成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
矢張 政志…紺 | |
星影 宇宙ノ介…黄 | |
ボート小屋のオジさん…灰 | |
サユリさん…黄緑 | |
狩魔 豪…紫 |
星影法律事務所 | |
成: | ほ‥‥星影センセイ! |
星: |
お。チミたち。‥‥なんぢゃ、 シンコクそうなカオして。 |
真: |
センセイこそなんですか! ノンキなカオして! |
星: |
‥‥い、いやいやいや。 いったい、ナニがあったんぢゃ。 ‥‥話してみなさい。 |
真: |
み、御剣検事が‥‥ みつるぎけんじがああ! |
星: |
‥‥なんと‥‥ 御剣 信を撃った夢を‥‥のう。 |
真: |
ゆ、”夢”なんですからね! ‥‥あくまで! |
星: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ それはどうかのお‥‥。 |
真: | え‥‥。 |
星: |
それならばなぜ、チミたちは そんなにあわてておるのかね? |
真: | そ、それは‥‥。 |
星: |
それに。 あきらかに灰根は、御剣 怜侍に 対して、悪意を持っておる。 殺人罪を着せようとするほどの 強く、深い悪意を‥‥。 ‥‥おそらく。 夢ではあるまい。 ‥‥現実だったのぢゃよ。 チミたちの想像どおり、な。 御剣 怜侍は、父親を助けるために ピストルを投げつけ‥‥ そのピストルが‥‥ 暴発したんぢゃ‥‥。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
真: |
そ‥‥そんな‥‥。 そんなの、ヒドすぎるよ‥‥。 |
星: |
灰根は、その罪を着せられて、 係官としての人生をつぶされた。 だから‥‥御剣 怜侍に 復讐しようとしたのだ。 時効直前の‥‥今になって、な。 |
成: | 御剣の父親って、どういう‥‥? |
星: |
‥‥‥‥‥‥ すばらしい弁護士ぢゃった。 月並みな表現ぢゃが、 そうとしか言いようがない。 ‥‥そういえば、似ておったかも しれんなあ。 綾里 千尋クンと‥‥。 |
真: | お姉ちゃんと‥‥? |
星: |
御剣 信は、狩魔検事のやり方に、 強く反発を感じていた。 |
成: | (カルマケンジ‥‥) |
星: |
狩魔は強引な男ぢゃ。証拠・証言の でっち上げなど、平気でする‥‥。 当然、彼のあつかう事件は、 すべて勝訴だ。 御剣 信は、狩魔に勝つことで、 ヤツのやり方を否定しようとした。 |
真: | そ‥‥それで? |
星: |
負けたよ。 そして、死んだのぢゃ。 ‥‥失意のまま、な。 |
真: | そうなんですか‥‥。 |
星: |
御剣 信が殺害されて、 1人の霊媒師が呼ばれた。 あんたのお母さん‥‥ 綾里 舞子ぢゃよ。 |
『私、御剣 信を殺したのは‥‥ 私を撃ったのは、 法廷係官の、灰根 高太郎‥‥』 | |
星: | ‥‥しかし、灰根は無実ぢゃった。 |
真: |
おかあさん、そのせいで‥‥ 出て行っちゃったんだ‥‥。 ”インチキだ”って、 みんなから言われて‥‥。 |
星: |
そう。みんな、そう思った。 綾里 舞子はインチキだ、と。 ‥‥ぢゃが‥‥今、思えば‥‥ ウソをついたのは、御剣 信の霊 だったのではないだろうか? 御剣 信は、知っていたのぢゃ。 本当は、誰が自分を撃ったのかを。 |
成: |
‥‥まさか‥‥ 御剣 怜侍を‥‥自分の 息子を守るために、 偽証したって言うんですか? 御剣のオヤジが‥‥! |
星: |
‥‥可能性の話ぢゃ‥‥。 しかし。否定はできん。 |
星: |
‥‥ほほお。 それが、問題の手紙か‥‥。 たしかに、 灰根はこのとおりに動いて、 生倉を殺害したんぢゃろう。 |
真: | でも‥‥なぜ生倉弁護士を‥‥? |
