成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
須々木 マコ…橙 | |
芝九蔵 虎之介…紫 | |
鹿羽 うらみ…灰 | |
本土坊 薫…桃 | |
五十嵐 将兵…紺 | |
小池 けいこ…黄 |
本: |
『事件があったとき、お客さんは 2人っきり、だったわねえ。』(証言1) 『あの日‥‥実はウチ、インテリアの 改装工事をしてたのよォ。』(証言2) 『テーブルのあいだに、大きな カガミが置かれたりしたわぁ。』(証言3) 『あのオジさん、それを 見ちゃったんじゃないかしらねェ。』(証言4) 『カップの手に、イヤホンにメガネ。 ゼンブ、左右が逆だったんだから。』(証言5) |
成: |
その、”2人のお客さん” というのは‥‥? |
本: |
モチロン、亡くなった 若い男のコと‥‥、 もう若くない男のコの フ・タ・リ。 |
裁: | ふむう‥‥きのうの証人、ですか。 |
成: |
(マコちゃんが見た ”もう1人の客”‥‥ やはり、その存在を認める つもりは、ないみたいだな‥‥) |
真: | 何か、証拠がないとねえ‥‥。 |
成: |
しかたない。他のところを 攻めるとするか。 |
成: |
い‥‥インテリアの‥‥? 初めて聞きましたけど‥‥ |
本: | あら。そうだったかしら。 |
成: |
どうして今まで、 ダマっていたんですか! |
本: |
おかしいわねえ。まっ先に 話したつもりだったのに‥‥ |
裁: |
ちょっと、いいですかな。 その。インテリア、というのは やはり、インテリゲンチャの‥‥ |
成: |
いえいえ。インテリアというのは、 ”内装”のコトです。 カベとか床のジュータンとか、 家具とか‥‥ |
裁: |
‥‥ああ、はいはい。 そっちですか。 |
本: |
もうちょっと、オトメな感じに したくって。 ダイタンに模様がえ しようと思ったのよぉ。 |
成: |
”大きなカガミ”‥‥というのは、 どれぐらいの? |
本: |
はばが4メートル、高さは‥‥そう 2メートルぐらい、かしら。 |
成: | (‥‥でけェ!) |
本: |
天井に、バーンと はってやろうかと思ったワケね。 |
成: |
て、天井‥‥ですか? (カガミなんて、あったっけ?) |
本: |
まあ‥‥ケッキョク、 やめちゃったんだけど。 |
成: |
(どうする? もっと詳しく 聞いてみるか‥‥?) |
成: |
(そこまで大きなカガミについて ウソをつくはずがない‥‥ きっと、カガミは店内に あったんだろう) |
ゴ: | ‥‥‥‥‥ |
裁: |
ふむう‥‥。大きなカガミに、 被害者の姿が写った‥‥と。 |
成: |
そんな大きなカガミがあったら、 だれかが証言するハズです! 五十嵐さんも、被告人も‥‥ ヒトコトも言っていません! |
本: | そ、それは‥‥ |
ゴ: |
‥‥聞かなかったアンタが ワルいぜ、まるほどう‥‥ |
成: | なんですって‥‥ |
ゴ: |
事件の前日‥‥、たしかに カガミは吐麗美庵に届いている。 |
成: | え‥‥! |
ゴ: |
インテリアの改装は、たしかに 行われたのさ。 まあ‥‥そのカガミは 使われなかったようだが。 |
成: |
(‥‥アヤしすぎるな‥‥ たとえ、カガミが吐麗美庵に 届けられていたとしても‥‥ それが店内にあったかどうかは 立証されていない!) |
ゴ: |
クッ‥‥! ニラむなら、 カガミの中の男にすることだ。 ‥‥きっと、アンタをニラみ返して くれるコトだろうぜ‥‥。 |
裁: |
ふむう‥‥。大きなカガミに、 被害者の姿が写った‥‥と。 |
成: |
ふつう‥‥気がつきませんか? カガミなんですから。 |
ゴ: |
<<ふつう>>‥‥か。そんな コトバに、なんの重みがある? コトなかれ主義者の 泣きゴトよりタチが悪いぜ。 |
成: | ‥‥どういうことですか? |
ゴ: |
