第2話『逆転姉妹』第2回法廷(後編)

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成歩堂 龍一…黒
綾里 千尋…赤
綾里 真宵…青
御剣 怜侍…茶
糸鋸 圭介…黄土
裁判長…緑
小中 大…紫
松竹 梅世…桃
星影 宇宙ノ介…黄
板東ホテルのボーイ…灰
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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成: (ふう‥‥どうやら、
勝負は決まったな‥‥)

(御剣検事「異議あり!」)
御: そこまでだ‥‥成歩堂 龍一。
成: な、なに!
(くそっ! コイツを忘れてた!)
御: 小中氏‥‥。
小: ‥‥‥‥‥‥
御: もうそろそろ‥‥
いさぎよく、罪を認めてしまったら
いかがなものだろうか?
小: フ‥‥フワッツ?
御: あなたが犯した犯罪を、
認めるのだよ‥‥。
すなわち、
”盗聴”のことを、ね。
成: と‥‥盗聴だと!

(ざわめきが起こる)
裁: せ、静粛に! 静粛に!
み、御剣検事!
今の発言は、どういう‥‥!
御: みなさん。
小中氏は今、少しコンランして
おられる。
私の方から説明しよう。
成: (なんか‥‥雲行きが
アヤしくなってきたぞ‥‥)
御: ごぞんじのとおり、小中氏は
コナカルチャーの社長だ。
彼は、秘書の松竹 梅世に
命令して、盗聴をさせていたのだ。
裁: そ、それがどうかしましたか?
御: ‥‥問題は。
”誰が””いつ”盗聴器を
綾里法律事務所に仕掛けたか、だ。
成: ま、まさか!
御: ‥‥小中さん。
盗聴器を仕掛けるため、
あなたが綾里の事務所に侵入した。
‥‥そうですね?
小: ‥‥‥‥‥‥

イ、イエス! それだ!
そのとおりだミスタ・ケンジ!
成: な、なんだって!
小: ぼかぁ‥‥盗聴器を仕掛けるため、
綾里法律事務所に行ったんだ!
そのときに、あの電気スタンドを
見たんだよ!
裁: つまり、どういうことですか、
御剣検事!
御: よろしいか。
成歩堂 龍一の主張は、こうだ。
”小中氏は、殺人現場にガラスの
スタンドがあるのを知っていた。
しかし、彼がそのスタンドを
見ることができたのは
殺人事件が起こった瞬間しか
なかった。
だから、小中氏が犯人である”
裁: そうですね‥‥。
御: しかし。
事件が起こるずっと以前に、
小中氏は現場に行ったのだ。
盗聴器を仕掛けるために。
そのときにガラスのスタンドを
見ていれば、
成歩堂 龍一の推理は、
完全にくずれてしまうのだ!
裁: 小中さん!
そのときのことを<<証言>>
してください!
小: アハン。
‥‥まかせてくれたまえ!
成: (目‥‥目まいがしてきた‥‥)

(盗聴器を仕掛けたとき)
小: 『あれはそう、9月のアタマだから、
事件の約1週間、前かな。』(証言1)
『ぼかぁ、綾里法律事務所に侵入
したんだよ。』(証言2)
『モチロン、
盗聴器を仕掛けるためだよ。』(証言3)
『そのときにね。たしかに見たんだ。
ガラス製の電気スタンドを‥‥。』(証言4)
裁: ふむう‥‥。
事件の夜、物音を聞いただけで
スタンドだとわかったのは、
前もって、それを見ていたから
ですか。
小: イエス・アイ・ドゥー!
そのとおりだよ。
裁: なるほど‥‥。
では、成歩堂くん。<<尋問>>を。
成: (くそ‥‥!
どうやって攻めればいいんだ!)
真: 弁護士さん‥‥。

(「証言4」をゆさぶる)
成: なぜ、電気スタンドなんかを
目にとめたんですか!
小: あのスタンド、すべてのパーツが
ガラス製でね。
あんまりキレイだったんで、
印象に残ったんだ‥‥。
ハウ・ビューティホー・ザ・
デンキスタンド・イトワズ!
‥‥ってところかな。
成: (くそ‥‥攻めようがないぞ‥‥
とにかく、ゆさぶりまくって
突破口を見つけるしかないな)

(「証言1」をゆさぶる)
成: そ、その証拠はあるんですか!

