おっきな雪使いガウリイ・1


 カラ――ン……カラ――ン……

 朝を告げる鐘の音が、ゼフィーリアの町でさわやかに響きわたる。
 休日の朝でも、早くから働く人の多いこの町は、すでにあちこちから、ざわめきや雑踏、人の生活する 音が聞こえていた。

 そして今。もうひとつ、大きな音が追加される。

 バタン、と大きな音を立て、小さいが造りはしっかりしたドアが、少々乱暴――いやいや、 元気よく開け放たれた。

 「とーちゃん、行ってきまーす!」
 「待てリナ、お前今日はどこ行くんだ?」
 「ルークやミリーナと買い物してくる。6時過ぎには帰るからー!」

 家の中からの声に答えると、リナは友人達との待ち合わせ場所に向けて走り出した。
 小柄な身体が風を切ると、長い栗色の髪が活発に揺れる。

 「やっばー……遅れちゃうかな」

 時計に目をやると、やや時間が足りないかもしれない。
 リナがわずかな焦りを感じていると、突然横手から声が上がった。

 「ほーっほっほっほ! 急いでいるようね、リナ!
  ならば今日はこの、あなたの最大最強のライバル、白蛇のナーガと、駆けっこで勝負よ!」

 しかしリナは止まらない。そのままナーガを置いて走り続ける。

 「あ……ちょ、ちょっとぉ!?」

 無視されて寂しそうな声をあげると、リナを追いかけナーガも走り始めた。

 「ごめんっナーガ! 今ほんとに急いでるの! また今度ねっ!」
 「ふっ! わかったわ!」

 自信満々に言い放つナーガ。

 「つまりは今走っているこの状況が、すでに勝負というわけね! ほーっほっほっほっほっ!」
 「ああもう、勝手にしてよー!」

 この町は坂道の斜面にできており、そのため坂の高い所と低い所を行き来するには、町に数本伸びている 大通りを行かねばならない、という特殊な構造になっている。つまり、坂の真下にある場所へ行くには、 坂を横切って大通りへ出て、坂を下り、また坂を横に戻らねばならないということだ。

 時間に遅れそうな今、悠長にそんな回り道をしているヒマはない。リナは建物と建物のわずかな隙間へ 身をすべり込ませる。

 「逃がさないわよっ、リナ=インバース!」

 続いてナーガも。

 「あ……あら? ちょっ……リナ?」

 横道とも呼べない隙間をなんとか進むリナの耳は、ナーガの声が次第に遠ざかってゆくのを聞き取っていた。
 ここは、リナでさえ横歩きで通り抜けるのがやっとの抜け道。たぶんナーガでは、胸かどこかがつかえて、通れないのだろう。
 ちょっとムカつくが、まあこの際助かったと言える。

 「ちょっと待ってよ、助けて、リナちゃーん」

 情けない声をあげるナーガを、薄情にも置き去りにして、リナは近道を抜けると、また猛スピードで走り出した。






 「これと――これっ! まとめてこれなら面倒見るわ!」
 「ちえっ、リナちゃんにはかなわねーなー。ほらよ、ついでにこれもオマケだ」
 「やたっ! おじちゃん、サンキュー!」

 様々な人々が雑多に行き交う噴水広場。ここには今日も、多くの露店が軒を連ねている。
 そのうちの1軒、果物売りの前で、リナが得意の値切り交渉を繰り広げていると、突然後ろから声がかかった。

 「リナさん、お待ちどうさま」
 「あ、ミリーナ。ルーク来たの?」
 「ええ、いつも通り5分遅れで」

 そう言うミリーナの後ろには、遅刻して来ても全く悪びれた様子のないルークの姿。

 「相変わらず遅いっ! 時は金なりって言うでしょ?」

 言ってもムダとわかってはいるが、一応文句を言うリナに、ルークも噛みついてくる。

 「うるせー! 愛しのミリーナにビシッと決まって見える服を選んでたら、少し遅くなっちまっただけだろが!」
 「別にどんな服だろうと、気にしないから、次からは早く来て下さい」
 「ミ、ミリーナ……」

