成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
矢張 政志…紺 | |
星影 宇宙ノ介…黄 | |
ボート小屋のオジさん…灰 | |
サユリさん…黄緑 | |
狩魔 豪…紫 |
‥‥15年ぶり、だな。 | |
そうなりますね。 | |
キミには 想像もつかないだろう‥‥。 この15年間、私がどれだけ 苦しんだか‥‥。 | |
あなたが‥‥苦しんだ? | |
そして、今。‥‥やっと、 チャンスがめぐってきた。 そう‥‥。 キミに復讐するチャンスがね。 | |
なんですって! | |
‥‥メリー・クリスマス。 | |
成歩堂法律事務所 | |
真: |
ね。ね。なるほどくん。 このあたりに、滝ないかな、 滝? |
成: |
タキ‥‥? どうするんだ、そんなの? |
真: |
ナニ言ってるの、なるほどくん。 滝って言ったら、打たれるに 決まってるでしょ? |
成: |
‥‥‥‥ そういえば真宵ちゃんは ”修行中の身”なんだっけ。 |
真: |
そうだよ。‥‥最近、修行の方が おろそかになってるから、 滝ぐらい打たれておきたいな、 って思って‥‥。 |
成: |
うーん‥‥。 近くに”ひょうたん湖”ってのが あるけど、滝はないなあ‥‥。 |
真: | うううう‥‥。 |
成: |
ないものはしょうがないだろ。 シャワーでも浴びといたら? |
真: |
‥‥‥‥ うん、そうする。 |
成: | (やれやれ‥‥) |
‥‥では、次のニュースです。 ひょうたん湖で、ナゾの巨大生物が 目撃されました。 ネス湖の”ネッシー”にちなんで ”ヒョッシー”と名づけられ、 大きな話題を呼んでいます。 本家のネッシーがニセモノだった だけに、 ヒョッシーは本当にいるのか? ‥‥日本中の注目を集めています。 ‥‥‥‥‥‥ | |
成: |
あーあ‥‥ヒマだなあ。 ニュースも、ロクなこと やってないし‥‥。 |
真: | なるほどくん。 |
成: | ? |
真: | パワー、弱いよ。シャワー。 |
成: |
‥‥‥‥。 ‥‥じゃあ、そうだなあ。 消防署に行って、ホースで 思いっきりぶっかけてもらったら? |
真: |
‥‥‥‥ うん、そうする。 |
成: | (やれやれ‥‥) |
り‥‥臨時ニュースが入りました! ひょうたん湖で、今度は、 さ‥‥殺人事件です! | |
成: | (また、ひょうたん湖か‥‥) |
今朝がた、ひょうたん湖から男性の 死体が見つかった事件で、 警視庁は、逮捕した容疑者の 氏名を発表しました。 容疑者の名前は、 ミツルギ・レイジ、24才。 ミツルギは、将来を約束された、 有名な若手検事でした。 その彼が、なぜ殺人を? ‥‥日本中の注目を集めています。 | |
成: |
(‥‥? ミ‥‥ミツルギ‥‥?) な、な‥‥なんだってェ! どういうことだ! あのミツルギが‥‥? |
真: | なるほどくん。 |
成: | わっ! ‥‥ま、真宵ちゃん! |
真: |
電話したら怒られたよ。 ‥‥消防士さんに。 |
成: |
それどころじゃないよ! 御剣が‥‥逮捕された! |
真: |
えっ! ‥‥あの、 ケンジさん? |
成: | しかも、殺人容疑だぞ! |
真: |
えええええええっ! いつ? どこで? 誰を? どうして? どうやって? |
成: | し、知らないよ! |
真: | すぐ行こう! なるほどくん! |
成: | どうしようか、これから。 |
真: |
ど、どうするって‥‥。 とにかく、いろいろ 調べてみようよ! 御剣検事の話を聞いたり、 現場に行ったり‥‥。 |
成: |
(そうだな‥‥最初から 迷っていても、しかたないか) |
成: |
