リナと商売がしたい、と言って部屋に入ってきた男は、怪しいなどというレベルではなかった。銀色の 金属質な髪に岩のついた肌を、白ずくめの服とフードとマスクで覆っている。男は、リナに盗賊団から 奪った宝を売ってほしい、と持ちかけてきた。なんでも、部下であるミイラ男・ゾルフを盗賊団に潜り こませていたところ、リナが来てお宝を持っていってしまったらしいのだ。盗賊団から奪った宝に、 それぞれいくらなら売ってもいいか、値をつけるリナ。しかし、その値はどれも相場の１００倍ほど。 城が家具使用人つきで買えてしまうほどの値だ。
　さすがにそんな持ち合わせのない白ずくめの男は、リナに手を組まないかと誘いをかける。そうすれば 半年後には、今の値の３倍は払う、と。だがリナは、女の直感に従い、男と手を組むことを拒む。男は 去り際に、ゼルガディスと名乗って、明日の朝から敵同士だと告げて出ていった。
　翌朝。ゼルガディスの狙うお宝は、おそらく剣かオリハルコン製の像だと、リナはあたりをつけて いた。しかし、そこまでしてこだわるほど、高価な宝には見えない。きっと何かヒミツがあるはずなの だが。そして、道行くその途中、リナ達を待ち伏せしていたバーサーカーが襲ってくる。リナがケガを しつつもなんとかバーサーカーを全員倒し、彼女たちは事なきを得た。
　その晩、ベッドで横になるリナに、夜襲をかけてきた奴らがいた。リナは部屋に火炎球 （ファイアー・ボール）をたたきこんで脱出するが、自分が絶好調ではないという予想通り、敵を倒す には至らない。物音でガウリイが起きてきて、トロルたちと対峙したその時。数多くの敵に、一斉に 傀儡の術がかけられた。敵は全員おとなしく、ぞろぞろと宿から出て行く。
　術をかけたのは、赤い法衣に身を包んだ僧侶だった。僧侶はリナたちがゼルガディスに狙われていると 察して話をしてくれる。なんとゼルガディスは、魔王シャブラニグドゥを復活させようとしている、と いうのだ。驚愕するリナ。僧侶は、リナの持っている魔王を復活させるカギを、自分が預かろうと提案。 その際に聞いた彼の名前に、リナはまた驚愕する。僧侶は現代の五賢者の一人、赤法師レゾだったのだ。 リナはレゾと自分が接触したと知られないために、引き続きカギは自分が持つと主張し、レゾは明日から リナ達の援護につくと宣言して立ち去る。再び夜襲があった時の用心に、ガウリイの部屋の床に横 たわり、リナは戦慄の予感を感じながらも目を閉じるのだった。