成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
矢張 政志…紺 | |
裁判官…緑 | |
亜内検事…茶 | |
山野 星雄…紫 |
山: |
‥‥はあ‥‥はあ‥‥ ‥‥くそっ! なんでオレがこんな目に‥‥ ‥‥つかまりたくねえ‥‥ こんなことで‥‥ 誰か‥‥誰かが やったことにするんだ‥‥! ‥‥そうだ、あいつだ‥‥ あいつがやったことにすれば‥‥ 地方裁判所 被告人第2控え室 |
成: |
(うう‥‥。 キンチョーするなあ‥‥) |
千: | ‥‥なるほどくん! |
成: | あ、しょ、所長。 |
千: |
ふう。 なんとか、間にあったわね。 どうかしら? 初めての法廷は。 |
成: |
こ、こんなにドキドキするの 小学校の学級裁判のとき以来です。 |
千: |
‥‥それはそれは。 ずいぶん、ごぶさたしてるのね。 |
成: |
え、ええ、まあ。 あの‥‥所長。 今日は、すみません。 いそがしいのに‥‥。 |
千: |
ううん、かまわないわ。 カワイイ部下の初舞台だもの。 ‥‥それにしても。 初めての法廷で殺人事件をあつかう なんて、すごい度胸ね。 感心するわ。 あなたにも、あなたの依頼人にも。 |
成: |
は、はい‥‥。 ‥‥借りがあるんですよ。 ヤツには。 |
千: |
え‥‥。 あの、依頼人の方に? |
成: |
ええ。 ‥‥実は、ぼくがこうして 弁護士になったのも、 ある意味、ヤツのおかげ、 みたいなところがあるんです。 |
千: | ‥‥それ、初耳ね。 |
成: |
‥‥ぼく、あいつのチカラに なってやりたいんです! 助けてやりたい‥‥ |
?: |
オシマイだぁ! もう、何もかも オシマイなんだぁ! |
千: |
‥‥‥‥ あそこで叫んでるの、 あなたの依頼人じゃない‥‥? |
成: | そ、そうですね。 |
?: |
‥‥死ぬ! 死ぬぞぉ! オレはもう、 死んでやるんだぁぁ! |
千: | ‥‥死にたがってるわよ。 |
成: | はあ。 |
矢: | 成歩堂ぉ! |
成: | よ、よう、矢張。 |
矢: |
有罪だぁ! オレを有罪にしてくれよぉ! 死刑でもなんでもカッくらって、 サッパリ死なせてくれぇ! |
成: | ど、どうしたんだよ、矢張! |
矢: |
ダメだよ! やっぱりオレ、ダメなんだ! あの女がいない人生なんて‥‥ 死んだ方がマシだぁ! 誰が‥‥いったい誰が、 カノジョを‥‥! 教えてくれよぉぉぉ! 成歩堂ぉぉぉ‥‥! |
成: |
(”カノジョ”を殺害した 犯人、か‥‥ 新聞に書いてあるのは、 お前の名前なんだよな‥‥) |
成: |
ぼくの名前は成歩堂 龍一 (なるほどうりゅういち)。 3ヶ月前に弁護士になったばかり。 今日は初めての法廷だ。 さて。 今回の事件は、 いたってシンプル。 マンションの一室で、若い女性が 殺害された。 逮捕されたのは、不運にも 彼女とつきあっていた男。 矢張 政志(やはり まさし)。 ‥‥小学校からの大親友だ。 ”事件のカゲに、ヤッパリ矢張” と言われつづけて23年。 なぜか、いつでもキツいトラブルに 巻き込まれている。 ‥‥ただ1つ言えることは、 悪いのは、こいつじゃない。 ‥‥ただひたすら、運が悪いだけ。 ‥‥いいヤツだってことは、 誰よりも、このぼくが知っている。 そして何より、ぼくはこいつに 大きな借りがある。 助けてやるんだ‥‥ゼッタイに! |
地方裁判所 第2法廷 | |
裁: |
これより、矢張 政志の 法廷を開廷します。 |
亜: |
検察側、 準備完了しています。 |
成: | べ、弁護側も準備完了しています。 |
裁: |
‥‥‥‥。 成歩堂くん。 きみはたしか、今日が初めての 法廷だったかな? |
