■幾年経ても■
 あの幻の名画(笑)「古城」(月夜、廃墟で呆然と佇むリナと、それを後ろから抱きしめるガウリイ。 ポスターとトレカに絵が使用されました)を元に作ろう、とした話でした。
 あの後、ガウリイはリナを見つけるのですが、正気でないリナは再びガウリイを振り切って、どこかへ 行ってしまいます。翌朝、帰ってきたリナは、これまでのように朝になったら元に戻る、ということも なく、夜と同じで虚ろなままでした。その日1日、ガウリイはリナを抱きしめて夜を迎えます。 (ちなみにこの夕方、裏用のストーリーとして、ガウリイはリナを抱くのだけど、身体は反応し声は 漏れても、あくまで身体的反応しか返ってこない(恥ずかしがったり名前を呼んだりしない)リナに、 ガウリイはやるせなさを募らせるのみ、というのがあります)
 夜になると、リナはまだ出かけようとします。今夜は絶対に行かせまいと、ガウリイはリナから離れ ようとしないのですが、不可視の力でまたしてもリナはガウリイを振り解き、外に出てしまいます。 そこで今度は、リナの進行を邪魔せず、後をつけることにしたガウリイ。ここ数日と同じ道を通り、 やがて着いたのは廃墟となった城跡。そこに現れた、半透明の男性。色のない彼の中で、蒼い瞳だけが いやに目立ちます。男が腕を広げると、リナはゆっくりその中に抱き留められました。ガウリイ、姿を 現して男に詰め寄ります。浮気現場を目撃した、修羅場とも言う(笑)
 この男、もちろん幽霊です。かつて、彼は好きな女性がいたのですが、彼女と別れさせられ、かつ彼女は 彼への思いを抱いたまま死んで(殺されたかどうか決まってない)しまったのです。彼女は高級ワインの ような、鮮やかな赤い髪(ホントは瞳のつもりだったけど、それぢゃルビーアイかヴァンパイアかウサギ さんになってしまうらしーので)を持つ女性で、リナが先日手に入れたスタールビーとスターサファイア は、彼らが互いのことをいつも想っていられるよう、彼が用意して、彼女にサファイアのほうを持たせて いたものだということが判明しました。
 男は彼女の身代わりとして、リナを共に連れて行こうとするのですが、ガウリイの必死の説得によって (抽象的)あきらめてくれます。そして、男の幽霊から解放されて、呆然とするリナを抱きしめる ガウリイ(古城のシーン)。……えっと、どうやってシメるか、オチは考えてませんでした。なんとなく、 そこらへんの心情的な流れを入れよーかなあ、と……。

■Eternal True■
 ガウリイが拾った、10歳の少女、その名はリナ、という序盤しか書いてませんでしたねー……(汗)。 リナは、実生活では全くの常識知らずで、お茶を入れろと言えばお茶っ葉の入れ物にそのままお湯を注ぎ、 コンロに顔を近づけたままスイッチを入れて前髪を焦がす、というドジっぷり。そうかと思えば、ニュース で外国の内紛の話をしていると、その理由やこれからの展開をよどみなくしゃべる、という非常に謎な少女 でした。
 ある日、ガウリイとリナは水族館に出かけ、おみやげにイルカのぬいぐるみを買ってきます。子供扱い してる、と言いつつも、イルカのぬいぐるみを離さないリナ。夕方、上機嫌なリナの顔つきが、いきなり 真剣になり、ガウリイにドアの外に注意するよう言います。すると鳴り響くチャイムの音。ガウリイが覗き 穴から見てみると、そこにいたのは先日見た、怪しい二人組。ガウリイは、リナの怯え具合から、ドアを 開けず逃げ出すことに。二人が逃げ出す寸前、ドアが破られ、部屋に銃弾が叩きこまれ、部屋はボロボロ。
