当時高校生だった私はその日、弟が買ってきたコロコロコミックを暇つぶしに読んでいて、思わずこう叫んだ。
「ガキが読むのはもったいねぇ!」
それが上山徹朗というマンガ家との出会いである。
とにかく別格だった。
キャラクターも、背景も、そしてストーリーも。
ヒロインを狙うのは、人間の体を欲しがるロボットの少女だった。
ヒーローは人間の脳を移植されたロボットだった。
物語の途中、ヒーローは自分の妻だった女性と再開し、そして別れる。
彼は言った。
「お前の夫はもう死んだ」
と。
不安になった。
はたして、小学生がこれを楽しめるのか?しばらくしてそのマンガ『電人ファウスト』は連載を休止した。
くやしかった。私がそんなことを思ってもどうしようもないのだが、くやしかった。それほど好きだった。
それ以来、コロコロコミックは読まなくなかった。新作が別冊コロコロコミックで始まっているのを知ったのは、だからそれからしばらく後のことだった。
完結して本当に良かったと思う。
気長に次回作を待つとしよう。ひょっとしたらもう、どこかで始まっているのかもしれない。上山徹朗氏のマンガは、現在小学館から『電人ファウスト』1〜2巻、『LAMPO』1〜4巻が発売されている。