‥‥どう? 何か気づいたこと、ある? |
真: |
うーん‥‥。 滝に打たれたら、いい考えも 浮かぶんだけど‥‥。 |
留置所 面会室 | |
真: |
考えてみたら、 あたしたち、みーんな ここに入ったことがあるんだね。 |
成: |
まあ、このシゴトをしていれば、 フツーじゃないかな。 |
真: |
‥‥誰かが聞いたら ゴカイするよ‥‥。 わっ! |
成: |
‥‥‥‥。 こら! 帰るな御剣! |
御: | ‥‥何しに来た! |
真: |
なるほどくん、 フキゲンだよ‥‥御剣検事。 |
成: |
そりゃ、 留置所に入れられて ゴキゲンって わけにもいかないだろ。 |
御: |
こんな私を見て、笑いに来たのか! ‥‥笑いたければ、笑うがいい。 どうした! さあ、笑えよ! |
真: |
なるほどくん。 ‥‥わ、笑った方がいいのかな? |
成: |
こいつ、スナオじゃないからな。 笑ったら、怒り狂うか泣きだすぞ。 ‥‥御剣。 笑いに来るほどヒマじゃないよ。 |
御: |
‥‥‥‥ ヒマなくせに。 |
成: | (まあ、ヒマはヒマだけど‥‥) |
御: |
‥‥‥‥。 見られたくなかった。 ‥‥こんなすがたを、キミにはな。 |
成: |
(ぼくだって‥‥ 見たくなかったぞ‥‥) |
成: |
御剣。 ‥‥事件のこと、聞かせてくれよ。 |
御: |
‥‥‥‥。 そんなことを聞いて、 どうするつもりだ? |
真: |
きまってるでしょ! 助けるんだよ、御剣検事を! |
御: |
‥‥‥! ‥‥‥‥‥‥。 ‥‥助ける? 私を? キミが? うぬぼれるな。 |
成: | ‥‥どういうことだ? |
御: |
キミは、たかだか3回の法廷に 立っただけの、新米弁護士だ。 |
成: | なんだと? |
御: |
そりゃあ、運よく勝ったかも しれない。 だが、ラッキーは そう何度もつづかない。 実力だ。‥‥もっと 実力をつけたまえ。 |
成: | ‥‥。 |
真: |
なるほどくん! なんであたしたちが 怒られなくちゃいけないの! |
成: |
事件は”ひょうたん湖”で 起こったんだろ? |
御: | ‥‥昨日の深夜だ。 |
成: |
湖って、裁判所や検事局とは ずいぶん離れてるよな。 何をしに行ったんだ? そんなところに? |
御: |
‥‥‥‥。 キミに言う必要はないだろう。 |
真: |
み‥‥御剣検事‥‥。 まさか‥‥ホントに、人を‥‥? |
御: |
‥‥‥‥。 ヒョッシー。 |
真: | え? |
御: | ヒョッシーを見に行ったんだ。 |
真: |
”ひょっしー”? なあに、それ? |
成: |
あとで教えてやるよ。 (御剣のヤツ‥‥ぼくたちには 話せないのか‥‥?) |
御: | 弁護士バッジ‥‥か。 |
成: |
御剣。 ぼくにやらせてくれないか、 きみの弁護を。 |
御: |
‥‥‥‥。 ハ‥‥、ハッ! ワルい冗談はよしてくれ。 私はそこまで 落ちぶれてはいないつもりだ。 |
真: | ど‥‥どういうことですか? |
御: |
たまたま3回、勝訴しただけの 新米にすがるなんて、ゴメンだ。 |
真: | な‥‥なんですって! |
御: |
たしかに私は、非常に不利だ。 私が依頼した弁護士たちは、 すべて断ってきた。 |
成: | ‥‥どういうことだ? |
御: |
”私には、自信がありません” ときたもんだよ。 ‥‥もしかしたら、 彼らの依頼人を、かたっぱしから 有罪にしてやったからかもしれん。 |
成: | そんなわけ、ないだろう! |
御: |
とにかく、 私にはかまわないでほしい。 きみには‥‥きみにだけは、 依頼するつもりはない! |
ひょうたん湖公園 入口前 |
|
真: | ここが‥‥事件のあった? |