(御剣検事「異議あり!」)
御: 松竹 梅世は、電話の会話内容を
知っていた!
それは、盗聴器が事件の起こる
以前に仕掛けられていた証拠だ!
成: ‥‥ううん‥‥。

(「証言2」をゆさぶる)
成: 本当にあなたが
侵入したんですか?
あるいは、梅世さんが‥‥

(御剣検事「異議あり!」)
御: 綾里法律事務所に、正体不明の
古い指紋があった。
おそらく、小中氏の指紋だろう。
成: (御剣め‥‥きっと、もう
指紋は調べているに違いないな)
御: さて、証人。‥‥なんのために、
綾里法律事務所へ‥‥?

(「証言3」をゆさぶる)
成: なぜ、千尋さんの電話に
盗聴器を仕掛けたんですか!

(御剣検事「異議あり!」)
御: それは、本件とは関係のない
ことだよ‥‥
小: コナカルチャーは
いちおう、”探偵業”でね。
依頼人に対する
守秘義務があるんだよ。
成: (だめだ! もう、
攻撃しようがない!)
御: クックックッ‥‥。
そこまでかな、弁護士クン。
では、そろそろ
あきらめてもらおうか。
おつかれさま‥‥。
成: (‥‥もう‥‥
‥‥ダメだ‥‥)
裁: ‥‥弁護人。
もう、あきらめますか?
成: ‥‥‥‥‥‥
‥‥は、はい‥‥。
?:
(なるほどくん)
成: ‥‥?
?:
(なるほどくん、こっちよ!)
成: (この声は‥‥
‥‥‥‥‥‥
ち、千尋さん!)
千: あきらめちゃダメよ、
なるほどくん!
成: ‥‥!!!!!
‥‥チ・ヒ・ロ・サ・ン・!!‥‥

成: ‥‥ここは‥‥?
‥‥休憩室、か‥‥。
ぼくは、どうして‥‥?
‥‥‥‥‥‥
そうだ‥‥。
裁判に負けて、
マボロシを‥‥見たんだっけ。
‥‥‥‥‥‥
千: ‥‥気がついたみたいね。
成: ギャッ!
千: あ、ちょ、ちょっと!
なるほどくん!
‥‥‥‥
シツレイね‥‥。
人のカオを見て”ギャッ”なんて。
‥‥なるほどくん。
よく見て、私を‥‥。
成: き‥‥きみは‥‥
ま、真宵‥‥ちゃん?
千: 綾里家の女は、霊力が強いの。
‥‥知らなかったかしら?
あなたが”負け”を認めようとした
最後の瞬間‥‥、
真宵の”チカラ”が、やっと
目覚めたみたい。
成: ‥‥真宵ちゃんが、
霊媒‥‥してるんだよね‥‥?
千: そう、私は真宵‥‥でも、
今は千尋なの。
いい? なるほどくん。
真宵はあきらめなかったわ。
だから、私は今、ここにいる。
あなたも、あきらめちゃダメ!
成: ‥‥‥‥!
で、でも‥‥!
千: 時間がないわ。
‥‥聞きなさい。
実はね‥‥。
あなたは、もう勝っているの。
成: ‥‥え?
千: あなたが持っている証拠品の中に
<<領収書>>があるわね?
成: あ、ああ。‥‥千尋さんが
”マヨイ”って書いた‥‥
千: バカね。それは小中が書いたに
決まってるでしょ。
成: ‥‥で、
それがどうかしたんですか?
千: その証拠品、ウラ面を
見てみなさい。
成: ウラ‥‥ですか?
(<<領収書>>‥‥
発行したのは、有名なデパート
みたいだ。
”10万円也” 高いな‥‥
”品名‥‥
ガラス製の電気スタンド”!
”発行日‥‥9月4日”‥‥)
‥‥!
”9月4日”‥‥って?
千: ‥‥そうよ、なるほどくん。
私がそのスタンドを買ったのは
あの事件の前日のことなの。
成: な‥‥なんですって!
千: さっき小中は、
なんて証言していたかしら?
小: 『あれはそう、9月のアタマだから、
事件の約1週間前、かな。』
成: ‥‥スタンドを見たのは、
事件の1週間前、って‥‥。
千: ‥‥さあ!
そろそろ審理が再開される時間よ!
行くわよ、なるほどくん。
‥‥”無罪”を勝ちとるためにね!
成: は‥‥はい!

