成歩堂 龍一…黒 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
宝月 茜…桃 | |
宝月 巴…藤 | |
巌徒 海慈…紫 | |
罪門 恭介…紺 | |
市ノ谷 響華…水 | |
原灰 ススム…黄 | |
板東ホテルのボーイ…灰 |
成: |
これ‥‥見ていただけますか。 事件当日、この現場に入った ヒトのIDなんですけど。 |
糸: |
ああ。ウワサは聞いてるッス。 事件の時間に保管室に入ったのは、 やっぱり多田敷刑事だった‥‥ ああああああああああああああッ! |
茜: | ど、どうしたんですか‥‥? |
糸: |
こ、こ、こ、こ、こ、こ、こ、こ。 この、2番目の番号‥‥ |
成: |
ま、まさか‥‥ イトノコ刑事のID、ですか‥‥? |
糸: | ‥‥みつるぎけんじ‥‥ |
茜: | え‥‥ |
糸: |
この、2番目の番号は‥‥ 御剣検事のものッスゥゥゥッ! |
茜: | え‥‥‥えええええええええッ! |
データを追加した。 | |
成: | (御剣が‥‥なぜ、保管室に?) |
糸: |
多田敷刑事のメモと、 この飛び出しナイフ‥‥ きっと、イチバン驚いたのは 御剣検事だったッス。 |
成: | <<SL9号事件>>‥‥ですか。 |
糸: |
‥‥2年前。御剣検事が 初めて扱った、大きな事件ッス。 検事の実力を、世間に見せつけた 最初の事件だったッスよ。 |
成: |
でも‥‥その証拠品が、 なぜ、今になって‥‥? |
糸: |
やっぱり‥‥まだ。 あの事件は、カタがついてない。 そういうコトッスかねえ‥‥ |
糸: |
‥‥かなり、 凶悪な事件だったらしいッス。 |
成: |
凶悪‥‥というと、 殺人事件ですか? |
糸: | 連続殺人事件ッス。 |
成: |
(”連続”‥‥扱いたくないな、 そんなオソロシイ事件‥‥) |
糸: |
ハンニンはミスを犯して、 御剣検事が立件に成功したッス。 |
茜: |
それが‥‥今から 2年前のコトだったんですね。 |
糸: |
御剣検事は名を上げて‥‥ 同時に、黒い疑惑に包まれたッス。 |
成: | (証拠品の”ねつ造”か‥‥) |
糸: |
おとといの<<申し送り>>で、 完全にカタがつくはずだったッス。 ケッキョク‥‥それが、最後の シゴトになっちまったッスね。 ‥‥多田敷刑事の。 |
茜: |
え‥‥ どういうコトですか? |
糸: |
<<SL9号事件>>の担当捜査官は、 被害者の多田敷 道夫だったッス。 |
茜: |
じゃ、じゃあ‥‥あの、 飛び出しナイフは‥‥ |
成: |
被害者自身が、証拠保管庫から 取りだしたもの、なのか‥‥? |
糸: |
‥‥おッ! もう、こんな時間ッスか。 |
成: | あれ。何か用事でもあるんですか? |
糸: |
そろそろ、御剣検事の査問会が 終わるッス。 自分、今日の捜査の報告書を わたしてくるッス! 何かの助けになるかも‥‥ |
茜: |
ほ、報告書、って‥‥ その、チラシですか? |
成: |
しかも、ウラに<<異常なしッス>> しか、書いてありませんけど。 |
糸: |
御剣検事なら! こんな報告書すら 役に立ててくれるハズッス! 自分、信じてるッス! |
成: |
(アツ苦しい信頼を寄せられる 立場も、キノドクなもんだな) |
糸: |
‥‥じゃっ! ひとっ走り、行ってくるッス! |
成: |
(御剣‥‥ぼくも、話を聞いて おいたほうがいいかな) |
上級検事執務室・1202号 | |
ボ: |
‥‥おや。 これはシツレイいたしました。 |
成: | あ! あなたは‥‥! |
ボ: | どこかでお会いしましたか? |
成: | え‥‥‥! |
ボ: |
それでは、シツレイいたします。 ‥‥御剣さま。 |
成: | (御剣‥‥いるのか?) |
茜: |
あ。窓辺でたたずんでますよ! ティーカップを片手に。 |
御: | キミか‥‥ |
成: |
(コイツ‥‥ホテルから紅茶を 持ってこさせているのか‥‥) |
茜: |
御剣検事さん‥‥ 地方検事局の、査問会から? |
御: | ‥‥そのとおり。 |
