成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
荷星 三郎…紺 | |
オバチャン(大場 カオル)…灰 | |
スタッフの子…黄 | |
大滝 九太…黄緑 | |
カントク(宇在 拓也)…橙 | |
姫神 サクラ…紫 |
成歩堂法律事務所 | |
成: |
ああ、つかれたなあ 今日は。 |
真: |
なるほどくん。 ダメだよくつろいじゃあ! ねえねえ。 ニボサブさん、だいじょうぶ? |
成: |
とりあえず、今日の法廷で 話に出た人たちしだいかな。 |
真: | カントクと、プロデューサー? |
成: | そう。 |
真: |
じゃあ、こんなところにいないで、 撮影所に行こうよお! |
成: |
どうしたらいいと思う? これから。 |
真: |
ど、どうするって、さっき なるほどくんが言ってたでしょ。 ”カントク”と”プロデューサー” の情報を集めよう、って。 |
成: |
え、じゃあ、こんなところに いても、しょうがないよ。 |
真: |
だから! はやく撮影所に 行こうよ! |
真: |
うーん。 何かを推理するには、 まだデータが足りないな。 |
成: |
昨日もそんなこと言ってたぞ。 すなおに”何も思いつきません” て言えよ。 |
真: | データが足りないの! |
留置所 面会室 | |
荷: |
あ、成歩堂さん。 今日はありがとうございました。 |
成: | いやあ、運がよかっただけです。 |
真: | ホントにね。 |
成: | うるさいな。 |
真: |
ねえ、ニボサブさん。 何か、手がかりになりそうな こと、ありませんか? |
荷: |
ううん‥‥。 特に、ないですね。 ‥‥すみません。 |
真: |
どんな小さなことでも 話してくださいね。 |
成: |
明日も運がいいとは かぎりませんからね。 |
荷: | ‥‥は、はい‥‥。 |
成: |
スタジオには、ファンの子供は よく入って来るんですか? |
荷: |
そうでもないですよ。 あの警備員のオバチャン、 こうるさい人ですから。 |
真: |
でも、今日の証言では、よく ウロウロしている、って‥‥。 |
荷: |
子供たちは、トノサマンが本当に 大好きなんです。 オバチャンの目をぬすんで、 入って来ちゃうんですよね‥‥。 |
成: |
午前中の打ち合わせ、 カントクもいたんですか? |
荷: |
は、はあ、まあ。 トノサマンとアクダイカーンの 動きをつけていただきました。 |
真: |
なんで教えて くれなかったんですか! |
荷: |
ま、まあその、撮影所の方から、 口止めをされてですね‥‥。 |
真: |
何、言ってるんですか! 何度も言うけど、なるほどくん、 まだ新米弁護士なんです。 負けるときは、ホント、アッと いう間にポックリいきますからね! |
荷: | は‥‥きょ、恐縮です。 |
成: | (ポ‥‥ポックリはないだろう) |
真: |
他に何か、かくしていることは ないでしょうね! |
荷: | は、はい‥‥ないと思います‥‥。 |
英都撮影所・正門前 | |
真: | ‥‥誰もいないよ。 |
成: |
オバチャン、 つかまっちゃったからね。 誰か、かわりの人がいなくて いいのかな‥‥? |
真: |
あっ、詰所の中に、 おばちゃんのようかんがあるよ! ‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥ そ、そんな目で見なくても‥‥。 |
撮影所・スタッフエリア | |
真: |
あれ。あそこにいるの、 スタッフの子だよ。 おーい。 |
ス: |
あ。あなたたち、 ニボサブさんの弁護士さん。 聞きましたよ! ダイカツヤクだったそうですね! |
成: | いやあ、ははは。 |
ス: |
でも、警備員のオバチャン つかまっちゃったんですって? |
