ストーリー
セルリアン・シティに入ると同時に、リナは尋ねられた。称号の服(ディグリー・ローブ)を持っている
か、と――。ここ、セルリアン・シティ魔道士協会では、評議長と副評議長二人の、計三着の称号の服が
盗まれる、という事件が発生していたのだった。リナはこの事件の捜査官に任命された、エイプリルの助手
として雇われる。しかし、紫色の脳細胞と呼ばれる、どう考えても壊死してるよーな脳ミソを持つ
エイプリルに、リナは不安を隠せない。
第一容疑者のパトリックは、今年も称号の服をもらえなかった。第二容疑者のフラガンは、称号の服を
剥奪された。どちらも動機はたっぷりだが、面談したかぎりは怪しいところは見受けられなかった。
手詰まり状態を打開するため、エイプリルは罠を仕掛けることにする。称号の服を持っているリナのサイン
会を開き、おとり捜査をしようというのだ。しかしリナは、称号の服を持ち歩いていない。それ以前に
見たくもない。ところが、エイプリルはゼフィーリアの魔道士協会に問い合わせ、リナの忌まわしき思い出
と同じ、フリフリどピンク色のローブを、忠実に再現してしまったのだった。
こんなシュミの悪いモンは着たくない。逃げ出そうとするリナだったが、エイプリルは身を挺して
止める。そうこうするうちに、サイン会の日が来てしまい、リナは称号の服を着ることを余儀なくされた。
かなりの人数が集まったが、そのうち半数以上は逆恨みを晴らそうとした悪党、サインをもらった大多数
も物珍しさで集まっただけ、しかも二日たっても犯人は捕まらない。リナは心底苛立つ。
その日の晩。宿屋に泊まるリナの部屋に、攻撃呪文がたたき込まれた。犯人のパトリックは、リナの
サイン会のときにリナが悪党を倒すため放った攻撃呪文に、自分の家を粉砕された恨みをはらしに来たと
いう。自分も称号の服がもらえないからと、評議長の家に攻撃呪文たたき込んだくせに、とリナが切り返す
と、パトリックいわく、それは評議長が浮気相手として彼の恋人を見初め、物でつって連れていって
しまったからだということだった。詳しく話を聞くうち、リナは真相を悟る。
エイプリルと評議長の前で、リナは見つけ出した称号の服を見せて真実を語った。評議長が浮気相手に
称号の服を見せびらかし、それを彼女が隠してしまった。称号の服をなくしてしまった、ということが
バレれば、どこでなくした、という話から浮気がバレてしまう。ならばいっそ盗まれたことにしてしまえ、
と副評議長たちの称号の服も盗んだのだ。どこから自分が怪しいと気づいたのか、と問う評議長に、リナは
「エイプリルのような、脳ミソのかわりにブルーベリージャムがつまってるよーなのを捜査官に任命した
時点で、ヤル気ないのがバレバレ」と真理を教えてやった。
評議長の悪事も暴き、これで事件は解決。依頼料を要求するリナに、あくまで探偵助手として雇ったのに
いいところを持っていかれたエイプリルは渋るが、リナの心にもないおだてに乗せられ、依頼料を用意しに
走る。だが、エイプリルの呈示した依頼料は当てずっぽうだったため、実際には魔道士協会は金貨一枚も
出してくれなかった。大ハジをかいてまで解決した依頼だったのに、依頼料ナシという悪夢の状況に、リナ
は魔道士協会の応接室を破壊するしかないのだった。
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