 寂しそうな声を絞り出すルーク。しかし、いつもこんな風に冷たくあしらわれているというのに、ルークの ミリーナに対する情熱は衰える気配を見せない。まったく元気な男である。
 正反対の性格だが、なぜか調子の合うリナとミリーナ。そのミリーナに愛を語るため追いかけ回すルーク。 この3人が、ここしばらく行動を共にするメンバーだった。

 短気者同士のリナとルークがぶつかることはよくあったが、本気のケンカまで発展したことは一度もないし、 ミリーナもルークにつれない態度を取ってはいても、心底嫌がっている様子はない。これはこれで、うまく まとまっている3人組といえた。

 「ねー、まずはワッフル屋さんで、腹ごしらえしてから行きましょ」

 リナが広場内にあるワッフルの露店を指さす。最近営業を始めるようになった露店で、リナばかりでなく、 ミリーナもお気に入りの店だ。

 「ケッ、男がンな甘いもん食ってられるかよ」
 「そう。それならわたしたちは2人でワッフルを楽しんでるから、あなたはその間、どこかへ行ってて頂戴」
 「ま、待ってくれミリーナ! 誰も食わないとは言ってないっっ!」

 そして今日も『いつも通り』、3人揃ってワッフル屋の前に並ぶ。
 ルークはオレンジマーマレード、ミリーナはストロベリー&クリームを頼んだ。

 「じゃああたしはその2つを2個ずつと、チョコレート3つ、シナモンアップル2つ!」
 「相変わらずよく食う女だ……」

 リナの注文を聞いてルークが毒づく。だがリナは、さらに続けて、

 「あと、プレーンを2個!」
 「リナさん、そんなに食べるんですか?」

 これにはミリーナも少々驚いたようだ。いつものリナが頼む分より、さらにプレーン2つ分多い。
 目を丸くするミリーナに、リナは軽くウインクをした。

 「最後の2つは、父ちゃんへのお土産に、お持ち帰り用、よ」








 ザアアァ――……
 音をたてて、ゼフィーリアの街が雨にけぶる。
 そんな中、びちゃびちゃと足下の水を蹴散らしながら、リナは走っていた。

 「ひゃ〜〜、降ってきちゃったなあ……」

 買い物も終わり、ルークやミリーナと別れてまもなく、急に降り出したのだ。
 一応傘がわりにカバンを頭の上へ掲げているのだが、何の役にも立っていない。

 リナは家に帰るのを諦め、軒下で雨宿りをすることにした。
 幸いにも通り雨だろうから、それほど長くはかからないはずだ。
 角を曲がったところで、手近な軒下へ飛び込む。

 「はぁ……。ついてないなぁ」

 リナがため息をつきながら、バッグから取り出したハンカチであちこちふいていると。

 「はぁ……」

 隣から、自分がもらしたものより大きなため息。どうやら先客がいたらしい。
 視線を向けるとそこには、長い金髪に長身の青年が立っていた。

 女性の多くが目を奪われそうな、かなりの美形だが、リナの目を奪ったのは容姿より、青年の格好の方だった。
 大きな襟の白い上着に、白いたっぷりとしたズボン。足下には白いブーツ、とどめとばかりに白いとんがり帽子。 これでもか、というほど真っ白で統一された上に、普通の人間はまず着ないデザインの服。まるで絵本の中の小人が、 そのまま大きくなって飛び出してきたかのようだ。

 しげしげと見入るリナの視線に気づいたのか、青年がこちらへ顔を向ける。
 と、リナはその気配を察し、青年と視線が合う前に顔をそむけた。
 しかしやはり気になって、もう一度チラリと横目で青年を見た、その時。

 ドサッ

 大きな物が倒れる音。つられてリナが振り向くと、青年がぐったりとして倒れていた。

 「ちょっ……、……!!?」

 声をかけようとして、リナは思わず息をのむ。
 先程は、壁と彼の背にはさまれて見えなかったのだが、なんと青年の背中には、虹色に輝く半透明の羽が生えていた。

 (なにこれ――本物……!?)