成: | い、いやぁ、ははは‥‥。 |
ス: |
さっきオバチャンから 電話があったんです。 とりあえず、あの排水口の アナをふさいでおけ、って。 |
成: |
あ、ああ、あそこの。 (ものすごくブキヨウだな‥‥) |
ス: |
あ、あの、私‥‥。 ちょっと、手作業はニガ手 なんですぅ‥‥。 |
真: |
えー。でも、大道具や小道具の 手入れとか、してるんでしょ? |
ス: |
は‥‥はい。 でも、手入れする前よりも ヒドくなったりすることが‥‥。 |
真: |
ま。ま。気にしない気にしない。 ‥‥そんなこともあるって! |
ス: |
そうですよね! 私、気にしません! |
成: |
(気にした方がいいと 思うけど‥‥) |
ス: |
あ、あの。私これから、 オバチャンのかわりに、 詰所に入らなくちゃ なりませんので、これで‥‥。 |
真: | そうなんだ。じゃあね! |
ス: |
はい。 では、がんばってください! |
真: |
今日の裁判で言ってた 小学生の男の子って、 この排水口から 入って来たんだよね? |
成: |
‥‥らしいなあ。 大あわてでふさいだ、ってワケか。 |
真: |
ね。ね。なるほどくん。 あのアナをふさがれちゃったら、 その子、もう入れないんだよね。 |
成: |
まあ、そのために ふさいだんだからなあ。 |
真: | なんかその子、カワイソウだよね。 |
成: |
‥‥じゃあ、また ぶっコワしておくか? |
真: |
え! いいの! なるほどくん! |
成: |
(‥‥げ。ホンキだ。 どうしよう‥‥) |
成: |
‥‥しかたないな。 じゃ、コワしていいよ。 |
真: |
わあ、なるほどくん、 いいヒト! |
成: | (そうかなあ‥‥) |
真: |
えいっ! ふう。これでコドモたちも おおよろこびだね。 |
成: | やれやれ。 |
ス: | あ。‥‥どうも。 |
真: |
あはは。やっぱり、そのカッコ じゃ、にあわないね! |
ス: |
やっぱり、ダメですか。 ミリタリールックのベストを 着ているので、 ”あるいは”と思ったんですけど。 |
成: | どう、撮影所の方は? |
ス: |
警察の人がウロウロして、 大変ですよ。 ”現場保存”とか言って、 そうじもさせてくれないんです。 おかげで、事件の日のお昼ご飯の 後かたづけもできなくて。 |
成: |
ああ。スタッフエリアにあった、 あのホネの乗った皿? |
ス: |
ええ。 メイワクな話ですよね。 |
真: |
ここには、よく子供たちが 入り込んだりするの? |
ス: |
うーん。 数は多くないんですけどね。 よく見かける子はいますよ。 カメラなんか持って、 撮影風景をのぞいてるんですよ。 警備員のオバチャンも、 目を光らせているんですけど、 やっぱり、子供の行動力には ちょっと‥‥。 |
成: |
今日、 裁判所で聞いたんだけどさ。 事件当日、ここにはカントクや プロデューサーもいたって。 |
ス: |
すいません。 私は大道具倉庫の方にいたので 見てはいないんですけど、 どうも、いたみたいですね。 撮影所長から、口止め されていたので‥‥。 |
真: |
やっぱり、カントクさんを かばったってワケ? |
ス: |
カントク、っていうか、 プロデューサーの方かな。 なんか、すごいヤリ手の プロデューサーなんですよ。 ほとんどツブれかけてた この撮影所を立て直しちゃって。 この撮影所にとっては、カミサマ みたいなヒトらしいですよ。 |
成: | (‥‥プロデューサー、か) |
?: | なっ、なんだキミタチわっ!(爆) |
真: |
あ‥‥‥‥ あなた、ダレですかっ! な、なんかスゴく アヤシイんですけどっ! |
カ: |
シッケイだなぁ!(怒) 宇在 拓也(うざいたくや)を 知らないのかよぅ! カントクだぞぅ! トノサマンは、 ボクが作ってるんだぞぅ!(爆) |
