成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
神乃木 荘龍…薄橙 | |
御剣 怜侍…茶 | |
裁判官…黄 | |
無久井 里子…紫 | |
尾並田 美散…緑 |
里: |
『私‥‥おととしまで、ずっと この国にいなかったんです。』(証言1) 『大学に入るまで、吾童山にも 行ったことはありません。』(証言2) 『わたしに、お動機なんて あるハズがありませんのよ。』(証言3) 『5年前、自分を逮捕した刑事さまを 逆恨みして、殺害なさるなんて‥‥』(証言4) 『ユーカイまでなさっているのに。 被告人さま、ヒドいひとです!』(証言5) 『白いマフラーを持っていなくて わたし、ラッキーでしたのね。』(証言6) |
千: | じゃあ‥‥どの国にいたんですか? |
里: |
あの、わたし‥‥。 帰国子女なんです。 |
御: |
内乱の激しい国で両親を失い、 ひとりで帰国されたと聞いている。 |
里: |
だから‥‥身分を証明できる ものが、1つもなくて‥‥。 |
千: |
(なんてテキトーな 身の上なの‥‥ ‥‥どうしよう。 詳しく聞いたほうがいいかな?) |
千: |
(”身分を証明できない”と 言われては、どうしようもない。 彼女の正体を立証できる証拠が 見つかるまで待つの、千尋!) |
裁: |
それでは、証人。 つづけてもらいましょうか。 |
千: |
‥‥証人。 質問に答えてください。 『どこの国にいたのか?』 ハッキリさせましょう。 |
御: |
‥‥証人がどこの国にいて、 何カ国語をあやつろうが‥‥ この審理には関係ない。 重要なのは‥‥ ‥‥証人が、事件と いかなる関係にあるか‥‥? |
里: |
わたし、おさないころから 外国生活でしたから‥‥ 尾並田さまも、美柳刑事さまも 存じあげませんわ。 |
御: |
そう‥‥。それが、 ただ1つのポイントなのだ‥‥ |
裁: |
そのとおりですな。 では、証人。今の発言を 証言に加えてもらえますかな? |
里: |
もちろん、よろこんで。 ‥‥オジサマ。 『だから‥‥当然、被害者も 犯人のかたも、知りませんの。』(証言7) |
千: |
そもそも、どうして 吾童山へ行ったのですか? |
里: |
わたし、ハイキングと ピクニックが大好きですの。 |
千: |
(どうちがうのかしら? その2つは‥‥) 吾童山は、この街からクルマで 2時間、電車も通っていません。 もっと近くて便利な山が いくらでもあるのに‥‥ |
里: |
大学の<<さんぽ同好会>>で一度、 みなさんと参りましたの。 荒れはてて打ちひしがれた、 うすらサムい感じが気に入って‥‥ |
千: |
(変わったシュミね‥‥) ところで、大学というのは、 どちらの‥‥? |
御: |
証人の身分に関する質問は、 検察側はいっさい認めない。 |
千: | ‥‥! |
御: |
かんじんなのは、彼女が 『事件を目撃したこと』のみ。 非道なる弁護人の悪意にみちた 質問に、答える必要はない。 |
里: |
そうです! あんまりですわ‥‥ |
裁: |
ぬうううう‥‥。 弁護人! ユルしませんぞ! |
千: |
(そんなにヒドいコトを 聞いたのかしら、私‥‥) |
千: |
でも! あなたの事件当日の 行動は、かなり疑わしい! 証言はムジュンしているし、 犯人しか知らない情報‥‥ トランクのキズのことも 知っていました。 |
里: | そ、それは‥‥ |
御: |
ザンネンながら、弁護士クン。 それはなんの証拠にもならない。 |
千: | なぜですか! |
御: |
証人には、被害者の特定のため 一度、検察局に来てもらっている。 そのとき‥‥この写真を、係官が 見せた可能性があるのでね。 |
裁: |
ぬうううう‥‥。 それは、あるまじきミスですな。 |
神: |
クッ‥‥! 出たぜ。 検察側、お得意の戦法だ。 |
千: | そ、そんな‥‥! |
里: |
わたし‥‥ユルせないんです。 あの日見た、囚人服のかた‥‥ |
千: |
(これ以上、尾並田さんのウッカリ ぶりが強調されちゃったら‥‥ 裁判長に、よけい悪い印象を 与えかねないわ‥‥) |
裁: |
忘れっぽい人間は、 信用できませんね。 1週間前の今日、何を食べたか? ‥‥最低でも、それぐらいは 押さえておきたいものです。 ちなみに私は、給料日だったので 家族でスキヤキをいただきました。 |
千: | (‥‥だから何よ!) |
御: |
スキヤキにしろ、犯罪にしろ、 自らの行いを否定してはいけない。 ‥‥そういうことだ。 |
千: |
(これ以上、尾並田さんのウッカリ ぶりが強調されちゃったら‥‥ 裁判長に、よけい悪い印象を 与えかねないわ‥‥) |
裁: |
忘れっぽい人間は、 信用できませんね。 1週間前の今日、何を食べたか? ‥‥最低でも、それぐらいは 押さえておきたいものです。 ちなみに私は、給料日だったので 家族でスキヤキをいただきました。 |
千: | (‥‥だから何よ!) |
御: |
スキヤキにしろ、犯罪にしろ、 自らの行いを否定してはいけない。 ‥‥そういうことだ。 |
千: |
この事件のことは 知っていたのですか? おととしまで、この国には いなかったんですよね? |
里: |
脱走なさった死刑囚さまのこと、 ニュースで拝見したものですから。 わたし流に調べてみましたの。 ワイドショーなどを参考に。 |
裁: |
5年前、あなたはまだ、 外国にいらっしゃったワケですな? |
里: | ええ‥‥。 |
千: |
”ラッキーだった” というのは‥‥? |