成: |
そう。 ひょうたん湖のある公園だよ。 |
真: | 警官たちがうろついているね‥‥。 |
成: | 聞き込み、かな。 |
真: |
あれ? ‥‥あそこにいるの、 イトノコ刑事‥‥だね。 |
糸: |
どうなんだッ! これだけいて、何かつかんだヤツは いないのか! |
刑: |
す‥‥すみません。 まだ‥‥。 |
糸: |
バカモン! 裁判は明日だぞ! ‥‥何としても、 手がかりを見つけるんだ! |
刑: |
し、しかし‥‥。 こうして手がかりがないから、 御剣検事殿は、逮捕されて‥‥ |
刑: |
‥‥そうですよ。 犯人は、検事殿‥‥ |
糸: |
うるさいッ! もう一度、 そんなことを言ってみろ! えーと、その‥‥ユルさんぞ! 早く行けッ! |
刑: | は、はッ! |
真: | イトノコさん‥‥コワい‥‥。 |
糸: |
まったく。 ‥‥‥‥ あッ! |
真: | きゃッ! |
糸: |
アンタはたしか、 ヤッパリくんだったッスな! |
成: |
ナルホドです! (いいかげん、おぼえろよ!) |
糸: | 何しに来たッス! 調査ッスか! |
成: | え? ‥‥ええ、そうですが。 |
糸: |
協力するッス! なんでも聞くッス! さあ、カモンッス! |
真: |
‥‥いつもと違うよ‥‥。 どうしちゃったんだろ? あの‥‥。 あたしたち、まだ御剣検事から 弁護を依頼されたワケじゃあ‥‥。 |
糸: |
え! な、なんだ‥‥。 そうだったッスか‥‥。 |
成: |
イトノコ刑事。 ‥‥いったい、 何があったんですか? |
糸: |
えっ? 知らないッス? 事件のコト‥‥。 |
成: | はあ。 |
糸: |
まったく、あきれた オトボケ弁護士ぶりッスな‥‥。 |
成: | オトボケ‥‥。 |
糸: |
いッス。教えるッス。 昨夜の、午前零時15分ごろの ことッス。 ひょうたん湖に、ボートが1つ、 浮かんでいたッス。 ボートには、2人の男が。 そして、片方の男が、 ピストルでもう一方を‥‥。 |
真: |
‥‥それが、御剣検事 だったんですか? |
糸: |
かけつけた警官が 逮捕したッス‥‥。 |
真: |
ずいぶん、手回しが いいですね。 |
糸: |
‥‥それッス。 目撃者がいたッス。 そいつの通報で、ワレワレは すぐにかけつけられたッス。 |
成: | 目撃者‥‥。 |
真: |
御剣検事‥‥ まさか、サツジンなんて‥‥? |
糸: |
あり得ないッス! 自分は信じてるッス! たとえ目撃者がいたって、 そんなコト、カンケーないッス! |
真: |
そ、そうですよね! カンケーないッスよね! |
成: | (カンケーないことあるか!) |
真: |
でも。 イトノコさん、御剣検事のコト、 信頼してるんですね。 |
糸: |
トーゼンッス! ‥‥しかし‥‥、 ‥‥正直なところ、警察ではもう、 御剣検事が犯人ということに‥‥。 この聞き込みも、みんな、あまり マジメにやってないッス。 |
真: | そんな‥‥! |
糸: |
みんな、あれだけ御剣検事の お世話になってきたのに‥‥。 今じゃあ、彼を信じようとする 者は、いやしないッス‥‥。 |
真: | イトノコさん‥‥。 |
真: |
あの、あの‥‥。 ホントなんですか? 御剣検事の弁護、誰も 引き受けてくれない、って。 |
糸: |
‥‥そッス。 御剣検事は、ちょっとした 有名人ッス。 その裁判で負けてしまっては、 自分たちの名前にキズがつくッス。 それに。 御剣検事は、かなり不利ッス。 |
成: | (目撃者がいるもんな‥‥) |
糸: |
アンタ! アンタまで、 彼に背を向けるッスか! トノサマン事件を思い出すッス! 御剣検事の協力があったから、 アンタの依頼人は無罪に‥‥ |
