第4話『始まりの逆転』第1回法廷(その4)

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成歩堂 龍一…黒
綾里 千尋…赤
神乃木 荘龍…薄橙
御剣 怜侍…茶
裁判官…黄
無久井 里子…紫
尾並田 美散…緑
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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同日 午後1時14分
地方裁判所 被告人第4控え室

千:尾並田さ
尾: うがーーーー!
千: きゃああ!
ゴメンなさいゴメンなさい!
尾: オレ、モーレツにカンドー。
アンタ、恩人。
千: あと、1歩です!
彼女の犯行を立証できれば‥‥
神: ‥‥そこに、もう1つのカベが
立ちふさがるだろうぜ。
千: か、”カベ”‥‥ですか?
神: 無久井 里子が‥‥なぜ。
あの婦人警官を殺害したのか‥‥?
千: (”動機”‥‥)
神: とにかく‥‥オレたちには、
致命的に情報が足りねえ。
千: 情報‥‥‥
神: まず、足りねえのは
無久井 里子に関する情報だ。
”文学部の学生”
オレたちは、それしか知らねえ。
そして‥‥もう1つ。
千: ‥‥なんですか!
神: もちろん‥‥5年前の事件だ。
このシマシマが死刑判決を
受けた、例の誘拐殺人事件さ。
尾: オレ! なんにもしてない!
オレ! ウソ、つかない!
千: 尾並田さん! それならば‥‥
私たちに、話してくれますか?
‥‥5年前の事件のこと。
尾: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
わかった。‥‥オレ。
アンタ、信じる。
5年間‥‥毎日。ユメ、見る。
‥‥あの日のコト‥‥
この写真‥‥ナツカシイ。
おぼろ橋、変わってない。
5年前も、こんな感じ‥‥
‥‥ボロボロに壊れて、
今にもくずれそうだった。
千: (5年前から壊れていたんだ‥‥
この吊り橋‥‥)
神: クッ‥‥! ボロボロでくずれそう
なのは、おたがいサマだがな。
尾: ‥‥オレ。オレ‥‥
たしかにユーカイ、した。
‥‥5年前。オレのコイビト‥‥
美柳 ちなみを。
千: こここ、コイビト‥‥?
神: ‥‥おい! ちょっと待てよ。
”みやなぎ”だと‥‥?
千: (被害者と‥‥同じ名字!)
尾: 美柳 ちなみ‥‥イモウト。
‥‥美柳 勇希の。
千: な‥‥なんですって!


その子を‥‥人質をはなしなさい!

ダマれ! ち、近寄ると‥‥
ヒトジチ、殺すッ!

‥‥ザンネンだったわね。
あなたは、ここまでよ‥‥。

千: (あのときの刑事が‥‥
美柳 勇希だった)
人質をとった犯人に発砲なんて、
やりすぎだと思ってたけど‥‥
妹さんを助けるため
だったんですね‥‥
尾: ちがう! あのオンナ‥‥勇希!
裏切った! オレたちを!
千: ”裏切った”って‥‥
どういうことですか!
尾: ゼンブ。‥‥ゼンブ‥‥
狂言だった。‥‥ユーカイ。
千: ‥‥”狂言”‥‥?
尾: 彼女‥‥ちなみ。
オレの、天使。宝物だった。
千: (いまどき”テンシ”と
来たか‥‥)
尾: アイツの言うコト、なんでもやる。
ちなみに言われたコトだったら‥‥
千: (”ちなみに言われた”‥‥?)
ちょ、ちょっと待ってください!
じゃあ‥‥5年前の
誘拐を計画したのは‥‥?
尾: オレと、ちなみ。
‥‥勇希も、仲間だった。
千: (勇希さんも‥‥!)
尾: ちなみの家‥‥宝石商。金持ち。
宝石の1個ぐらい‥‥そう思った。
脅迫状、ちなみとオレが書いた。
‥‥彼女の父親に。
要求は、2億円相当のダイヤ。
受け渡し場所はおぼろ橋の上。
‥‥取引相手が、美柳 勇希。
刑事になったばかりだった。
神: 刑事が仲間にいれば、たしかに
有利だっただろうぜ。
その3人で、2億を山わけする
はずだった、ってワケか‥‥
尾: ‥‥でも! あのオンナ‥‥!
美柳 勇希‥‥アイツ、
ホンキだった。
ホンキで‥‥オレを撃った!
オレと、ちなみを‥‥