 それからしばらく、二人は謎の襲撃集団からの逃避行生活を続けます。その途中、ガウリイはリナが 人を操れる不思議な力を持っていること、それがなぜかガウリイには効かないこと、今の10歳の姿は 本当の姿ではなく、実際は17歳の少女であることを知ります。リナの本体は、彼女を育てた謎の組織の もとにあると聞き、取り戻しに行くことを約束するガウリイ。リナを連れ戻そうとする組織の追っ手を 振り切り、組織本部に侵入します。
 そこで、研究者ゼロスに会った二人。この組織は、世界を裏から掌握するため、超能力集団を作ることを 目的としていました。リナはその中でも最高傑作で、まだまだ実験も途中、それが済めば実戦、実戦を 退けば繁殖用として利用価値があるため、穏便に戻るようゼロスは持ちかけますが、当然二人は受け入れ ません。そして判明する驚愕の事実。実はガウリイも、この組織が以前作った失敗作だったのです。 リナの栗色の瞳と髪は大地の色、ガウリイの青い瞳は空の色、金色の髪は麦穂の色。大地と空、大地と麦穂 は互いに惹かれあい、必要としあう。組織は、試作体の遺伝子の相性を、わかりやすく髪と目の色に組み 込んでいたのでした。……実は組織の失敗作、って微妙にどっかで聞いた話ですね。カンザ○さんたらメ〜タ○ジャ〜ック♪
 二人は組織を破壊し、リナの本体を取り戻して逃げ出します。リナの姿は、元の17歳に。そしてまた、 平穏なガウリイの日常が帰ってきましたが、リナと一緒のそれは決して退屈な日常ではないのでした、 というお話。
 あ、タイトルに仕掛けた謎、というのは、"E"ternal "T"rue、つまりE.T.。追っ手から逃げるとき、 ガウリイの運転する車をリナが超能力で浮かび上がらせて逃げるというシーンを考えてました。……ええ、 E.T.のシーンはこれだけ。だってあの映画見たことないんだもん。

■ラブ・ストーリーは突然に■
 これ、けっこういっぱいネタがあったんですよー。続けようと思えばいつまででも、逆に終わらせようと 思えばスッパリ終わらせられるシリーズなので、ストーリーというのはあってなきがごとし。なので、 考えていたエピソードを、箇条書きにします。
 まず、歌の練習の続き。ガウリイが思いついた案とは、リナの後に続いてガウリイが歌うこと。歌う寸前 に覚えて、歌う端から忘れてゆけば問題ない、ということなのですな。そんな器用なことができるのか、 と怪しんだリナですが、なぜかうまく歌えるのは、さすが反射神経のヒト。しかも、リナが歌ったパートを 聞きつけ、リナのとこの社長ことルナさんが、「あんたも一緒に歌いなさい」と言ってきます。これで カップリング曲決定(笑)なんとかCDは出ますが、リナもガウリイも二度とはできないとコリゴリ。
 それからリナとガウリイがCMで共演する話。口紅のCM。ただし、テレビではなく、ポスターです。 リナとガウリイ1枚ずつ映ってるのが2枚セットで、2枚を重ねるとキスしてるように見える、という 構図。リナはもちろんイヤがるんですが、社長命令には逆らえません。
 それから、リナのドラマ出演。ちなみに当然のごとく、ガウリイと共演。というか、ガウリイ主演ドラマ の歌をリナがやってるということで、特別出演です。役は年の離れた、親の決めたガウリイ(役)の 婚約者。リナ(役)の方は本気なのですが、ガウリイは特にどうとも思っておらず、面倒なので解消もせず にいたところ、シルフィール(役)と出会い愛を知り、婚約を解消して自分の想いと向かい合う、という ストーリー。普段のリナとシルフィールの役が逆なのですね。そして、ちょうど「Romanticが止まらない」 のイメージで、リナは別れ際、ガウリイに最初で最後のキスをせがみ、ガウリイはその途中、プレゼント した首飾りを外す、という。そしてリナは走り去ってゆくわけですが……。ガウリイは、リナの演技を 見てるうちに、彼女の表情ひとつひとつに心動かされます。この後、シルフィールともキスシーンがある のですが、リナとのキスシーンの方がよっぽど感情移入ができたりして。リナの出番は2、3話分程度なの ですが、それでも十分に彼女の演技力は話題になり、リナは演技もできる歌手として知られます。
