エイプリルの事件簿(原作すぺしゃる第15巻)



エイプリルの事件簿 ※ナーガ 不参加
ストーリー

 セルリアン・シティに入ると同時に、リナは尋ねられた。称号の服(ディグリー・ローブ)を持っている か、と――。ここ、セルリアン・シティ魔道士協会では、評議長と副評議長二人の、計三着の称号の服が 盗まれる、という事件が発生していたのだった。リナはこの事件の捜査官に任命された、エイプリルの助手 として雇われる。しかし、紫色の脳細胞と呼ばれる、どう考えても壊死してるよーな脳ミソを持つ エイプリルに、リナは不安を隠せない。
 第一容疑者のパトリックは、今年も称号の服をもらえなかった。第二容疑者のフラガンは、称号の服を 剥奪された。どちらも動機はたっぷりだが、面談したかぎりは怪しいところは見受けられなかった。 手詰まり状態を打開するため、エイプリルは罠を仕掛けることにする。称号の服を持っているリナのサイン 会を開き、おとり捜査をしようというのだ。しかしリナは、称号の服を持ち歩いていない。それ以前に 見たくもない。ところが、エイプリルはゼフィーリアの魔道士協会に問い合わせ、リナの忌まわしき思い出 と同じ、フリフリどピンク色のローブを、忠実に再現してしまったのだった。
 こんなシュミの悪いモンは着たくない。逃げ出そうとするリナだったが、エイプリルは身を挺して 止める。そうこうするうちに、サイン会の日が来てしまい、リナは称号の服を着ることを余儀なくされた。 かなりの人数が集まったが、そのうち半数以上は逆恨みを晴らそうとした悪党、サインをもらった大多数 も物珍しさで集まっただけ、しかも二日たっても犯人は捕まらない。リナは心底苛立つ。
 その日の晩。宿屋に泊まるリナの部屋に、攻撃呪文がたたき込まれた。犯人のパトリックは、リナの サイン会のときにリナが悪党を倒すため放った攻撃呪文に、自分の家を粉砕された恨みをはらしに来たと いう。自分も称号の服がもらえないからと、評議長の家に攻撃呪文たたき込んだくせに、とリナが切り返す と、パトリックいわく、それは評議長が浮気相手として彼の恋人を見初め、物でつって連れていって しまったからだということだった。詳しく話を聞くうち、リナは真相を悟る。
 エイプリルと評議長の前で、リナは見つけ出した称号の服を見せて真実を語った。評議長が浮気相手に 称号の服を見せびらかし、それを彼女が隠してしまった。称号の服をなくしてしまった、ということが バレれば、どこでなくした、という話から浮気がバレてしまう。ならばいっそ盗まれたことにしてしまえ、 と副評議長たちの称号の服も盗んだのだ。どこから自分が怪しいと気づいたのか、と問う評議長に、リナは 「エイプリルのような、脳ミソのかわりにブルーベリージャムがつまってるよーなのを捜査官に任命した 時点で、ヤル気ないのがバレバレ」と真理を教えてやった。
 評議長の悪事も暴き、これで事件は解決。依頼料を要求するリナに、あくまで探偵助手として雇ったのに いいところを持っていかれたエイプリルは渋るが、リナの心にもないおだてに乗せられ、依頼料を用意しに 走る。だが、エイプリルの呈示した依頼料は当てずっぽうだったため、実際には魔道士協会は金貨一枚も 出してくれなかった。大ハジをかいてまで解決した依頼だったのに、依頼料ナシという悪夢の状況に、リナ は魔道士協会の応接室を破壊するしかないのだった。



