オフィス |
私達はコンピュータプログラムの開発を主たる業務としているソフトハウスです.社員は約1名,つまり典型的なSOHO(Small Office Home Office)であり,私のワンマンカンパニーです.バブル崩壊と軌を一にして当社も1993年頃から左前になっています.現在は私が某専門学校のパートタイムの講師に出向することでなんとか糊口を凌いでいます. 現在開発中の「ゼルコバの木」は,既に着手してから足掛け4年になりますが,まだ陽の目を見ることができません.ゼルコバの木は専門家の使用に耐える高水準なソフトですが,当面は一般のエンドユーザ向けに商品化することを予定しています.
研究所所在地 |
私達は,関東平野の北部田園地帯,JR高崎線深谷駅から徒歩10分ほどのところに一室を借りて,研究開発を進めています.近くにお越しの際は,ぜひお立ち寄りください. 社名:馬場研究所 住所:〒366-0026 埼玉県深谷市稲荷町1-3-72-2H TEL:048-574-3623 ホームページ:http://www.aya.or.jp/~babalabo/ ミラーサイト:http://www.geocities.com/babalabo/ e-mail:babalabo@aya.or.jp 会社案内図
会社概要 |
平成11年9月 |
社名 | 株式会社 馬場研究所 |
本社 研究所 | 〒366-0026 埼玉県深谷市稲荷町1-7-5-303 〒366-0026 埼玉県深谷市稲荷町1-3-72-2H |
資本金 | 1000万円 |
役員 | 代表取締役 那須 路郎 取締役 那須 章子 取締役 那須 誠 監査役 橋本 睦 |
従業員 | 0名 |
沿革 創業 本社移転 設立 研究所移転 | 昭和58年10月 横浜市 馬場システム研究所 平成元年4月 深谷市稲荷町1-7-5-303 平成2年4月 株式会社 馬場研究所 平成6年5月 深谷市稲荷町1-3-72-2H |
事業目的 | (1) コンピュータシステムの開発,設計,制作,販売並びに保守 (2) 知識・教育分野におけるプログラムの研究,企画,開発 (3) 上記各号に付帯する一切の業務 |
取引銀行 | あさひ銀行深谷支店 |
主取引先 | 松下電器産業株式会社 知的財産権センター 河出書房新社 学校法人智香寺学園 |
主業務 | 1985 ニチメン殿
テレックス自動集配信システム設計,制作 1987 コンピュータ教育開発センター殿 教育用記号調査 1989 コンピュータ教育開発センター殿 映像・音響装置動向調査 1990 松下通信工業殿 ET数式入力フロントエンド設計,制作 1991 松下通信工業殿 ETシミュレーションシステム設計,制作 1994 パーソナルメディア殿 カード型データベース企画,開発 1994 松下通信工業殿 ビデオ遠隔会議システム企画,開発 1996 河出書房殿 家系図作成ソフト系図物語 企画,開発 1997 埼玉工業大学専門学校殿 情報システム科 非常勤講師出向 1997-現在 系図作成ソフトゼルコバの木 自社開発 |
研究活動 | 非循環的有向グラフ入出力系(ゼルコバの木)のUI,可視化 抽象グラフ検証系(モノバース)の設計,制作 ハミルトン閉路問題(NP完全問題)の研究 |
保有特許 | 米国特許 No.5,572,642 Nov. 5,1996 |
銀行口座 | あさひ銀行深谷支店 普通 3876464 あさひ銀行深谷支店 当座 0712522 |
スケジュール |
年次 | 期間 | 作業予定 | 進捗 |
1999 | 8-9月 | ホームページ 開設 | |
10-11月 | ゼルコバの木α版 バグフィックス | ||
12月1日 | ゼルコバの木α版 プレリリース | ||
12月 | ゼルコバの木β版 バグフィックス | ||
2000 | 1月10日 | ゼルコバの木β版 プレリリース | |
1−4月 | ゼルコバの木リリース版 開発 | ||
4月 | オンライン受注,サポートシステム 整備 | ||
5月10日 | ゼルコバの木リリース版 販売開始 | ||
5月 | ゼルコバの木 販促活動 | ||
通産省独創的ソフトウェア開発事業 応募予定 |
研究活動 |
目下の我々の研究活動は以下の3項に集約される.
我々の研究の端緒となったものは,保有特許のページでも触れているように,数式入力システムの開発である.数式(あるいは文法と記法を持つ構造的文書)はグラフ理論的には木として表示することができる.つまり我々は,もっとも単純なグラフとしての木構造を対象として,これらの入出力をいかにユーザフレンドリにすることができるかという問題,つまり,ユーザインタフェースとビジュアライズの問題から入っていったと言える.
