成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
矢張 政志…紺 | |
星影 宇宙ノ介…黄 | |
ボート小屋のオジさん…灰 | |
サユリさん…黄緑 | |
狩魔 豪…紫 |
裁: |
証人。 ‥‥あなたの名前を聞かせて いただきたい‥‥。 |
狩: |
待ちたまえ。 この証人は、 自分の名前を‥‥ |
オ: | ‥‥もう、いいですよ‥‥。 |
成: | ‥‥! |
オ: |
私は、目的を果たした。 ‥‥それで、じゅうぶんです。 |
真: |
なるほどくん! なんだか、 フンイキがゼンゼン違うよ! |
成: |
あれが‥‥彼の本当のすがた だったんだよ‥‥。 世間から身をかくすために、 彼はずっと‥‥ ‥‥15年間、 シバイをつづけていたんだ。 |
裁: |
しょ‥‥証人‥‥。 あらためて うかがいましょう。 あなたの名前は? |
灰: |
‥‥灰根 高太郎と申します。 15年前まで、この法廷で 係官をつとめておりました。 |
裁: |
静粛に! 静粛に! 灰根 高太郎‥‥。 あなただったんですか? 生倉弁護士を殺害して‥‥、 その罪を、御剣 怜侍に 着せようとした‥‥? |
灰: |
‥‥‥‥‥‥ そのとおり。 ‥‥すべて、私がやりました。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ 15年前の事件で、 私は被告席に立たされました。 生倉弁護士は‥‥私の精神状態を 問題にしました。 ”無罪になるためだ”と 生倉に説得されて、 私は心神喪失のシバイを するハメになりました‥‥。 私は無実だったのに! 彼は信じようとはしなかった! ‥‥無罪にはなったものの、 私はすべてを失っていました‥‥。 仕事も、婚約者も、社会的な立場も なにもかも‥‥。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ それから15年たった、 今年になって‥‥ 私のもとに、1通の封書と ピストルが届いたのです。 それには、今回の計画が 細かく書かれていました。 私の人生を破滅させた人物に、 ”復讐”する計画‥‥。 ‥‥差出人が誰なのか? そんなことは問題ではなかった。 ‥‥15年たった今になって、 やっとチャンスを得たのです‥‥。 生倉 雪夫と御剣 怜侍に 復讐できるチャンスを‥‥。 ‥‥もう、 思い残すことはありません。 |
裁: |
ちょ‥‥、 ちょっと待ってください! 御剣検事に対する、”復讐”? ‥‥それはいったい、 どういう意味なのですか? |
灰: |
‥‥それは、私の口から 言うべきことではありません。 御剣 怜侍本人に 聞いてください。 とにかく‥‥生倉弁護士を 殺害したのは、私です。 |
裁: |
‥‥狩魔検事。 灰根 高太郎は‥‥? |
狩: |
緊急逮捕した。 ‥‥自白の内容に、 おそらく間違いはないだろう。 |
裁: |
‥‥ということは、 御剣 怜侍被告は‥‥? |
狩: |
無罪だろう。 ‥‥この件に関しては。 |
裁: |
‥‥ふむう‥‥。 わかりました。 ‥‥では、被告。 証人席についてください。
|
裁: |
‥‥まだ、いくつもの謎が 残っています。 しかし、とりあえず、被告の 容疑は晴れました。 生倉弁護士殺害事件について、 判決を下したいと思います。 異議はありませんね? |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
御: | ‥‥‥‥‥‥ |
狩: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(おかしい‥‥ なぜ、狩魔検事は 何も言わないんだ‥‥?) |
裁: |
では。 御剣 怜侍に対する判決を 言い渡しましょう。 |
裁: |
では、本日はこれにて閉廷! |
裁: |
い‥‥今の異議は、 いったい、どなたが‥‥? |
成: |
(か‥‥狩魔じゃない‥‥ ‥‥ということは‥‥ まさか‥‥) み‥‥‥‥ ‥‥御剣ィィッ! |
御: |
裁判長。 ただ今の判決に、 異議を申し立てる。 |
裁: | ‥‥ど‥‥どういうことですか? |
御: |
私は無罪などではない! 聞いてのとおり、灰根 高太郎は 復讐のため、殺人の罪を犯した。 なんのための復讐だったのか? ‥‥それは‥‥、 |
真: |