 このドラマの話の後ですが、ガウリイが以前にリナを見たことがあるような、という伏線がありました。 リナは昔、子役としてドラマや映画に出てたことがあるのです。しかも男の子として。子役は大人への イメージの切り替えが難しいし、リナが本当にやりたいことを見つけるため、ルナねーちゃんの言いつけで 一度引退したのでした。ガウリイが最初にモデルとしてスカウトされた時、特に受ける理由も断る理由も なかったのですが、この時ふと男の子リナの顔がよぎり、やってみてもいいか、という気にさせたの でした。ガウリイたちはこのことを、リナのマネージャー、ゼロスから聞きます。
 あと、リナのストーカー騒動も入れるつもりでした。リナにつきまとうストーカー。不気味な脅迫状と、 脅しのように送りつけられる異様なプレゼント。ガウリイはものすごく心配するのですが、リナは内心の 恐怖を隠して、なんでもないようにふるまいます。ガウリイは、ヒマを見つけてはこっそりリナに はりつき(むしろこっちがストーカー?)、やがてステージでリナにナイフで斬りかかってきた男からリナ をかばい、負傷します。リナは涙をにじませながらガウリイを怒鳴り、手をぎゅっと握って、そっと感謝 するのです。ちょうどイメージは映画「ボディーガード」の感じで。……って、これだと絶対、ニュースに なっちゃいますよねえ。
 リナの昔の恋人未満、っていうストーリーもありました。リナがインディーズ時代、リナの後ろでいつも 音楽を担当していた男が、海外から帰ってきます。ちなみに現在のアーティスト名はブラックフォックス (笑)表向きは、もう一度リナと一緒に、海外で世界制覇を目指す、というものでしたが、同時にリナを 人生のパートナーとしても欲しているのは、ガウリイの目からすれば一目瞭然。リナも懐かしい顔に すっかり気を許し、ガウリイをやきもきさせます。しかし結局、リナは自分の力でこの国を飛び立ち、 自分の力で世界に知られてみせる、すでに世界に知られているブラックフォックスの力を借りて世界制覇は したくない、と誘いを断ります。また女としても、すでにガウリイに心が移っているリナ(本人自覚なし) を見て、ブラックフォックスはおとなしく身を引き、再び海外へ旅だっていきます。
 リナばかりでなく、ガウリイ関連のストーリーも。ドラマの共演がきっかけで、ガウリイが女優 シルフィールとつきあっている、というウワサが流れます。芸能界にありがちなウワサなのですが、 シルフィール側の事務所が、彼女の清楚すぎるイメージを崩して、もっと自由なイメージにするため、 ウワサを否定しませんでした。ここでガウリイ側が否定すると、女を玩ぶひどい男、というレッテルを 貼られかねません。結果、ガウリイ側も否定できず、ウワサはさらに広がります。ガウリイはもちろんリナ のことを思い、否定したい気持ちでいっぱいなのですが、おおっぴらには否定できません。一方リナも、 ガウリイのウワサを聞き、モヤモヤした気持ちを毎日抱えていたのですが、ある真夜中ガウリイから電話が かかってきて、きっぱり否定してくれました。リナは、そんなささいなコトをすごく嬉しく感じる自分を 不思議に思いながらも、しかしそれは悪い気分ではないのでした。
 そんなこんなで紆余曲折を経て、最後には結婚でラストにするつもりでした。二人が最初に出会った、 ドラマのスポットライトによく似た、式場のスポットライトを浴びながら、二人の人生の第二章が始まる、 という感じで。実際、飽きるまで書いてたら、何話目ぐらいになったんでしょーね。