”ふつう、あり得ない” ‥‥そんなコトを言い出したら、 そんなギザギザな弁護士や、 チョンマゲのおじょうちゃん‥‥ それに、こんな仮面をつけた 検事に‥‥居場所なんかねえぜッ! |
成: | ぐ‥‥ッ! |
真: |
いくらなんでも チョンマゲはないでしょッ! |
裁: |
まあ‥‥たしかに。 ”ふつう”というコトバは、 なんのコンキョにも、なりません。 |
本: |
じゃあ‥‥これで、 スジはとおったワケよねえ‥‥。 |
成: | 見たもの、ゼンブ‥‥ですか。 |
本: | ウイ。 |
真: |
‥‥マメのオジさんの証言、 もう一度、思い出してみようよ! |
成: |
(あのおジイさんが、セイカクに なんと言ったか‥‥?) |
五: |
『ヤツは、メガネをかけたほうの耳に ラジオのイヤホンをハメとった! まちがいないぞ! ブチこんで やがったのさ。左の耳にな! そしてそのまま、その手で コーシーを飲んだ。左手でなッ!』 |
真: |
‥‥これが、カガミに写っていた 姿だったのなら‥‥ ”左”だったのが、みんな”右”に なるワケだよね。 |
成: |
(それで‥‥この証言、おかしな ところはなくなるのか‥‥?) |
ゴ: | クッ‥‥! |
成: |
(‥‥それにしても、 ”カガミ”なんて‥‥) |
真: |
マメのオジさん。カガミに写った 姿を見ただけなの? |
成: |
そうなると‥‥あの証言に、 ムジュンがなくなるよ。 |
真: |
マコちゃんの立場が、 悪くなっちゃうね! あのオジさんの証言‥‥ もっと、よく考えてみようよ! |
本: |
『カガミは、テーブルの列を2つに わけるように置いてあったの。』(証言1) 『カガミに写った被害者を見ることが できる席は、ひとつしかないわね。』(証言2) 『それは、被害者のトナリよお。 そこが、オジさんの席だったのね!』(証言3) 『事件が起こって、さすがにジャマ だったから、カガミをどかしたの。』(証言4) 『でも、他のモノにはいっさい、 手を触れていないわあ。』(証言5) |
成: |
上面図でカクニンすると‥‥ ここですね? |
本: | ウイ。 |
成: |
”うい”じゃありませんよ! なんでこんなジャマなところに カガミなんか‥‥! |
ゴ: |
‥‥アンタに”ジャマ”を 語る資格はねえぜ。 |
成: | はい‥‥? |
ゴ: |
目ざわりなところに 立ちやがって‥‥ |
成: |
いやいや! ここ、 ぼくの席ですから‥‥! |
ゴ: |
あのレストランの基本スタイルは 『客がいない』ってトコだ。 ‥‥一時的にカガミがあっても、 ジャマにはならねえさ。 アンタとちがってな。 ‥‥まるほどう。 |
本: |
とにかく、カガミは 置いてあったワケなのよぉ。 |
成: | それは、どこですか! |
本: |
あらあら。そんなに 身を乗り出しちゃって。 おネエさん、年下キラーだから‥‥ もっと、ジラしちゃおうかしら。 |
裁: |
証人! 知っているコトは さっさと証言するように! |
本: |
おネエさん、オジサマキラーだし。 さらにジラしちゃおうかしら。 |
裁: | むぐぐぐ。 |
ゴ: |
オレにはアツいコイビトがいる。 ‥‥いくらでも、待つぜ。 |
真: | アツいコーヒー飲んでるよ‥‥。 |
本: |
カガミに写った被害者を見るコトが できるテーブル‥‥ |
成: |
どうして、そういうコトに なるんですか? |
本: |
だ・か・ら。‥‥上面図を 見れば、わかるでしょお? 被害者の姿は、こんなふうに カガミに反射するワケだから‥‥ ホラ。トナリにいれば、 ハッキリ見えるじゃない! |
真: |
マメのオジさん、あの席に 座ってたワケだね。 ‥‥事件が起こったとき。 |
成: |
(オジさんが、被害者のトナリに 座っていた‥‥ なんか、おかしくないか‥‥?) |
成: |
それは‥‥イガラシさんが 警察を呼びに行っているあいだに? |
本: |
そうよお。お店のソトに 運びだしたわけ。 |
成: |
そんなデカいカガミ、ひとりで 持てたんですか? |