星: |
‥‥生倉は ウデの立つ弁護士ぢゃったが‥‥ ヤツは依頼人のためではなく、 自分のために弁護をしておった。 |
成: | ”自分のため”‥‥? |
星: |
ヤツは、自分の依頼人を 信じようとはしなかった。 信じていたのは、 自分のウデのみぢゃ。 |
真: |
でも、結果がムザイなら、 同じなんじゃあ‥‥? |
星: |
違うんぢゃよ。 ‥‥それはもう、全然な。 生倉は、自分のために ムザイ判決を勝ちとった。 その結果、灰根は社会的に 抹殺されてしまったのぢゃ。 |
成: | (どういうことだ‥‥?) |
星: |
‥‥チミにも、 今にわかるぢゃろう。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ はて。 |
成: | どうしました? |
星: |
この手紙‥‥ この、文字じゃが。 見たことがある。この筆跡。 ‥‥とおいムカシ、どこかで。 いったい、 誰の字ぢゃったかな‥‥。 チミ、心当りはないかね。 この手紙、誰が書いたか‥‥? |
成: | もしかして、狩魔 豪ですか? |
星: |
カルマ? なんでここに、 ヤツの名前が出てくるんぢゃ? |
成: | いや、なんで、と言われても‥‥。 |
星: |
‥‥‥‥‥‥ ん? ‥‥カルマ‥‥。 そ、そうぢゃ。 たしかに‥‥これは、 狩魔検事の字ぢゃ! ムカシ、法廷の書類でよく見た‥‥ 彼の字ぢゃよ! |
真: |
ええええっ! ‥‥じゃ、じゃあ‥‥! 灰根さんに、殺人の指示を 送ったのは‥‥ |
星: |
‥‥そう。 狩魔 豪‥‥ということになる。 |
成: |
ど‥‥どういうことだ‥‥! なぜ‥‥狩魔検事が、御剣を‥‥? |
星: |
この手紙を書いたのが狩魔ならば、 ヤツは当然、知っておるはずぢゃ。 御剣 怜侍が、あやまって父親を 殺害してしまったということを。 |
成: | ‥‥‥‥! |
星: |
おそらく明日の法廷で、狩魔は そのことを持ち出すぢゃろう。 御剣 怜侍に”有罪”を 認めさせるために‥‥な。 |
成: | そ‥‥そんな‥‥。 |
真: |
でも、でも。カルマ検事がなぜ、 御剣検事のことを知ってるの! 御剣検事自身、”悪夢”だって 思っていたのに‥‥。 |
星: |
‥‥たしかに‥‥ それは、わからない。 しかし。ヤツはカンペキで、 ‥‥そして、執念ぶかい。 御剣 信に対する憎しみを、息子に ぶつけるつもりかもしれん‥‥。 |
成: | ‥‥どういうことですか‥‥? |
星: |
‥‥15年前‥‥。 狩魔は、たしかに 弁護士・御剣 信に勝利した。 しかし‥‥、狩魔も、 無傷ではすまなかったのぢゃ。 |
成: |
御剣のオヤジと狩魔の 勝負って‥‥どうだったんですか? |
星: |
判決は”有罪”‥‥ 狩魔の勝利ぢゃった。 しかし、御剣 信の告発によって、 狩魔の提出した証拠に、 一部、不正なものがあったことが 立証されたのぢゃ。 |
真: | 不正な証拠‥‥。 |
星: |
狩魔は、検事生活でただ一度の 処罰を受けた‥‥。 御剣 信は、狩魔のカンペキな 経歴に、キズをつけたのぢゃよ。 |
真: | へええ‥‥。 |
星: |
そのコトが、よほどショック だったのぢゃろう‥‥ 狩魔検事は、その日から数ヶ月、 休暇をとったほどぢゃ。 |
成: | 休暇を‥‥? |
星: |
長い検事生活で、狩魔が ”休暇”をとったのは、 それが最初で‥‥そして、 最後ぢゃったよ。 |
真: |
えー! お休みしないんですか? 海とか、山とか‥‥ それに、ヨーロッパとか! |
成: |
なんだよ、そのよくわからない 休暇のイメージは。 |
星: |
‥‥とにかく。 狩魔が休暇をとったのは、 そのときだけぢゃ。 それだけ、くやしかったの ぢゃろう‥‥。 |
