成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
矢張 政志…紺 | |
星影 宇宙ノ介…黄 | |
ボート小屋のオジさん…灰 | |
サユリさん…黄緑 | |
狩魔 豪…紫 |
成: |
(‥‥以前にも こんなことがあった‥‥ たしか、はじめて この席についたときだ‥‥ 言うべきコトは、いくらでも あるはずなのに‥‥ アタマがまっ白になって‥‥ 何もコトバが見つからない) |
裁: |
成歩堂くん。 ‥‥いかがでしょうか? |
成: |
裁判長! ‥‥その、異議を申し立てます! |
狩: |
‥‥クックックッ‥‥ 弁護士。‥‥どこに異議を 差し挟む余地があるのかな? |
成: | ‥‥ぐぐ‥‥。 |
真: | なるほどくん‥‥? |
成: |
(ダメだ! モンクの つけようがない‥‥!) |
真: | ‥‥ううう‥‥ |
成: | ‥‥クソッ! |
‥ソンザイスルハズ‥ | |
成: |
い‥‥今、何か言わなかった? |
真: | し‥‥知らないよ! |
成: |
(2発目の”弾丸”が‥‥ 存在する‥‥? そんなバカな! いったい、 どこに‥‥!) |
裁: |
‥‥‥‥‥‥ どうやら、待つのは ムダのようですね。 |
成: | 待ってください! |
裁: | ? |
成: |
ええと、その‥‥ に、2発目の弾丸は、 ええと‥‥存在したんです! |
裁: |
な‥‥なんですって! そんなものはなかったと、 証明されたばかりですよ! |
成: |
わ、わかってるんですけど‥‥ (‥‥もう、ヤケだ!) その‥‥誰かが‥‥現場から 持って行っちゃったんですよ! |
裁: |
バカな! ‥‥いったい、誰が‥‥? |
成: | ハハ、ハンニンですよ犯人! |
狩: |
”犯人”‥‥だと? いったい、誰のことだ? |
成: | ‥‥それは今、考え中です。 |
裁: |
‥‥ふむう‥‥。 犯人が”弾丸”を持ち去った? いったい、なぜですか? |
成: | え? |
裁: |
だいいち、どうやって 見つけたんですか? 撃った弾丸を探すなんて、 タイヘンな作業ですよ? 犯人には、弾丸を探す 必要があったわけですか? |
成: |
(犯人が、わざわざ弾丸を 持ち去る理由‥‥? そんなの、思いつかないぞ!) |
裁: | どうしました? 弁護人! |
成: | あ‥‥いえ。 |
狩: |
ハッ! 犯人に、弾丸を持ち去る 必要などない! それを認めたくないのだろう? |
成: | ‥‥ううう‥‥。 |
成: |
(やむを得ず‥‥? どういうことだ‥‥?) |
”モチサッタリユウ” デハナク ”モチサラザルヲエナカッタ” リユウヲカンガエルノ | |
裁: | 成歩堂くん? |
成: |
は、はい! (よくわかんないけど‥‥!) た、たしかに、犯人に弾丸を 持ち去るつもりはなかった。 でも‥‥やむを得ず、 持ち去ったんだと思います。 |
裁: |
‥‥やむを得ず、ですか? どういうことでしょう? |
成: |
たとえば、その‥‥ (わかるかよ、そんなの!) たとえば、その弾丸は、犯人に 当たった、とか。 |
裁: | 弾丸が‥‥犯人に‥‥? |
成: |
いや、たとえば、ですよ。 自分に当たっちゃったら、 持ち去らざるを得ないでしょう? その場で手術するワケにも いかないし。 ‥‥なーんて‥‥。 |
裁: | ‥‥‥‥ |
狩: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(待てよ‥‥ テキトーに言ってみたけど、 これって、あり得るんじゃあ?) |
裁: |
つまり、こういうことですか! 犯人は、犯行の際、自分も 撃たれてしまった。 そして、自分の体内に2発目の 弾丸を入れたまま立ち去った。 だから、現場には弾丸が1発しか なかった、と‥‥? |
成: |
は、はあ。 ‥‥そうなりますねえ。 |
裁: |
しかし! エレベータ内から救助された 他の2人‥‥ 御剣 怜侍も、灰根 高太郎も、 ‥‥ケガなどしていなかった! と、すると‥‥? |
成: |
犯人は、外部から来たことに ‥‥なっちゃいますね。 |
成: |
エレベータの中で、 2人の男が争っている。 少年は、それを止めようと 足下のピストルを投げつける。 ピストルは暴発して、 弾丸は‥‥ エレベータのドアをつらぬき、 外に立っていた犯人に当たる! 少年はそこで、 気をうしなってしまう。 その後、犯人はエレベータの ドアを開けて、被害者を‥‥。 |