成: |
そういえば‥‥ イトノコ刑事が探してたぞ。 |
御: |
ああ‥‥そういえば。 情報を持ってきてくれたようだ。 |
茜: | え! 役に立つんですか? それ。 |
御: |
この近くに、うまいフランス料理の レストランがオープンするようだ。 ‥‥刑事の、せいいっぱいの なぐさめ、なのだろう。 |
成: |
(御剣‥‥いちおう ウラだぞ、そっち側は‥‥) |
茜: |
御剣検事さん‥‥タマシイが 抜けちゃったみたいですね‥‥ |
成: |
それで‥‥どうだったんだ? 査問会ってヤツは‥‥ |
御: |
‥‥どうやら、彼らは 認めることにしたようだ。 今回の一件は”証拠品の隠匿”では ない。”捜査上の連絡ミス”だと。 |
茜: | ”いんとく”‥‥ |
御: |
この私が、証拠品をかくした‥‥ 彼らは、そう信じていたようだ。 最後に警告されたよ。 『今回もイノチ拾いしたようだな』 |
成: | 今回”も”‥‥? |
御: |
そのセリフを聞くのは、 もう何度目になるだろうか。 2年前の、あの事件から‥‥な。 |
成: | 明日の法廷は大丈夫なのか? |
御: |
とりあえず、担当検事を つづけることになった。しかし‥‥ |
成: | 何か‥‥あったみたいだな。 |
御: |
捜査の指揮権を、 警察局側に移された。 |
茜: | ‥‥どういうことですか? |
御: |
この事件は今後、巌徒局長の 指揮下で捜査が進められる。 私は、その結果を待つこと以外 ‥‥何もできないのだ。 |
成: | そう‥‥なのか。 |
御: |
なぜ‥‥だ! 私は、信じる道を歩んできた。 恥じるコトなどない! それなのに‥‥ |
成: |
(かなりマイってる みたいだな‥‥) |
成: | 御剣。これ、なんだけど‥‥ |
御: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ キミのことだ。すでに 情報はつかんでいるのだろう。 |
成: |
<<SL9号事件>>‥‥おまえが 関わった事件、なんだよな。 この事件のせいで‥‥ ”黒いギワク”に包まれた、とか。 |
御: |
‥‥キミは、私の最悪の記憶を 蘇らせたオトコだ。 いつか、話すことに なるだろうとは思っていた。 |
成: |
(あの‥‥エレベータの事件、か) じゃあ、御剣。聞かせてくれ。 ホントのところを。 |
御: |
<<SL9号事件>>‥‥ 凶悪な連続殺人事件だった。 捜査責任者は、当時、警察局副長 だったオトコ。‥‥巌徒 海慈。 |
成: |
(あのオジサン‥‥2年前は、 捜査に関わっていたのか‥‥) |
御: |
最も優秀な捜査官との、初シゴト ‥‥私も多少、舞い上がっていた。 |
茜: |
御剣検事さんでも、 そんなコトがあるんですね。 |
成: |
(それより、局長が”捜査官” のほうが意外だな‥‥) |
御: |
たしかに‥‥いつもより、 多少は強引な手を使った。 相手は危険なサツジン犯だ。 野放しにするなど、私がユルさぬ。 その結果、有罪判決が下って‥‥ ハンニンは処刑された。 |
成: | ‥‥まさか、おまえ‥‥ |
御: |
‥‥バカな! 証拠に手など加えていない。 たしかに私は、判決のためならば あらゆる手段を使う。 しかし‥‥ 私自身のルールは存在するのだ。 |
成: |
あ‥‥そうだ! これだけは、たしかめないと。 |
御: |
だから、私は‥‥ ! それは‥‥ IDカードの使用記録、か。 |
成: |
おまえ‥‥あの日、 証拠保管室に入ってるみたいだな。 しかも。あの事件が起きる 少し前に、だ。 |
御: | ‥‥ああ。たしかにな。 |
茜: |
ど、どうしてですか‥‥ 御剣検事さん? |
御: |
そ、そんな目で 見つめないでいただきたい! ただ‥‥たのまれただけだ。 巌徒局長に。 |
茜: | 局長さん‥‥? |
御: |
半年前に解決した事件の 証拠品だ。 検事局のオフィスで保管して おいてほしい、と言われた。 |
成: |
でも‥‥もう、解決したんだろ? 保管庫にあった、ってコトは。 |
御: |
