ハリネズミ科 Erinaceidae
 
ハリネズミ科は食虫目に含まれる動物たちです。食虫目はハリネズミ科、ジネズミ科、モグラ科、ソレノドン科、キンモグラ科、テンレック科の6つの科に分けられ、約400種が認められています。
ハリネズミ科は東南アジアにすむ6種のジムヌラのなかまとハリネズミのなかまに分けられます。ハリネズミはヨーロッパ、アジア、アフリカに14種がすんでいます。日本や東南アジアにはすんでいません。

 
 
 
 








マンシュウハリネズミ
学名:Erinaceus amurensis
英名:Manchurian Hedgehog
分類:ハリネズミ目 ハリネズミ科
分布:中国北東部
すみか
たべもの
くらし
卵や子の数
活動
1〜2


ヨーロッパの昔話にはハリネズミが、よく登場します。イギリスではロンドンの近くでさえ庭にハリネズミがでてくるそうです。「母がお皿にミルクをいれて、ハリネズミにあげているわ。」英会話の先生だったジャネットさんの話がとてもうらやましく思えました。日本にもハリネズミがすんでいたなら楽しいのに。
ところが、神奈川県や静岡県の一部にハリネズミがすんでいることが、わかってきました。残念ながらペットが逃げ出したり捨てられたものが増えたものだそうです。外国の動物がすみついてしまうと、もとからあった自然のしくみを変えてしまい、今まですんでいた生物に悪い影響を与えかねません。とても悲しいことです。
ヨーロッパからアジアにかけて広くすんでいるハリネズミは、以前は1種とされていましたが、現在では3種類に分けられています。「ロンドンにいるのとは色がぜんぜん違う。」動物園で飼われていたハリネズミを見たジャネットさんの言葉が気になりました。調べた結果、全体が茶色いヨーロッパハリネズミではなく、おなかの色が白い東アジア産のマンシュウハリネズミでした。



 
 






ヨツユビハリネズミ
学名:Atelerix albiventris
英名:African Pigmy Hedgehog
分類:ハリネズミ目 ハリネズミ科
分布:アフリカ中央部、東部
すみか
たべもの
くらし
卵や子の数
活動
1〜2


 ハリネズミの繁殖群を確立させようと努力している間に、海の向こうのアメリカでは、ハリネズミがぺットとして普通の生き物になっていました。それがヨツユビハリネズミです。動物園でもかなり以前に1頭のヨツユビハリネズミが飼育されていましたが、繁殖相手を見つける前に死亡してしまいました。
昨年、オスメス4頭のヨツユビハリネズミがやって来ました。いちばん繁殖の簡単なハリネズミのはずが、いまのところ赤ちゃんは産まれず、期待外れに終わっています。何とか繁殖にこぎつけ、動物園を訪れる子供たちの友達になってほしいものです。
ヨツユビハリネズミはアフリカのセネガルからエチオピア、南はザンビアまでのサバンナにすむといわれています。温帯林や砂漠などにすむイメージの強いハリネズミがアフリカゾウやキリンの足元を歩いているのは、似つかわしくないような気がしてなりません。






 
 






オオミミハリネズミ
学名:Hemiechinus auritus
英名:Long-eared Hedgehog
分類:ハリネズミ目 ハリネズミ科
分布:エジプト北部、中近東、中央アジア、モンゴル
すみか
たべもの
くらし
卵や子の数
活動
1〜7


盲学校の生徒が先生に連れられて、動物園にやってきました。いろいろな動物たちを触察のために台にのせ、充分に時間をかけて観察してもらいました。とても驚いていたのが「動くタワシ」のハリネズミです。
これは良い触察の対象になると思いましたがハリネズミは野生動物です。野生から連れてきたものを、ただ使うだけでは野生動物の消費となってしまいます。動物園で自由に繁殖ができるようになったら、生まれた子供たちに相手をしてもらおうと考えました。
最初はマンシュウハリネズミの繁殖を試みましたが、思ったより難しく、何度か繁殖しただけでした。続いてオオミミハリネズミを選びました。ハリネズミといっても種によって繁殖の過程は異なります。何度かの試行錯誤の末、うまく増えるようになりました。
ところがオオミミハリネズミには困った習性がありました。かなり性格が荒いのです。安心して触れ合ってもらうことはできません。残念ながら思惑は外れてしまいました。耳が大きく一番愛敬のある顔をしているのですが、うまくいかないものです。









ブラントハリネズミ
学名:Paraechinus hypomelas
英名:Brandt's Hedgehog
分類:ハリネズミ目 ハリネズミ科
分布:イランからパキスタン
すみか
たべもの
くらし
卵や子の数
活動
1〜4


「ハリネズミの色って何色?」多分クリーム色やベージュ色を想像するのではないでしょうか。私もブラントハリネズミの担当になるまではそうでした。一目見て「焦げてしまったハリネズミ」と思ってしまいました。ブラントハリネズミは14種類いるハリネズミのうち、唯一体も針も黒いのです。そして他のハリネズミたちよりも四肢が長めで、10cmの段差もなんなく越えてしまいます。高い段差を作ると落ちて骨折してしまうのが心配で、最初はケージの中に段差を作らないようにしていました。でもケージの中をウロウロしてなんだか退屈そうに見えました。ためしに、板で2階フロアを作り、木のスロープをつけて見ました。すると、心配をよそにスタスタとしっかりとした足取りで登り下りしてよく動いたのです。
あなたのハリネズミのイメージを変えに、ちょっと会いにきてみませんか?