■聖なる迷い子たち■
 ストイックな職業についてる男が、本能と煩悩と信仰の狭間で揺れ動くのは、見てて面しれーな、って 話からできた長編。しかしふと気づけば、信仰はいつの間にやら消え去り、手を出したくても出せない、と いう保護者ガウリイを書いていたことが判明。……ダメじゃんジブン。
 ガウリイは、必死に『聖女』という枠の中にリナを入れ、リナを誰にも触れさせないようにしようとする のですが、リナはそんなガラスケースの中の人形のような扱いは好みません。ガウリイに触れてほしくて、 自ら『聖女』というガラスケースから抜け出そうとするのですが、当のガウリイから反対されます。 ガウリイから見ても、自分の努力を当のリナに否定されるわけですから、お互いにもどかしい気持ちが 募ってゆくのです。
 ただでさえ『聖女』扱いに疲れていたリナは、アーチェスの提案に賛同し、彼と二人で町を出ることに なります。せめて『聖女』のほとぼりが覚めるまで、身を隠すための苦肉の策でした。また、ガウリイの 気持ちを知らないリナとしては、これ以上彼のそばにいるのが辛かったのです。リナが町を出るという計画 を聞いてからも、ガウリイはふんぎりがつかずに悩みます(悩みすぎ)。周囲にひたすらせっつかれ、リナ からも最後通告をつきつけられ、やっと、それこそやっとガウリイは最後の局面で、自分の気持ちに素直に 従いました。そして、そのまま礼拝堂で、初夜(笑)になだれこみます。
 ここらへんのラスト、まだはっきり決めてなかったんですが、当初の予定通り『聖女』のほとぼりが 覚めるまで、二人で旅にでも出ようか、という話になり、朝靄の中、出立しようとする彼らの前に、リナの 家族が見送りに出てくる、なんてラストにしようかなあ、でもオチが弱いかな、と悩んでおりました。最後 まで書く、とか言っておきながら、途中で止まったのは、このラスト未定のせいだったりします。ただ、 もしもこれから書くなら、『マグダラのマリア』をからませてみようかなあ、と。マグダラのマリア、 とは実質上イエスの内縁の妻であり、イエスが弟子たちより愛したとされる女性です。元娼婦で、でも イエスは信仰があれば、どんなに身が穢れても救われない人はないと言ったとか、イエスの復活を 見届けたとか、いろんなエピソードを持つ女性です。この人も聖人の一人なんだから、聖人は決して、 純真無垢な賢い人だけではないのだよ、みたいな。

■おっきな雪使いガウリイ■
 これはもお、原作「ちっちゃな雪使いシュガー」を見てください、ってのが一番わかりやすいんです けどー(汗)。簡単なストーリーとしては、ガウリイは一人前の雪使いになるため、人間世界で 『きらめき』を探すために来たのでした。友人の、風使い見習いのゼルガディスや、太陽使い見習いの アメリアとともに、『きらめき』を探します。見習いたちは、『きらめき』を見つけることによって花開く 魔法の花が咲く種を、自分の住む場所にまいて、育てることになっているのですが、ガウリイはちょっと したうっかりから、リナの部屋に種をまいてしまい、ガウリイはリナの部屋に転がり込むことに。
 リナは、最初は非現実的で非常識なガウリイにいつも腹を立て、うとましく思うのですが、やがて純真な (?)ガウリイの保護者(笑)として、友情(微妙にラブラブ)をはぐくんでいきます。しかし、平和に 暮らしていた2人に、ある時事件が。リナが心の拠り所にしていた大事なピアノが、人手に渡ってしまった のです。そうなって初めて、リナはピアノの大切さに気づき、それを取り戻そうと躍起になります。いつも のように、ガウリイの失敗を笑って許せるゆとりもありません。リナの余裕のなさに気づいたルーク、 ミリーナ、ナーガたちは、ピアノをリナの元に戻そうと決意しました。その事件を通じ、リナは友人たちの あたたかい心に気づくのです。