ここがポイント

 リナファンとしては、やはり称号の服(ディグリー・ローブ)抜きにしては語れないでしょう。ピンクの フリフリ。……まあたしかに、こーゆうのもらうのはおっさんがほとんど(実力や実績のある魔道士は、 普通どうあっても年輩者になるし、やはりこれまでの評議長がすべて男性だと考えるとおっさんばかりに なることは容易に想像できる)だろーから、リナみたく若くてちっちゃな女の子がもらうとなれば、 かわいい服にしたくなることも、わからなくもないのですが。……しかし、フーゾクなどと言われるのは、 多分にデザインに問題があるのではないかと……。ピンクハウスやゴスロリみたいな、ピンクとフリルの 長袖長スカートならともかく、イラストのあの胸元開いたノースリーブ服じゃあ……確かになんだろあれ、 って感じですな。
 エイプリルも、いい味を出してました。まさに迷探偵。本人は、探偵として悦に入ってたみたいだけど、 たぶん捜査官なんて初めてだったんじゃないのかなあ。(てゆーか、エイプリルに解決できた事件があった とは、到底思えない……)探偵小説読み過ぎ。ところで、彼女って魔道士なんですよね?一体どんな研究 してるか、もしくはどんな魔法を使えるんだろう……?(悩悩悩)



プライド・オブ・ダークネス ※ナーガ 登場
ストーリー

 とある町で、夜な夜な大量に出没する吸血鬼(ヴァンパイア)退治の依頼を受けたリナとナーガ。夜、 吸血鬼たちが根城にしているという城に向かうと、一人の吸血鬼が二人を出迎えた。即座に臨戦態勢に入る 二人だったが、そんな彼女たちに吸血鬼・アレクサンドルは驚愕の事実を語る。
 彼らは、吸血鬼が人間より高等種族だと考えている。そんな高等種族が、下品なふるまいにおよんでいい はずがない。それゆえに、彼らはこの近くに城を立て、そこで紳士淑女にふさわしいふるまいを修得して いるのだ、という。目指すは人間との共存共栄、その実地研修として、町を歩いているのだと。二人は アレクサンドルに連れられ、彼らが運営するヴァンパイア・ハイソサエティ・クラブへと赴き、 インストラクターのマリアテーゼの案内で見学をした。そこはたしかに、礼儀作法の勉強にいそしむ ヴァンパイアたちの集まりであった。
 しかし、外を巡回していたアレクサンドルが、こちらへと向かう人間の軍団を発見する。依頼料を出すと 言われ、リナとナーガはヴァンパイアと軍隊の衝突を避けるべく動き出す。ところが、それは人間ではなく ゾンビの軍団。死人相手なら遠慮はいらない。ゾンビを次々と倒してゆくリナとナーガ、アレクサンドルと マリアテーゼの前に、なんとリッチのロガンザが姿を現した。吸血鬼と人の共存など、妄想にすぎないと 言われひるむアレックス。しかしその実、ロガンザは自分も人間と仲良くしたいのに外見のせいでそれは 叶わず、ひがみ根性で邪魔しに来ただけだった。
 リナたちは、吸血鬼たちの代わりにリッチの相手を申し出る。しかし、魔道にも魔力にも長けたリッチは とても手強い。ついには変身魔法で、口と腕を増やして大技をぶつけようとした。しかしそのとき、リナが 気づく。自分も人間と仲良くしたいなら、変身魔法で人間になればいいだけなんじゃないか、と。事件は いきなり解決した。
 ロガンザは、ハイソサエティ・クラブに入会することとなり、和気あいあいのなごやかムードに。リナは 町のひとがおびえているということをアレクサンドルたちに告げ、町への夜歩きをやめることと、城の外部 を呪文で岩の壁に見えるよう細工することを承諾させ、すべては丸く収まったのだった。……たぶん。



ここがポイント

 ヴァンパイア、驚愕の事実判明(笑)吸血鬼、という言葉を根底からくつがえす、「生野菜や生肉、生魚 からでもエネルギーを摂取できる」とゆーヴラド公爵もビックリの必殺技。……そーいえば、GS美神や その他でも、バラの花から生気を吸収できるという話を聞いたことがあるようなないような。リナも言って たけど、それじゃあたしかに、これまで吸血鬼に血を吸われた人たちの立場って一体……。
 吸血鬼のキザな物言いは、種族的なものだと思っていたけど、まーたしかに「血を吸われて吸血鬼に なった元・普通の人間」が、いきなりあんな言葉遣いとかしたら変ですよねえ。スレイヤーズにしばしば 出てきた、妙に話し方が俗っぽい吸血鬼は、やっぱり元はそーゆう生活とは縁のない人だったのか。吸血鬼 の謎、まだまだとどまるところを知りません。
 ハイソで上品なヴァンパイア。そのこだわりと、ビミョーにナーガがリンクするところが、面白いと 言えば面白い。そういえば、何人かナーガのことを「清楚」と表現した人がいましたけど、それはこーゆう ことなんでしょうか。王女として教育されたことは、わずかに(普段はあの突拍子もない格好に隠れて いるけれど)残っていて見る人が見ればその片鱗が見える、とゆーことなんだと思いますが。……でも きっと、もっとわかりやすい上品さの方がいいよね、民意としては……。



