成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
矢張 政志…紺 | |
裁判官…緑 | |
亜内検事…茶 | |
山野 星雄…紫 |
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(別ウィンドウで出ます)
山: |
『勧誘しておりましたら、とある 部屋から、男が出てきたんです。』(証言1) 『男はあわてていて、ドアを半開きに したまま、行ってしまいました。』(証言2) 『おかしいと思いまして、私、部屋を のぞいてみたんでございます。』(証言3) 『すると、なんと、女の人が 死んでいるじゃございませんか!』(証言4) 『私、腰が抜けてしまいまして。 怖くて、部屋に入れませんでした。』(証言5) 『私、すぐに警察を呼ぼうと 思ったんでございます。』(証言6) 『でも、彼女の部屋の電話は 通じませんでしたので、』(証言7) 『それで、近くの公衆電話から 通報いたしました。』(証言8) 『時間はハッキリ覚えております。 お昼すぎの、2時でした。』(証言9) 『逃げた男は、間違いなく、 そこにいる被告の方でございます。』(証言10) |
成: |
部屋から男が出てくるなんて めずらしいことでもないのに、 どうしてその男が 気になったんですか? |
山: |
はあ‥‥。 なんか、妙なヒトだったんで ございますよ。 怒っているような、それでいて おびえているような‥‥。 まるで、殺人現場から逃げ出す ハンニンみたいな感じで‥‥。 |
成: |
証人! よけいなことは 言わないでください! |
亜: |
ま。とにかく、 アヤシイ人物だった、と。 ‥‥それで、どうなりましたかな? |
成: | 半開き‥‥ですか。 |
山: |
ええもう、半開きでございます。 しばらく見ておりましても、 誰も閉めるようすがありません。 なんか不用心だな、と、 心配になりまして‥‥。 |
亜: |
なるほど。 それで、どうしましたか? |
成: | なぜ、そんなことを? |
山: |
だって、なにぶん半開きで ございましたから。 のぞきたくなるのが 人情でございましょ? 山があれば、人は登ります。 それと同じことでございますよ。 |
亜: |
ああ、そりゃそうです。 誰だってのぞくでしょうね。 |
成: |
(なんかムリヤリ押し切られた ような気がするけど‥‥) |
亜: |
とにかく、部屋をのぞいた、と。 それで、どうなりましたか? |
成: | 間違いなく、死んでいたんですか? |
山: |
さ、さあ。 それはわかりませんけど‥‥。 でも、ピクリとも動かないし、 血もどくどく流れてましたから。 |
成: |
(なるほど‥‥致命傷 だったワケか‥‥) わかりました。 それで、どうしましたか? |
成: |
では、部屋のものには、 いっさい手を触れていない‥‥? |
山: | そうですね、ハイ。 |
成: |
‥‥わかりました。 それで、どうしましたか? |
成: |
”思った”ということは、 行動には移さなかったわけですか! |
亜: |
まあまあ。 落ち着いて証言を聞いてください。 あなたは電話をかけようと思った。 それで、どうなりましたか? |
成: |
現場にあった電話が、 通じなかった‥‥? |
山: |
‥‥はあ。 さようでございますね、ハイ。 |
成: |
でも、あなたは部屋には 入らなかった、と‥‥? |
山: |
ああ、そのことでございますか。 玄関のタナの上に、電話の 子機がありまして。 それを使ってみたんで ございますが‥‥ |
亜: |
その子機が不通だった、 というわけですな。 ‥‥それで、どうしましたか? |
成: | なぜ、公衆電話を‥‥? |
山: |
はあ。私、携帯電話を 持っておりませんし‥‥。 それに、時間帯のせいか、付近の 部屋の方々も、皆さん留守で‥‥。 |
成: |
ははあ。‥‥ところで、 通報した時間は‥‥? |
成: |
午後2時! 間違いありませんか? |
山: |
はい。 さようでございます。 |
成: |
(‥‥うーん、 妙に自信がありそうだな‥‥) |
千: |
午後2時‥‥? なるほどくん。なんか おかしくないかしら? この証言とムジュンする証拠品を つきつけてみましょう! |
成: | ゼッタイ、間違いないですか! |
山: |