成: |
(でも‥‥ カンペキな経歴を残したいなら、 それで休むかな‥‥?) |
真: |
なるほどくん‥‥どうしよう。 カルマ検事、きっとDL6号事件の こと、持ち出してくるよ。 御剣検事‥‥もしかしたら‥‥ 罪を、認めちゃうかも‥‥。 |
成: | そんなことはさせない! |
星: |
‥‥ぢゃが、成歩堂くん。 ザンコクな話かもしれんが‥‥、 たとえ過失でも、殺人は 殺人ぢゃよ‥‥? |
成: |
わかってますよ! ‥‥‥‥‥‥‥‥ ただ、ぼくはまだ、 信じているんです! 御剣を。 あいつが、殺人なんて‥‥! |
真: |
で‥‥でも! 御剣検事、自分で 認めちゃっているんだよ? それに、お父さんも、御剣検事を 守るために、ウソを‥‥ |
成: |
‥‥それでも! それでも、あいつは無実なんだ! |
星: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ 成歩堂くん。 チミがそこまで言うなら‥‥、 もう一度、調べてみるんぢゃ。 警察の‥‥資料をな。 |
成: | 星影センセイ‥‥。 |
星: |
ほとんど可能性はゼロぢゃが。 ‥‥何か、見つかるかもしれん。 |
成: |
わかりました。 (警察の‥‥資料か‥‥) |
警察署内 刑事課 | |
真: | ‥‥人が少ないね。 |
成: |
みんな、オジさん‥‥灰根を 探しに行ってるんだよ。 |
刑: |
あ。キミたち。 今日は、イトノコはもう もどらないよ。 徹夜でヒト探しだとさ。 |
真: |
イトノコ刑事さんも がんばってくれてるんだね! あの。あたしたち、資料室に 行きたいんですけど‥‥。 |
刑: |
‥‥勝手に入ってもらっちゃ こまるんだけど‥‥。 まあ、今なら狩魔検事が いると思うから、 彼といっしょなら、資料を 見てもいいよ。 |
真: | カルマ検事‥‥? |
刑: |
ああ。 ‥‥ついさっき、来たところだ。 |
成: | (狩魔検事が、資料室に!) |
真: | い、急ごうよ、なるほどくん! |
警察署内・資料室 | |
真: |
‥‥あいかわらず、 ホコリっぽいねー。 |
成: |
あいかわらずも何も、 昨日来たばっかりだからなあ。 ‥‥‥‥‥‥ |
真: | どうしたの? なるほどくん? |
成: |
‥‥いや。 いないな、って思って。 狩魔検事‥‥。 |
真: |
あれ。ここだけ、開けっぱなしに なってるよ‥‥。 |
成: | 最近、開けたみたいだね。 |
真: |
<<未解決事件・証拠物件>>って ラベルに書いてあるよ‥‥。 |
成: | (<<未解決事件>>‥‥か) |
真: |
なるほどくん! <<DL6号事件>>のケースだけ、 カラっぽだよ! |
成: | な‥‥なんだって! |
狩: | ‥‥そこで何をしている! |
真: |
きゃあっ! かか、かるま検事‥‥。 |
狩: |
‥‥キサマ‥‥ ‥‥‥‥ なぜ、ワガハイの名を 知っている‥‥? |
真: | え。 |
狩: | どこかで会ったことが? |
真: |
なな、ナニ言ってるんですか! 最近おなじみの カオじゃないですか! あたしたち、御剣 怜侍の 弁護士ですよ! |
狩: |
‥‥弁護士‥‥? これはシツレイ。 弁護士など、目に入らない ちっぽけな存在なものでな‥‥。 |
成: |
(うーん‥‥さすが御剣の 師匠だな‥‥) |
真: |
あ、あの‥‥御剣検事って、 お弟子さんなんですよね‥‥? |
狩: |
‥‥‥‥ ‥‥アマさが抜けない ロマンチストだ。 父親と同じだ。 ‥‥一流にはなれん。 |
成: |
狩魔検事。 あなたは、御剣 信弁護士を ウラんでいますよね? |
狩: |
私が? 弁護士ごときを? ‥‥なぜだ? |
成: |
あなたのカンペキな経歴に キズをつけたからですよ。 |
