躯のどこかが、むずがゆくてたまらない。
椅子に座りながらも、せわしなくそわそわと身体を動かしているリナを、ガウリイは呆れた目で見ていた。 盗賊狩りだ。 食事の時からすでに行こうと決めていたのか、リナは落ち着きがなかった。さすがに好物のエビフライをあっさりガウリイにとられた後は食事に専念していたが、それ以前、食事の後、そして彼がリナの部屋を訪ねてきた今も、ずっと心ここにあらずといった感じなのだ。
「それでな、リナ。明日はどっちに進むんだ? この先の街道、西と東に分かれてたろ」
いつも相手の目を見て話すリナが、微妙に視線をそらしたり、チラチラ月の位置を確認したりしている。
リナはいつもガウリイに内緒で盗賊いぢめに出かける。自称保護者殿がいい顔をしないのを知っているからだ。
「…落ち着きがないな、リナ」 ボソリと呟いたガウリイの言葉に、過敏な反応を見せるリナ。
「ああ。なんだかオレを早く追い返したいみたいだ」 ウインクでリナはごまかそうとするが、そんなものの通じるガウリイではない。ちょっとカマをかけてみることにした。 「さてはリナ! おまえ、オレに内緒でうまいモン食う気だな!?」 すっぱああぁぁあん! 「あんたの頭には食欲(それ)しかないんかああぁぁぁ!!?」
やはり怒りの鉄拳スリッパが飛んできた。まあこれは、ある程度予想済みだったのだが。
「じゃあ…。やっぱり盗賊狩りに行く気なんだな?」 一瞬リナが言葉に詰まって身を引いた。しかし彼女はすぐさま空笑いをしながら、 「あは、はは…。違うってば、そう、その、今日は疲れたから早く寝たいだけよ。ほら、ガウリイも用事がすんだら行った行った」
そう言って、リナはガウリイの後ろに回りこんで背中を押す。
その香りが彼の中の、雄(おとこ)を刺激する。 「寝たいんなら…今すぐ寝るか?」 言うが早いか、ガウリイはずいっとリナとの距離を詰め、顔を近づけた。
肌が触れあいそうな至近距離に驚いたリナが顔を赤くしてスリッパを取り出すと、スリッパごと両手を握って壁におしつける。 「なっ……」
何か言おうとしたリナに構わず、ガウリイはリナを抱きあげた。
「あ、あんたねえ……!?」
肩ごしに振り返ってそう言うと、ガウリイは部屋のドアを閉めた。
「っきしょー……」
自分の部屋に戻って、ガウリイは大きく溜め息をついた。
この疼きに身をまかせて、想いを吐き出してしまえば、楽になれるのだろうか?
ガウリイは、グッと爪が食い込むほどに手を握りしめた。
…いつかは言わねばならないだろう。 「もうちょっとガマンしろよな……オレ……」 あまりにも小さい呟きは、隣の部屋には届かなかった。
「ああっ、耐えろ、耐えるんだオレーーー!!!」 ガウリイが、激しく疼く下半身を、翌朝までにどうやって沈めたかはヒ・ミ・ツ☆ |