証拠品<<領収書>>のデータを
書きなおした。


9月9日 午後1時16分
地方裁判所 第1法廷

裁: これより、成歩堂 龍一の
法廷を再開します。
‥‥だいじょうぶかな?
成歩堂くん。
成: はい。
‥‥すみませんでした。
もう、だいじょうぶです。
裁: ‥‥では、先ほどのつづきに
もどりましょうか。
御: 裁判長。
我々に、もどるべき
”つづき”など、存在しない!
すでに、小中氏の尋問は
終わっている!
あとは、被告人・成歩堂 龍一に
判決を言い渡すだけだ‥‥。
裁: ‥‥ふむう。
成: 裁判長!
もう一度だけ、
チャンスをください。
‥‥これで、最後です!
裁: ふむう‥‥。
しかし、もう勝負は
ついてるのは、たしかですね。
‥‥御剣検事。
どうしますか?
御: 成歩堂 龍一‥‥。
最後のチャンスをくれてやろう。
裁: わかりました。
では、小中氏の<<尋問>>を
おねがいします!

(「証言1」に「領収書」をつきつける)
成: これを見てください。
血文字で”マヨイ”‥‥。
御: ハッ!
今となっては、意味のない‥‥
成: 問題は、これが領収書のウラ
である、ということです。
御: な、なんだと?
成: 裁判長。
その”領収書”には、
何が書いてありますか?
裁: ふむう‥‥。
!!
”ガラス製の電気スタンド‥‥”
発行日は‥‥
事件の前日です!
成: つまり!
小中さん。
あんたが綾里法律事務所に
侵入した9月のアタマには‥‥
あのスタンドは、
まだなかったんですよ。
小: ホ、ホワァァァァァァァァァァァァ
ァァァァァァァァァァァァァァァァ
ァァァァァァァァァァァァァァァァ
ァァァァァァァァァァァァァット!
成: どうですか? 小中さん。
まだ、言い逃れ、できますか!
小: ‥‥‥‥‥‥
ノー・アイ・キャント‥‥。
成: (おやおや、
放心しちまったよ‥‥)
‥‥‥‥。
さあ。‥‥裁判長。
あなた方に、いくら強い圧力が
かかっていても、
こうなった以上、ぼくを有罪にする
ことは、できないはずですよ。
裁:
‥‥‥‥‥‥
わかりました‥‥。
では、審理はこれで終了‥‥

(御剣検事「異議あり!」)
御: そこまでだ‥‥成歩堂 龍一。
成: ‥‥え。
(おいおい、ウソだろ‥‥?
まだ食い下がるつもりかよ!)
御: 弁護人の意見は、たしかに
一理ある‥‥。
しかし!
成歩堂 龍一が無実であるという
決定的な証拠も、ないのだ!
成: (‥‥!)
御: そこで。
あと1日、成歩堂 龍一を無罪に
するのを待ってもらいたい。
もう一度、
調査をしなおす時間がほしい。
成: (も、もう一度、調査だと‥‥?
まさか‥‥千尋さんの
解剖記録みたいに、
また、何か証拠を
デッチ上げる気じゃあ‥‥!
まずい!)

(「異議を申し立てる」を選択」)
成: 小中の有罪は、明白です!
これ以上、審理をのばす
必要は、まったくありません!
裁: ふむう。
‥‥御剣検事、いかがかな?
御: しかし、小中氏を起訴するのは、
私たち検察側だ。
キミの推理が正しいかどうか、
1日、調査したい。
裁: ふむう‥‥。
わかりました。
成歩堂くんの異議を却下します!
成: えええええ!
裁: 成歩堂 龍一の審理は、
明日まで延期します!
成: (ダメだ! 今ここで
決着をつけなかったら!
御剣はきっと”何か”
やるに違いない!
‥‥せっかく、千尋さんに
助けてもらったのに‥‥)
小: ミスタ・サイバンチョ!
ぼかぁ、もう
帰っていいのかな‥‥?
裁: もちろんかまいません。
‥‥ごくろうさまでした。
成: (‥‥く、くそ‥‥!)
千: 証人、待ちなさい!
成: (ち、千尋さん‥‥!)
千: なるほどくん。
このメモを読み上げなさい。
成: 千尋さん、これは‥‥?

千尋さんからメモを
もらった。
成: 裁判長。
‥‥ちょっとよろしいですか。
裁: 成歩堂くん。‥‥あなたもなかなか
シツコイですねえ‥‥。
成: (あたりまえだ! こっちは、
命がかかってるんだぞ!)
これからぼくが読み上げるものを
聞いていただきたい!