我々は必要に迫られて,N木と呼んでいる多元木データ構造を開発した.N木はプログラミング的にはポインタ配列であり,この構想には明らかにM.L.ミンスキーのスロットという考え方の影響を見ることができる.任意のグラフは全域木を持つことが知られている.この意味において,N木は対象グラフの全域木である.N木の仕様はきわめてプリミティブなものであり,データを物理メモリ上でどのように配置するかといったことまでも含んでいる.
N木に関しては,次のような特徴を挙げることができる. (1)
すべてのオブジェクトはN木の基底クラスであるノジュールクラスから派生する.
(2)
根節点を除き,すべてのノジュールは親節点と双方向リンクを持っている.
(3)
この双方向リンクによって,自然発生的に木構造が生成される.
(4)
参照と呼ばれる木の枝でないリンクを扱うことによって,グラフ一般を表示できる.
(5) N木を一般的に線形変換することができる.
(6)
これは,N木を永続オブジェクトとして扱うことができることを意味する.
(7) ノジュールはC++の一種の配列クラスであるが,個別スロットに名前をつけることができる.
我々が数式入力システムの次に取り組んだのは,主に中学,高校の理科教育向けのシミュレーションシステムである.これは我々のN木技法の応用編であり,(1)数式によるプログラミング,(2)アニメーションによる可視化,(3)フレームによる並列プロセス記述,(4)制約式による自動計算,(5)ランタイムプログラミングなどの特徴を持つものである.
我々が現在取り組んでいるアプリケーションである系図作成ソフト「ゼルコバの木」は,これらの実践の上で,対象グラフを木から非循環的有向グラフにレベルアップしたものであると言える.非循環的有向グラフは木の次に単純なグラフと考えることができるから,我々はまったく着実に一歩ずつ進んできたと言うことができる.
婚姻はかなりの世代差があっても成立する可能性はあるけれど,血統的に祖系の位置にある節点が孫系の子になるということは有り得ないから,系図データは循環を持たない有向グラフ,つまりDAG(directed
acyclic graph)を構成する.系図木ないし,系図森を表示する問題は,D.E.クヌースが文芸的プログラミングの中で述べているトポロジカルソーティングに関わるものである.半順序集合を線形順序に変換するアルゴリズム自体は短いものであるかもしれないが,具体的なレイアウト問題として見るとまた別の困難がある.
抽象グラフ検証系の開発には,@これらアプリケーション開発という下からの要請と,Aハミルトン閉路問題の検証という上からの要請の2つが関わっている.アプリケーション開発はさまざまな段階でデバッグのためのデータ検証ツールを要求し,理論的な研究はサンプルの生成やアルゴリズムの検証のための実践的なツールを要求する.実際,点数が20を越すようなグラフを目視で追いかけることはほとんど不可能である.系図作成ソフトのデバッグでは深くネストしたデータ構造に入り込んで,何段もの間接参照を含むポインタを追いかけなくてはならない.
我々はこの抽象グラフ検証系をまったく新しい基盤の上に構築するという構想を持っている.ないし,まったく新しい基盤として再構築すると言い換えたほうがよいかもしれない.我々は現在,すべてのアプリケーションをN木ないしノジュールクラスを使って記述しているが,将来的には我々のすべてのアプリケーションは,我々が現在モノバースと呼んでいる方法によって記述されることになるだろう.
ハミルトン閉路問題,ないしNP完全問題を解くことは我々に課された課題である.我々はこれを引き受けたつもりである.我々がもっとも理解に苦しむのは,なぜこのような問題が我々のようなところに回ってくることになったのか,ということである.しかし,少なくともそのことによって,我々には「楽しみ」が与えられた.我々はこれを大いに楽しみたいと願っている.
保有特許 |
我々のもっとも基礎的な技術は,我々がN木と呼んでいる技術である.この技術は松下通信工業から受注したCEC(コンピュータ教育開発センター)の数式入力システム開発の過程において確立されたものである.我々はこの技術に関わって,以下の米国特許を保有している.
構成要素の配置に制約を有する文書構造を持ったデータの入力を可能にするデータ入力表示システムである.このような構造は文法と記法を有する数式,化学式その他において用いられる.このデータ入力表示システムは,この種のデータを通常の文字入力と同水準の容易さと単純さにおいて入力することを許すとともに,入力文書の正しい表示と統語的な正当性の保証を可能にする.入力・構成・配置の統合されたプロセスを基礎とするシステムは,表示画面上にデータを自動的に配置する.
この米国特許の取得にあたっては,松下電器産業株式会社水野博之(元)副社長と同知的財産権センターの物心両面にわたるご支援を戴いたことをここに記し,心からの謝意を表します.