リナちゃん おしゃれ大作戦 ※ナーガ 登場
ストーリー

 食事中、リナのところへやって来た女性の名は、タチアナ。彼女の依頼は、「最近この町で流行っているアンフォーマルなファッションは、究極にして唯一の完成形であるフォーマル・ファッションを否定している。フォーマルを守るため、アンフォーマルを撲滅しその愚かさを思い知らせるため、手を貸してほしい」。一刀両断でリナは断った。
 さっさとこの町を逃げ出そうとするリナだったが、今度はしごとを見つけてきたというナーガに捕まってしまう。そのしごととは、先程の話にあった、アンフォーマルスタイルのデザイナーであるマーティーの依頼。内容は先程のとまったく一緒で、自分たちのジャマをするタチアナを潰すのに協力してほしい、というものだった。そして恐るべきことに、なんとマーティーの服のデザインは、ナーガの服装とほとんど同じ!!こんなのを野放しにはしておけないと、リナはナーガやマーティーを吹っ飛ばし、タチアナに協力を申し出る。これでアンフォーマルを根絶できると喜ぶタチアナ。
 リナ&タチアナ組vsナーガ&マーティー組の戦いは、すでに相手や相手の工房を、実力行使で叩きのめすという次元であった。互いの工房を一つずつ壊した後、ナーガはマーティーの最後の工房に魔力強化とゴーレムの魔法をかけ、工房ゴーレム『マーティー\』として動かした。リナも魔法で応戦するが、近所の屋根をひっぺがしてシールドにするというワザに、手も足も出ない。タチアナ側はさらにひとつ工房を潰され、最後の工房で決戦することを余儀なくさせた。
 タチアナの針子さんたちが、魔道の基礎知識をもっていることを知ったリナは、彼女たちに浮遊の術を教え、タチアナの工房の最上階のみを空中に浮かせ、空中要塞工房『クチュール』とすることに成功する。リナたちは『クチュール』を『マーティー\』の上空から落とし、ついに『マーティー\』を破壊した。
 負けを認めたマーティーと、これで世界にフォーマルを広められるとご満悦のタチアナ。しかしそんな彼女の肩を叩いたのは、町の警備兵だった。あまりにも町を破壊しすぎ、ちょっぴりクレーター化までしてしまったので、町の人々が通報したのだ。このままではタチアナ達と一緒に、十年単位でクサいメシを食わされると判断したリナは、自分も被害者のフリをしてさっさとその場を逃げ出したのだった。



ここがポイント

 ナーガと同じセンスのデザインをするデザイナー。そしてそれが若者中心に流行ってしまう町。ああ、なんて恐ろしい……。とはいえ、それはヤマンバファッションのごとく、若い世代で一過性にしか流行らないんじゃないかなあと思っているのは、ジブンだけでしょーか。もっとも、もしもその予想をくつがえし、全世界に流行っちゃったりなんかしようものなら、それこそ取り返しのつかないことのよーな気もしますが……。
 タチアナとマーティー、2人とも個性的で、キャラとしてはグー。両者とも、相手のファッションを全く認めようとしないスタイルが、衝突する原因なのかも。まぁ町の人たちも、タチアナとマーティーのどちらが勝っても、先行きの不安を感じていたと思いますので、この結末は世間的には良かったんでしょう。しばらくは出てこられないからね(笑)
 今回は、「魔法の思わぬ側面」が2つもあってなかなか魔道的には重要な?話だと思います。同じ威力の魔力結界同士をぶつけると、すごくイタい。地霊咆雷陣(アーク・ブラス)と風魔咆裂弾(ボム・ディ・ウィン)を同時に発動させると、相互干渉で術者も含めて広範囲にものすごいダメージ。火炎球(ファイアー・ボール)と氷結弾(フリーズ・ブリッド)の相互干渉は有名ですけど、魔法の相互干渉はたしか、今回のと合わせてこれまで2例しか出てなかったと思います。リナも言ってましたけど、このへん研究してみたら、立派な研究になりそうですよねえ。