巌徒局長は、自分の考えを セツメイしたがらないからな。 とにかく‥‥事件の日、私は これを持って、ここへ戻ってきた。 |
茜: |
あの! ちなみに、 どんな事件なんですか? それ。 |
御: |
‥‥それは、言えない。 さすがに、今回の事件とは カンケイないからね。 |
成: |
(そう言われると、気になる。 いちおう、記録しておこう) |
データを法廷記録にファイルした。 | |
御: |
あいかわらず、ガンコなオトコだ。 カンケイないと言ってるのに‥‥ ‥‥ところで、あかねさん。 主席検事から、うかがったのだが。 |
茜: |
は、はいッ! お。お姉ちゃんですか? |
御: |
今も、目指しているのだろうか。 その‥‥科学捜査官を。 |
茜: |
はいっ! もちろんです! 今日だって、成歩堂さんと コレを使って‥‥ |
御: |
ルミノール試薬‥‥か。 それならば‥‥ これも使ってみるといい。 |
茜: |
指紋をとるための ”アルミ粉”‥‥ですか! |
御: |
吸着をよくするために、 化学処理がほどこされている。 |
茜: |
い。いいんですか? あたしたち‥‥”テキ”ですけど。 |
御: |
今日の私に、捜査の指揮権はない。 ‥‥好きにさせてもらうさ。 |
成: | 御剣‥‥ |
御: |
礼は無用だ。 関係者の指紋データといっしょに 持っていきたまえ。 |
成: |
い、いや。なんていうか‥‥ (イトノコ刑事にも貸してやれよ) |
関係者の指紋データを受け取った。 | |
茜: |
じゃあ‥‥最後に、もう一度! 調べてみましょうよ! |
成: |
‥‥そうだね。 (たしか‥‥どこかで、気になる ”手のアト”を見たよな‥‥) |
証拠保管室/第3号庫 | |
成: |
(さっきの調査で‥‥気になる ”手のアト”があった) |
茜: |
この、刑事さんの保管庫に 付着した、血痕‥‥ですね。 |
成: |
アイツから借りた、新兵器 ‥‥試してみよう! |
茜: |
さあ、始めましょう! まず‥‥指を選んでください。 |
成: | ユビ‥‥? |
茜: |
5本それぞれ、指紋のつき方は ちがうハズですからね。 指紋がキレイに残っていそうな 指を選びましょうよ! |
成: |
‥‥パッと見た感じ、 ちがいがわからないよ。 |
茜: |
ぐずぐずモンクを言わないで、 さっさと1本、選ぶ選ぶ! |
茜: |
よーし。じゃ、いよいよ 指紋の検出に移りますよ! ちょっと、あたしが やって見せてあげますね。 |
成: |
(なんか、イキイキしてきたぞ ‥‥あかねちゃん) |
茜: |
まず、アルミの粉を よーく、ふりかけます。 |
成: | え! ど、どうやって? |
茜: |
スクリーンに、トンって さわれば‥‥ホラ! |
成: | おお。‥‥ソレっぽいね、なんか。 |
茜: |
アルミ粉は、指紋にカンゼンに 吸着するんです。 いい具合に、アルミ粉を トントンって、ふりかけたら‥‥ よぶんなコナを 吹きとばしちゃってください。 |
成: | え! ど、どうやって? |
茜: |
ジッサイに、 息を吹きかけるんですよ。 ふーっ、て。‥‥ホラね! |
成: |
おお。‥‥楽しそうだね! (なんか、抵抗があるケド‥‥) |
茜: |
大丈夫。ハナに入ったり しませんから。 ほどよくコナをふりかける。 よけいなコナを吹きとばす。 ‥‥指紋検出のキホンです! |
成: |
(やってみるしかないな、 コレばっかりは‥‥) |
茜: |
あ! やりました! 検出できたみたいですね! |
成: |
でも‥‥‥コレ。 どう見ても”指紋”じゃないよ。 |
茜: |
う、うーん‥‥ たしかにそうですね。 |
成: | どういうことかな。 |
茜: |
どうやら‥‥ハズレだった、 というコトじゃないでしょうか。 |
成: | ハズレ‥‥? |
茜: |
この”手のアト”のヌシは、 手袋をしていた、ってコトですね。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ここまでやらせといて、 そりゃないだろう! |
茜: |
