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ソリティア


 もはや中毒である。
 
 何気なくパソコンを立ち上げて、それでもなにもやる気のない時にふと始めてしまう。
 1時間経過。音楽を聴きながらでも、テレビを見ながらでもなく、ひたすらソリティア。
 完全に時間の無駄だ。
 2時間連続でやって死にかけたことがある。

 なにがそんなに面白いのだろうか?

 いや、面白くはないのだ。
 確実にクリアできるわけでもなく、生意気に1つのミスが命取りになり、ゲーム自体にリスクも無ければリターンも無い。
 所詮はおまけゲームなのだ。
 パソコンを買ってまだ何のソフトもゲームも入っていないときに、ちょっとした暇つぶしにやるゲームなのだ。
 すぐ飽きるのだ。
 すぐに忘れさられるのだ。
 HDの容量が足りないときに、やらないよりはマシというレベルで消される運命なのだ。

 あのルーチンワークが私を狂わせる。

 1時間もやっていると、もう何も考えないでひたすらカードの数字を目で追っているだけの状態になる。そして、判断スピードが異常に速くなっていくのだ。
 私はこの状態を『ソリティア脳』と呼んでいる。
 テトリス・ハイにも通じるこの静かなハイテンション。
 
 まさに無。

 嫌な悟りの開き方だ。

 だが、考えなければならない事が多すぎる現代、何も考えずにただ一つのことにうちこんでみるのも悪くないのではと思う。

 さぁ、スタートメニュー→プログラム→アクセサリ→ゲーム
 あなたのパソコンにはまだ、ソリティアが残っているだろうか?

「くぁ、また6000点までいけなかった」
 カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ……


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