第4話『始まりの逆転』第1回法廷(その3)

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成歩堂 龍一…黒
綾里 千尋…赤
神乃木 荘龍…薄橙
御剣 怜侍…茶
裁判官…黄
無久井 里子…紫
尾並田 美散…緑
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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(目撃‥‥犯行から逃走まで)
里: 『お背中を刺された被害者を、
犯人はすばやく抱え上げました。』(証言1)
『そしてそのまま犯人は、
彼女をお運びになったのです。』(証言2)
『運び去るほかに、死体をかくす
方法など、ありませんものね。』(証言3)
『死体を橋の上に残しておくわけには
いかなかったのでしょう。』(証言4)
『わたし‥‥今度こそ、見たコトしか
お話ししていませんわ。』(証言5)
裁: ぬぬううううう‥‥。
そんな光景を目撃したのですか。
里: ええ。わたし、もうショックで‥‥
おムネがドキドキいたしましたの。
神: この証言が通っちまったら‥‥
もう、オシマイだな。
千: そ、そんな‥‥!
神: さて。‥‥帰りに、カフェーに
寄っていこうじゃねえか。
‥‥うまいモカを飲ませる
店を知っているぜ。
千: 裁判は‥‥まだ、終わらせません!
神: クッ‥‥!
それもいいだろうさ‥‥。
裁: それでは‥‥弁護人。
尋問をおねがいします!
千: (ムジュンは目の前にあるわ。
一気に突きくずすの、千尋!)

(「証言3」に「おぼろ橋の上面図」をつきつける)
千: 犯人が死体をかくしたかった‥‥
それは、リカイできます。
しかし‥‥そのために死体を
運ぶのは、アキラカに不自然です。
犯人には、もっとラクでカクジツな
方法があったのですから!
御: ‥‥‥‥‥‥
裁: そ、それは‥‥いったい!
千: 上面図を見れば、アキラカです。
吊り橋の下に、
川が流れています。
たしか、検事さんによれば‥‥

御: 『吊り橋の下を流れる<<吾童川>>は、
その水量と急流で知られている。
のみこまれた死体は、ほとんど
発見されることがないという‥‥』

裁:あ‥‥
千: 現に、5年前の誘拐事件では、
被害者は川に投げこまれている‥‥
里:‥‥‥!
千: これから先、おぼろ橋で10回
殺人事件が起こるとしたら‥‥
吾童川には、10人の死体が
放りこまれるにちがいありません!

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に! 静粛に! 静粛に!
‥‥弁護人の言い方は、
どうかと思いますが‥‥
たしかに! この状況で、わざわざ
死体を運ぶのは‥‥不自然です!
里: うう‥‥‥!
裁: いかがかな? 御剣検事くん!
御: ふう‥‥やれやれ。
弁護人も一度、その<<吾童川>>に
のまれてみてはいかがか。
”不自然”を語る前に、大自然と
たわむれるコトをおすすめしよう。
千: ど‥‥どういうことですか?
御: 死体をトランクにしまうのが、
たとえ”不自然”だろうと‥‥、
ジッサイに、
犯人はそうしているのだ。
その理由がムジュンしていても‥‥
この証人には関係ないこと。
裁: ぬ‥‥ぬううううう‥‥
た、たしかに!
‥‥どうやら、弁護人の指摘は
決定的とは言えないようです。

(綾里千尋「異議あり!」)
千: しかし! 証人が目撃したという
犯人の行動は、あまりに不自然‥‥

(御剣検事「異議あり!」)
御: それでも、たしかに死体は
トランクから発見されたのだ。
裁: その点にムジュンはありません。
千: ぐ‥‥‥。
御: それでは、証人。
証言をつづけていただこう。
里: は、はい‥‥
御: あなたはただ、”見たことだけ”を
証言すればいいのだ。
さもないと、イジワルなお姉さんに
いじめられてしまうからな。
千: (ダレのことよ!)
里: わかりましたわ! わたし‥‥
がんばります!
『犯人は、盗んだクルマのトランクを
コジ開けて、死体をかくしました。』(証言6)

