成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
矢張 政志…紺 | |
星影 宇宙ノ介…黄 | |
ボート小屋のオジさん…灰 | |
サユリさん…黄緑 | |
狩魔 豪…紫 |
狩: |
う‥‥ぐ‥‥ぐ‥‥! うぐおおおおおおおおおおおおお をををををををををををををッ! おおおおお‥‥おお‥‥おおおおお ヲヲお‥‥‥‥おおヲヲヲヲヲ‥‥ |
御: |
‥‥‥‥‥‥この悲鳴‥‥‥‥‥‥ ‥‥どこかで聞いたことのある‥‥ ‥‥‥そうだ‥‥あのときだ‥‥‥ |
「助けてくれッ! い‥‥息が‥‥」 「うるさい! ダマるんだ! ‥‥こっちまでおかしくなる!」 「オレの空気を吸うな! い‥‥息の根を止めてやる!」 「オレの空気を吸うなァァァァ!」 はなれろぉっ‥‥!) をををををををををををををッ! | |
御: |
あのときの悲鳴だ‥‥。 ‥‥15年前。 私がエレベータで聞いたのは‥‥ 狩魔検事! あなたの悲鳴だったのか! |
裁: | ‥‥狩魔検事‥‥? |
狩: |
おおおヲヲおおおおおおヲヲヲおお おヲヲヲおおおヲヲヲヲヲおおおお ‥ミツルギィィィィぃぃぃ‥‥‥‥ ‥‥‥‥ミツルギィィィィぃぃぃ‥ マタシテモ‥‥ワガハイニ‥‥ ‥‥タテツクトハ‥‥‥‥ |
御: | やはり‥‥あなたが‥‥! |
狩: |
‥‥親子そろって‥‥ 目ざわりなヤツらだ‥‥ ワガハイの経歴に”処罰”の ドロをぬったオヤジに‥‥ ワガハイの肩に、生涯消えぬ 傷痕を刻んだムスコ‥‥ ‥‥この手で葬ってやるうぅぅ‥‥ 死刑台に送ってやるぞおぉぉ‥‥ |
狩: | 検事局長。‥‥もうしわけない。 |
局: |
‥‥狩魔くん。キミらしくもない ヘマをしたものだ‥‥。 あのミツルギ弁護士に、 シッポをつかまれるとはね‥‥。 |
狩: | ‥‥油断‥‥したようだ‥‥。 |
局: |
ザンネンだが、キミには 処罰を受けてもらうよ。 さすがに、今回ばかりは かばうわけにもいかないのでね。 |
狩: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥! ‥‥‥ミ‥‥ツ‥‥ル‥‥ギ‥‥‥ ‥‥味わったことのない ショックだった。 このワガハイが、 処罰されるなど‥‥ 精神の落ちつきを取りもどすのに、 数時間かかった‥‥。 ‥‥気がつくとワガハイは、 闇の中にいた。 そこは、裁判所の資料室だった。 いつの間にか、そんなところに 来ていたらしい。 部屋の中は真っ暗だった。 ‥‥どうやら停電しているようだ。 廊下に出て、手さぐりで エレベータの前に出た。 エレベータのボタンを押す。 ‥‥しかし、反応がない。 次の瞬間‥‥。 何が起こった‥‥! ‥‥肩に焼きつく、この痛み‥‥ そのとき‥‥電力が回復した。 目の前で、ドアが開いた。 3人の人間が見えた。 ‥‥彼らは、酸欠で気絶していた。 フシギなことに、足下に ピストルが転がっていた。 ‥‥これは運命なのだ‥‥ ワガハイはそう知った。 最後の瞬間、御剣 信は 気絶していた。 ヤツは、誰に撃たれたかも 知らぬまま、死んだのだ。 後日、霊媒師の口を介して 灰根を告発したようだが‥‥。 ワガハイは、被害者自身をも カンペキにあざむいてやったのだ! |
狩: |
‥‥クックックッ‥‥ あのエレベータのトビラを、 ふたたび開ける男が現れるとはな。 裁判長! |
裁: | は‥‥はい! |
狩: |
何をしておる! このささやかなゲームに幕を引く のは、キサマの役目だろう! 今がそのときだ! さっさと、幕を引くのだ! |
裁: |
わ‥‥わかりました‥‥。 私たちはどうやら、迷宮の出口に たどりついたようです。 15年の歳月の涯てに‥‥。 ‥‥御剣 怜侍。 |
