正直、氏の最近の作品を読んでいない。だって売ってないんだもん。
そこで、ここでは氏の初期の作品である『大久保町シリーズ』について、少しお話ししたいと思う。
だがそれは「昔は良かった」などという後ろ向きなものではなく、今も昔と同様に面白いと確信しているからである。ちょっと(いやかなり)とぼけたところのある男の子が主人公、ヒロインはちょっと反則くさいくらいかわいい女の子。他はみんな変な人ばかり。
いや、他はという表現はあっていない。主人公もヒロインも充分に変な人だから。
つまり、登場人物全員変な人。
主人公はいつのまにかとんでもない事件に巻き込まれていて、女の子を助けるためにがんばって、最後はハッピーエンド。
王道ですな。
これが抱腹絶倒のギャグ(いにしえの表現)と、下手をすると本編よりおもしろい脱線をおりまぜて進行していく。
面白さをあげたらきりがない。
そこで、この作品で私が一番すごいと感じた事。
この種の作品でありがちなことだが、主人公は自身の秘めた才能やものすごい偶然に助けられるわけだが、そこに全然いやみがないのだ。
普通の少年が突然弾丸をかわすことができようが、地雷を踏んで車ごととばされて無傷で済もうが、なんとなく許せてしまうのである。
これはすごい。
ご都合主義と取られがちな状況を、みごとに包み隠してしまえる文章力。ストーリー構成。
これでもっと仕事をしてくれたらなぁ。このつたない文章を読んで、少しでも興味を持っていただけたら、すぐにでも書店に走って氏の作品を探して欲しい。
そのことが、新しい作品を書く原動力になっていただければと思う。
多分売ってないけど。メディアワークス・電撃文庫から現在、以下の作品が発売されている。
『大久保町の決闘』
『大久保町は燃えているか』
『さらば愛しき大久保町』
『悪魔の国からこっちに丁稚』上・下巻
『やみなべの陰謀』ご本人のHPはこちら
また、『e-NOVELS』で作品を購入することも出来るようなので、興味のある方はどうぞ。