(「証言6」に「おぼろ橋の上面図」をつきつける)
千: どうやら‥‥証人。
ついに、やってしまいましたね。
里: ‥‥‥? あ、あの‥‥
何を、ですの?
千: 決定的なミス、です。
裁: み‥‥ミス‥‥!
千: <<盗んだクルマのトランクを
コジ開けて、死体をかくした>>
あなたは、それを”見た”
わけですね? ‥‥その目で!
里: そ、それが何か‥‥?
千: カンタンなコトです。
‥‥上面図を見てください。
事件当時、あなたが写真を撮ったと
主張している地点は、ここです。
いかがかしら?
クルマを見ようとしても‥‥
この岩場が、
どうしてもジャマになる。
里: あ‥‥っ!
千: そうなんです、証人‥‥。
あなたのいた地点から、
犯人のクルマが見えるはずがない!
里: ‥‥‥うううッ‥‥‥!

(御剣検事「異議あり!」)
御: たしかに、上面図には
岩場が表示されている!
しかし‥‥クルマが見えないほどの
高さかどうかはわからないッ!
里: そ、そうです!
その岩場は、たいした
高さじゃなくて‥‥
わ‥‥わたしには、
あのかたのクルマが見えましたの!
千: ‥‥ザンネンながら‥‥
そうは行きません。
里:‥‥‥!
千: 証人は、この法廷に
証拠品を提出してくれましたね?
上面図の、このポイントから
撮影した、写真です。
その写真が‥‥
真実を物語っています!
左はしに‥‥
しっかり写っていますね。
問題の”岩場”‥‥というより、
これはもう、”ガケ”です。
裁: あ‥‥ッ!
千: あなたの視界は、切り立った
ガケにさえぎられていた!
これでも、犯人のクルマが
見えたと言うつもりですか!
里: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
きゃああああああッ!

(ざわめきが起こる)
裁: せ‥‥静粛に! 静粛に!
こ‥‥これは、いったい‥‥

(御剣検事「異議あり!」)
御: 裁判長‥‥
結論を急ぐ必要はない。
脱獄囚がクルマを盗んで逃走した
ことは、ニュースでも報道された。
この証人は、殺人事件を目撃して、
少なからず動揺していたはず。
クルマのことを聞いて、それを
”見た”と思ってしまったのだ。

(綾里千尋「異議あり!」)
千: 証言に入る前に、彼女は
何度も注意されていました!
”見たことだけを
証言するように”‥‥と!
裁: ぬううううううう‥‥む!
里: あの‥‥オジサマ?
裁: な‥‥なんですかな?
里: わたし‥‥きっと、
思いちがいをしていたのですね‥‥

(綾里千尋「待った!」)
千: ちょ、ちょっと!
今さら、そんなイイワケが‥‥

(御剣検事「異議あり!」)
御: カンちがいをしない人間など、
この世には存在しないのだよ。
裁: ぬううううう‥‥‥たしかに!
そもそも、カンちがいこそは‥‥
人間だけにユルされた、
高度な精神活動ですからな。
センサイなココロを持った
少女であれば、ムリもない。
千: そ‥‥‥そんなバカな‥‥ッ!

(ざわめきが起こる)
神: クッ‥‥!
冷や汗は後回しだ、コネコちゃん。
千: か‥‥神乃木さん!
神: 判決が下るまで、ふり返るな。
今は、前へ進むんだ。
千: で‥‥でも!
ズルいじゃないですか!
神: まあ、落ちつけ。
そして‥‥思い出すんだ。
‥‥あのコネコちゃんの証言を!