パァァァン!
尾: オレ。腕を撃たれた。そして
ちなみは‥‥川に身を投げた。
千: ”身を投げた”‥‥って、
自分から飛びおりたんですか!
尾: ‥‥オレにはできない!
ちなみ、つき落とすなんて‥‥
オレ。ボーゼンとして‥‥
気がついたらタイホされてた。
神: それで‥‥死刑判決を
受けたワケか‥‥
尾: 信じられなかった。あのオンナ‥‥
オレを裏切るなんて!

勇: 『あのオトコは‥‥尾並田は
突きおとしたんです! 私の妹を!
12メートルも下の、急流に!
私の目の前で、ちなみを‥‥!』

尾: ‥‥この5年間。オレ。死ぬ前に、
どうしても聞きたかった。
なぜ‥‥どうして、あんなウソを!
それだけ、ずっと考えていた。
神: だから、美柳 勇希を‥‥
呼びだした。‥‥おぼろ橋に。
尾: ‥‥アイツのカオ、忘れていた。
マフラー、つけさせた。
殺すつもり、なかった!
‥‥ただ、聞きたかった。
どうして、ウソの証言をした‥‥?
どうして、オレを裏切った‥‥?
‥‥どうしても聞きたかった。
彼女自身のクチから。
千: (だから‥‥
望みのない脱走を‥‥)
神: すまねえが‥‥シマシマさんよぉ。
オレはビンボー症でな。
気になることがあるんだ。
千: ‥‥なんですか?
神: 決まってるだろう。
身代金‥‥2億円のダイヤさ。
アレはどうなったんだ?
オヤジさんに返したのかい?
尾: ‥‥知らない。
千: え。知らない‥‥?
また、そんな‥‥
尾: オレ。ホントに知らない。
ちなみといっしょに、消えた。
千: ‥‥ちなみさん‥‥?
尾: あの日、橋の上‥‥
身代金のダイヤ‥‥ちなみの
リュックサックに入っていた。
‥‥彼女といっしょに‥‥
橋の上から、消えた。
吾童川の、急流にのまれて‥‥
千: (ダイヤが”消えた”‥‥?
ちょっと、待ってよ‥‥)
係: ‥‥弁護人! 被告人!
そろそろ審理が再開します。
千: 尾並田さん!
最後に、1つだけ!
‥‥”彼女といっしょに”
ダイヤが消えた、ということは‥‥
美柳 ちなみさんの死体は?
どうなったのかしら。
尾: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
見つかっていない‥‥。
今も、まだ。
千: (見つかっていない‥‥!)
尾: 急流にのまれて‥‥消えたまま。
‥‥ちなみ‥‥オレの、天使‥‥
神: あんたの”天使”‥‥
いったい、いくつだったんだい?
尾: まだ‥‥14才。
千: じゅ‥‥じゅうよんさい!
(子どもじゃないの!)
神: 狂言誘拐を計画して、2億円の
ダイヤを抱いて急流に消えた‥‥
まったく‥‥最近の天使は
おマセさんだぜ。
千: (‥‥そして、尾並田さんは
死刑判決を受けた‥‥
”美柳 ちなみ”‥‥
天使なのか、それとも‥‥)
神: ‥‥時間だ、コネコちゃん。
どうやら、武器を手に入れたな。
千: ‥‥はい!

