その時私は何が起きたのか一瞬理解が出来なかった…………
ドルファン王国の中でデートスポット人気ランキングでもやれば地下墓所と1〜2を争うほど人気の無いところだった。
私は静かに墓石が並ぶ中赤い鎧を身に纏い時が止まったかのようにその場に立っていた。
私は只一人の人物を待っていた、そうたった一人の……。
その人物と出会ったのはドルファン暦26年の秋だった。
傭兵を志願してこの国に遠い東洋の島国から来た彼は、傭兵として始めての戦争でドルファン一の騎士ヤング・マジョラム大尉を倒した傭兵騎士団ヴァルファバラハリオン八騎将の一人疾風のネクセラリアをいとも簡単に倒したのだという。
その事からドルファンでは彼を英雄だと語るものも出始めた。
そして私はヴァルファ八騎将の長。父ヴォルフガリオの命で彼に接近した。
彼に接近しお互いに友人と言えるほどまでに打ち解けた頃、不動のボランキオ、氷炎のライナノールが彼の手により打ち倒された。
ライナノールに止めを刺した時の彼の表情は全てに疲れたような悲しい目をしていた。
しかしその後会った時には傭兵である事を微塵も感じさせない優しい顔に戻っていた。
その顔を見た時、思わず胸が高鳴るのを感じた。
それからだった、彼に特別な何かを感じ始めたのは……
彼に出会ってから三年近くが流れていたその間にも彼はヴァルファ八騎将を打ち倒していった。
その報告を受ける度に私は深い憎悪と憎しみ、そして安堵感、二つの思いに苦しめさせられていた。
そしてドルファン暦28年10月28日ドルファン国王女プリシラ王女誕生日。
私はもう一つの作戦を実行に移した王女誕生日に招かれた彼に付いて行き王女を抹殺しようとした。
王女の好きな赤ピュエリ毒を盛り王女がそのグラスを取ろうとしたその時、彼がそのグラスを横から取ってしまった。
心の中でヴァルファ八騎将の仇が取れると思った時体は勝手に彼のグラスを彼の手から落とさせていた。
そしてドルファン暦29年3月1日。
嵐の中、父ヴォルフガリオが最後の兵力を数騎を率いドルファン城に単身奇襲をかけた。
しかし後僅かよ云う所で彼との壮絶な一騎打ちの末……父は敗れ自害した。
それから僅か一週間の間に色々なことが起きた。
叔父に中るデュラン国王から養子に迎え入れたいと誘われたが断った。
父を裏切った男の養子になんて成りたくなかった。
それ以上にヴァルファに関りの在る場所に居たくなかった……。
そして私はドルファンを出る決意をした、最後に一つだけやるべき事を残し………
そして私はココに居る………
私から父を奪い、かつての友を奪った彼を倒す為、八騎将最後の一人として。
私は人気の無い共同墓地に立っていた。そろそろ彼が来る頃だろう。私は腰に刺した剣を見つめていた。
そして彼が来た、出来れば来て欲しくなかった。
そして私は彼に向かいその正面に立った。
「もう分かっていると思うけど、私がヴァルファ八騎将最後の一人隠密のサリシュアン。父の仇を取らせて貰う」
私は彼にそう告げていた。
彼は少しの間悩むような表情を浮かべた後ゆっくりと腰に架けた剣を抜いた。それに合わせるように私も剣を抜いていた。
そして私は剣先を彼に向け、彼に向かい走った。
私は彼に倒されたかったのかもしれない。ふとそんな事を思ってしまった。
そして彼の目の前まで近づいた時、彼は剣を捨て両手を広げ私の剣を胸に受けていた。
その時彼は笑っていた。いつもと同じあの優しい笑顔で彼は息を引き取った。
私はその笑顔に見入ることしか出来なかった。
彼の最後の言葉を聞いた時、私はナイフを自分の喉元に突き刺していた。
刺した喉から血が溢れてくる。息をするのが苦しくなってきた。
段々と視界が霞んで何も見えなくなった時、私は彼の笑顔を思い出そうとしたが無理だった。
もう何も考えられなかった……………
あとがきと言う名の言い訳
まず始めにライズファンの方、スイマセン。
はじめてショートストーリー成る物に手を出してみたんですが、自分は全く文才がありません。
こんなヘタレな物でも、もし読んでくださった方が居るなら光栄です。
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