成: |
は、はい‥‥。 ‥‥キンチョーしてます‥‥。 |
裁: |
依頼人が有罪になるか、無罪になる かは、弁護士にかかっています。 弁護士であるきみが、そんなに キンチョーしていては困りますね。 |
成: | ‥‥すみません。 |
裁: |
‥‥‥‥。 ‥‥そうですね。 裁判を進める前に、 本当に”準備完了”しているか、 たしかめさせてもらいましょうか。 |
成: |
え、ええ‥‥。 (うわあ、アタマの中が マッシロになってきたぞ‥‥) |
裁: |
カンタンな質問をするから、 答えてください。 まず、この事件の被告人の名前を。 ‥‥言ってみなさい。 |
成: |
ヒコクニン‥‥それは、まあ、 矢張くんのことですよね。 |
裁: |
そのとおり。 そんな感じで、 落ち着いて答えればよろしい。 じゃあ、次の質問です。 今日の裁判は殺人事件ですが、 被害者の名前を教えてください。 |
成: |
(‥‥ふう。それならわかるぞ。 あれだけ調書を読んだからな。 ‥‥って、あれ? ど‥‥ど忘れしちまったぞ! 名前、なんだっけ!) |
千: |
な、なるほどくん! あ、あ、あ、あなたって人は‥‥ 被害者の名前も知らないの? |
成: |
そ、そんなワケ、 ないじゃないですか。 ちょっと、忘れちゃっただけです。 |
千: |
‥‥な、なんか、 アタマがいたくなってきたわ‥‥。 事件のことは、<<法廷記録>>を 見れば、わかります! Rボタンで、好きなときに 見ることができるから、 いつもチェックしておいてね。 ‥‥おねがいだから。 |
裁: |
答えてもらいましょう。 この事件の被害者の名前は? |
成: |
えーと。被害者の名前は 高日 美佳さんです。 |
裁: |
‥‥よろしい。 では、彼女は どうやって殺害されたか? 被害者の死因は‥‥? |
(「鈍器で殴られた」を選ぶ) | |
成: |
鈍器で1発、 ガツンと殴られて‥‥。 |
裁: |
そのとおり。 じゃあ、質問はこれぐらいにして そろそろ審理を始めましょう。 きみも、だいぶ 落ち着いてきたようですからね。 |
成: |
‥‥はい。 (そうでもないけど) |
裁: |
‥‥さて。 ちょっといいですか? 亜内検事。 |
亜: | なんでしょうか、裁判長。 |
裁: |
今、成歩堂くんが言ったとおり、 被害者は鈍器で殴られています。 その”鈍器”ですが、 具体的には、どういう‥‥? |
亜: |
凶器は、この <<考える人>>の置物です。 死体のそばに転がっておりました。 |
裁: |
‥‥ふむう。 証拠品として受理しましょう。 |
法廷記録にファイルした。) | |
千: |
なるほどくん。 裁判が進むと、こんなふうに <<証拠品>>が提出されていくの。 <<証拠品>>のデータは、これから あなたの武器になるから、 Rボタンで、法廷記録をチェック しておいた方がいいわよ。 |
裁: |
では、亜内検事。 証人を呼んでください。 |
亜: |
まず、被告人・矢張くんの 話を聞きたいと思います。 |
成: |
あの、所長。 ぼくは、どうすれば‥‥? |
千: |
今は、依頼人を助けるための <<情報>>を聞き逃さないこと。 反撃のチャンスは、あとで かならず、やってくるわ。 彼が、よけいなことを 言わないよう、祈りましょう。 |
成: |
(‥‥心配だ。矢張のヤツ、すぐに コーフンするからな‥‥) |
亜: |
さて。 矢張くん。キミは最近、被害者に フラれたそうですね? |
矢: |
なんだとコラ! 今世紀最高のカップルに向かって なんてことを! |
成: | (い‥‥いきなりかよ‥‥) |
矢: |
