綾里 千尋…赤 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
星影 宇宙ノ介…黄 | |
裁判長…緑 | |
亜内検事…茶 | |
美柳 ちなみ…紫 | |
呑田 菊三…灰 |
ち: |
『授業が終わって、リュウちゃんの もとへ参ろうと思いましたの。』(証言1) 『裏庭で、リュウちゃんが‥‥ ノンちゃんと、お話ししてました。』(証言2) 『そうしたら‥‥急に、ノンちゃんが おヨロめきになって‥‥お倒れに。』(証言3) 『そのとき、リュウちゃんも わたしに気がついて。』(証言4) 『わたし、学生さんを呼びに行って ‥‥通報していただきました。』(証言5) 『あの。わたし‥‥つきとばした 瞬間は、見ておりませんの。』(証言6) 『争っているように見えなかったし、 なんの物音もしませんでしたから。』(証言7) |
千: |
リュウちゃ‥‥なるほどくんは、 たしか、芸術学部でしたね。 それなのに‥‥なぜ、薬学部の 裏庭を通りかかったのかしら? |
ち: |
あの‥‥わたし、文学部で川柳を お勉強してるんですけれど。 |
裁: | ほおほお。いいですなあ、川柳。 |
ち: |
『上がらない ウダツこづかい 肩アタマ』‥‥のような。 |
千: | (中年のボヤキじゃない!) |
ち: |
芸術学部の校舎へ行こうとすると、 あの裏庭を通ることになるんです。 |
裁: |
ふむふむ、なるほど。 私も、法廷に来るときはいつも、 裁判所の入り口を通りますからな。 |
千: | (アタリマエでしょ!) |
千: |
”ノンちゃん”というのは、 やっぱり‥‥? |
ち: |
ええ。呑田 菊三さん。 半年前まで、おつきあいを‥‥ |
千: |
ノンちゃ‥‥呑田さんは なるほどくんと、どんなハナシを? |
ち: |
‥‥‥‥‥‥ ひ、ヒドいですわ! わたし‥‥ヒトさまのハナシを 盗み聞きするような‥‥ そんな、はしたない子じゃ ありませんのよ! |
亜: | そうですぞ、弁護人! |
裁: |
あなたといっしょに しないように! |
千: | (うぐぐぐ‥‥) |
裁: |
そして‥‥そのあと、あなたは ナニを見たのですかな? |
千: |
(そうね‥‥どちらかといえば、 私たちに有利な証言だし‥‥ 深く追求するのは とりあえず、やめましょう) |
裁: |
それでは、おじょうさん。 証言をつづけてくださいな。 |
千: |
そのとき、なるほどくんと どんな会話を? |
ち: |
すみません。わたし‥‥ホントに とりみだしてしまって。 よく、おぼえておりませんの。 本当に、もうしわけございません。 |
千: | おぼえていない‥‥? |
裁: |
ふむふむ。よくあるコトですな。 私も、さっき下した判決を おぼえてないコトがありますぞ! |
千: |
(‥‥おねがい。だれか、 あのおジイさんを止めて‥‥) |
千: |
”学生さん”というのは、 薬学部の‥‥? |
ち: |
はい。みなさん、とても おクスリ好きな方たちで‥‥ |
千: |
それはカンケイないでしょう! 薬学部の学生、というと‥‥ 研究室に呼びに行ったのかしら? |
ち: |
そのつもりだったのですけれど‥‥ ケッキョク、行きませんでしたわ。 校舎の入り口で、10人ぐらいの 研究グループの方が走ってきて。 どうやらみなさん、事件のコトを 知っていらっしゃったような‥‥ |
千: |
(‥‥学生たちが、 事件を知っていた‥‥?) |
千: |
(薬学部の学生‥‥ 事件には関係ないわ。 もっと、彼女自身の情報を 引き出したほうがいいわね) |
千: |
その学生たちは、 どうして事件のコトを‥‥? |
ち: |
あの‥‥あの方たちが本当に事件を 知っていたのかは、わかりません。 ただ‥‥みなさん、血相を お変えになっていたから‥‥。 |
千: |
(どうやら‥‥学生たちに関して、 これ以上の情報はないみたいね) |
亜: | 警察への通報は、彼らが? |
ち: |
え、ええ。わたし、もう‥‥ おムネがドキドキしてしまって。 |
裁: |
ふむふむ。そうでしょう。 おムネがねえ。 |
千: | ”見ていない”‥‥? |
ち: |
ノンちゃんが、お倒れになった ところは拝見しましたけれど。 |
亜: |
そのとき、現場には ふたりしかいなかったのですな? 成歩堂 龍一と、 被害者の呑田 菊三と。 |
ち: |
それは‥‥はい。 おっしゃるとおりです。 |
千: |
じゃあ‥‥あなたには どう見えたのかしら? |
ち: |
それはなごやかに、午後の会話を 楽しんでいらっしゃるのかと。 |
千: | (そんなワケないでしょっ!) |
ち: |
だからわたし、おふたりを ちゃんと見ていなかったんです。 |
裁: |
ほかに何か、変わったことは なかったのですかな? |
ち: |
ありませんでしたの。 おじさま‥‥。 |
裁: |
うんうん。いいヒビキですねえ ‥‥オジサマ。 では、証言をつづけてください。 |
千: |
(あの子‥‥ワザとミエミエの ウソをついている。 そう。なるほどくんを ”守るフリ”をするために‥‥ ‥‥いいわね、千尋! 見抜くべきは、そのウラにある、 ”ホントのムジュン”‥‥!) |