なるほどくん! 御剣検事‥‥、自分が 犯人だって言おうとしてるよ! DL6号事件の真犯人は、 自分だった、って‥‥! お父さんを死なせちゃったのは 自分だ、って‥‥! |
成: | (まずい! ‥‥どうする!) |
成: |
(‥‥御剣‥‥。 苦しみぬいた末の結論だろう。 ぼくには、ジャマできない!) |
真: | なるほどくん! いいの! |
成: |
‥‥しかたがないよ。 これは、あいつの問題なんだ。 |
御: |
‥‥この15年間‥‥。 私は、ある”夢”に 苦しみつづけてきた。 ‥‥ただの夢だ‥‥ そう、自分に言い聞かせてきた。 しかしそれは、夢ではなかった。 灰根 高太郎は、 犯人ではなかった。 |
裁: |
それは‥‥あなたの父上が 亡くなった事件のことですか‥‥? |
御: |
撃たれた距離から考えて、 父は自殺でもなかった‥‥。 そう。すべては明白だった。 犯人は‥‥ あの事件の犯人は‥‥ この、私自身だったのだ! 裁判長! 私は、ここに罪を告白する! まさに今日、時効となる DL6号事件について! 犯人は、この私なのだ! |
裁: |
せ‥‥静粛に! 静粛に! おそるべき事態が発生しました! 無罪になった被告が、まったく 別の罪を告白している! しかも、その事件は‥‥ 本日が時効なのです! ‥‥いったい、どうすべきか‥‥ |
狩: |
フン! 決まっておる。 この場で裁いてしまうのだよ。 この男の、15年前の犯罪を、な! |
裁: |
ここで、5分間の休憩を とりたいと思います! その間に、私たちがとるべき 道を決定したいと思います! では、休憩に入ります! |
地方裁判所 被告人第2控え室 | |
御: |
‥‥本当に、すまない。 成歩堂‥‥。 キミの努力を、ムダに してしまって‥‥。 |
糸: |
‥‥‥‥‥‥。 御剣検事‥‥。 自分には、まだ信じられないッス。 まさか、あなたが‥‥ お父さんを‥‥! |
御: |
‥‥私だって、信じたくないさ! しかし‥‥事実だ。 私は、罰を受けなければならない。 いかなる理由があっても、 殺人は‥‥殺人なのだ。 |
糸: | うう‥‥なんてこった‥‥! |
真: |
‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥? なるほどくん、何してるの‥‥? |
成: |
‥‥ん? ああ。 法廷記録の内容を、もう一度 チェックしてるんだよ。 これから、証明しなければ ならないからね。 |
真: | ‥‥証明するって、‥‥何を? |
成: |
決まってるだろ。 御剣 怜侍の”無実”だよ。 |
糸: |
‥‥! な‥‥何を言ってるッス! 御剣検事は、認めてるッスよ! その‥‥自分の、罪を‥‥。 |
成: |
悪いけど、御剣。 ぼくは信じてないんだ。 お前の”悪夢”なんて。 |
御: | な‥‥なんだと‥‥! |
成: |
”悪夢”はしょせん”悪夢”だよ。 ‥‥現実じゃない。 現実に起こったことは、 この法廷記録が知っている。 とにかく。 本当の勝負はこれからさ。 ぼくには証明できるはずだ。 ‥‥キミの、無実をね。 |
御: | ‥‥な‥‥成歩堂‥‥。 |
地方裁判所 第3法廷 | |
裁: | では、審理を再開しましょう。 |
狩: |
いいか、裁判長。 御剣 怜侍は、自らの罪を 認めている。 まず、彼の<<証言>>を聞こう。 そして、ムダだと思うが、 弁護士が<<尋問>>をする。 ‥‥DL6号事件は、今日で 時効が成立してしまう。 変則的だが、こういう 手順で審理を進めたい。 |
裁: |
‥‥なるほど。 弁護人、異議はありますか? |
成: |
ありません。 ‥‥それで、けっこうです。 (狩魔‥‥こうなることを、 最初から計算していたのか!) |
裁: |
わかりました。 では、御剣 怜侍。 ‥‥証人台についてください! |
狩: | 証人。名前と職業は? |
御: |
‥‥御剣 怜侍。 検事をしています。 |
狩: |
今から15年前。 証人は、父親である御剣 信を あやまって死なせてしまった。 間違いないか? |
御: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ 間違いありません。 |
狩: |
‥‥では、そのときのことを <<証言>>してもらおう。 |
成: |
(昨日、御剣の 話を聞いていて‥‥ 1つだけ、ナットク できなかった点がある‥‥ そこを追求していくしか ないだろうな‥‥) |
