その日、惑星ラグオルに一人の少女が降り立った。
名を、鈴の音と書いてリンネ。おそらく、世界一偉そうなハンター。
キャラメイクは、思ったほどではなかった。
ステージは4つしかない。
武器も、使いまわしが多い。このゲームは、そんなに面白いのだろうか?
なぜ、私はこんなにやり込んでいるのだろうか?
リンネは、自分をランディールという名の王国の第2王女だと名乗った。
夢は大きく、惑星ラグオルの植民地化。ケーキも食べられない、移民船パイオニア2の民の為に。
ネットワークゲームは以前からあった。とりたてて珍しいわけではない。
しかもこのゲーム、一緒にプレイできるのは4人まで。でも、楽しい。
元々、彼女は王女ではなかった。
本来の名前はリンネ・ランディールではなく、リンネ・ガーディアン。無口な、誰よりも平穏を求める、ただのペンギン嫌いな少女だった。
それは、螺旋。
同じことの堂々めぐりではなく、初めて会うほかのハンターたちと駆け上っていく螺旋階段。なんと言ったらいいのだろう。それは『絶妙』なのだ。
申し訳無い、これ以上の言葉が見つからない。
さて、これからまた冒険だ。
それは、他のハンターの何気ない一言から始まった。
「お守りします、姫」
その瞬間に、リンネ・ランディールは産まれた。
かの少女は、私の頭の中だけで産まれたわけではない。
螺旋の中で産まれた少女は、今日も惑星ラグオルを駈け回っている。