彼女はドルファン王国の第1王女である…が、現国王のデュラン・ドルファンは子供が作れない体であった。
この事実は王室の禁忌であり知るものも少ないが、紛れも無い事実であった。
彼女は、王室会議の筆頭であるアナベル・ピクシス卿の手によって用意された”偽者”である。
プリシラ自身はその事を知ってはいるが、本当の両親が誰であるのかは知らない。
なぜなら、黒幕であるピクシス卿は事の事実を隠す為に本当の両親を暗殺しているからである。
また、女性をさらって王女にしたのは、男の子をさらった場合、王子が国を継いだ時、
ピクシス家に反旗を翻すのを恐れた為である。
プリシラは、自身が偽りの王女である事に嫌気がさしており、そのフラストレーションのはけ口として、
城を抜け出すなど、時には常識を逸脱する行動に出たりしている。
しかし、彼女は義理の父であるデュランの愛情を肌で感じ、それに答えようと努力はしている。
それが王女としての責任と職務を果たそうとする彼女の意志の現われである。
たとえ“偽り”だとしても───。