 リナとガウリイの友情(?)も、元通り。そして間もなく、ガウリイの魔法の花が咲き、2人は別れの 時を迎えました。手を振るガウリイは、雪の結晶の中に溶けて消え、笑顔でガウリイを見送ったリナも、 ガウリイの姿が完全に消えてから、涙を流すのでした。
 この後、原作ではサガ(リナのやる役)は他の季節使いたちも全て見えなくなり、降る雪の中にシュガー (ガウリイのやる役)を感じていると いう話だったのですが、なんかこのラストへの伏線がぜんっぜんなかったので、これはイヤです。ゆえに こちらの長編では、「数年後(1年後でもオッケー)、リナの前に、一人前になったガウリイが初雪を 降らせに来る」という、定番の終わり方でシメる予定でした。でも、やっぱもーひとひねりしたかった かも。
 余談ですが、この話で一番悩んだのは、ガウリイのサイズ。元のジャンルでは、季節使いたちのサイズは 手のひらに乗るほどちっちゃなサイズだったのですよ。でも、それだとリナがガウリイにキスされても 気にしないかもしれない。ラストが理由もなくおっきくなるので終わるかもしれない。かといって、サイズ を初めからおっきくしといたら、リナのルームメイトになるにはタイヘンだ。ちっちゃいからこその ストーリーもかなり改変を余儀なくされる。いろいろ悩みましたが、やっぱりガウリイはおっきい方が ガウリイっぽいなあ、と。そのかわり、素材のうまみ云々は、かなり減少しちゃいましたけどね。

■古物語■
 途中で指摘され、小説の紹介コメントのところに「略奪愛」と書き間違えてることに気づいた、衝撃 (?)の一作。ホントの主題は「略奪婚」でした。略奪婚とは、原始時代などに見られた方法で、当時は 男性が女性を殴りたおし、無理矢理奥さんにした、というやつです。
 宮(ガウリイ)に忍びこまれ、姫(リナ)は容赦なく強姦されてしまいます。途中で気絶してしまい、 翌朝目覚めたときにはすでに宮の姿はなく、しかし香の残り香に姫は布団の中で、嗚咽が漏れないよう 悔し涙を流しました。
 この頃の結婚は、3日続けて通うのが慣習。きっと今夜も宮は来る。姫は気丈に頭を上げ、対策を練る ことにします。とはいえ、時間も元手もなく、できることといえば逃げることだけ。女房(使用人)の 少納言の手を借り、都の外まで逃げ、そこから先は少納言すら置いて、姫はとことん逃げました。その晩、 宮が姫の屋敷に来ると、姫がいないと大騒ぎ。宮は姫がいないとわかるとその場できびすを返し、他の女の ところへ行ってしまいます。姫の父(リナ父にあらず。タリムのイメージでした)は、せっかくの婿に 逃げられたと失神寸前。
 しかし宮(ガウリイ)は宮で、実は姫(リナ)のことが気になっていました。半月たっても姫は 見つからず、その間宮は毎日女遊びをしていましたが、あの晩見た姫の涙と茫然自失の表情が、まぶたの裏 から離れません。とうとう宮も耐えかねて、独自に姫を探すことに。少納言を問いつめ、それから周囲を 探しに探しまくり、近くの貴族の山荘(もしくは尼寺)の水回りで、元気に下働きをしているところを 発見。もちろんそんなところで燻っている彼女ではなく、そこの主人の後ろ暗いところを握って、ある程度 まとまったお金を手に入れてから商売でもしようかと考えていました。
 宮は姫を発見したその足で、彼女を牛車に乗せて連れていきます(この辺が第二次略奪。第一次は貞操) 。当然姫は反発しますが、自分が連れ帰らなくとも姫の家の者が自分からの連絡を受けて来たはずだ、と いう宮の言葉に、反論できません。牛車の中で、常にピリピリと手負いの獣のように警戒する姫 に、宮は腹立たしさと理由もわからない寂しさを感じます。夜道、二人の間に会話はなく、月の明かりだけ が、どこか痩せ細った姫と顔を上げられない宮を照らします。