真: |
ええっ! そうなんですか! すみません、なんかその、 あやしく見えちゃってあの。 |
カ: |
い、いや。いいんだけどぉ。 いいんだけどさぁ、別に。(笑) ‥‥‥‥‥‥。(黙) |
真: | な、なんですか? |
カ: |
よく見ると、アナタ‥‥。 イイねぇ。 ‥‥実に、イイよぉ。(萌) ボク的には、ヒット、かなぁ? そのコスチューム。(垂) |
真: |
な、な、な、な、何を 垂らしてるんですか! 何を! |
カ: |
な、なんか‥‥。うお、うおお。 みなぎってきたぞぅ!(燃) そ、創作意欲が! エナジーがッ!(爆) そうだ、”ヒメサマン”! トノサマンの続編をやろう! ”小江戸剣士ヒメサマン”!(核) |
成: | ひ、”ひめさまん”‥‥。 |
真: |
なんで”小江戸”なのよ! ”大江戸戦士トノサマン”より スケールダウンしてるじゃない! |
成: | お前も本気になるなよ‥‥。 |
成: |
あの、事件当日のこと、 聞かせてほしいんですけど。 |
カ: |
ああ。キミかぁ。オバチャンから、 ボクらのことを聞き出したの。 |
成: | ええ。 |
カ: |
あの日はさぁ。午前中は アクションの打ち合わせ。 で、正午から第2スタジオの コテージで会議。 もお、忙しくてヒルメシも 食えなかったよ。(泣) |
成: | ホネつきステーキですか? |
カ: | ゲッチュウ! そのとおり! |
真: |
なるほどくん。 ”げっちゅう”ってナニ? |
成: | ‥‥知らない。 |
カ: |
とにかく、正午から、4時すぎ まで、ずっと会議。 プロデューサーや、テレビ局の おエラいさんとさぁ。 |
成: |
(イブクロさんが死んだのは、 午後2時30分。 今の話が本当なら、 アリバイ成立だな‥‥) |
成: |
いっしょに会議をしていた プロデューサーですけど‥‥。 |
カ: |
ああ。姫神 サクラ(ひめがみ さくら)のコト? あのヒトは、テンサイだよ。 すごくコワいけど。(汗) つぶれかけたこのスタジオを、 ミゴトに立て直したって。 ボクに”トノサマン”を作る チャンスをくれた、大恩人! |
成: |
事件があった日は、いっしょに 会議をしていたんですよね。 |
カ: |
正午から4時まで、 ずっとイッショだったよ。 |
成: |
”おエラいさん”というのは、 どういう人たちですか? |
カ: |
制作局の部長やスポンサー、 それにプロダクションの人かな。 彼らはみんなでリムジンに乗って、 正午前にここへ来たんだ。 キンチョーしたよなぁ。(汗) |
成: |
その人たちとは、 ずっと一緒だったんですか? |
カ: |
まあね。 みんな白髪まじりの ジイさん連中だよ。(苦) |
成: |
(うーん、信用できる 証人たちみたいだな‥‥) |
第1スタジオ前 | |
真: |
あれっ。 今日は、イトノコ刑事さん、 いないね。 |
成: |
そうだね。 今日の裁判、大騒ぎだったから、 きっと忙しいんだろう。 |
真: |
ね。ね。なるほどくん。 今日の裁判で言ってた ”第2スタジオ”って、 あの、木が倒れてる 道の方に行くとあるんだよね。 |
成: |
ああ。そんなこと 言ってたっけね。 |
真: |
カントクさんたち、 今日もいるかもしれないよ。 今がチャンス! ‥‥行ってみようよ! |
第2スタジオ前 | |
成: | (誰もいない、か‥‥) |
真: |
きゃっ! ななな、なるほどくん。 いいい、今の音、なに? コテージの中から聞こえて きたみたいだけど‥‥。 |
成: | ‥‥中に誰か、いるみたいだね。 |
真: |
す‥‥すいませーん。 ‥‥‥‥ |
成: | 返事がないな。 |
真: |
アヤしいよ、なるほどくん! よし‥‥入ってみよう! |
成: |
怒られないかなあ‥‥。 ‥‥‥‥‥‥あれ。 ‥‥カギがかかってるよ。 |
