成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
神乃木 荘龍…薄橙 | |
御剣 怜侍…茶 | |
裁判官…黄 | |
無久井 里子…紫 | |
尾並田 美散…緑 |
糸: |
『美柳刑事は事件当日、ナニモノかに 電話で呼び出されたッス。』(証言1) 『彼女は指定された時間におぼろ橋へ 行き、そこで犯人に会ったッス。』(証言2) 『そして‥‥彼女は、ムザンにも 殺害されてしまったッス。』(証言3) 『犯人は、死体をクルマのトランクに 詰めこんで、逃げようとしたッス。』(証言4) 『山のふもとに展開された検問で、 尾並田は逮捕されたッス。』(証言5) 『後部トランクの写真ッス。 ヘンなトコロは見あたらないッス!』(証言6) |
千: |
山奥の吊り橋‥‥ どうして、そんなところに? |
糸: |
それは‥‥被告人にとって、 忘れられない場所だったからッス。 |
裁: | どういうことですか? |
御: |
今から5年前。‥‥被告人は 営利誘拐をくわだてたのだが‥‥ 吊り橋の上に追いつめられ‥‥ 人質の少女を殺害してしまう。 その現場が‥‥ <<おぼろ橋>>の上だったのだ。 |
千: | ‥‥‥! |
糸: |
橋の上で、彼に手錠をかけたのが ‥‥美柳巡査部長だったッス。 |
ゴ: |
クッ‥‥! 思い出の場所で、 運命の再会、ってワケか‥‥。 |
千: | 死体は、すぐ発見されたのですか? |
糸: |
そッスね。 ワレワレは素早いッスから。 犯行から1時間もしないうちに、 犯人を追いつめたッス。 『動くな! ワレワレは完全に包囲 されているッ!』‥‥みたいな。 |
千: |
(‥‥なんか、 おかしくない? 千尋‥‥) |
神: |
‥‥現場は、山奥の吊り橋だ。 ”なぜ、そんなに早く 事件が発覚したのか”‥‥? |
千: |
美柳巡査部長が、電話の内容を 報告していたから、でしょうか? |
神: |
クッ‥‥! もし、そうしていたら 彼女は殺されなかっただろうぜ。 |
糸: |
尾並田からの電話は、報告されて いなかったッス。ただ‥‥ 机の上に、被害者の メモが残っていたッス。 もう少し早く気づいていれば‥‥ 彼女は死なずにすんだッス。 |
千: |
(なぜ‥‥被害者は、電話のことを 報告しなかったのかしら‥‥) |
千: |
ずいぶん、手回しが よかったんですね。 |
糸: |
いやー、あぶない ところだったッス。 検問が設置されたのが、 午後5時すぎッスから‥‥ 尾並田を取り逃がしても フシギじゃなかったッス。 |
千: | ‥‥どういうことですか‥‥? |
御: |
2人が会うヤクソクをした時刻は 午後4時30分だった。 検問のポイントから橋までは、 クルマで約30分‥‥だ。 |
千: |
(‥‥たしかに、 ギリギリだったワケね‥‥) |
千: |
この写真について、被告人は どう言ってるんですか? |
糸: | もー、話にならないッス。 |
尾: |
『オレ、知らねえ! 何もやってねえ!』 |
糸: | ‥‥こればっかりッス。 |
裁: |
”何も”って‥‥。現に自動車を 盗んだわけでしょうが! |
糸: |
自分もそう言ってやったッス。 そうしたら、 |
尾: |
『‥‥‥‥‥‥‥‥‥う。 ゴメン。ちょっと、ウソついた。』 |
糸: | ‥‥だそうッス。 |
千: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
とにかく、ほとんど現行犯 逮捕だったわけですね。 |
御: | ‥‥そのとおり。 |
神: |
いいか、コネコちゃん。 この証言‥‥ワナが待ってるぜ。 |
千: | わわわ、ワナ‥‥ですか? |
神: |
ウカツに踏みこむと、キバをむく。 ‥‥楽しいじゃねえか。 |
千: | 楽しくありません! |
神: |
まあ‥‥情報を集めなきゃ 勝負にならねえ。 若いうちは、ワナに ハマっておくもんだぜ。 ムジュンを探すのは‥‥ それからでも遅くねえ。 |
千: |
(ウワサに聞いてる”ムジュン”。 私に見つけられるかしら‥‥) |
千: |
裁判長! ただ今の証人の 発言を、どう思われますか! |
裁: |
なんとも思いません。 あなたは、いかがですかな? |
千: |
‥‥‥‥‥‥‥ 私も、ベツに。 |
裁: | じゃあ、問題ありませんね。 |
千: |
(問題ないなら、 見逃してくれればいいのに) |
千: |
この証拠品は、被告人のウソを 立証していますよね? |
裁: | 私にカクニンを求めないように! |
千: |
す、すみません。‥‥私、弁護席に 立つの、今日が初めてですから‥‥ |
裁: |
‥‥忘れられない法廷に してあげましょう。 |
千: |
(新人なんだから、サービス してくれればいいのに‥‥) |
千: |
今の証言‥‥この証拠品と ムジュンしていますっ! |
裁: |
申しわけないが‥‥ あなたの、その人差し指のほうが ムジュンしているのでは‥‥? |
千: |
‥‥‥‥‥‥‥ あるいは、そうかもしれません。 |
裁: |
‥‥もう一度、 考えなおしていただきましょう。 |
千: |
(大丈夫! 人差し指は、 ヒトをさすためにあるんだから) |
裁: |
そこまで! 本法廷は、これ以上の審議の 必要性を認めません。 さらに、被告に対する判決を 決める時間も、必要としません。 これは、きわめて明白な事件です。 疑問の余地はない! 被告人、成歩堂 龍一に たった今、判決を言いわたします! |
裁: | では、本日はこれにて閉廷! |
敗訴 |