(「千尋のメモ」をつきつける)
成: ぼくは、千尋さんがくれた
リストを読み上げた。
‥‥どこかで聞いたことのある
名前が、ならんでいる。
これは‥‥政財界の
有名人たちの名前、か‥‥。
そのとき!
小: スタァァァァァァァァップ!
や、や、やめろ!
やめさせろォッ!
‥‥な、なんでキサマが‥‥
そのリストを持ってるんだ‥‥?
千: 証人。
あなたがここで
罪を認めないのであれば、
このリストは、
マスコミに公表されるでしょう。
小:
!!
‥‥‥‥‥‥
‥‥認める‥‥
認めるよ‥‥
ぼかぁ‥‥ぼかぁ‥‥
‥‥ミス・チヒロを‥‥
あの‥‥<<考える人>>で‥‥
‥‥殴ったんだ!
‥‥‥‥‥‥
千: 以上です、裁判長。
裁: どうやら、これ以上の審理は
必要ないようですね。
成歩堂くん。
成: はい。
裁: また、やってくれましたね‥‥。
成: いやあ‥‥。
たまたまツイていただけですよ。
(スゴ腕の霊が‥‥)
裁: ‥‥ふむう‥‥では!
弁護人‥‥いや、被告人
成歩堂 龍一に、
判決を言い渡します。


(無罪判決)

裁: ‥‥では、
本日はこれにて閉廷!


9月9日 午後2時24分
地方裁判所 被告人第1控え室

千: またこうして”おめでとう”って
言えるなんて。
綾里家に生まれたことに
カンシャしないとね。
成: 真宵ちゃんにも。
千: ‥‥そうね。
‥‥‥‥‥‥
ありがとう、なるほどくん。
私と真宵のために‥‥
こんな、あぶない目にあって‥‥。
私、一生わすれません。
成: (”一生”‥‥ねぇ‥‥)
千: ‥‥‥‥
‥‥そろそろ、時間ね。
成: え。
千: 真宵の霊力は、まだとても
弱いわ‥‥。
そんなに長く、”こっち”には
いられないの。
成: そ、そんな!
‥‥まだ、言いたいことが‥‥!
千: 心配しないで。
‥‥また会えるわ。きっと。
成: しょ、所長!
千: ‥‥ふふ。
もう私は”所長”じゃないわ。
なるほどくん。
今夜9時。‥‥事務所に
来てくれるかしら‥‥?
成: 事務所に‥‥。
千: じゃあ‥‥また会いましょうね。
成: 所長‥‥千尋さん!


9月9日 午後9時2分
綾里法律事務所

成: (‥‥あの夜のこと、
思い出しちまうな‥‥)
?: よく来てくれたわね‥‥。
成: 千尋さん‥‥。
?: 来てくれないんじゃないかと
少し心配だったわ。
成: そんなわけ、ないじゃないですか。
?: じゃあ。
おなかもすいたことだし、
みそラーメン食べに行きましょう。
成: ち、千尋さん‥‥?
?: ‥‥‥‥
あっはっはっは!
おもしろいカオー。
成: 千尋さん!
真: さっきから”千尋さん”ばっかり。
‥‥あたしですよー、真宵。
成: ま、真宵ちゃん?
真: ね、ね、似てました? あたし?
成: (”似てた”、っていうか、
本人じゃないか‥‥)
真: ふーん。これは使えそうだな‥‥。
”なるほどくん、私、お茶が
飲みたいわ”とか言っちゃって
成: ‥‥あのさ。
なんできみが、ここに?
真: ほら! ‥‥これ。
お姉ちゃんが、手紙くれたんです!
”なるほどくんのこと、
よろしくたのむわ”‥‥って。
成: ‥‥何をよろしくたのむの?
真: 事務所ですよ、事・務・所。
<<成歩堂法律事務所>>。
あたし、お手伝いしますから!
よろしくおねがいします!
‥‥あ、カタ苦しいのは
ナシにしましょうね!
よろしく! なるほどくん!
‥‥あ、お名前はお姉ちゃんから
聞いたんだよ。
いい名前だねー、
”なるほどくん”なんて。
成: (な、”なるほどくん”って‥‥)
真: ね。ほら、
あくしゅ、あくしゅ。
成: ‥‥でもまあ、考えてみれば、
ぼくがこうしてここに
立っているのも、
もとはと言えば、この子の
せいであり、
同時に、この子のおかげでもある。
<<成歩堂法律事務所>>‥‥
ヒビキは悪くない、な。
‥‥うん。
よろしくたのむよ、真宵ちゃん。
千:
(‥‥なるほどくん。
しっかりね‥‥
私はいつでも、
あなたを見てるわ‥‥)
真: じゃ! なるほどくん。
行こう!
成: え、え‥‥? どこに。
真: 決まってるでしょ。
みそラーメン。
近くに、おいしいところが
あるんだよ。
‥‥ほら。早く!
成: はいはい‥‥。


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