成: |
わかってますよ! でも‥‥。 御剣検事は、ゼッタイに たのむ気はないそうですよ。 ‥‥ぼくにだけは、ね。 |
糸: |
なんスとぉぉぉ! ‥‥そ、そんなハズはないッス! トノサマンの事件が終わったとき、 検事は言っていたッス! ”さすが成歩堂だ”って。 ‥‥何度も言っていたッス! |
真: |
‥‥‥‥。 なるほどくん。 何が”さすが”なのかなあ? |
成: | ‥‥わかんない。 |
糸: |
ど‥‥どうしてッスか‥‥ 御剣検事。 わ、わからないッス‥‥。 |
成: | 目撃者、ってのは‥‥? |
糸: |
ワルいッスが‥‥、 それは捜査のヒミツッス。 とにかく、その人物は、 すべて見ていたらしいッス。 おそらく、明日の法廷に 出てくると思うッス。 |
成: |
目撃者は、 その1人だったんですか? |
糸: |
‥‥そうみたいッス。 昨日の夜は特にサムかったし、 それにホレ、クリスマス・イブ だったッスから。 でも。 他にも目撃者がいたかも しれないと思って、 こうして聞き込みをしてるッス。 今のところ、成果は 上がっていないッスけど‥‥。 |
真: |
そうか。 今日はクリスマスなんだ‥‥。 なるほどくん。 なんかちょうだい。 |
成: | サンタさんにおねがいしなさい。 |
刑: | イトノコさん! |
糸: |
どうした! 何か見つかったか! |
刑: |
いえ。それはまだ‥‥。 署から連絡が入りました! ‥‥捜査会議だそうです! |
糸: |
捜査会議‥‥? わかった! ‥‥すぐもどる! あー。 ‥‥すまんッス。 聞いたとおりッス。 何か、聞いておくことは あるッスか? |
真: |
あ、じゃあ、 今回の被害者のデータを‥‥。 |
糸: |
‥‥すまんッス。 死体の解剖記録は、まだ できてないッス。 自分も報告を待っているッス。 ‥‥そッスね‥‥。 時間があったら、署の方に 来てほしいッス! 話のつづきは、そこで するッス! |
場所を教えてもらった。 | |
成: |
あ! ちょっと! ‥‥イトノコ刑事! |
糸: | な‥‥なんスか! |
成: |
あの‥‥公園の中、 調べたいんですけど‥‥、 歩きまわってもいいですか? |
糸: |
ああ! いいッス! キョカするッス! |
真: |
いやあ、なるほどくん。 キョカをもらうには、その人が 忙しいときをねらうにかぎるね! |
成: | 生活のチエ、ってヤツだな。 |
真: |
さあ! ‥‥いろいろ調べてみようよ! |
ひょうたん湖広場 | |
真: |
うわあ。 ‥‥これが”ひょうたん湖”? |
成: |
そうだよ。 ”うわあ”って言うほどの こともないけどね。 |
真: |
まあ、そうだね。 それより、あれ! ‥‥あの屋台! |
成: | ”とのさまんじう”って‥‥。 |
真: |
あーん、食べたいよー! トノサマンジュウ! きっと、スゴクおいしいよ! |
成: | たしかに、マンジュウだからなあ。 |
真: |
でも‥‥。なぜ今、あえて ”トノサマン”なのかな? ヤングがムチュウなのは、 ”ヒメサマン”なのに‥‥。 ねえ。 |
成: | (‥‥”ねえ”と言われても‥‥) |
真: |
あ。こんなところに クラッカー。 |
成: | クリスマスだからね。 |
真: |
ね。ね。何かの手がかりに なるかもしれないよ。 もらっておこうか。 |
成: |
自分が鳴らしてみたい だけだろ? |
真: | あは。バレちゃった? |
成: | (クラッカーか‥‥どうしよう?) |
成: |
そうだね。じゃあ‥‥ あれ? クラッカーがない。 |
真: | もうポケットにしまっちゃったよ。 |
そっとしまった。 |