重大なポイントがあったわ!)」 | |
千: |
裁判長! 証人の証言には 1つ、問題があります! |
裁: | な、なんですと! |
亜: | い、いったいそれは‥‥? |
千: |
もちろん‥‥証人が”バチッ”と いう音を、聞かなかったコトです! |
亜: |
なな、ナニを聞いていたのですか! その理由は説明されたでしょう! ”ヘッドフォンで歌を聞いていた” |
裁: |
‥‥弁護人。 私より先にボケないように。 |
千: | (しまった‥‥) |
裁: |
今の証言で‥‥どうやら 結論が出てしまったようですな。 被害者を殺害できたのは ‥‥やはり、被告人しかいない! |
ち: |
そ、そんな‥‥わたし、 そんなつもりでは‥‥! |
千: |
(だ、ダメよ千尋! 終わっちゃうじゃない、裁判! もう一度、考えて! 今の証言には‥‥) |
重大なポイントがあったわ!)」に合流) | |
千: |
裁判長! 証人の証言には 1つ、問題があります! |
裁: | な、なんですと! |
亜: | い、いったいそれは‥‥? |
千: |
もちろん‥‥証人が お歌を聞いていたコトです! |
亜: |
なな、ナニを聞いていたのですか! その理由は説明されたでしょう! ”カミナリがコワかった” |
裁: |
‥‥弁護人。 私のカミナリもコワいですぞ! |
千: | (しまった‥‥) |
裁: |
今の証言で‥‥どうやら 結論が出てしまったようですな。 被害者を殺害できたのは ‥‥やはり、被告人しかいない! |
ち: |
そ、そんな‥‥わたし、 そんなつもりでは‥‥! |
千: |
(だ、ダメよ千尋! 終わっちゃうじゃない、裁判! もう一度、考えて! 今の証言には‥‥) |
重大なポイントがあったわ!)」に合流) | |
”ショック”の原因を作ったのは?」 | |
千: |
‥‥これこそが、 電線がプッツリ切れた理由です! |
亜: | 裁判長、いかがですかな? |
裁: |
‥‥プッツリ切れたのは、 弁護人の生命線、のようですな。 |
亜: |
さすが裁判長どの。 ウマいことをおっしゃる。 |
千: |
う‥‥ッ! (くく、クヤシイ‥‥) も、もう一度、 おねがいします! |
提示していただきましょう!」に合流) | |
ち: |
『リュウちゃんは‥‥2回、 おつきとばしになったのです。』(証言1) 『1回目、電柱にぶつけられて‥‥ 送電線が、お切れになりました。』(証言2) 『それで、ノンちゃんは必死に お逃げになろうとしたのですが‥‥』(証言3) 『リュウちゃんは、すぐに追いかけて 背中から、そっと体当たりを。』(証言4) 『送電線が切れてから、お感電まで、 1分もたっておりませんでしたわ。』(証言5) |
千: |
証人。‥‥あなたはさっき、 こう証言したはずよ。 ”つきとばした瞬間は見ていない” ‥‥って。 |
ち: |
ごめんなさい。わたし‥‥ リュウちゃんを守らなきゃ、って。 |
千: |
だから、ウソをついたと いうワケかしら? |
ち: |
ちなみ、いけない子でした。 ‥‥あの、おじさま? |
裁: | ム! なんですかな? |
ち: |
こんなちなみを‥‥ ユルしてはいただけませんの? |
千: |
アタリマエですっ! あなたが したことは”偽証”といって‥‥ |
裁: |
いやいや! オジサマはいつだって あなたの味方ですぞ! 今回だけは、サービスしましょう! 次から、気をつけるように。 |
ち: |
まあ、ウレシイ‥‥ ありがとう、おじさまっ。 |
裁: | なんのなんの。ほっほっほっ。 |
千: |
(‥‥裁判長。暗い夜道には 気をつけるコトね‥‥) |
千: |
被害者が電柱にぶつかった‥‥ それを目撃したのかしら? |
ち: |
リュウちゃんって、ああ見えて 意外にワンパクですのよ。 |
千: | (ワンパク‥‥) |
ち: |
でも、まさか送電線が お切れになるなんて‥‥。 リュウちゃんって、ホント やんちゃボウズさんですよね。 |
裁: |
まったく、困った やんちゃボウズさんですな。 |
千: |
‥‥それは、おかしいですね。 被害者のジャケットのムネには、 たしかに、手の跡が残っています。 亜内検事。ジャケットの背中にも、 なるほどくんの指紋が‥‥? |
亜: |
そ、それは‥‥ 残っていませんが‥‥ |
ち: |
おばさま。ちなみのハナシ、 よく聞いていただけますかしら? |
千: | ‥‥! |
ち: |
リュウちゃんは”体当たり” なさったのですよ? 指紋なんて、お残りになるはず、 ありませんでしょう? |
千: | う‥‥‥‥ |
千: |
あなたは‥‥被害者が感電死する 瞬間を目撃したわけですか? |
ち: |
スミマセン。わたし‥‥ 拝見していないのです。 ‥‥思わず、 目をそむけてしまって‥‥ |
亜: | ‥‥ムリもありませんな。 |
裁: |
ふむう‥‥。きっと、かなり ビリビリ来たんでしょうなあ。 |
千: |
(ここで決定的なムジュンを 見つけないと‥‥ まちがいなく、おしまいよ! あの子にも、ウソを考える時間は ほとんどなかったはず。 どこかに必ず、 穴があるわ‥‥千尋!) |