本格推理ドラマだと思って読むとがっかり!
エイプリルの事件簿2・美人看護婦湯煙三人姉妹おさげで三つ編みセーラー服ネコ耳メガネっ娘連続猟奇 殺人事件・ちなみにタイトルと内容は無関係です
※ナーガ 不参加
ストーリー

 依頼料を払えなかったことでリナの怒りを買ったエイプリルは、お詫びとして自分の叔父の家で食事しないかと、リナを招待した。叔父は商売で成功したとかで、すごい広さのお屋敷に住む人物だ。世間一般的な挨拶をしたリナは、エイプリルとは違い、友好的に受け入れられる。
 食事の前に一流品のオリハルコン製竜神像を見せてもらったり、食事では裏の池で釣れたという驚きのおいしいレッドバス料理を出してもらったり、リナは終始ご満悦でその晩を過ごした。しかし屋敷に泊めてもらった次の朝、エイプリルの声でリナは目をさます。昨日食事の前に見せてもらった、オリハルコンの竜神像が盗まれたらしい。
 屋敷はすべて、内部から鍵がかかっていた。つまり容疑者は使用人の他に、昨夜同じテーブルを囲んだ、エイプリルの叔父であるフラニガン氏。その妻のメリッサ。二人の息子のマーク。マークの友人であるレイチェルとロバート、そしてエイプリルとリナ。内部犯として捜査を始めているザラカス隊長に、エイプリルは余裕の笑みで言い放つ。「犯人はこの中にいない!」――たっぷりもったいをつけてからエイプリルが話したところによると、彼女が夜中に起きたとき、窓の鍵が開いているのに気づき閉めたらしい。なぜもっと早く話さなかった、という皆の怒りがわからないエイプリル。ついにキレたリナが、エイプリルを犯人として事件を終結することを提案すると、エイプリル以外の全員が賛同。かくて、犯人は捕まり、事件は解決したのだった。
 その後。裏の池で釣りをするロバートに、リナは自分の推理を披露する。窓が開いていたのは、真犯人――ロバートが、盗んだ竜神像を、池に沈めたからではないのか、と。はたしてロバートの持っている釣竿の糸をたぐると、彼の持っている釣竿にはエサも浮きもついておらず、太い糸と針があるだけ。それで何を釣るつもりだったのかとリナに詰め寄られ、マークやフラニガン氏や隊長さんなど皆にその現場を見られ、ロバートは観念する。彼は犯行の動機を自白しようとするが、ザラカス隊長はそれに耳を貸さず、さくさく連れていってしまう。かくて、その場には、エイプリルが数日のうちに解放されてしまうことを残念がる人々と、エイプリルが何をやったのかとても気になるリナが残された。



ここがポイント

 久々にスレイヤーズの必殺技が出ましたねえ。定番のお約束を引っかき回す、ってやつ。というか、最初の人物紹介で、主人公のリナが一番最後に来るだけでなく、ロバートの項目に「マークの友人。犯人」ってオイ……。最初っから犯人わかっちゃうじゃん。まー元々、推理して楽しむ小説ではないから、それでいいのかもしれませんが。
 なぜか妙に一人だけ、キャラの立っていたメリッサさん。若いと言わなければ身内には跳び蹴りを食らわし、客には塩スープだけを食らわせるとゆー。もう一つ、何か目立つポイントがあれば、彼女単体でもすぺしゃるのゲストキャラ張れたんじゃないかなあ、というくらい。他のキャラも、エイプリルへの含みがあったせいか、ちょっと印象的なキャラが多かったように思います。
 ラストで、皆が突然出てくるシーン。隠れていたことを知っているリナでさえ驚くような、気配すら消した隠れっぷりは、やっぱりサスペンスドラマのラスト(犯人の自供シーン)で伏線も脈絡もなく犯人の親しい人が出てくる、あれをちゃかしたものなんでしょーか。鉄壁のお約束を、あえてちゃかすそのセンスは素晴らしい。次はぜひ、グルメ漫画でやってもらいたいものです(笑)