 宮が姫を連れてきたのは、彼の別宅。驚いて問いつめる姫に、宮は「今家に戻ったら、大騒ぎになって 家出が表沙汰になる。そうしたら家名にも傷がつく」と尤もらしい説得をしますが、自分でも気づいてない 本心では、これ以上姫を放置しておくとまたどこかへ行ってしまいそうだったから(笑)それ以降宮はこの 屋敷に、姫を囲って(?)暮らします。宮と顔をあわせるたび、家に帰せと姫はせっつきますが、宮は帰す 気がないのでのらりくらりとかわし続けます。この辺、適当にいくつか話を追加するつもりでしたが、 右大弁(ゼル)が来たり斎宮(アメリア)から手紙が来たり、二人の中が少しは自然になるような展開を 入れたかったです。
 そしてある夜、ひたすら風の強い晩。宮(ガウリイ)は胸騒ぎを覚えます。姫(リナ)ならば大丈夫と 思いつつ、念のために様子を見に行く宮。すると女房(使用人)たちは隣の部屋に追いやられ、姫は一人 部屋にこもってしまっています。宮が部屋に踏み込むと、姫は布団の中でふるえていました。宮のことすら 目に入らない、あまりの怯えように、宮はなんとか姫の目を自分に向けさせようと、姫を抱きます。
 コトが終わり、風もやんで。落ち着きを取り戻した姫は、自身のトラウマについて語ります。昔、姫は 母と共に住んでいたのですが、風の強い晩、その音にまぎれて夜盗が屋敷を襲い、あと一歩で殺されるか 売り飛ばされる、というところまで行ったのでした。姫の母はそのときの刀傷が元で亡くなり、姫は母を 助けに来てくれなかった父に、ひいては男や結婚相手に根強い不信感を抱いていたのでした。宮は、まず 自分を信じるところから始めてほしい、もう二度と裏切らないから、とラブラブに見つめあってEND。なんか リナがずいぶん弱気だったり受動的だったり、今見返すと欠点がかなり多々あるのですが、小説書き始めた 初期に考えた話なので、どーかお許しを……。(最初のプロットでは、リナ姫は家出もせず、2日目は手を 出させなかったけど、3日目にいきなし嵐の晩のくだりに飛んだのです)
 この話の後に、実はもう1つ、別の長編ができたらいいなー、などと思ってました。外伝発表前だった ので、リナ父をリナの父親として出せなかった(出していたら、全く違った物語になっていたこと でしょう)後悔から、リナ父は帝=ガウリイの父として出してみたかったです。婿舅が、実の父子になる わけですな。そーなるときっと、父は息子であるガウリイが無関心無感動で女遊び激しいのを、つまらない ことよと興ざめな気分だったんですが、久しぶりに会ってみると新妻にメロメロにホレまくってて、こりゃ 面白い退屈しのぎができたとばかり、調子に乗ってからかいまくるのですよ。うわすっっっげえ書き たかったっっ!!!!!!!ちなみにストーリーとしては、ガウリイの兄である東宮(皇太子)が死去か病気による 退位かで、東宮の位が空き、すぐ上の兄とガウリイとで、東宮の位を争う政権争いが起こる(当時の東宮位 は、基本的には年功序列でしたが、母の実家の身分や権力で、しばしばその順序は狂いました。源氏物語 でも、桐壺帝(光源氏のお父さん)が退位するとき、朱雀帝(源氏のお兄さん)が立って、後の冷泉帝 (源氏の隠し子。表向きは桐壺帝の末子)が東宮になってるでしょ)のです。その政権争いの中、ガウリイ を排除する計画が進んでいることを知ったリナは、ガウリイのために奔走する――という、こっちは年齢 制限ナシの明るめストーリー、まさになんて素敵にジャ○ネスクちっくな展開になる予定でした。

■セイラ■