真: | おねがい‥‥‥‥‥‥ |
御: |
『私はその日、父親の法廷を 見るため、裁判所へ行った。』(証言1) 『その帰り。地震によって私たちは エレベータ内に閉じこめられた。』(証言2) 『父と灰根は、しだいに落ちつきを なくして、争いはじめた。』(証言3) 『そのとき、私の足もとに、何か 重いモノが当たった。』(証言4) 『私はそれを、灰根に投げつけた。 争いを止めようと思ったのだ。』(証言5) 『次の瞬間、1発の銃声。 そして、悲鳴が聞こえた。』(証言6) 『ものすごい悲鳴だった。 ‥‥今でもわすれられない‥‥。』(証言7) ‥‥それがすべてだ‥‥。 |
裁: |
ふむう‥‥。 証人はこれまで、その記憶を ”夢”だと思っていたんですね? |
御: |
私たちは、5時間、エレベータに 閉じこめられていた。 エレベータの中は酸欠状態になり、 私はそのときの記憶を失ったのだ。 |
狩: |
フン! 灰根と同じ症状を 主張するワケか‥‥。 |
裁: |
‥‥わかりました。 では、成歩堂くん。 ‥‥<<尋問>>をおねがいします。 |
成: | はい。 |
成: | 銃声は”1発”だったんだな? |
御: |
‥‥それは間違いない。 エレベータの中に響いた あの音、そして悲鳴。 それを聞いた私は、 気が遠くなって‥‥ そのまま、救助されるまで 気を失ってしまったのだ。 |
裁: | ‥‥なるほど‥‥。 |
成: |
それはおかしい。 もう一度、 この資料を見てください。 被告の証言と、あきらかに ムジュンしている‥‥ |
狩: |
あきもせず、またそのファイルを 持ち出してきたか。 ワガハイは認めないぞ! ページを示さんかぎりはな! 御剣 怜侍の証言と、ムジュン しているページはどれだ? |
成: |
資料の、”被害者のデータ”を 見てください。 ここに、ハッキリ書かれています。 ”凶器は2発撃たれている”と! |
成: |
御剣 怜侍は、銃声を1発しか 聞いていない! しかし現実に、凶器のピストルは 2発、撃たれているのです! 1発は、御剣がピストルを投げた ことによる、暴発。 ‥‥すると、もう1発は、 いったい誰が撃ったのか! |
裁: |
‥‥ふむう‥‥。 すると、2発目を撃った人物が、 他にいたということですか‥‥? |
狩: |
裁判長。 ‥‥わすれてはいないだろうが、 この事件は、15年前に起こった。 ‥‥証拠も古い‥‥。 ピストルは、たしかに 2発、撃たれている。 しかし、その2発目が”いつ” 撃たれたのか? もしかしたら、事件の前日に 撃たれたものかもしれない。 2発目の発砲が、事件と関係がある という証拠は、ないのだ! |
成: | (なんだと‥‥!) |
裁: |
‥‥ふむう‥‥なるほど‥‥。 たしかに、そうですね。 ‥‥成歩堂くん、どうですか? 凶器のピストルは、たしかに 2発撃たれています。 そして、そのうちの1発は 当時少年だった被告が撃った。 では、もう1発が、事件の際に 撃たれたという証拠はありますか? |
成: |
裁判長! どうやら、証拠を 示すのは可能のようです‥‥。 |
狩: |
な‥‥なんだと! そんなバカなことが‥‥! |
裁: |
まあまあ、狩魔検事。おどろくのは 証拠を見てからにしましょう。 では、成歩堂くん。 見せてもらいましょう。 凶器のピストルが2発撃たれた のが事件当時だったという証拠は? |
成: | この写真を見てください。 |
裁: |
これは‥‥15年前の 現場写真、ですか‥‥。 たおれている人物が、被害者の 御剣 信弁護士ですね。 |
成: |
凶器のピストルは、事件の際に 2発、撃たれたのです。 写真が、それを証明している! |
狩: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
‥‥‥‥‥‥ はて、どういうことでしょう? この写真の、どこにそんな‥‥? |
成: |
(こ‥‥この裁判長、 ホントにわかってないのか? 裁判長に、この写真の おかしいところを示そう!) |
成: | 言うまでもなく、ここです。 |
裁: |
エレベータのドアに、 弾痕が残っていますね‥‥。 |
成: |
いいですか! 御剣 信はピストルで撃たれて 死んでいる! エレベータのドアにも、弾痕が 残っている! そして! 凶器のピストルは 2発、弾丸が撃たれている! つまり! 御剣以外の誰かが、 2発目を撃ったことになる! |