真: | えー。カギは? |
成: |
そりゃまあ、正門前の 警備員の詰所にあるんじゃないか。 |
真: | 調査のためだよ。借りてこよう! |
成: | (貸してもらえるかなあ‥‥) |
オ: |
アッ!アンタたち! また来たのかいッ! |
真: | きゃあ! 出たぁ! |
オ: |
人をオバケみたいに 言うんじゃないョ! |
成: |
‥‥あの、ずいぶん早い お帰りでしたね‥‥? |
オ: |
あれからケーサツに つれていかれてサ。 連中、トノサマンの着ぐるみの スペアを引っぱり出してきて。 ”着ろ”って言うワケョ。 その着ぐるみを。 そんなもん、着られるワケ ないでしょうが! |
成: |
荷星さん、180cmは ありますからねー。 |
オ: |
着られないってわかったら、 帰っていいって。 |
成: |
(そりゃそうか。‥‥犯人じゃ なくなるからな‥‥) |
オ: |
とにかく! オバチャン、このウラミは 一生わすれないかんね! もう、口もきかないんだから! |
真: | さんざんしゃべってるクセに。 |
オ: |
今からだよ! ハイ、ヨーイ、スタート! |
成: | (コドモか、このオバチャン!) |
成: |
あの。オバチャンが見た 子供のことなんですけど‥‥。 |
オ: | 今度見かけたら、ハッたおす! |
真: |
なるほどくん! ホンキだよ! |
成: |
事件当日、ここにいた カントクさんたちのことですけど。 |
オ: | 今度見かけたら、ハッたおす! |
真: |
なるほどくん! 見さかいがなくなってるよ! |
真: |
あっ! ちょっと! 待ってよ! |
成: |
(やれやれ。あの排水口から 入ってきたらしいな‥‥) |
真: |
ね、ね、ボク。 お名前は、なんでちゅかー? |
?: |
コドモじゃねえんだ。 ナメた口、たたくんじゃねえ! |
真: |
‥‥な、何よ! あんた、まだ子供じゃない! オトナに向かって、その 口のききかたは‥‥。 |
?: |
なーにがオトナだよ! 狂った ファッション・センスしやがって! |
真: |
く、くるった‥‥。 な、なるほどくぅん。 いじめられたぁ‥‥。 |
成: |
(コイツ‥‥とがってやがる。 ナイフみたいに‥‥) |
九: |
オレは九太だ! 大滝 九太(おおたききゅうた)! 今度”ボク”なんて言ったら、 切り捨ててやるからな! |
成: |
きみ、トノサマンが 好きなのかい? |
九: |
気やすくトノサマンの名前を 口にするな! |
真: |
何言ってるのよ! トノサマンはあたしの味方だよ! |
九: | バッ、バカ言ってんじゃねえよ! |
真: |
じゃあ、じゃあ、第8話に出てきた 茶屋の主人の、最後のセリフは? |
九: |
知ってらあ! ”ポテトもいかがですか?” |
真: | ‥‥ムッ、やるわね‥‥。 |
九: | フッ。 |
成: | (何やってんだよ‥‥) |
成: |
なあキミ。ここで事件があったの、 知ってるかい? |
九: | ‥‥‥‥。 |
真: |
その日も、いたんでしょ? ここに。 |
九: | ‥‥‥‥。 |
成: | 何か、気づいたこととか‥‥ |
九: | ‥‥トノサマンは。 |
成: | ? |
九: |
トノサマンは、誰にも、 ゼッタイ負けないんだ! オレ、ゼンブ見てたんだ! |
真: | ええっ! |
九: |
でもなっ! お前らなんかに、 教えてやるもんか! |
真: | あっ! 待って‥‥‥‥。 |
九: | はなせよ! |
真: |
‥‥‥‥。 行っちゃった‥‥。 あれ? 逃げるときにぶつかったテーブル から、何か転がり落ちたよ。 |
成: |
ビン、か‥‥。 なんでこんなものが、 テーブルに‥‥? |
ポケットにしのばせた。 | |
成: |
ところであの子、何か 言ってたよな。 |
真: | ”ゼンブ見てたんだ”って‥‥。 |