しくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしく……
隅の方で膝を抱えている人が一人。
「なんで……なんで僕だけ出番がないんだよッ」
桜のお兄さんだった。
「ナレーションまで馬鹿にするのかよ!? 慎二だよ! ちゃんと名前で呼べよ!」
ナレーションにまでケチをつけながら、ううーと涙を流す慎二。さすがにかわいそうなので名前くらいは。
そんな慎二の肩を、優しく叩いた手があった。
同情なんかいらない。でも、今はその優しさが嬉しかった。涙をぬぐい、そっと振り返る。
「出番がなかった者同士、仲良くするのが筋でござろう」
後藤君だった。「う……うわぁぁぁぁぁぁん! 僕はメインキャラだぁぁぁぁ!」
「何故逃げるのでごいざるか!?」
「遅くなったな、凛」
それは昨日の話です、お父さん。