まま。こんなもんですよ、 カガク捜査なんて。 でも‥‥そうですね。 せっかくだから、 他の指紋を探してみましょうか。 |
成: | 他の‥‥? |
茜: |
保管庫のトビラを、もう一度 よーく見ると‥‥ ”血のアト”以外の部分にも、 ユビの跡が残ってますよね? いちばんハッキリ残っている 指紋を検出してみましょう! |
成: |
(”血のアト”以外の、 ユビの跡、ねえ‥‥) |
茜: |
きゃあ! ウットリするほどに ミゴトな指紋ですね! |
成: | う、うっとり‥‥? |
茜: |
それじゃ、セッカク検出した 指紋ですからね。 さっそく、 <<照合>>してみましょう! |
成: |
まだ、あるんだ。 ‥‥いろいろ、タイヘンだなあ。 |
茜: |
まあ、セッカク 指紋を検出しても‥‥ 持ち主がわからなくちゃ、 イミがないですからねー。 |
成: | (そりゃ、そうか‥‥) |
茜: |
御剣検事さんからもらった、 関係者の指紋データを見て‥‥ 指紋のヌシだと思われるヒトを、 ズバリ! 指摘してください! |
成: |
え‥‥! そんなの、 わかるワケないじゃないか。 |
茜: |
そんなコトないと思いますよ。 ”血のアト”と合わない以上、 この指紋は事件と無関係です。 ‥‥と、なれば。 この保管庫に、イチバン指紋が 残りそうな人物は‥‥? |
茜: |
やっぱり! この指紋、イトノコ刑事さんの ものだったんですね! |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
茜: |
どうしました? 成歩堂さん。 ”だからなんだよ”みたいな カオして。 |
成: |
まあ‥‥”だからなんだよ”って 思ってるからね、ジッサイ。 |
茜: |
まあ。今回はカラぶりでしたけど、 次があるじゃないですか! 成歩堂さんのトモダチでしょ? ”カラぶり”と”ドシャぶり”は。 気にしない気にしない! |
成: |
‥‥なんか、カドの立つ なぐさめかただなあ。 (でも‥‥たしかに。 この部屋には、もう1つ‥‥ ”手のアト”があった。 ‥‥調べてみよう!) |
成: |
たしか‥‥ここに、 ルミノール反応があったよね。 |
茜: |
あ、そうだ! ”手のアト”がありました! じゃあ、じゃあ、 コレ、使ってみますか? |
成: |
(目つきが変わってる。 キケンだな‥‥) |
成: | ‥‥よし。指紋を検出してみよう! |
茜: |
そう来なくっちゃ! あ! でも、今回は、 1つ注意しなくちゃ! |
成: | え‥‥? |
茜: |
ここの血のアト、ふきとられて いたわけですよね? |
成: |
‥‥ああ。クスリの反応で 見つけたワケだからね。 |
茜: |
つまり‥‥その部分の指紋も、 ふき取られているワケです。 |
成: |
あ‥‥そうか。 じゃあ‥‥”指紋はない”って コトじゃないか。 |
茜: |
そのカクリツは、カガク的に考えて 高いと言わざるを得ませんか? |
成: | ぼ、ぼくに聞くなよ! |
茜: |
とにかく。”ふき取られていない” 指紋を探しましょう! |
成: |
(”手のアト”以外に残された 指紋、か‥‥) |
成: | こ‥‥この指紋‥‥ |
茜: |
だ、ダレですか! あたしの知ってるヒトですか! |
成: | ざ‥‥‥‥‥罪門 恭介‥‥! |
茜: | え。ざ、罪門さん‥‥? |
法廷記録にファイルした。 | |
茜: |
そ、そんな! グーゼンです! 事件とはカンケイありません! |
成: |
‥‥あかねちゃん。 これは‥‥イトノコ刑事の指紋とは 決定的に、違うポイントがあるよ。 |
茜: | ‥‥! |
成: |
ルミノール反応‥‥血のアトと、 指紋の位置が、一致している。 |
茜: | あ‥‥ああッ‥‥! |
成: |
(ふきとられた、血のアト‥‥ そこに、罪門 恭介の指紋が!) |
茜: | 罪門さんが、どうして‥‥ |
成: |
どうやら‥‥長かった調査にも、 やっと、コタエが出たみたいだ。 |
茜: | ‥‥! |
成: |
こういうのを‥‥”決定的な証拠” っていうんじゃないのかな。 |
茜: |
そ、そんな! 罪門さんが‥‥どうして‥‥‥ |