 「は……は……」

 うわごとのように、青年が呻く。

 「な、なに!?」
 「はら……へった……」

 彼の主張を裏付けるかのように、腹の虫が盛大に鳴き声をあげた。

 「………………」

 単純かつ明快な理由に、思わずリナは絶句する。
 突然隣にいる人間が倒れたりしたら、誰だって普通は『緊急な治療を要する急病』を連想するだろう。 なのにこの理由は、あまりにも緊張感がなさすぎる。
 しかし、考えてみれば、どうすればいいかという対処法だけは間違いなくわかるのだから、これはこれで 急病よりも良かったのかもしれない。

 リナはカバンの中に手を突っ込み、さっき買ったワッフルを取り出した。
 こんなものでお腹が足りるかどうかわからないが、とりあえず青年の鼻先に近づけてみる。
 すると、彼の鼻がヒクヒクと動き、それを食べ物と認識したのかリナからワッフルを奪い取り、猛然とした勢いで 食べ始めた。
 もう1つのワッフルも差し出してみると、これも貪るように口の中へ入れる。
 2つのワッフルを飲み込むと、青年は満足そうに息を吐いた。

 「はあー……ごちそーさん」
 (なんなんだろ……コイツ……)

 ついつい食べ物など差し出してしまったが、もしかして厄介な存在に関わってしまったのかもしれない。
 ふと空を見ると、雨はいつのまにかやんでいる。
 リナは迷わず歩き出した。

 「あっ、おーい」

 後ろで羽付きの金髪青年が呼び止めたが、あえてそれは無視した。






 「なあ」
 「………………」
 「おーい、お嬢ちゃーん」
 「………………」
 「どんぐり眼ー。ちびー。ぺちゃぱいー」

 どげしっっ!!
 リナの鉄拳が、勝手に後をついてきた上、失礼な言葉を吐いた金髪青年の頭にクリーンヒットする。

 「なによっ、この恩知らず!!」

 吐き捨てるように言うと、リナは後ろも見ずに家まで走った。あんなのにいつまでもついてこられたら、大変困る。
 まるでノラ犬から逃げるかのごとく猛スピードで家に駆け込んで来た娘を、リナの父は驚いて出迎えた。

 「おいおい、どーしたんだリナ。そんなに慌てて」
 「な……なんでも、ない……」
 「そっか? じゃあフロ入れ。さっきの通り雨にあたったろ。
  フロから出たら、メシにするからな」
 「…………うん」






 大量の泡で満ちた泡風呂に身を沈めると、やっとリナは人心地ついた。

 「はー……なんだったんだろ、あれ」

 やたらときれいな兄ちゃんが、空腹でぶっ倒れて、背中には羽なんか生えてて。
 しかしよくよく考えれば、羽の生えた人間なんて、世界中どこの国を探してもいるわけがない。

 「もしかして宇宙人? それとも妖精? ――まさかね……」

 きっとあれは、どこかの劇かキャンペーンの衣装だったのだろう。あの羽は本物に見えたけど、おそらくよっぽど 腕のいい人が作ったに違いない。

 「そーよね! 考えてみたら当たり前の事じゃない!」

 頭の中で出た結論に、リナはすっかり機嫌を直してしまっていた。






 さっぱりとした石鹸の匂いをまとわせながら風呂を出ると、食堂からいい匂いが漂ってきた。
 そういえば、途中でワッフルを食べたとはいえ、いろいろあってもうお腹はペコペコだ。

