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fateのネタバレSSです。エンディングフルコンプしてからご覧ください。

鎧を脱いで


 運命の夜が明けて。

 昨日の夜からの事は今でも信じられないが、事実だった。俺は遠坂と共闘関係を結び──そして、自分の為に傷ついた少女の事を思い出す。
 家中探し回った。そうして、ようやくたどり着いた場所。
 離れにある剣道場。彼女は、ただ、自然にそこに居た。
 静謐とした空間。
 差し込む光は白く、一点の汚れも無く彼女と道場を一つにしている。
 凛と正された姿勢からは、僅かな乱れも感じさせない。
 その姿に、息をするのも忘れる。
 昨日の鎧とはうってかわった、ワンピース。エプロンにネコグローブ、ネコの帽子の両脇に大きな鈴。あ、シッポも付いている。

 でじこ?

「目が覚めたのですね、シロウ」
「いやちょっと待て」
 これで語尾ににょとでも付こうものなら、彼女に対する認識を180°改めなければならなかった。
「その服どうしたのさ」
「凛が用意してくれた物です。私は霊体に戻る事ができませんから、せめて人目につかないようにと」
「────そうか。そうだったのか」
「それが何か?」
 騙されてる。絶対騙されてる。
「いや、うん、だから」
 馬鹿っぽいぞ、と言おうとして止めた。
 そんな事を口にしたら、顔がトマトみたいに真っ赤になるまで殴られる。
「聞くところによると、凛の服と対になっているそうですが」
「──は?」
「こう、耳の所に四角い装飾のついた」

 うさだか!?

 ……しまった。想像したらめちゃめちゃ似合っている。ハマリ役だ。よもや、遠坂にそんな趣味があろうとは。
 いやいや、これから一緒に戦っていく仲間だ。趣味の一つや二つ、いいじゃないか。

 と。
 入り口の方で、何か重い荷物が落ちる音がした。
「おや、凛」
 遠坂? いやまて、なんで帰ったはずの遠坂がいるのだ。いや、それよりも今の遠坂って──

 うさだ?

 い、いや。どんな恰好をしていても遠坂は遠坂だ。ここは堂々と振り返って、こんな所にどうしているのかを問いたださなければ。
 ……そーっと。
「どうしたの?」
「──いや、自分の修行不足をちょっと」
 普段着の遠坂が不思議そうにこっちを見ていた。
「っと、それよりなんだよ、このセイバーの服は。かえって目立つぞあれ」
「ああ、それ」
 遠坂はふう、とため息をつき。

「綺礼の趣味」
「あいつか!?」


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