里: |
だって‥‥今は2月ですから。 みんなマフラーをしています。 もしグーゼンに、指定どおりの 白いマフラーをしていたら‥‥ |
御: |
証人自身が、キケンに さらされたかもしれない。 |
裁: | ぬうううう‥‥ッ! |
神: |
クッ‥‥! 今のゆさぶりは よけいだったぜ‥‥ |
千: | 神乃木さん‥‥ |
神: |
ようすを見ているうちは、 ゴールは目に入らねえ。 早いトコ、つかまえないと‥‥ 法廷の女神、そっぽ向いちゃうぜ! |
千: |
”ふたりを知らない”‥‥ まちがいありませんね? |
里: |
ええ。わたし、 人見知りするほうですから。 |
裁: |
ぬうううう‥‥ それは、しかたないですねえ。 |
千: | (イミがわからない‥‥) |
裁: |
吾童山の吊り橋の上で、初めて ふたりを見たわけですか? |
里: |
ええ‥‥。本当に、 グーゼンだったんです。 |
千: |
(こんなテキトーな証言で 逃がすワケには行かない‥‥!) |
神: |
彼女はかならず、この事件に 深く関わっているはずだ。 あのカワイコちゃんの ”正体”‥‥暴いてやろうぜ。 |
千: |
‥‥たしかに、尾並田さんは、 美柳 勇希さんに要求しました。 <<白いマフラーを用意するように>> 被害者のメモに書かれています。 |
裁: | それが、何か‥‥? |
千: |
”何か”じゃありません! あきらかにヘンじゃないですか! そのメモの内容を‥‥、どうして この証人が知っているのですか! |
里: | あ‥‥ッ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! それは‥‥やや不自然ぎみですな。 まさか、御剣検事くん。 証人に、みだりにゴクヒ資料を 見せているワケでは‥‥? |
御: |
そ、それは‥‥さすがに、 そのような許可はしていない。 |
千: |
それならば! この証人が メモの内容を知っているはずが‥‥ |
里: |
お、お待ちくださいなっ! わたし‥‥そんなメモなど、 もちろん知りませんわ! ただ‥‥事件があったとき、 この目で拝見いたしましたの。 被害者のかたが、ハンニンと お会いになったとき‥‥ ご自分のマフラーを、あのかたに お示しになったんです。 だから、わたし‥‥白いマフラーが 目印なんだと思いましたの。 |
裁: |
ぬうううう‥‥それなら、 スジは通りますかな。 |
千: |
(どんなスジも通すワケには 行かないわよ、千尋!) ‥‥証人! 悪いけど、 あなたの主張は通らないわ。 |
里: |
ど、どうしてですの! だってわたし、拝見しましたのに! |
千: |
被害者が、現場で白いマフラーを 見せられるハズ、ありません! |
千: |
‥‥これが、それを立証する 致命的な証拠ですっ! |
里: | ‥‥‥‥‥‥ |
御: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
それが‥‥ 致命的な証拠、なのですか? |
千: |
ええ! ‥‥私の考えが正しければ。 |
御: |
フッ‥‥それでナゾは解けた。 コタエはカンタンだ。 弁護人の考えは正しくなかった。 ‥‥それだけのコト。 |
千: | え‥‥‥ |
神: |
たのむ。ソイツを引っこめてくれ。 オレまでミジメになっちまうぜ。 |
裁: |
弁護人には、致命的な ペナルティを与えます。 |
千: | (し‥‥しまった‥‥!) |
里: |
やっと信じていただけましたか? わたしの申し上げたこと‥‥。 |
千: |
(こんなところで、モタモタ してる場合じゃないわ‥‥!) ‥‥証人! 悪いけど、 あなたの主張は通らないわ。 |
里: |
ど、どうしてですの! だってわたし、拝見しましたのに! |
千: |
被害者が、現場で白いマフラーを 見せられるハズ、ありません! |
千: |
‥‥あなたは、さっきから 何度も証言していますね。 被害者のマフラーの色は <<白>>だった、と。 |
里: |
‥‥ええ。それが どうかいたしまして‥‥? |
千: |
それは、こっちが聞きたいわね。 ‥‥無久井 里子さん。 ごらんなさい。 これが、被害者のマフラーです! |
里: | あ‥‥‥! |
千: |
この色を、どう表現するかは 人それぞれでしょう。‥‥しかし! 決して<<白>>ではない! あなたは、このメモの内容を 知っていたのです! |
御: |
メモの‥‥内容‥‥‥? ああああああっ! |
千: |
‥‥<<目印に、白のマフラー>> だからこそ! マフラーの色を <<白>>と表現してしまったのです! |
<<白>>だとカンちがいした理由は!」 | |
千: |
‥‥これが、それを立証する 致命的な証拠ですっ! |
里: | ‥‥‥‥‥‥ |
御: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
それが‥‥ 致命的な証拠、なのですか? |
千: |
ええ! ‥‥私の考えが正しければ。 |
御: |
フッ‥‥それでナゾは解けた。 コタエはカンタンだ。 弁護人の考えは正しくなかった。 ‥‥それだけのコト。 |
千: | え‥‥‥ |
神: |
たのむ。ソイツを引っこめてくれ。 オレまでミジメになっちまうぜ。 |
裁: |
弁護人には、致命的な ペナルティを与えます。 |
千: | (し‥‥しまった‥‥!) |
裁: |
そもそも‥‥立証など できるのですかな? 証人が、このマフラーの色を 白だとカンちがいした理由など‥‥ |
1つしか考えられません!」に合流) |