証拠品<<ダイヤモンド>>のデータを
法廷記録にファイルした。
神: エンリョすることはねえ。
パンチは、打てるときに打て!
‥‥そいつが、オレのルールだぜ。


同日 午後1時49分
地方裁判所 第4法廷

裁: それでは、尾並田 美散の審理を
しめやかに再開いたしましょう。
‥‥証人。もう大丈夫ですか?
里: は、はい‥‥すみません。
わたし、がんばりますね。
裁: ぬうう‥‥。
ケナゲですな、まったく。
千: (まだ言ってる‥‥)
御: ‥‥弁護人が、依頼人を助けたい
気持ちはリカイできる。
しかし! その罪を、なんの関係も
ない証人に着せようとは‥‥
千: ど‥‥どういうことですか!
御: この証人は、あらゆるイミで、
この事件と接点がない。
たまたま吾童山中で事件を目撃した
‥‥それだけのコトだ。
そんな彼女が、なぜ! 婦人警官を
殺害しなければならないのか!
裁: ぬううう‥‥
たしかに、動機がありません。
千: (”動機”‥‥やっぱり
それが次の問題、よね‥‥)
裁: いかがですか? 弁護人。
立証できるのでしょうな?
千: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
あ、モチロンです! ‥‥たぶん。
神: クッ‥‥! だから
コネコちゃんなんだよ、アンタは。
千: 神乃木さん‥‥
神: 弁護士はなァ。ピンチのときほど、
ふてぶてしく笑うモンだぜ。
千:‥‥‥!
神: この状況で、思わずニヤけちまう
ヤツこそが、”プロ”なのさ‥‥。
千: ‥‥その、うれしそうな
ニヤニヤ笑い、やめてください。
里: あの‥‥ちょっと、
よろしいですか? オジサマ。
裁: ぬ! オジサマは、
いつでもよろしいですぞ!
里: 証言‥‥させて
いただきたいんです。
わたし、疑われているのですよね?
ですから、それが‥‥
ヒドいぬれぎぬだって、オジサマ
だけには、わかってほしくて。
裁: ぬうううう!
そうだったのですかっ!
神: ‥‥どうやら、あの証人のほうが
”プロ”らしいな。
千: ど、どうしてですか!
神: 見ろよ、あのまぶしい笑顔をよォ。
‥‥とびっきりピンチなのさ。
あのカワイコちゃんも、な‥‥。
裁: それでは! 証人の話を
聞くことにしましょう!

(証人自身について)
里: 『私‥‥おととしまで、ずっと
この国にいなかったんです。』(証言1)
『大学に入るまで、吾童山にも
行ったことはありません。』(証言2)
『わたしに、お動機なんて
あるハズがありませんのよ。』(証言3)
『5年前、自分を逮捕した刑事さまを
逆恨みして、殺害なさるなんて‥‥』(証言4)
『ユーカイまでなさっているのに。
被告人さま、ヒドいひとです!』(証言5)
裁: ぬうううう‥‥
この国にいなかった‥‥
御: そのとおり。
‥‥殺人の動機など、
持ちようがないではないか。
裁: うぬううう‥‥
神: ‥‥さてと。
ニッコリ行くぜ、コネコちゃん。
千: は‥‥はい!
(とにかく‥‥彼女と事件を
なんとかして結びつけるの‥‥)

(「証言4」をゆさぶる)
千: ”さかうらみ”‥‥?
里: あの。被害者のカタの証言が
キメ手になったのですよね?
被告人さまの‥‥
死刑判決の、キメ手に。
御: そのとおり。被告人は、
それをウラんでいたのだ。
‥‥自分の罪を棚に上げて‥‥

