成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
荷星 三郎…紺 | |
オバチャン(大場 カオル)…灰 | |
スタッフの子…黄 | |
大滝 九太…黄緑 | |
カントク(宇在 拓也)…橙 | |
姫神 サクラ…紫 |
地方裁判所 被告人第3控え室 | |
成: | ニボサブさん。 |
荷: | は、はい。 |
成: |
本当に、楽屋にいたんですね? スタジオには行ってませんね? |
荷: |
あの、行ってません。 その、寝てました。 |
真: |
じゃあ、写真に写っていた トノサマンは、誰なのかなあ? |
荷: |
知りませんよ、そんなの‥‥。 トノサマンの着ぐるみは楽屋の すみに置いておいたので、 誰でも持っていこうと思えば できたと思いますけど‥‥。 |
真: |
えー。 なんか、不用心ですねー。 |
荷: |
まさか、着ぐるみなんか 盗む人もいないと思いまして‥‥。 ‥‥あの。 ボク、どうなんでしょう? |
成: | かなりヤバいと思いますよ。 |
荷: | え。 |
成: |
今のところ、犯人は あなたしか考えられませんから。 |
真: |
そんなぁ‥‥! どど、どうするの? なるほどくん。 |
成: |
とにかく、時間をかせごう。 荷星さんの他に、犯行が可能だった 人物を、ムリヤリ指摘するんだ! |
真: |
そうか! それでゴネて、明日まで 判決をのばすんだね。 |
成: |
そう。‥‥指摘を間違えると、 たぶんアウトだ。 |
荷: |
な、なんか 苦しまぎれに聞こえますね。 |
成: |
いや。ジッサイ、 まぎれもなく苦しいんですよ! |
真: |
あ。なるほどくん、 ‥‥時間だよ。 |
成: |
じゃ、行こうか。 ‥‥ふう。 |
荷: |
た、ため息をつかないで くださいよ‥‥。 |
裁: |
では、審理を再開します。 御剣検事。‥‥意見をどうぞ。 |
御: |
検察側の意見は、 カンタンだ。 状況は、何も変わっていない。 スタジオに行った2人目の人物は、 10才ぐらいの少年だった。 たしかに、写真は決定的な 証拠にはならないが、 他に犯行が可能だった人物は いない。 荷星 三郎に<<有罪判決>>を! |
裁: |
ふむう‥‥。 では、成歩堂弁護士。 ‥‥意見をどうぞ。 |
成: |
弁護側の意見は、検察側の 意見とは違います。 犯行が可能だった人物は、 被告の他にもいました! |
裁: |
静粛に。 ‥‥それはおもしろい。 さっそく聞かせていただきます。 ‥‥ただし。 カンケイない人物を犯人呼ばわり した場合は、 それなりのペナルティを与えるので そのつもりで‥‥。 |
成: |
(しっかりクギをさされて しまった‥‥) |
裁: |
被告人・荷星さん以外に、犯行が 可能だった人物とは‥‥? |
成: |
警備をしていた オバチャンですよ、モチロン! |
オ: | な、なんだって! |
成: |
この写真のトノサマンは、 足を引きずっている。 つまり、午前中の打ち合わせで、 荷星さんがケガをしたことを、 この人物は 知っていたことになる! 被害者と荷星さん以外に、 そのケガを知っていたのは、1人! オバチャンしかいません! |
オ: | な、なァにィィ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! そ、そうなんですか オバチャン! |
オ: |
き、気やすくオバチャンて 呼ぶんじゃないョ! |
成: |
オバチャンは、正門の前で、 1人で警備をしていた。 逆に言えば、それは アリバイがないということです。 少しのあいだ、持ち場を離れ、 トノサマンの着ぐるみを盗んで、 殺人現場の第1スタジオに 行くことができたはずです! |
裁: |
な、なぜ、わざわざ 着ぐるみを着たんですか? |
成: |
カンタンなことですよ。 ゲートのカメラに写真を 撮られないようにするためです。 着ぐるみを着れば、荷星さんに ツミをかぶせることができる! |
裁: |
な、なるほど! ‥‥見事なスイリです‥‥。 |
成: |
(よしよし。 ダイセイコウだな‥‥) ‥‥‥‥‥‥‥‥? (おかしいな。 いつもなら、このへんで 御剣のヤツ‥‥ シャキーンと”異議”を 申し立てるはずなのに‥‥?) |
裁: |
どうですか? ‥‥御剣検事‥‥? |
御: |
‥‥‥‥‥‥。 今のところ、気のきいた 異議が思いつかない。 |
オ: |
ちょ、ちょ、ちょっと! どういうことョ! みんな、オバチャンがハンニン だって言うの! ミッちゃん! ダマってないで、助けなさいよ! |
成: |
(さて。どうする? 追い打ちをかけておくか?) |
成: |
荷星さんを犯人とする コンキョは、 そのままこのオバチャンにも 当てはまります! |
オ: |
ど、どうしてオバチャンが イブクロちゃんを‥‥! |
成: |
動機が不明という点では、 荷星さんも同じでしょう? |
裁: |
ふむう‥‥。 そのとおりですね‥‥。 |
成: |
(これで、オバチャンも 容疑者の仲間入り、だな。 ちょっとキノドクだけど、 荷星さんのためだ‥‥) |
オ: |
待ちなよ! あの、スタジオに行った もう1人はどうなるんだい! オバチャンが写真のデータを 消しちゃった子供さ! |
裁: |