狩: | ‥‥‥‥フン。 |
成: |
それなのに、なぜ。 御剣 怜侍を、検事として ここまで育てたんですか? 憎いカタキのムスコなのに‥‥。 |
狩: |
‥‥‥‥‥‥ キサマの知ったことではない。 |
狩: |
明日の法廷は、最終日だ。 ‥‥ひさしぶりだ。最終日まで もちこたえた弁護士は。 ‥‥しかし、結果は変わらない。 御剣 怜侍は明日、自らの 罪を認めることになるだろう。 |
成: | ”15年前”の罪ですか‥‥? |
狩: |
‥‥‥‥‥‥ 感心な勉強家だな。 そこまで調べたのなら、 キサマにもわかるだろう。 明日の法廷で、御剣 怜侍が 何を語るかを‥‥。 |
成: |
(やはり‥‥ 明日の事件で、コイツは DL6号事件のことを‥‥) |
成: |
狩魔検事。 ‥‥これを見てください。 |
狩: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
あなただったんですね‥‥。 灰根 高太郎に、殺人の 指示を送ったのは‥‥。 |
狩: |
‥‥‥‥‥‥ 灰根 高太郎‥‥。 あの男を、その名で呼ぶのを 聞くのは、何年ぶりだ‥‥。 ‥‥バカな男だ。 読んだら、必ず焼き捨てるよう 書いておいたのに‥‥。 |
真: |
‥‥‥‥! み‥‥みとめるんですね! あなたが‥‥あなたが、 灰根さんに、この手紙を‥‥! |
狩: |
‥‥さて、弁護士。 わざわざ、持ってきてくれて ありがとう。 おかげで、よけいな労力を はらわずにすんだよ‥‥。 |
成: | な‥‥なんだと! |
真: |
な‥‥なるほどくん‥‥。 な、なに、あれ‥‥? |
成: |
スタンガンだよ。 ‥‥護身用の武器だ。 |
狩: |
そのとおり。 60万ボルトの火花が キサマの身体にハジける‥‥。 |
成: | ろ‥‥ろくじゅうまん‥‥。 |
狩: |
心配はいらない。 死にはしないからな‥‥たぶん。 さあ。 わたしてもらおうか、手紙を。 |
成: | (く‥‥くそ‥‥) |
真: | やめてええええええええええっ |
狩: | うおッ! な、何をするかッ! |
真: |
な、なるほどくん、逃げて‥‥! きゃああああっ! |
成: | ま‥‥真宵ちゃん! |
狩: | 手こずらせおって! |
成: |
うわああああっ! ‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥ 手紙‥‥‥‥もちろん、 うばわれちまったなあ‥‥ DL6号事件の証拠品も 持って行かれて‥‥ 手がかりはゼロ、か‥‥ ‥‥そうだ‥‥ 真宵ちゃんは、 だいじょうぶかな‥‥ ‥‥‥‥‥‥) ま‥‥真宵ちゃん! |
真: | |
成: | おい! しっかりしてくれよ! |
真: | |
成: | 真宵ちゃん! |
真: |
|
成: |
え‥‥あ、ああ。 それより、だいじょうぶか‥‥? |
真: |
イセイよく飛びかかっても、 1発でキゼツしちゃって‥‥。 あたしなんて‥‥ お姉ちゃんを呼ぶことしか 能がない、ヤク立たずなのに‥‥ こんな‥‥一番ダイジなときに、 それもできない。 このまま‥‥目がさめなけりゃ よかったな‥‥。 |
成: |
真宵ちゃん! (クソッ! なんとかして あげられないのか‥‥! とにかく、自信を回復 させる方法を探すしかないな‥) ‥‥? (真宵ちゃん‥‥ 何か、にぎりしめているぞ。 これは‥‥弾丸?) <<DL6号事件 証拠品7号 御剣 信の心臓部より摘出>> そうか‥‥。 狩魔検事に飛びかかったとき、 夢中でこれをつかんだんだな‥‥。 |
ポケットにしまった。 | |
成: |
(‥‥証明してやるよ、 真宵ちゃん。 きみは、 役立たずじゃない‥‥ 何もかも、証明してやる。 ‥‥最後の法廷で‥‥!) |