宣戦布告 ガウリイサイド


強い日差しが波に反射し、目を眩ませる。
いや、目を眩ませたのは、別の光。

待つ事は苦にはならなかった。
あれこれと思い描いていた以上に
心揺さぶられる姿態に、我知らず目を細めてしまう。

「・・・・よう、遅かったな」
最初の一言を呑み込んでしまうほど。

「女の子の支度には時間がかかるのよ♪」
こちらの気持ちなど察する事もしない態度に、
悔しいほどの魅力を感じてしまう自分に驚く。

白い肌に映える、白いワンピース。
日頃防護服に封じこめた命の鮮やかさが迸る。

「そうしていると、リナもちゃんと女の子に見えるんだな。」
見惚れているのに、口をつくのは、憎まれ口。
「失敬ねぇ。あたしはいつでも女の子よ。」
いや、オレにとっては、もう、一人前の女だ。
「あの態度のどこが一体いつも女の子・・・・いや、なんでもないです。」
自分の熱い視線を隠したくて、つい、からかってしまう。

悪戯な風がリナのスカートを、くすぐる。
俺の心もくすぐる。
ちょっと、くすぐり過ぎだ。

「ほら、さっさと座れ」
目をそらしながら、乱暴に、でも丁寧に声をかける。
「へぇ、今日は待遇いいんじゃない?」
心底の魂胆を見抜かれぬように、細心の注意を払う。
降ろす腰に目のやり場をなくす。
「ま、たまには、な。」

「さて、今日の夕飯のおすすめは・・・っと。」
「リナ、なんかめぼしいものあるのか?」
「ん〜、これなんかいいんじゃない?」

手にもったメニュー表が、目の前に。
さらされる白い腕を、気付かれないように、視線で弄る。
腕から、肩、そして、胸。
こんな、駆け引きができる“女”になったのか。

「そおか?んじゃぁそいつを三人前な♪あとは・・・っと。」
頭の中から、もはやメニューのことなど飛んでいる。
不自然なまでの受け答えを気付かれてしまったか?

 いつもと違う反応。
 いつもと違う雰囲気。
 いつもと同じふりをする、お前。
 いつもと同じふりができない、俺。

その装束の色通りだよ。
これから、どんな色にも染まっていくだろう。
まだ、女としては無垢なお前。

それを男として、染めてみろと言う
宣戦布告か?
だめだ、お前になんて挑ませやしない。
挑むのは俺のほう。
奪うのは、男の役目。

挑むようにつかんだ手首。
躊躇に震えても
もう、離さない。

俺の中に落ちて行くまで
もう、離さない。







複数の視線が、容赦なくリナを見つめる。
追う、弄る。
それらを鋭い視線で撥ね付けていく。
ひとつひとつ。
これ以上、他の男の視線にさらしたくない。

食事を終え、椅子をひき、立たせた瞬間、
すばやく、首筋のリボンを緩める。
一瞬のことで、何が起こったか判らぬ
リナが、呆然としたあと、悲鳴を上げる。

人の視線にさらされるより先に
腕の中に攫いこむ。
「ほらみろ、着なれない物を着るからだ。」
誰にも見せるものか。
これは俺のもんだ。

真っ赤になって身動きできなくなったリナを
抱えて、部屋へ連れていく。




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管理者から一言:
 やっぱガウリイの方が一枚上手か……。
 「ブラックになれ!」とか思っといて、実際なるとなんだか腹立つのはなぜだろう?(笑)
 …これ、首のリボンほどいたのがガウリイだって知れたら…リナ怒るだろうな…。
 口を滑らせないことを祈っててよ、ガウリイ。
 Yumicoさん、性悪(笑)ガウリイをありがとうございましたにゅ♪




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