ございませんとも。 ええもう、それは絶対に。 |
亜: | 間違いありませんね? |
千: |
‥‥証言はここまで。 この中のどこかに、決定的な ムジュンが含まれているはずよ。 Rボタンで法廷記録を開いて、 それを見ながら証言を聞きなさい。 証拠品とのムジュンを見つけて、 つきつけてやりましょう! |
成: |
今の発言は、この証拠品のデータと ムジュンしています! |
裁: |
‥‥? どこがですか? 特におかしいところはないが‥‥。 |
成: | え。そうですか? |
裁: |
異議は認められません。 弁護人は、もっと慎重に 発言してください! |
成: |
(しまった! 失敗したみたいだ‥‥) |
成: |
今の証人の発言は、 あきらかにヘンです! |
裁: |
‥‥‥‥。 残念だが、私にはヘンなところは 見あたりません。 ‥‥やむを得ません。弁護人には ペナルティを与えます。 |
成: |
(うう。ぼくの カン違いだったのか‥‥?) |
成: |
この証拠品は、今の証言の ムジュンをハッキリ示しています! |
裁: |
‥‥その証拠品と今の発言が、 どう関係するのですかな? |
成: | ‥‥しませんかね、やっぱり。 |
裁: |
全然しませんね。 弁護人。もっと、ちゃんと 考えてから発言するように。 |
成: |
(‥‥裁判長の心証が 悪くなったみたいだ‥‥) |
成: |
裁判長! 今の証人の発言を どう思われますか! |
裁: |
え‥‥。 どうと言われても‥‥。 |
成: |
あきらかに、その、ムジュン‥‥ してると‥‥思うんですけど‥‥。 |
裁: |
そんな顔で言われても 説得力に欠けた感じがしますね。 異議は却下します。 |
成: |
(‥‥裁判長の心証が 悪くなったみたいだ‥‥) |
裁: |
そこまで! 本法廷は、これ以上の審議の 必要性を認めません。 弁護人の反証は、検察側の主張を くつがえす力を持っていない! 被告、矢張 政志(話によって名前変更)に、 この場で判決を言い渡します。 |
裁: |
被告人はこれより、その身柄を 司直に預けるものとし、 1ヶ月以内に、高等裁判所において 通常裁判を受けることとします。 では、本日はこれにて閉廷! |
敗訴 | |
山: |
『死体を見つけたとき、時間が 聞こえてきたんでございます。』(証言1) 『あの音、時報みたいな感じで‥‥。 たぶん、テレビだったと思います。』(証言2) 『あ、でも、時報にしては、 2時間もズレていたんですよね?』(証言3) 『たぶん、被害者の方は、ビデオを 見ていたのではないでしょうか。』(証言4) 『その音を聞いたから、2時だったと 思い込んでしまったんでしょうね。』(証言5) 『どうも、ごメイワクを おかけいたしました‥‥。』(証言6) |
成: |
”聞こえた”‥‥? ”見た”わけじゃないんですか? |
山: |
はい、おそらく‥‥。 とにかく、死体しか目に 入らなかったもので‥‥、 たぶん、時計を見るよゆうは なかったと思います‥‥。 |
成: |
はあ‥‥。 でも、ちょっとヘンですね。 それならなぜ、”音”は 聞こえたんでしょう? 死体に気をとられていたのなら、 音も耳に入らないような気が‥‥。 |
亜: |
証人は、実際に音を 聞いているのです。 ”聞こえなかったかも”という ギロンには、意味がありません! |
裁: |
‥‥ふむう。 それはまあ、そのとおりですね。 証人は、証言をつづけてください。 |
成: |
テレビ、ですか。 ラジオではなかった? |
山: |
さ、さあ。 ラジオだったかもしれません。 |
亜: |
ちなみに、現場にラジオは ありませんでした。 大型のテレビが1台、 あっただけです。 |
千: |
なるほどくん。 ”テレビの時報を聞いた” っていう証言‥‥、 私、ちょっと引っかかるわね‥‥。 |
亜: |
とにかく、山野さん。 現場で時報を聞いたわけですね? |
成: |
そのズレを 説明できるんですか! |
裁: | どうですか? 証人? |
成: | ‥‥ビデオ、ですか? |
山: |
ええ。それなら、時報にズレが あっても、おかしくないでしょう? |
成: | ‥‥たしかに、そうですね‥‥。 |
千: |
なるほどくん。 問題は、もっと他に あるんじゃないかしら‥‥。 |
裁: |
とにかく、あなたが現場で時刻を 聞いたのは、間違いないんですね? |
成: |