 有名な、アニメ版「シティーハンター」オリジナルの話で、人気の高い話です。……のクセに実は ジブン、この話をほとんど覚えてないままにプロット立てたため、その後もとのアニメを見たら、全然 まったく違ったストーリーになってしまっていた、というおそろしい話。
 あの後、2度ほど『セイラ』からの襲撃があり、最後の1回でゼルガディスが、『セイラ』がリナである ことに気づきます。アメリアが描いてもらった似顔絵に、長い髪を描き足すと、ちょっと顔つきの険しい リナの顔が現れます。しかし、ガウリイは実は、最初の邂逅から『セイラ』の正体に気づいていました。 『セイラ』の投げた短剣が、リナが影縛り(シャドウ・スナップ)に使用していたものと同じだったから です。(そんな根拠のある理由なんてイヤ、ガウリイには野生のカンがあるじゃない、って方は、その とおりでもオッケイです)
 やがて、指定された港町へ着いたガウリイたち。酒場で情報を集めようとすると、アメリアが絡まれ、 虫のいどころが悪いガウリイがケンカを買い、大騒ぎになりました。その場から逃げ出した彼らに、 寄ってきたのは情報屋。ガウリイたちに、首謀者からの情報を手渡します。
 それから先、あまり考えてないんですけど、首謀者の女(鋼の錬金術師の、あの爪が伸びるラストって ねーちゃんみたいなイメージ)は弟を、治安の悪いこの町で亡くし、その復讐として町を丸ごと吹っ飛ば そうとしていたのでした。その宝珠(オーブ)を破壊しないと、町は跡形もなくなってしまいます。女は、 自らの操るレッサー・デーモンをガウリイにさしむけますが、またもアメリアとゼルガディスは ノーマーク。それはリナを操るとき、誰に注意すべきか聞いたため。リナは「ガウリイが強い、ガウリイが いれば心配ない」と答えたので、女はガウリイ以外の戦力は役立たず、と誤解してしまったのでした。
 女を倒したのはいいけれど、宝珠(オーブ)を守る番人は、『セイラ』ことリナ。オーブは、彼女の魔力 を動力源として動いているのです。ガウリイは、リナとは自分が決着をつけると言い、ゼルとアメリアを 先に逃がします。ガウリイのことをわからないリナは、ガウリイを全力で攻撃(ただし、オーブがそばに あるので、大きな攻撃呪文は不可です)。ガウリイはリナを傷つけないよう、自分では攻撃しないので、 ボロボロになりながらもリナに近づき、彼女をコントロールしているイヤリングを破壊します。しかし なおもガウリイを攻撃しようとするリナに、ガウリイは口づけて――
 すべてが終わった後、正気に戻ったリナは何も覚えていませんでした。あ、操られてたリナこと 『セイラ』は金髪ショートカットです。元アニメではショートの香にセミロングの金髪カツラをかぶせてた から問題ないのですが、この話ではロングのリナにショートのカツラをかぶせるわけです。とーぜん入り きらないので、リナの髪はショートに切られてました。正気に戻ったリナは、さぞ怒りまくることでしょう ……。

■新々鬼ヶ島伝説■
 これも、SFC「新鬼ヶ島伝説」をやってくれ、というのが一番早いのですが……あ、でもこれ、元の ゲームは懐かしのディスクシステムでした。SFCに移植するとき、追加シナリオがいくつもあったのです が、それは削除の方向で。
 おつかいから帰って、宵の口ごろ、庄屋さんこといったんさんが彼らの家に来ます。いったんさんは、 近頃この辺のびょうぶ岩に鬼がアジトを作ったから注意した方がいい、と言って帰ります。その夜遅く、 リナとガウリイは眠れず起きてきました。するとやって来た金太郎ゼロスが、二人はこの家の本当の子供 ではないと告げます。ゼロスに教えられたとおり、川上の滝の裏で、謎の物体を見つけた二人。そこで リナには首飾りが、ガウリイには腕輪がそれぞれ飛んできて、はずれなくなってしまいました。これが二人 の出生の秘密に繋がるのでしょうか?二人は急いで家に帰ります。すると、なんと鬼がおじいさんと おばあさん(ルークとミリーナ)を襲っています。鬼は二人の魂を吸い取り、去ってゆきました。