裁: |
せ‥‥静粛に! 静粛に! 成歩堂くん! どういうことですか! |
成: |
カンタンなコトです。 事件があったとき、2発の弾丸が 撃たれました。 1発は御剣 信の心臓を 撃ち抜き、 もう1発は、エレベータの ドアに当たった。 しかし被告は、銃を暴発させた あと、気を失っています。 つまり! 2発目は、”誰か別の人物”が 撃ったとしか考えられない! |
裁: |
な‥‥なるほど‥‥! その”誰か別の人物”とは‥‥? |
成: | トーゼン、”真犯人”です! |
狩: |
‥‥‥‥‥‥ ダマっておればいい気に なりおって‥‥。 ‥‥いいか。 DL6号事件の資料を もう一度、よく見たまえ。 ”事件概要”のページだ。 |
成: |
(”事件概要” ‥‥1ページ目か‥‥) |
狩: |
そこに、こう書いてある ではないか! ”現場付近からは、いっさい 手がかりは発見されず” |
成: | ‥‥‥‥! |
狩: |
もしピストルが2発 撃たれたのならば‥‥、 現場付近から、もう1発の 弾丸が発見されているはずだ。 |
裁: | ‥‥たしかに、そうですね‥‥。 |
狩: |
しかし、もう1発の弾丸は 発見されていない! なぜか! ‥‥2発目の弾丸など、 存在しなかったからだ。 御剣 怜侍によって発射された 1発の弾丸が、父親の命を奪った。 ‥‥それがすべてなのだ。 ドアの弾痕は、何か他の原因で できたのだろう‥‥。 |
裁: |
静粛にしてください! ‥‥‥‥‥‥ 成歩堂くんは、ミゴトに 証明しました‥‥。 凶器のピストルは、事件があった とき、2発撃たれたはずだ、と。 しかし! 狩魔検事の言うとおり、2発目の 弾丸は、発見されていません。 警察の捜査で、弾丸を見落とす ことなど、まずあり得ません。 私は、弁護人の証明は、無効と 考えます。 なぜなら、現場からは、弾丸は 1発しか発見されなかった! |
狩: |
‥‥クックックッ‥‥ 賢明な裁定にカンシャする‥‥。 |
成: |
(な‥‥なんてこった‥‥! 2発目の弾丸なんて‥‥ 存在しなかったのか‥‥! すべては‥‥ すべてはぼくの、 カン違いだったのか?) |
真: |
どうしたの? なるほどくん! い‥‥異議、申し立てないの? |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ゴメン、真宵ちゃん。 |
真: | え。 |
成: |
‥‥どうやら‥‥ツメが 甘かったみたいだ‥‥ |
真: | な‥‥なるほどくん‥‥? |
成: |
2発目の弾丸が存在しなければ、 ぼくの推理は成立しない! |
真: |
そ‥‥そんな‥‥ なるほどくん、言ったじゃない! かならず、助けるって! |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ゴメン‥‥。 現場写真を見たとき、2発の 弾丸が撃たれてる、って思って。 それで、勝てるって 思い込んじゃったんだ‥‥。 誰か別の人間が、2発目を撃って 被害者を殺害したんだ、って。 でも‥‥ そんな、カンタンなハズ ないよな‥‥。 15年間、解決されなかった 事件なんだ‥‥。 |
真: | なるほどくん‥‥。 |
裁: |
‥‥おかげで、事件は ハッキリ整理されたようですね。 現場から、弾丸は1発しか 発見されていない。 その1発は、御剣 怜侍が 暴発させたものだ‥‥。 |
狩: | そのとおり。 |
裁: |
‥‥最後に、御剣 怜侍に カクニンします。 今までの審理を聞いていましたね? |
御: | ‥‥はい。 |
裁: | 何か、異議はありますか? |
御: | ‥‥‥‥ありません。 |
裁: |
あなたは、殺意はなくとも、 父親を殺害しましたか? |
御: |
‥‥‥‥‥‥ そう、思います。 |
真: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥御剣さんが‥‥ ‥‥みとめちゃった‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
‥‥わかりました。 御剣 信殺人事件は、本日で 時効が成立します。 したがって、被告には、本日中に 判決を下さなければなりません。 |
狩: |
本日と言わず、 ”今”おねがいしたい。 |
裁: |
‥‥そうですね。 何か異議のある方は‥‥? |