 「父ちゃん、何か手伝おう――か……」

 食堂に入るなり見えた光景に、リナは絶句する。

 「おー、うまそうだなあ。まだ食えないのか?」

 調理する父の隣に立つのは、あの羽つきの金髪青年。
 3秒ほどたっぷり硬直してから、我に返ると同時にリナは叫んだ。

 「なっ……なんであんたがここにいいいぃぃぃぃぃ!!!??」
 「――はあ? 人がせっかく料理してるってのに、その言いぐさはなんだ? リナ?」

 混乱したリナに、父がとぼけた答えを不機嫌そうに返す。
 リナは駆け寄り、青年の腕をぐぃむっ! と掴んで、

 「父ちゃんのことじゃなくてっっ! これよっっっ!! これっっっっ!!」
 「なんだ? 虫でもいるのか?」

 (――え?)

 まるきり青年の存在を無視した言葉に、リナが呆気にとられていると、

 「おかしなヤツだな。それより、もうすぐお前の好きなポークシチューができるぞ。皿でも並べてろ」
 「……う……うん……」

 家の中に見知らぬ男が一人、入りこんでいるのだ。普通なら、騒がぬわけはない。
 だが父の反応は、完全に青年の存在を排除している。
 まるで初めから、青年が存在しないかのように。まるで彼が見えていないかのように。

 (まさか――見えてない――の――?)

 「これって、こんな感じで飲めばいいんだな?」

 青年が嬉しそうに、ポークシチューの鍋から、味見用の小皿へ中身を少量移す。先程父が味見していたのを 見たのだろうか。

 「おっ、うまいぞこれ!」

 どうやら気に入ったらしい。2杯、3杯とちびちび口の中に流し込んでいる。
 それが気になって、ついちらちらと目線が青年の方へ行ってしまい、リナはなかなか食事が進まなかった。

 「なんだ? そんなに見張ってなくたって、ポークシチューは逃げ出さねえぞ?」

 不思議そうに父が声をかける。リナの視線の先にシチュー鍋があるのを見てとったのだろう。

 「あ、う、うん。わかってるわかってる」

 かなり苦しいごまかし笑いをして、リナはふと気がついた。そういえば父はやはり、さっきから少しも 鍋――青年の方を見ようとしない。
 今この瞬間、父の隣に青年が立っていても、驚くほどに無反応だ。

 「へー、これもいい匂いだなあ」

 ひょい、と父の皿からロールパンをつまみ、一気に口の中へ入れる。

 「リナ、忙しいからってムチャするんじゃねえぞ。体コワしたら、元も子もないからな」

 話をしながら、父はパンの皿に手を伸ばし――
 そこにパンがないのを見て、きょとんとした顔になる。

 (やっぱり、父ちゃんには見えてないんだ)

 ある程度つまみ食いをしたら気がすんだのか、青年は今度は流し台に置いてある、おたまやフライ返しを手にとって もてあそんでいる。
 父とは違い、青年の存在が気になりすぎて、リナはとても食事どころではない。
 結局、普段3杯は食べるシチューを、1杯たいらげた時点で早々に席を立ってしまった。

 「どうしたリナ? 熱でもあるんじゃないのか?」
 「うん、そうかもしれない――。今日はもう寝るね」

 少し心配そうな父の声を残し、リナは食堂を後にした。

 「あっ待てよ、オレも行く!」

 ――追いすがる青年も、一緒に残して。






 「なあ、聞こえてるんだろ?」
 「………………」
 「どーして無視するんだよー」
 「………………」
 「胸だけじゃなく、かわいげもないって言われるぞ、そんなんじゃ」

 がばっ

 「あ〜〜、しつっこいマボロシ!! とっとと消えろっ、消えろーー!!」

 リナは毛布をひっかぶって、呪文のように叫んだ。どうやら今度は幻覚のせいにするらしい。
 どうあっても相手にしてくれなさそうな気配を感じた青年は、いたずらを思いついた子供のような顔になり、

