。 このメモに書かれている ”事件の決定的な証拠”‥‥ これはいったい、 なんのことなの! |
成: |
(これに答えられなければ、 ハッタリが見抜かれる!) |
裁: |
半年前の”事件”。メモに書かれた ”決定的な証拠”とは‥‥ |
裁: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ むむむむ‥‥‥ はっくしょ! はっくしょ! はっくしょはがッ! |
冥: |
これは‥‥なんの冗談かしら? 成歩堂 龍一! |
成: | 冗談なんかじゃありませんよ。 |
裁: | どど‥‥どういうことですか? |
成: |
被害者は、木箱を持ち去ろうと していました‥‥。 その箱の中に”決定的な証拠”が 入っていたからです! |
裁: |
まま、またトンでもないコトを! じゃあ弁護人! あなたはこう言うワケですか! ”立見 里香さんは、この小ビンで だれかを殺害した”‥‥と! |
成: | そうとしか考えられません! |
冥: |
‥‥バカのバカげた バカさわぎというヤツね‥‥ それならば、聞かせて ‥‥成歩堂 龍一! 立見 里香の手によって ギセイになったのは、だれ? |
裁: | そのかたは‥‥? |
成: | アクロさんの弟です。 |
冥: |
ナニを言ってるの! 彼はまだ、死んでないわ! |
成: |
たしかに、 そのとおりです。 しかし、バットさんは 半年前から意識不明‥‥ アクロさんが、”殺された”と 感じたのも、ムリはありません! |
裁: | ミリカさんが、彼を‥‥? |
冥: |
バカバカしい。 証人の弟、木下 一平のことは 当然、検察側も調べている。 彼は半年前、ライオンに襲われて 人事不省におちいったのよ! |
裁: | ラ‥‥ライオン‥‥ですか。 |
冥: |
ミリカ‥‥立見 里香は たしかに猛獣使いよ。 でも、ライオンは、人を おそう調教など受けていない! つまり、ミリカ嬢には‥‥ ライオンに人間をおそわせる ことなど、できるわけがない! |
裁: |
ふむう‥‥では、 その弟さんのことは‥‥? |
冥: |
”殺人事件”ではなく、 ただの”事故”だった。 |
裁: | ‥‥なるほど‥‥ |
真: |
ど、どうする? ‥‥だれも ナットクしてくれないよ! ねえ! ホントに事故だったの? ‥‥バットさんのこと‥‥! |
成: |
ライオンがバットさんにかみついた のは、ただの事故ではなかった! |
裁: | な‥‥なんですって! |
冥: |
コリない男ね‥‥成歩堂 龍一! ミリカ嬢がライオンを けしかけるのはムリだったのよ! |
成: |
ザンネンながら‥‥ ライオンがかみついた原因は、 ミリカさんが作ったのです! |
裁: | それは‥‥スカーフ‥‥ですか。 |
成: | アクロさん。 |
ア: | ‥‥‥‥ |
成: |
これは、バットさんが巻いていた ものですね? |
ア: | ‥‥そうです。 |
成: |
このスカーフを、バットさんに プレゼントしたのは? |
ア: | ‥‥ミ、ミリカ‥‥です。 |
裁: | ミリカさん‥‥ |
成: |
このスカーフには、血の他に、 別のものが付着しています。 |
裁: | ‥‥いったい、なんですか? |
成: | コショウです。 |
裁: | コショウ‥‥? |
成: |
そのとおり! ミリカさんは、事故の前に、 バットさんにこれをわたした! コショウを タップリふりかけて! |
冥: | ‥‥‥‥ |
ア: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | |
成: |
(なな‥‥ なんだ? このチンモクは‥‥) |
裁: |
あ、あの‥‥弁護人。 ずいぶんイキオイよく 指をつきつけられましたが‥‥ いったい、それが なんだと言うのですか? |
成: | え‥‥ |
裁: |
コショウをふりかけた スカーフをプレゼントした。 ‥‥それが、罪になるのですか? |
成: |
(どうやら、裁判長はまだ、 わかってないみたいだな‥‥) |
冥: |
‥‥‥‥‥‥ 成歩堂 龍一‥‥。 ライオンは‥‥笑ったそうね? |
ア: | ! |
裁: |
わ、笑った? ライオンが、ですか‥‥? |
冥: |
バット氏が、かみつかれる 直前のこと‥‥ ライオンは一瞬、カオをゆがめて ‥‥”笑った”ように見えた。 |