里: 『犯人は、盗んだクルマのトランクを
コジ開けて、死体をかくしました。』

神: クルマのことはともかく‥‥
どうして知ってるんだ?
『トランクをコジ開けた』
なんてコトを‥‥
千: あ‥‥っ!
神: そのことをキレイに
説明できないかぎり‥‥
アンタの疑いは晴れねェぜ!
おじょうさんよォ!
里: ‥‥‥‥‥‥‥‥
裁: い‥‥いかがですかな?
里: ‥‥トランクがコジ開けられた
のは、たしかですわ。
だって‥‥トランクのフタに、
キチンとお残りになってますもの。
コジ開けられたときの
<<引っかきキズ>>が‥‥!
裁: な‥‥なんとォ!
写真を見せてください!
たしかに‥‥カギ穴のまわりに
キズがあるようです!
ぬうううううううう‥‥。
ダレが見ても”コジ開けられた”と
わかりますな。
いかがかな? 弁護人。
ナットクできると思いますが‥‥?
千: (‥‥裁判長は彼女の味方。
シッパイはユルされないわ。
今の発言‥‥
ムジュンはなかったかしら‥‥)

(「ムジュンしている」を選択)
千: ‥‥無久井 里子さん。
さっき以上にマズいことを
口走ってしまったみたいね。
里:え‥‥
千: あなたは、草原で写真を
撮っていたそうですね。
それなのに‥‥トランクの
キズのことを知っていた。
いったい、いつ! このキズを
見ることができたのですかっ!
里: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
千: (やっと‥‥。やっと、
この事件が見えてきた‥‥)
神: クッ‥‥! チョイと
待ちくたびれちまったぜ。
御: どうやら‥‥弁護人の考えを
聞いたほうがいいようだな‥‥
千: 裁判長!
コタエは1つしかありません!
証人は、トランクのキズを
見たことがあった! なぜなら‥‥

(「死体を入れたから」を選択)
千: キズを見るカクジツな
チャンスが、1つだけあります。
裁: そ、それは‥‥?
千: もちろん‥‥
トランクをコジ開けて、
死体をしまうとき‥‥です。
御:‥‥‥!
千: 被害者の死体をトランクに
かくしたのは‥‥
無久井 里子さん!
あなた‥‥なのではないですか?
里: そ、そんな‥‥!
わたし、そんなコト‥‥
あの、囚人服のかたです!
だって、あのかたが‥‥
千: そんなハズは、ないの。
‥‥もし、尾並田さんが
死体をしまったのなら‥‥
クルマのキーを使ったはずよ。
コジ開ける必要は、ないわ。
里: で、でも‥‥!
盗難車、だったのでしょう‥‥?
千: ”信号待ちしていたカップルから
取りあげた”盗難車よ。
‥‥つまり、クルマには
キーがついていたの。
里: そ‥‥そう、だったの‥‥
千: キズのコト‥‥教えてくれて
ありがとう。無久井 里子さん‥‥
おかげで、立証できたようね。
死体をトランクに入れたのは、
尾並田 美散ではあり得ない!
里: ‥‥いやああぁぁぁ‥‥ッ!

(御剣検事「異議あり!」)
御: ば‥‥バカなッ! この証人が
死体をかくした‥‥だと!
それならば‥‥彼女の撮影した、
写真はどう説明するのだ!
死体を入れることができるのは、
事件が起こったときしかない。
その瞬間‥‥彼女は
この写真を撮っていたはずだ!
千: (今がチャンス‥‥
一気に攻めこむの、千尋!)
それはどうかしら、検事さん。
御:‥‥!
千: むずかしく考える必要は
ありません。
この写真‥‥シャッターを押した
のは、彼女とはかぎらないのです!

(「カメラ」を選択)
千: 彼女のカメラ‥‥これはもう、
グーゼンとは思えません!
タイマー撮影ができて、
三脚までついています。
裁: ぬうううううううう‥‥
千: まるで、この写真を撮るために
用意されたように!
里: ‥‥‥‥‥

(御剣検事「異議あり!」)
御: それでは‥‥
弁護人は、こう主張するつもりか!
事件が起こったとき‥‥
彼女は草原にいなかった、と!
千: (写真が自動シャッターで
撮影された以上‥‥
当然、彼女は<<別の場所>>に
いたことになる)
‥‥そうです。
草原には、いませんでした。
裁: どうやら‥‥弁護側の考えを
聞く必要があるようです。
神: ‥‥いいか‥‥
ここは、重要なポイントだ。
”事件が起こったとき、彼女が
どこにいたか‥‥?”
それがわかれば、おじょうちゃんの
”正体”もハッキリするだろうぜ。
裁: ‥‥それでは、
示していただきましょう。
橋の上で事件が起こったとき、
無久井 里子さんがどこにいたか?