裁: |
‥‥ふむう‥‥。 成歩堂くん。ホントにあなたは フシギな弁護士ですね‥‥。 あきらかに苦しまぎれな発言 なのに、なぜかムシできない‥‥ |
狩: |
ナニを言ってる! ムシしろ! 裁判長! 事件の関係者で、ケガをした 人物などいない! つまり、犯人などいない、 ということではないか! |
裁: | ‥‥ふむう‥‥。 |
成: |
(事件のとき、ケガをした 人物‥‥か‥‥ ‥‥たしかに、そんな人物は 見当たらないよな‥‥) |
真: | ね、ね。なるほどくん。 |
成: | ? |
真: |
‥‥とんでもないこと、 考えちゃったんだけど‥‥ |
成: | とんでもないこと? |
真: |
昨日の、星影センセイのコトバ、 覚えてる? |
星: |
『狩魔は、御剣 信によって、その カンペキな経歴をキズつけられた。』 |
真: | 『へええ‥‥。』 |
星: |
『そのコトが、よほどショック だったのぢゃろう‥‥、 狩魔検事は、その日から数ヶ月、 休暇をとったほどぢゃ。 長い検事生活で、狩魔が ”休暇”をとったのは、 それが最初で‥‥そして、 最後ぢゃったよ。』 |
真: |
もしかして、カルマ検事が お休みしたのって‥‥ |
成: | ”ケガ”をしたから‥‥か! |
真: | ということは‥‥! |
成: | ハンニンは‥‥ |
真: | DL6号事件の真犯人は‥‥ |
成: | 御剣 信を撃ったのは‥‥ |
真: | ‥‥カ、カルマ検事なの! |
成: | (なんてこった‥‥!) |
裁: |
成歩堂くん。どうしました? フヌケたカオをして‥‥。 |
成: | い‥‥いえ、べつに。 |
裁: |
どうですか? あなたは、外部の人間が 犯人である可能性を示した。 具体的に、容疑者の名前を 挙げることができますか? |
成: |
(どうしよう‥‥。 今、言うべきか‥‥!) |
成: |
裁判長! 容疑者は存在します! ‥‥たった1人だけ‥‥。 |
狩: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
それはおもしろい。 ‥‥では、 聞かせてもらいましょう。 誰ですか? その人物は。 |
成: |
か‥‥ (ううう‥‥キンチョー するなあ‥‥) |
裁: | ‥‥か? |
成: | ‥‥狩魔検事です! |
御: | か‥‥、狩魔検事だと! |
狩: | ‥‥‥‥ |
裁: | ‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: | あ、あの‥‥狩魔検事? |
狩: | なんだ。 |
裁: | 反論は‥‥なさらないんですか? |
狩: |
‥‥‥‥フン。 その必要はあるまい。 ‥‥くだらん、言いがかりだ。 |
成: |
事件の翌日から数ヶ月、 あなたは休暇をとっている! ”カンペキな経歴”を よしとするあなたが、 理由もなく休暇をとるハズがない! |
狩: |
‥‥事件の際に負ったケガの 治療をしたと言うのか‥‥。 おもしろい。 では、証明してみたまえ。 ワガハイが、いつ、どこで 治療を受けたのか? 手術した医者をつれて来たまえ! |
成: | ‥‥むむ‥‥ |
真: |
‥‥なるほどくん! かかりつけのお医者さんとか、 調べてもらおうよ! |
御: | ‥‥ムダだ。 |
成: | み‥‥御剣! |
御: |
‥‥私は、狩魔検事という 男を、よく知っている。 彼は、手がかりを残さない、 ”カンペキ”な男なのだ。 ‥‥おそらく、手術など 受けていないだろう。 ”医者”という弱点が できてしまうからな‥‥。 |
成: |
(‥‥く‥‥ ここまできたってのに‥‥!) |
真: |
じゃあ、じゃあ、なるほどくん! カルマ検事、自分で弾丸を ほじくり出したの? そんなランボーな‥‥。 |
成: |
いやいやいや。 シロートに、弾丸なんか 摘出できるワケないよ! ‥‥‥‥‥‥ (待てよ‥‥ ‥‥とすると‥‥ 弾丸は‥‥いったい、 今、どこにあるんだ‥‥?) |
狩: |
‥‥クックックッ‥‥ さて、弁護士! どうかね。ワガハイが撃たれた ことを、証明できるかね? |
成: |
‥‥狩魔検事。 証明してあげましょう。 あなたたちが大好きな ”証拠品”でね‥‥。 |
狩: | な‥‥なんだと! |
成: |
狩魔検事が撃たれたことを 証明するのは‥‥! |
成: |
”狩魔検事はカンペキな男だ。 手術などしない‥‥” ‥‥もしそうならば、今、その 弾丸はどこにあるのか? 狩魔検事に、自分を手術する 技術はありません。 |