本: | おネエさん、モテモテだから。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
ゴ: | ククッ‥‥。 |
真: | ご‥‥ゴドー検事が笑ったよ! |
裁: |
まあ‥‥‥、その体格なら 可能でしょうなあ。 証人。他に、現場から 動かしたモノはありますかな? |
本: |
セワ好きなオンナに 見えるでしょ? ワタシ。 |
成: | まちがいありませんね? |
本: |
カガミをどかした以外は、 何も触ってないの。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
弁護人? 何か現場に、おかしな 点でもあるのですかな? |
成: |
(ハッキリしないんだけど‥‥ 何かモヤモヤするような‥‥) |
ゴ: |
クッ‥‥! 弁護士さんは ムネヤケ‥‥みたいだぜ。 |
本: |
そんなときはコレ。ローズマリーと ミルラとレモンのエッセンスを‥‥ |
ゴ: |
コーヒーにいれて、 飲んでみるがいいぜ。 |
成: |
(とにかく、何か証拠を 探すしかない、か‥‥) |
真: |
やっぱり‥‥おかしいよね? そんなにおっきなカガミのコト、 ダレもなんにも言わない、なんて。 マコちゃんも、 マメのオジさんも‥‥ |
成: |
”吐麗美庵の店内に、カガミなんか なかった‥‥” たしかに、そう考えるほうが 自然だな。 (なんとかして、立証しよう! 店内に、カガミはなかった‥‥) |
もの”‥‥とは!」 | |
成: |
”あるべきでないもの” ‥‥もちろん、コレです! |
裁: |
‥‥どれ、ですかな? よくわかりませんでした。 |
成: | え‥‥。 |
ゴ: |
クッ‥‥! しかたねえ。 オレが教えてやろうか‥‥ ”あるべきでないもの” ‥‥それは‥‥ッ! |
成: |
や、やっぱり 考えなおします! (コーヒーの雨に打たれそうな 予感がする‥‥) |
裁: |
‥‥それでは、気を取りなおして。 証人。もう一度、最初から 証言をおねがいします。 |
本: | ウイ。よろこんで‥‥! |
ムジュンしますからね!」 | |
成: | ‥‥いかがですか! |
裁: |
そうですなあ‥‥。 ”アキラカなムジュン”と 言ったワリには‥‥ そうでもなかったですね。 |
成: | ‥‥はあ。 |
裁: |
次回チャレンジするときは、 そのへんを考えるように。 |
成: |
じ‥‥”次回”‥‥? (ハズレ‥‥ってコトか‥‥) |
裁: |
‥‥それでは、気を取りなおして。 証人。もう一度、最初から 証言をおねがいします。 |
本: | ウイ。よろこんで‥‥! |
ムジュン。‥‥その原因は‥‥!」 |
|
成: |
カンタンに考えれば、証人の カンちがい、ではないでしょうか。 |
ゴ: |
まるほどう‥‥ そもそも、このムジュンを 持ち出したのは、キサマだぞ。 |
成: | え‥‥ |
ゴ: |
ジイさんの証言を”カンちがい”で すませるならば‥‥ そこのウエイトレスは、今すぐ 有罪じゃねえか! |
裁: |
今すぐ有罪に しておきましょうか? 弁護人。 |
真: |
カンタンに考えすぎだよ、 なるほどくん! |
成: |
す、スミマセン。 カンちがいは、ぼくでした‥‥ |
裁: | もう一度! よく考えてください! |
成: |
ここは、発想を逆転させて‥‥ 耳鼻科のカンちがいだったのでは! |
裁: | ‥‥はい? |
成: |
つまり、左耳のコマクが破れて いたのは、医者のカンちがいで‥‥ |
ゴ: |
検死の結果は、きのうの裁判で 報告されたぜ、まるほどう‥‥ 左耳のコマクが破れて、ついでに クスリが検出された、と‥‥! |
裁: |
あなたのコマクが破れていないか シンパイになってきました。 |
真: |
こんなところで発想を 逆転して、どうするの! |
成: |
す、スミマセン。 カンちがいは、ぼくでした‥‥ |
裁: | もう一度! よく考えてください! |