……赤い……あつい。
体が熱い。
まとわりつく空気が暑い。
真っ当な思考を妨げる霧が厚い──
夢なのだと。
意識のどこかが気付いている。
夕焼けに染まる教室。そう、これは夢だ。いつか見たあの夢だ。
なら、危険だ。この夢は危険だ。この夢は、衛宮士郎から根こそぎ奪っていく。
だというのに、鼓動がうるさい。もう、鼓動しか聞こえない。体が言う事を聞かない。頭も言う事を聞かない。欲情する。
既に捕われてしまったのだと、もう逃げられないのだと思った。そうやって逃げた。今は何よりも快楽が優先される。
教室の中の、眼鏡越しの瞳が潤んでいる。「……待っていたぞ、衛宮」
一成かよ!?
「その……俺は、こういうのは初めてだから……あまり痛くしないで貰えると、助かる」
しかも俺が攻めか!?
待て待て待て待て待てちょっと待ってください勘弁してください俺ノーマルなんですほんと許してくださいお願いします見逃してください。
あれですか、直前の選択肢で『かなり苦手』を選んだのがいけなかったですか。
すいませんごめんなさい出来心だったんですまだ選んでない選択肢選んでみたかったんです。本当は好きです愛してます萌えです。
だから一成服を脱ぐなー!?
『求め合う心』なんて流さないでくださいお願いしますこのBGMで一成と二人はやばいですかなりやばいですすごいやばいです。
その期待と不安の混じった瞳で俺を見るのをやめろ一成! 頼むから!
嫌だ! 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
嫌だというのに!
俺の、
俺のゲイボルクが刺し穿ってしまう──!
助けてー 誰かたーすーけーてー半狂乱の俺の肩を、誰かがぽん、叩いた。
振り返ればそこにバーサーカー。