裁: |
‥‥‥‥! ま‥‥まさか‥‥。 |
成: |
そう。 まだ、彼の体内に残っている 可能性があります! |
裁: |
そ‥‥そんなバカなことが ありますか! |
成: |
バカかどうか‥‥ カンタンにわかることです。 この”金属探知機”を使えば! ‥‥狩魔検事。いいですね。 これからコイツで、あなたを 調べさせてもらいますよ。 |
狩: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥断る! |
裁: |
こ‥‥‥‥断るんですって! い、いったい、なぜ! 断るということは‥‥ 弾丸が体内にあることを ”認める”のと同じですよ! |
裁: | 静粛に! 静粛に! 静粛に! |
成: |
裁判長! 弁護側は、 検査を主張します! |
狩: |
裁判長! 休廷を提案する! これは、人権の侵害だ! |
成: |
この事件は、本日が時効です! 今日中に判決を出すべきだと 言ったのは、あなたです! |
狩: | ‥‥むむ‥‥む‥‥! |
裁: |
そこまで! ‥‥”金属探知機”の使用を 許可します。 狩魔検事。検査を受けるように! |
真: |
なるほどくん! ‥‥どうなの‥‥? |
成: |
わからない。 ‥‥とにかく、やってみよう‥‥! |
ピー ピー ピー | |
成: |
(‥‥右の肩に、反応した‥‥! やはり‥‥、弾丸が‥‥!) ‥‥‥‥‥‥ 狩魔検事‥‥。 |
御: |
‥‥‥‥ あなたが‥‥ あなただったんですか‥‥! |
狩: |
‥‥‥‥ ‥‥こうなることを 恐れたゆえ、 ワガハイはあえて、 ダマっておったのだ‥‥。 |
成: | ‥‥? |
狩: |
たしかに、ワガハイの肩には 弾丸が残っておる。 しかし、それは事件とは マッタク関係がない。 |
成: | な‥‥なんだと! |
狩: |
肩の弾丸は、DL6号事件より 以前に受けたものだ。 ワガハイは”事件とは関係ない”と 主張する! |
裁: |
し‥‥しかし、狩魔検事! それを‥‥証明できるのですか? |
狩: |
‥‥”証明”だと? ワガハイにそんなギムはない。 ‥‥証明しなければならないのは、 キサマの方だ、弁護士。 ‥‥ワガハイではない。 |
裁: |
な‥‥成歩堂くん。 どうですか? 証明できるのですか? 狩魔検事の肩の弾丸は、 DL6号事件によるものだ、と? |
狩: |
‥‥できるわけがない。 キサマらには、DL6号事件の 資料など、ないのだからな! |
成: |
(‥‥昨日、あわてて資料室から 持ち出したクセに‥‥) |
狩: |
‥‥証拠がない以上、ワガハイを 罪に問うことは不可能だ。 ザンネンながら、な。 |
成: |
‥‥‥‥ ザンネンなのはアンタの方だ、 ‥‥狩魔検事。 |
狩: | な‥‥なんだと? |
成: |
惜しかったな。 ‥‥あと、もう1日だったのに。 あるんだよ‥‥証拠ならな! |
狩: | な‥‥なにッ! |
成: |
御剣を有罪にするために、 自分で墓穴を掘るとはね‥‥。 あんたの肩の弾丸と、 DL6号事件を結びつける‥‥ これが最後の証拠だ! |
裁: |
そ‥‥それは‥‥ た‥‥弾丸‥‥ですか? |
狩: |
キ‥‥キサマ‥‥、 どうしてそれを‥‥ |
成: |
これは、DL6号事件で 使用された弾丸です。 被害者の御剣 信の心臓から 摘出されました。 保存状態は良好で、線条痕も ハッキリ残っています。 |
御: | ”線条痕”‥‥。 |
成: |
‥‥今から2日前。 最初の法廷でも、線条痕の 話が出ましたね‥‥。 |
裁: |
『線条痕というのは、ピストルの ”指紋”みたいなものです。 ピストルで撃たれた弾丸には 必ず、銃身によるキズがつきます。 そのキズを調べれば、弾丸が どのピストルから撃たれたかが、 ハッキリ特定できるのです。』 |
成: |
ここに、2つの弾丸があります。 御剣 信の心臓から摘出された、 この弾丸。 そして、狩魔検事。 あなたの肩に埋まっている弾丸。 2つの弾丸の線条痕を 調べた結果‥‥、 もしその線条痕が一致したら、 2つの弾丸は、同じピストルから 発射されたことが証明されます! 同じピストル‥‥すなわち、 御剣 信を撃った”凶器”です! |
狩: | う‥‥ぐぐ‥‥‥‥むむむ‥‥ |
成: |
‥‥狩魔検事。 その肩に埋まっている弾丸を 摘出してください。 そして‥‥この弾丸の線条痕と 比べてみましょう。 それで‥‥この事件は解決です! どうですか! 狩魔検事! |