成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
須々木 マコ…橙 | |
芝九蔵 虎之介…紫 | |
鹿羽 うらみ…灰 | |
本土坊 薫…桃 | |
五十嵐 将兵…紺 | |
小池 けいこ…黄 |
五: |
『気にさわるワカゾウだったですわ。 イカれたサングラスをかけて。』(証言1) 『ひっきりなしに、バサバサと 右の手で新聞をめくっとりました。』(証言2) 『それに、ラジオを聞いて おったと記憶しとります。』(証言3) 『そこに、くだんの女給さんが コーシーを運んできて‥‥』(証言4) 『ワカゾウは、あいてるほうの手で カップを口に運んだワケですワ。』(証言5) |
成: | サングラス‥‥? |
五: |
ホレ。片方のレンズがコワれた、 ミドリ色のヤツ。 アレのおかげで、イヤでも 目立ったな、あのワカゾウめ。 |
成: |
(‥‥たしかに、左目に何か つけているけど‥‥ サングラス‥‥には 見えないな) |
裁: |
ふむう‥‥ちょっと シャレた感じのメガネですな。 ゴドー検事に対抗して、 私もつけてみましょうか。 |
真: |
お。そうなったら、 あたしたちも負けてられないね! |
成: |
(‥‥この”メガネ”のことは、 必要になったときに聞くか‥‥) |
成: |
さっき言ってた スポーツ新聞ですか。 |
五: |
まったく! 新聞ぐらい 落ちついて読めと言いたいッ! おかげで、こっちは ちっとも集中できなかった! タソガレ山の全勝は どうなったんだと聞きたいッ! |
成: |
(盗み読みしといて イバるなよ‥‥) |
五: |
なんだコラ! その、 ヒトをさげすんだような目はッ! |
成: | いてててて! |
真: |
ちなみに、タソガレ山は、 きのうもハリ倒されてたけどね。 |
成: | ラジオを‥‥? |
五: |
まったく、ゼイタクな ワカゾウだッ! 新聞を読むかラジオを聞くか、 どっちかにしろと言いたい! |
成: | ‥‥はあ。 |
五: |
イヤホンなんか使いおって、 お楽しみをヒトリじめだよ。 聞き耳を立ててみたが、 何も聞こえやせん! |
成: |
(そこまでして聞きたいか? ラジオ‥‥) |
五: |
なんだコラ! その、 ヒトをあわれんだような目はッ! |
成: | いてててて! |
成: |
後ろ姿しか見ていない ウエイトレス、ですね? |
五: |
‥‥ちまちまと細かいオトコだな アンタは。 |
成: | え‥‥ |
五: |
前から見ようと後ろから見ようと、 ワシの目はごまかされんワ! |
成: |
いてててて! (決定的な証拠がないかぎり、 ケチをつけないほうがいいな) |
成: | ”あいているほうの手”‥‥? |
五: | そうだ。 |
成: | ‥‥どっちの手ですか? |
五: |
やれやれ。ニイちゃん、 ヒトの話は聞いとくもんだ。 さっき言ったろうが。 右手で新聞をめくってた、と! 右じゃなかったら、 どっちだコラッ! |
成: | いてててて! |
ゴ: |
クッ‥‥! おそらく、アンタには 3本目のウデがあるんだろうぜ‥‥ |
成: |
(カルいキモチで聞いたのに、 カイブツあつかいされた‥‥) |
成: |
(この尋問の目的は、ただ1つ。 オジさんの記憶がアテにならない コトを立証する‥‥!) |
真: |
そのためには‥‥やっぱり、 探すしかないよね。ムジュンを。 |
成: |
(どんなササイなことでもいい。 食いちがいを探すんだ‥‥!) |
五: |
『ヤツは、メガネをかけたほうの耳に ラジオのイヤホンをハメとった!』(証言1) 『そして、そのイヤホンを、しきりに 手でいじっとったのですワ!』(証言2) 『コーシーを飲む前にも、ヤツは イヤホンをいじった!』(証言3) 『そしてそのまま、その手で コーシーを飲んだ。左手でなッ!』(証言4) |
成: | <<モノクル>>ですか‥‥ |
五: |
モノクロでもカラーでも どっちでもいいワ! |
成: |
(モノクロでもカラーでも ないけどな‥‥) そっちの耳にイヤホンを つけていたのは、たしかですか? |
五: |
ワシのいたところからは、 そっちの耳しか見えんかった! |
成: |
(上面図で考えれば、 当然だな‥‥ 向かい側のテーブルからは、 被害者の横顔しか見えない‥‥) |
成: |
岡 高夫さんのこと、 よく見ていますね‥‥ |
五: |
とにかく、気にさわったのだ! 新聞はパサパサめくりたおすワ、 イヤホンはイジりたおすワ! あげくの果てに、コーシー ヒトクチでバッタリ死ぬワ! ”もっと落ちつけ!” と、そう言いたいッ! 見ていたワシのマメ食うペースも、 ミョーに早くなっちまった! |