(「被」の場所を選択)
千: もちろん証人は、
ここにいたのです!
裁: そ、そ、そこは‥‥
被害者・美柳 勇希さんが
立っていた場所ではないですか!

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に! 静粛に! 静粛に!
弁護人! あなたは、いったい‥‥
千: ‥‥よろしいですか、裁判長。
被告人は、橋の上で”被害者”と
別れたあと、クルマで逃走した。
‥‥でも、これでは被害者が
トランクに入ることは不可能です。
つまり、だれかが死体を
入れようとしたら‥‥
被告人が”被害者”と会うよりも、
<<前>>しかないのです!

(御剣検事「異議あり!」)
御: バカなッ! 尾並田は、
ジッサイに被害者と会っている!
この状況で、被害者を殺害して、
死体をトランクに入れられたのは、
尾並田 美散以外に、あり得ない!

(綾里千尋「異議あり!」)
千: まだ、わからないのかしら?
御剣検事‥‥。
目撃写真が撮影されたとき、もう
被害者は、殺害されていた‥‥
その写真に写っているのは、
美柳 勇希ではないのです!

(御剣検事「異議あり!」)
御: な‥‥何を、バカなコトをッ!
それならば‥‥
この写真に写っている被害者は
いったい、何者なのだ!
千: 決まっているでしょう。
‥‥そこの証人ですよ。
里:‥‥‥!
裁: な‥‥なんですとぉぉぉ‥‥
千: それしか考えられません。
尾並田さんが橋の上で会ったのは、
美柳 勇希ではなかった!
無久井 里子さん!
あなただったのです!
里: わ‥‥わたし‥‥!
千: 事件があったとき、吾童山には
小雨がふり、キリも出ていました。
尾並田さんは、目の前の人物を
美柳 勇希さんだと思ったのです!

(御剣検事「異議あり!」)
御: 被告人・尾並田 美散は、
美柳 勇希を、よく知っている!
なにしろ、自分の死刑判決を
決定づけた証人なのだから!

(綾里千尋「異議あり!」)
千: それは、5年も前のハナシです!
被告人は、美柳 勇希の
カオを忘れていたのです!
御: ‥‥バカなッ! しょ、
証拠があるとでも言うのかッ!
千: (あるわ! あの証拠品が
それを立証している‥‥!)
尾並田さんは、事件当時‥‥
美柳 勇希のカオを忘れていた!

(「マフラー」を選択)
千: 尾並田さんは、
被害者のカオを忘れていました。
だから‥‥目印が必要だった。
このマフラーが!
里: あ‥‥ッ!
千: マフラーは、尾並田さんの
指示で用意されたものでした。
被害者が残したメモが
それを立証しています!
御: ‥‥‥‥‥
千: つまり! 指示どおりの
マフラーをしていれば‥‥
たやすく<<美柳 勇希>>に
なりすますことができたのです!
里: ‥‥‥‥‥‥
千: さあ! いかがかしら!
無久井 里子さん!
里: ぐ‥‥ぅぅぅ‥‥ッ!
きゃあああああああああああああッ!

裁: それで‥‥あの、
無久井 里子さんは‥‥?
御: 控え室にやすませてある。
裁: ぬううううううううう‥‥む。
千: (無久井 里子のやったことは
ハッキリしている‥‥
トランクに死体をかくして、
<<被害者>>になりすまし‥‥
ニセの<<目撃写真>>を
デッチ上げた‥‥)
神: ‥‥なぜ、あのコネコちゃんは
そんなコトをした‥‥?
千: 決まってます。
彼女こそが‥‥<<真犯人>>だから!
神: クッ‥‥!
裁: とにかく、無久井 里子さんの
意識が戻るのを待ちましょう。
それまで、審理は中断します。
検察側・弁護側とも、控え室で
待機しておくように。
千: わかりました。
御: ‥‥了解した。
裁: それでは!
審理を中断します!


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