 「よぉーし……。これを見れば、いくら何でもオレの存在を信じたくなる、っていうもん見せてやるよ」

 そう言って懐からピッコロを取り出した。

 「ほら、オレはここにいるんだ」

   

 響きわたる柔らかい楽器の音につられて、リナは青年の方を向いた。
 目に飛び込んできたのは、白い花びら。
 いや、花びらではない。それは目の前で、みるみる形を成してゆく。
 白いそれ自体がキラキラ光りながら、やがてできあがったのは、ひとひらの――雪の結晶。

 「え……えぇっ?!」

 冬でもないのに。おまけにここは室内だ。ありえない、雪なんて。
 ――魔法? まさか!

 「――――」

 言葉を失うリナの鼻先に、雪の結晶が淡い輝きを放ちながら、ふわりと触れる。
 ひんやりとした冷たさが、リナの意識を現実に呼び戻した。

 「うひゃっ!?」
 「ほらな。これでオレのこと、信じるだろ?」

 得意げに胸をはる青年。だがリナには、まだ信じられなかった。
 いや、目の前で起きた事を信じないわけにはいかない。それでも信じたくないのだろう。
 混乱で何も考えられなくなった頭が、唇を操りようやくひとつの言葉を紡ぎ出す。

 「あんた……何者……?」
 「オレか? オレは雪使いのガウリイだ」
 「……雪使い……?」

 ガウリイと名乗った青年は、やっと認められたことが嬉しいのか、満面の笑みを浮かべる。今触れた雪とは 正反対の、あたたかな笑みを。

 「オレ達の仲間は、雨や風や雪を操って、天気を作るのが仕事なんだ。で、オレは雪の担当。季節使いの 中の雪使いってわけだ。
  ――どうだ? 信じるか?」

 コクリ、と、リナの首が小さく縦に動く。
 突拍子もない話。笑い飛ばすこともできたろう。しかしすでにそんな余裕も思考もなくなっていた。

 信じたくはない。けれど、これはたぶん真実なのだ。

 ガウリイは体全体に嬉色を溢れさせ、いきなりリナに抱きついた。

 「やっと認めてくれたな! やっぱりお前、オレ達のことが見えるんだな!?
  すごい! ほんとにすごいぞお前!!」

 ちゅっ

 頬に柔らかい感触が、一瞬だけ触れて離れてゆく。
 ガウリイが頬にキスしたのだ、と気づいたのは、少し後のことだった。

 「なっ……のなあぅあぁぁぁぁ!!?」

 抱きしめられていた身体を、思いっ切り突き飛ばす。たくましい身体は数歩たたらを踏む程度で止まったが、 リナはその隙に自分のベッドへ潜り込み、さっさと毛布をかぶってしまった。

 「おっ、おい、リナぁ?」
 (なによっ、こいつ〜〜!! ああ、夢ならさっさと覚めて〜〜〜〜!!!)

 いつ以来のことだろう、久しぶりにリナは、心の底から祈っていた。








 チチチ、チュン、チ、チ……

 窓の外を、小鳥がさえずりながら飛んでゆく。
 新鮮な空気と白い光。疲れのとれた身体は、今が朝だと感覚的に教えてくれていた。
 ゆうべはいつの間にか、眠っていたらしい。そう、確かヘンな青年がおかしな魔法を使って――

 「……ヘンな夢……だったなあ……」

 リナの精神が、最も安全な答えを導き出す。
 呟きながら上身を起こした、その時。

 「おう、リナ、おはよー。今朝もいい天気だなあ」

 ……部屋には、もう一人、人がいた。
 リナはそのまま再びベッドに潜り込む。

 「なんだリナ、せっかく起きたのにまた寝ちまったのか?さっさと起きないと昼になっちまうぞ」

 (あああああ、なんなの!? なんなのよーーーー!!!)

 のーてんきな男の声に背を向けながら、リナはひたすら己の身に降りかかった不運を呪い続けるのであった。



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