2時という時間は、 本当に間違いないんですか? |
山: |
‥‥そうですね。 今でも耳に残っておりますよ。 |
裁: |
亜内検事。この証言の 裏づけ捜査はしましたか? |
亜: |
‥‥すみません。 『時報を聞いた』という証言は、 私も今、初めて聞いたので‥‥。 |
山: |
もうしわけありません。今まで、 すっかり忘れておりまして‥‥。 |
成: |
気をつけてくださいよ! (‥‥と、こんなところに ゆさぶりをかけても意味ないな) |
千: |
‥‥さあ、どこかヘンなところは なかったかしら? |
山: |
『やっぱり、”聞いた”のではなく ”見た”んでした!』(証言1) 『現場には、置き時計が あったじゃないですか。』(証言2) 『ほら、犯人が殴るときに 使った凶器ですよ。』(証言3) 『おそらく、あれで時間が わかったんだと思います‥‥。』(証言4) |
成: |
‥‥なんか、不自然な カン違いですね。 |
山: |
はい。自分でも そう思うんですけど‥‥。 でも、急に置き時計のことを 思い出しちゃったんですよ。 |
裁: | ”置き時計”‥‥? |
成: |
”置き時計”‥‥。 そんなものがあったんですか? |
裁: | ‥‥私も初耳ですね。 |
成: | 凶器‥‥ですか? |
山: |
ええ。凶器の置き時計で ございますよ。 ‥‥シツレイですが、ちゃんと 話は聞いておられましたか? |
成: | (‥‥何か、引っかかるな‥‥) |
成: |
なんで最初から そう証言しなかったんですか? |
山: |
なぜか、 思い出せなかったんですよ‥‥。 自分でもよくわかりません。 もうしわけありませんでした。 |
亜: |
とにかく、現場で置き時計を 見た、ということですね。 |
千: |
‥‥さあ、ムジュンした部分を 探しましょう! |
成: |
そうですね。 現場に時計があったのなら、 問題はないと思います。 |
千: |
ちょ、ちょっと待って! あの”時計”、 どう見たって”置物”じゃない。 あの証人は、あれが”時計”だって 知ってるはずがない! なぜなら彼は、”現場の部屋には 入らなかった”と、 そう証言しているんだから! |
成: |
‥‥あっ! そういえばそうですね。 |
裁: |
どうかしましたか、弁護人。 やはり、問題がある、と‥‥? |
成: | ‥‥は、はい! |
成: |
実は、証人は被害者と 知り合いだったのではないですか? ズバリ、彼女の”パパ”たちの 1人だった! 違いますか? |
山: |
‥‥フン。 ”ズバリ”と言われましてもねえ。 |
亜: |
裁判長。 彼女の交友関係は、 すべてチェックしました。 そのリストの中に、山野 星雄の 名前はありません。 |
成: |
あれ。 そうでしたか‥‥。 |
裁: |
”あれ”じゃないでしょう! テキトーなことは言わないように。 |
成: |
わ、わかりました。 ‥‥考えなおします。 |
音だったのです。それを証明するには‥‥) | |
成: |
その置き時計の 電池を調べればいいのです! |
裁: |
電池は‥‥ちゃんと入っている。 時計も動いているようですね。 ‥‥どういうことですか? 弁護人。 |
成: |
つまり、時計は動いていた、 ということです! |
亜: | だから? |
成: |
‥‥‥‥‥‥ なんだか、しゃべっているうちに、 よくわからなくなってきました。 |
裁: |
弁護人! ここまで来て、そのオチは ないでしょう。 ペナルティを与えます! シッカリ考えるように! |
成: |
わ、わかりました。 とにかく! (これは重要な問題だ! よく、考えないとな‥‥) |
成: |
被害者の隣室の住人に、 聞き込みをすればいいのです! |
裁: | ‥‥聞き込み? |
成: |
事件のあったとき、誰かが 時計が鳴った音を聞いたはずです! |
裁: |
なるほど‥‥。 どうですか、亜内検事? |
亜: |
‥‥聞き込みはすでに やっております。 事件のあった頃、付近の部屋の みなさんは留守でした。 しかし、もし彼らが時計の音を 聞いていたとしても、 その音を山野さんが聞いたか どうかは、別の問題です。 |
裁: |
うーん‥‥。 そりゃあそうですね。 どうやら、違ったようですね。 弁護人! ‥‥ペナルティを与えます。 |
成: |
す、すみません。 考え直します! でも、とにかく! (これは重要な問題だ! よく、考えないとな‥‥) |