 リナとガウリイは翌日、鬼がいるびょうぶ岩に潜入、アジトを破壊して二人の魂の入っている箱を持ち 出しました。しかし中はカラッポ。魂は、すでに鬼ヶ島に運ばれたのでした。
 鬼ヶ島に向かう二人。その途中、先日おつかいに来た隣村が、湖の底に沈んでいるのを見つけました。 ガウリイは様子を見に、湖に潜ります。彼はそこで、ひのえさまと名乗る存在に、都へ行けと導かれます。 さて、湖から上がるとリナがいません。どうやらリナも、鬼にさらわれてしまったようです。たった一人、 リナを探し歩くガウリイの前に、しゃべる犬がお供をかって出ました。都に入ろうとすると、都の出入り口 で門番に止められます。ガウリイは、ひのえさまから貰ったうちでのこづちで小さくなり、都に入り ました。その後、再びこづちをふるうと、なんとガウリイの背は元の背より大きくなり、とても男らしく なりました。(リナには「あんた……老けた?」と言わせるつもりでした)
 都でも、ひのえさまの導きを受け、鬼を退治し邪悪な竜を封印する、という使命を与えられます。そして 都の一角で、とうとうガウリイはリナを救い出しました。長く眠らされていたリナは、目覚めと同時に すべてを思い出していました。彼女が乙姫の生まれ変わりであること、そしてリナもまた、ガウリイと一緒 に邪悪な竜を封印する使命を負っていること。二人とお供の犬は、鬼ヶ島に向かいます。
 途中、さらにお供に猿と鳥を追加し、一行は鬼ヶ島へ。リナはおじいさんおばあさんの魂が入った箱を 取りに、ガウリイはその間囮になるために、二手に別れて走ります。リナは首尾良く箱を見つけ出し、二人 の魂を解放するのですが、ガウリイは途中で邪悪な竜と鉢合わせ。呑み込まれてしまいます。しかし、 ガウリイは死んではいませんでした。竜の体内にある、竜の正体である竜の珠を身体から切り離し、それを 持ち出します。リナの持っている箱に、竜の珠を封印することで、邪悪な竜は封印されるのでした。
 これで一安心、と思った矢先。封印され、骨だけになって崩れた竜が、骨の竜として甦ります。飛び かかったガウリイは、剣を竜に突き刺すのですが、そのまま振り飛ばされます。そのとき、剣めがけひのえ さまのカミナリが落ちました。竜は今度こそ、バラバラになって砕け散りました。
 元のゲームでは、乙姫の生まれ変わりである女の子は、竜宮城に帰ることになります。男の子は、女の子 と一緒に行きたがるのですが、人間は竜宮の城には住めないし、元に戻ったおじいさんとおばあさんを二人 だけにしておくわけにはいかない、と、女の子は一人で竜宮城に帰り、男の子はおじいさんおばあさんの もとへと帰ります。ちなみに、男の子の方は浦島太郎の生まれ変わりで、玉手箱を開けて邪悪な竜を解き 放ってしまった償いのため、この使命を負ったといういきさつがあったのです。
 ただし、この話では、ガウリイなら絶対に着いていくだろ、あるいは「これまでリナがいなくても何とか なったんだから、これから先いなくても何とかなるだろ」とかいう理屈のもと、リナを連れ帰りそう。 ンなわけで、この話のラストはリナを強引にお持ち帰りするガウリイ、というラストになるはずでした。
 このゲーム、竜に呑み込まれたところにワナがあり、呑み込まれると一度ゲームオーバーのイラストが 出て、「おしてみなよ」というコマンドが表示されるのです。ここで押すと、ホントにゲームオーバーに なってしまい、逆に押さずに少し待つと、気絶してた男の子が気づいてゲームが進む、というシステムに なってました。……ダマされました。