成: |
(とにかく、目だつ客だった みたいだな‥‥被害者) |
成: |
そのイヤホン‥‥ どっちの手でいじっていましたか? |
五: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ アンタ、アレか? 左のポケットに入ってるマメを、 わざわざ右手で取り出すのか? シャツの左のソデに、 わざわざ右ウデを通すのか? バスガイドさんに『右手を ごらんください』と言われて‥‥ アンタだけ、 わざわざ左を見るのかッ! |
成: | そ、そういうイミでは‥‥ |
五: |
イヤホンをハメとった側の 手に決まってるだろうがッ! |
成: |
いてててて! (つまり、<<モノクル>>をつけた ほうの手‥‥左手か‥‥) |
成: | 自信たっぷり、ですね。 |
五: |
だってワシ、見たからの! アンタがなんと言おうと! |
成: |
(たぶん、ホントに 見たんだろうな‥‥ ‥‥さすがに、 つっこみようがないもんな) |
真: | どう? なるほどくん。 |
成: |
イガラシさん‥‥ホントのコトを 証言しているとしか思えない。 それなのに‥‥ どう考えても、おかしい点がある。 |
真: |
ホント! じゃ、じゃあ、 たたきつけてやろうよ、証拠をさ! |
成: |
(でも‥‥ウソをついてないのに、 なぜ、ムジュンするんだ‥‥?) |
五: |
『最初にくれぐれも言っておく。 大したコトでもなく、自信もない!』(証言1) 『コーシーを飲んだ瞬間、ワカゾウは 机につっぷしたのだが‥‥』(証言2) 『ヤッコさん、ハデにひっくり返した のだ! その‥‥花ビンをな!』(証言3) 『花ビンは割れて、机にかかっていた 布キレも、ビショビショになった!』(証言4) 『‥‥どうだ! さすがにコレは ひっくり返せまいて!』(証言5) |
成: |
あの‥‥できれば、自信があって ゆさぶりがいのある証言を‥‥ |
五: |
うるさいわッ! 今、ワシは手負いのイノシシより タケり狂っとるのだ! この証言で、 アンタと最後の大勝負だッ! |
成: |
いてててて! (マメのパワーが強くなってる。 ‥‥キケンだな) |
真: |
バシッと決めていこう! なるほどくん! |
成: |
それは、さっきも 聞きましたが‥‥ |
五: |
わかっとる! コイツは、 ハナシの”まくら”だ! このあとのサスペンスを 盛り上げるためのテクニックだよ! |
成: | さ、さすぺんす‥‥ |
五: |
なんだったら、 もっと引っぱるか? |
裁: |
いやいやいや! アッサリ風味でおねがいします! |
五: |
そう‥‥あのワカゾウが 机に、バッタリ行ったとき‥‥ |
成: | 花ビン‥‥ですか? |
五: |
あのメシ屋の机の上には、 花ビンが置かれとるのだ。 ”倒してください”と言わんばかり の、きわめて不安定な花ビンが! |
成: |
(そういえば、たしかに‥‥ ‥‥ぼくがランチを食べた テーブルにも、花ビンがあった) それが倒れるところを 見たわけですか? |
五: |
まあ‥‥ややアヤフヤ、かつ ややアイマイで、ややオボロゲ‥‥ |
成: | ‥‥もう、いいです。 |
五: |
とにかく、花ビンがコワれた音と 光景は、目に焼きついとる! |
成: | 水がこぼれたわけですか。 |
五: |
そうだ。ワシのヒザにも かかった。 |
成: |
‥‥証人は、被害者の向かい側の テーブルに座っていたんですよね? それなのに‥‥ 水がかかったんですか? |
五: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ だって、冷たかったもんね! ヤツが倒れたとき。 |
成: |
(そんなにも、とび散るものか? 花ビンの水なんて‥‥) |
成: |
被害者のテーブルの花ビンが倒れて 割れたコト、ですか? |
五: |
花ビンが”ひっくり返った”コトと 証言が”ひっくり返る”コト‥‥ ちょっとシャレがきいとるだろ! そこを聞いていただきたかった! いかがか! 大将! |
ゴ: |
‥‥いいんじゃねえか。 どうでも。 |
成: |
(さっきから、まったくクチを 挟まないな、ゴドー検事‥‥) |
五: |
セコいネタかもしれんが、 これが勝負だ、ワカゾウ! これでワシが負けたら、 いさぎよくシャッポをぬぐワイ! |
成: |
‥‥オジさん、ギラギラした目で ニラんでるな。真宵ちゃんを。 |
真: |
なるほどくんでしょ! ”ムジュンがあるなら、 言ってみやがれ”って感じだね。 |
成: |
しょうがないな。 手みじかに言ってやるか‥‥。 |