(綾里千尋「異議あり!」)
千: 尾並田さんは、5年前の罪を
認めていません!
里: ずいぶん、忘れっぽいのですね。
‥‥被告人さまは。
千:‥‥‥!
里: 刑事さまのコトはおろか、ご自分の
なさったことまでお忘れなんて。
千: どういうことですか?
里: 被告人さま‥‥刑事さまの
おカオ、お忘れだったのでしょう?
それなら、いっそ‥‥証言のことも
忘れてしまえばよろしかったのに。
千: (たしかに‥‥尾並田さん、
忘れっぽいみたいだけど‥‥)

(「さらにゆさぶる」を選択)
千: ”被害者のカオを忘れていた”
‥‥というのは?
里: だって、目印がなければ、ご本人と
わからなかったのですよね?
御: たしかに‥‥被害者は現場で、
目印のマフラーをしていた。
里: ‥‥もし、あの日。
白いマフラーをしていたら‥‥
わたし、あのかたに狙われたかも
しれないのですよね‥‥
裁: ぬうううう‥‥たしかに。
ユルしがたいことです!
千: (マズいわ。尾並田さんの印象が
どんどん悪くなっていく‥‥
深追いはキケンだけど、
今の発言‥‥どうかしら?)

(「証言に加えさせる」を選択)
千: 裁判長! ただ今の証人の
発言‥‥非常に重要です!
証言に加えていただけますか!
御: 検察側にも、異議はない‥‥
被告人が、見さかいなく殺意を
バラまく、危険人物だったこと‥‥
それを立証する、貴重な証言
だからな‥‥
裁: ぬうおおおお‥‥!
千: い、いえ!
そういうつもりでは‥‥
裁: わかりました。
‥‥証人。おねがいします。
里: もちろん、よろこんで。
『白いマフラーを持っていなくて
わたし、ラッキーでしたのね。』(証言6)

(「証言6」に「マフラー」をつきつける)
千: 証人。‥‥あなたが撮影した、
この写真を見てください。
この写真では、ハッキリしません。
被害者の目印である、マフラー‥‥
裁: マフラーというのは、モチロン。
これのコトでしょうな?
里: そ、そう! それですわ!
刑事さまがしていた、マフラー‥‥
千: (どうやら‥‥つかまえたようね)
‥‥それは、ヘンですね。
あなたは、たった今、
こう証言したはずよ。
<<白いマフラーを持っていなくて
よかった>>、と‥‥
裁: し、”白い”‥‥?
千: ‥‥これが、あなたも認めた
被害者のマフラーです。
どこからどう見ても、
<<白>>ではありません!
里: あ‥‥ッ!

(ざわめきが起こる)

(御剣検事「異議あり!」)
御: 事件当日、現場は小雨がふって
キリも出ていた!
被告人(証人?)が見まちがえても、
ムリはない!

(綾里千尋「異議あり!」)
千: そうは行きません。
証人はたった今、認めたのです。
これが被害者のマフラーだと!
裁: しかし‥‥いったい
なぜ、そんなカンちがいを‥‥?
たしかに、このマフラーは
どう見ても、白ではない‥‥
千: その理由は‥‥
1つしか考えられません!
証人がマフラーの色を
<<白>>だとカンちがいした理由は!

(「被害者のメモ」を選択)
千: ‥‥証人。
このメモを見たことは?
里: ぞ‥‥存じ上げませんわ‥‥
裁: ゴクヒ資料ですからな。
知らなくて当然でしょう。
千: ‥‥それはどうでしょうか‥‥
里: な、なんですの‥‥?
千: このメモの中に、尾並田さんの
指示が書かれているんです。
<<目印に、白のマフラー>>‥‥と。
御: 白い‥‥マフラー‥‥‥?
ああああああっ!
千: 証人! あなたは、このメモの
内容を知っていたのです!
それ以外に、マフラーの色を
カンちがいできる方法は、ない!
里: う‥‥く‥‥ッ!
千: どうなんですか、証人!
里: いやああああああああああああッ!

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に! 静粛に! 静粛に!
御剣くん! どういうことですか!


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