ただ最近、電話に出なかったり、 会おうとしても断られただけだ! ナメんなぁ! |
亜: |
世間では、そういう状況を ”フラれた”と呼んでいます。 実際、彼女はきみをほったらかして 遊びまわっていた。 殺害される前の日も、海外旅行から 帰ったばかりだったんだよ。 |
矢: |
なんだとぉ! そんなのウソだぁ! オレァ、信じねえぞぉ! |
亜: |
裁判長。 被害者のパスポートです。 亡くなる前日まで、彼女は、 ニューヨークにいたようですね。 |
法廷記録にファイルした。) | |
裁: |
ふむう。たしかに帰国の日付は 死亡の前日、だ‥‥。 |
矢: | ‥‥そんな‥‥。 |
亜: |
彼女はモデルでしたが、収入は 大したことはありません。 どうやら彼女には、”パパ”が たくさんいたようです。 |
矢: | ‥‥パパ? |
亜: |
お小づかいをくれる おじさんたちのことです。 彼女は、彼らから金を”援助” してもらって、遊んでいたワケだ。 |
矢: | なんだって‥‥ |
亜: |
‥‥被害者の高日 美佳は そういう人間だった。 きみは彼女について どう思うかな? 矢張くん。 |
千: |
‥‥なるほどくん。 この質問には、答えさせない方が いいかもしれないわね‥‥。 |
成: |
(‥‥矢張のことだ。トンでもない ことを口走るかも‥‥ ‥‥どうしよう?) |
| |
成: |
矢張くんは、被害者が他の男性と つきあっていたのは知らなかった! したがって、今の質問は、 事件とは関係ありません! |
亜: | ‥‥むぐぐ‥‥ |
矢: |
ナニ言ってんだ成歩堂ぉ! 関係ないこと、あるかぁ! ‥‥ナメやがって、あの女! 死んでやる! もう、死んでやるぞお! 問いつめてやるんだあ!
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裁: |
‥‥では、審理を つづけましょうか。 |
亜: |
とにかく、被告の動機は おわかりいただけたと思います。 |
裁: | ‥‥とてもよく。 |
成: | (‥‥とほほ‥‥) |
亜: |
じゃあ、次の質問に移りましょう。 事件があった日、きみは 彼女の部屋に行かなかったかな? |
矢: | ‥‥‥‥! |
亜: | どうなのかな? |
矢: | ‥‥え、な、何がどうなんだよ! |
成: |
(あのようすじゃ、あいつ、 部屋に行ってるな‥‥ どうしよう‥‥) |
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成: |
(よし。合図を送るぞ‥‥。 <<正直に答えろ>>) |
矢: |
ああ! たしかにその、 行ったよ。行ったさ! |
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裁: |
静粛に! ‥‥それで? 矢張くん! |
矢: |
う‥‥。 そ、そんな目で見るなよな! アイツ、留守でさ‥‥。 会えなかったワケよ、結局。 |
亜: |
裁判長。 被告人はウソをついております。 |
裁: | ‥‥ウソ? |
亜: |
我々には、今のウソを立証する 証人がいます。 |
裁: |
‥‥それは話が早い。 どんな証人ですか? |
亜: |
死体の発見者です。 彼は、死体を発見する直前に、 殺人現場から逃げていく被告人・ 矢張くんを目撃しているのです! |
裁: |
静粛に! 静粛に! ‥‥亜内検事。 その証人を呼んでください! |
亜: | ははっ。 |
成: |
(と、とんでもないことに なってきたぞ‥‥) |
亜: |
事件当日、現場のマンションで 新聞の勧誘をしていた、 山野 星雄(やまのほしお)さん を入廷させてください! |