御: | はい。 |
裁: | あなたは、無実だった。 |
御: | ‥‥‥‥ |
裁: |
すべては、”悪夢”に すぎなかったのです。 |
御: | ‥‥‥‥はい。 |
裁: |
御剣 怜侍に対する判決を 言い渡します。 |
裁: | では、本日はこれにて閉廷! |
地方裁判所 被告人第2控え室 | |
真: |
なるほどくん! なるほどくん! ついにやったね! 見た? 見た? カルマ検事の しみったれたカオ。 あれ、ヘーキなフリしてるけど、 心の中はドシャ降りだよ! いいキミだねー。いやまったく。 |
成: |
ううう‥‥それにしても あぶなかった。 ‥‥もう、ゼッタイ ダメだと思ったよ‥‥。 |
真: |
そうだね。あたしも、 ずーっと半泣きだったよ。 ま。今となっては イイ思い出だけどね! |
御: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: | 終わったな、御剣‥‥。 |
御: |
‥‥‥‥‥‥ 成歩堂。 |
成: | ん? |
御: |
‥‥‥‥‥‥ ‥‥その‥‥、 なんと言えばいいのか‥‥。 |
真: |
そういうときはね。 ”ありがとう”って言うんだよ。 |
御: |
そ、そうなのか。 ‥‥‥‥‥‥ あ、ありがとう、成歩堂。 |
成: | ど、どういたしまして。 |
真: |
うーん‥‥イマイチ、 ハリアイがないなあ‥‥。 |
御: |
ム‥‥スマン。 こういうの、ニガテで‥‥。 |
真: | もう! ダメだなあ、御剣検事は。 |
成: | (‥‥やれやれ‥‥) |
糸: |
うおおおおおおおおおおおおおっ! さすがッス! 自分が見込んだ だけのコトはあったッス! 糸鋸 圭介。この恩は一生、 わすれないッス! 今夜は、パーッとやるッス! 自分がゴチソウするッス! 今月から給料がちょっぴり 下がったッスが、気にしねッス! |
真: |
ほらほらほら、御剣検事。 イトノコ刑事を見ならうの! あんな感じにやると、カンシャの キモチが伝わるんだよ! |
御: |
‥‥ム。 な‥‥なるほど。 コホン。 う、うおおおおおおおおおっ! ‥‥‥‥‥‥ ダメだ。‥‥ヤッパリ、 私なんか‥‥。 |
真: |
まあまあ、少しずつ 慣れていきましょうよ。 |
成: |
(こんなスナオな御剣を 見るの、15年ぶりだな‥‥) |
ナ: | おっ、いたいた! |
真: | あ、ナツミさん! |
ナ: |
いやー、アンタら。 カッコよかったでー。 |
成: | ありがとうございます。 |
ナ: |
おッ。ニイちゃん。 無罪、おめでと! |
御: | ム‥‥お、おおきに。 |
ナ: |
ウチには、最初から わかってたんやで! あんたが無罪だ、ってなあ! |
御: |
‥‥たしか、初日の 検察側の証人だったような‥‥。 |
ナ: |
まま。まあまあ。 細かいこと、気にしなさんな! |
成: |
そういえば、ナツミさん‥‥、 今は、何を‥‥? |
ナ: |
おー、今か? 大学にもどったで。 スクープカメラマンになる夢は、 もうオシマイや。 |
成: | そうなんですか‥‥。 |
ナ: | あれ? |
成: | ? |
ナ: |
あそこにいるの、公園の マンジュウ屋、ちゃうか? |
成: | ‥‥え? |
矢: | ‥‥死ぬんだぁ‥‥。 |
成: |
な、なんでおまえが そんなカオしてるんだよ! |
矢: |
成歩堂ぉ‥‥。 オレ、そろそろ死ぬからさぁ。 |
成: | い、いやいやいや。 |
矢: |
カズミがよお‥‥パリで 暮らすって言い出して‥‥、 置いていかれちまったんだよぉぉ! |
成: | (‥‥やれやれ‥‥) |
矢: | あ。御剣。いたのか。 |