でも、小学校2、3年生の 少年なんでしょう? |
オ: |
カンケイないね! オバチャン、そのころにはもう、 お父ちゃんには負けなかったよ! |
裁: |
ふむう‥‥。 どうですか? 弁護人。 |
成: | その少年は犯人ではありません。 |
オ: |
何、言ってんだョ! コドモだからって、サベツは よくないと思うねオバチャンは! |
成: | ‥‥証拠もあります。 |
オ: | な、なんだって! |
裁: |
ほほう。‥‥では、 見せていただきましょう。 少年が犯人ではないという 証拠を。 |
成: |
いいですか。 凶器は、トノサマン・スピアー です。 そして、その凶器は、こうして 写真に写っています。 ‥‥少年に、スピアーを 入手することは不可能です! |
裁: |
なるほど‥‥。 どうですか? 証人? |
オ: | ‥‥‥‥むむむ。 |
成: |
(さすがに、返すコトバも ないみたいだな‥‥) |
裁: |
わかりました! 本日の審理は、ここで 中断したいと思います。 検察側は、この証人‥‥ ええと、名前、なんでしたかな? |
御: |
”大場なんとか”、だったと キオクしている。 |
裁: |
検察側は、大場さんの取り調べを 行うように! ‥‥では、 本日はこれにて閉廷! |
オ: |
ダマってらんないわネ! オバチャン、しゃべっちゃうよ! |
真: |
あのオバチャン、 まだしゃべる気なの‥‥? |
裁: |
証人! ‥‥どういうことですか? 何か、証言していないことが あるんですか! |
オ: |
実はオバチャンね。 口止めされてたことがあんのョ! |
成: | く、口止めですって! |
御: | い、いったい、誰に! |
成: | (あれ? 御剣じゃないのか‥‥) |
裁: |
と、とにかく、<<証言>>を しなさい! |
オ: |
『オバチャン、英都撮影所から 口止めされていたことがあるのョ。』(証言1) 『事件があった日、実はあの撮影所 には、他にも人がいたのよねェ。』(証言2) 『その人たち、”ワレワレは事件に 関係ないから”だってサ。』(証言3) 『”撮影所にはいなかったことに してくれタマエ”なんて言って。』(証言4) 『オバチャンがうたがわれるんなら、 アイツらも巻き込んじゃおうかね!』(証言5) |
裁: |
しょ、証人! なんでそんなダイジなこと、 今まで言わなかったんですか! |
オ: |
だーかーらー。 口止めされてたんだから、 しょうがないでショ! |
裁: | ‥‥‥‥‥‥。 |
成: |
(トホホ‥‥と思っているに 違いないな‥‥) |
裁: | 成歩堂くん‥‥<<尋問>>。 |
成: | それは、ダレですかッ! |
オ: | まず、カントクとプロデューサー。 |
成: | カントク‥‥? |
御: |
オカシイと思うべきだった‥‥。 監督なしで、アクションの 打ち合わせなど‥‥ するはずがない! |
オ: | そりゃそうよねェ。 |
成: | 彼らは、どこにいたんですか? |
オ: |
カントクは、午前中は スタッフエリアで打ち合わせ。 お昼からは、プロデューサーと 合流して、会議してたみたい。 |
御: | どこで! |
オ: | 第2スタジオの、コテージでね。 |
成: |
だ、第2スタジオ‥‥? (初耳だぞ‥‥) |
オ: |
上面図でいうと‥‥、 ここだね。 ゲートを通って、左に ずっと行ったところ。 |
成: |
(‥‥あの、サルのクビが 落ちていた方面か‥‥) |
裁: |
どうです、成歩堂くん。 ‥‥まだ尋問しますか? |
成: |
(聞くべきコトは聞いたと思うけど どうしよう‥‥) |
成: |
裁判長。 英都撮影所には、事件当日、 他にも人がいました。 カントクに、プロデューサー。 そして、えーと、おエラいさん。 彼らは、取り調べも 受けていない! この時点で、被告人・荷星さんに 判決を下すことは不可能です! |
裁: |
ふむう‥‥。 弁護人の主張を認めます! 検察側は、まずこの証人、 大場さん。 そして、証言に出てきた 人たちを取り調べるように! |
御: |
‥‥‥‥ 了解した。 |
裁: |
本日の荷星 三郎の審理は、 ここまでとします。 ‥‥では、 本日はこれにて閉廷!
|
地方裁判所 被告人第3控え室 | |
荷: |
本当に、 ありがとうございました。 あなた方に依頼したのは 大正解でした。 |
真: |
いやいや‥‥、恐縮です。 なーんて。 |
成: |
ぼくたちは、これから また撮影所の方へ調査に行きます。 例の、カントクやらプロデューサー やらを、調べなくちゃ。 きっと彼らは、次の法廷で 証人として出てきます。 尋問の材料を集めないと、ね。 |
真: |
でもさあ、なるほどくん。 結局、トノサマンの中に入っていた のは、誰だったんだろ? あのオバチャンだったのかな? |
成: | どう思います? 荷星さん。 |
荷: | 違うと思いますよ。 |
真: | あたしも違うと思うな‥‥。 |
成: |
だ、だから、あれは時間を かせぐために、 オバチャンに悪役になって もらっただけだからさ‥‥。 |
真: | ちょっと、カワイソウ‥‥。 |
成: |
ま。いいだろ。 じゃ、ぼくたちはすぐ、 英都撮影所に行きますから。 |
真: |
またあとで、おじゃましますね! ‥‥留置所に。 |
荷: |
は、はッ。 ‥‥恐縮です。 |