御: | ム。そりゃまあ、いる。 |
矢: |
おめでとうな、御剣。 ‥‥コレ、オレからのお祝い。 |
御: | ”お祝い”? ‥‥めずらしいな。 |
糸: |
お。アンタも後で来るッス! ゴチソウするッス! |
矢: |
は、はあ。 楽しみにしてます。 (オイ、成歩堂 アイツ、オレを取り調べした 刑事だぜ‥‥ ゴチソウって、まさか カツ丼じゃねえだろうな‥‥) |
成: | そ、それはないと思うぞ。 |
御: | ‥‥成歩堂。 |
成: | ん? どうした? |
御: |
‥‥金が入っているぞ。 矢張がくれた封筒。 |
成: |
そりゃそうだろ。 ”お祝い”だからな。 |
御: | 3800円だ。 |
成: |
‥‥また、ずいぶんハンパな 金額だな‥‥。 ‥‥‥‥‥‥ 3800円? |
真: |
‥‥ななな、なるほどくん! 小学校のころ、御剣検事が盗まれた 給食費って、たしか‥‥! |
成: |
さ‥‥3800円‥‥? ままま、まさか‥‥ ‥‥‥‥まさかああああッ! 矢張、お前ェェェェッ! |
御: |
何をイロめきたっている? 成歩堂。 |
成: | え? |
御: |
たしかに矢張は、あの日 カゼで学校を休んでいた。 だが、だからといって 犯人でないという理由にはならん。 |
成: | え! |
御: |
15年前の、あの日。 休んだはいいが、タイクツだった 矢張は、学校に来てみたのだろう。 そして、まあ‥‥、ちょっと 手が伸びてしまったんだろうな。 |
矢: |
伸びちまったんだろうねえ、 イヤハヤ、これが‥‥。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥ 御剣‥‥まさかお前、 ‥‥知ってたのか? |
御: |
‥‥アヤシイとは思っていた。 いつもの矢張なら、 お前をかばうのはオカシイ。 みんなといっしょになって、 ここぞとばかり責めたてただろう。 |
成: | ‥‥うむむむむ。 |
御: |
成歩堂。もしかしたら お前は知らないかもしれないが、 この男は、こう言われていたんだ。 ”事件のカゲにヤッパリ矢張”と。 |
成: |
そのコトバなら、イヤというほど 思い知らされてるよ! |
御: |
‥‥いやあ、成歩堂。まさか、 キミが気づいていなかったとは。 |
矢: | 意外だねこりゃあ。 |
成: | ‥‥御剣。 |
御: | ん? |
成: | 言えよ! |
真: |
まあまあ、なるほどくん。 もう15年前のコトでしょ? これって”じこう”ってヤツ だよね? 御剣検事。 |
御: | そういうことだな。 |
矢: | そういうことだよ。 |
成: |
‥‥まったく‥‥。 お前らにカンシャして弁護士に なったぼくの立場はどうなるんだ? |
御: |
感動的なまでのお人よし、 といったところだろうか。 |
矢: |
とんだお調子モノ、とも 言えるよナ! |
成: |
し、死刑だ! コイツを死刑にしてくれェッ! ‥‥こんなことなら、 検事になりゃよかったあ! |
御: |
‥‥それは私も同じだ。 ”もしかしたら、自分は父親を 撃ってしまったのかもしれない” ”自分は罪人かもしれない” ‥‥私は、そういう自分を 罰する意味もあって検事になった。 ‥‥こんなことなら、 弁護士になりたかったよ。 |
成: | ‥‥御剣。 |
御: | かわるか、成歩堂。 |
ナ: |
おーい。みんなあ。 ‥‥写真、撮るでー。 |
真: |
ほらほら、写真だって。 行こうよ! |
糸: | そのあとは、ゴチソウッス! |
成: |
その夜は、イトノコ刑事の 決死のサービスで‥‥、 ぼくたちは、すべてから解放された 御剣を祝った。 ‥‥もちろん、御剣本人は まだ留置所の中だったのだが‥‥。 |