成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
綾里 春美…黄緑 | |
綾里 キミ子…灰 | |
霧崎 哲郎…紺 | |
葉中 のどか…紫 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
堀田(自称)…黄 |
綾里家・わたりろうか | |
成: |
(へええ‥‥きれいな庭だな。 ちゃんと手入れされているし。 あそこにあるのは‥‥ 焼却炉、かな? ちょっと、フンイキに 合わないな‥‥) |
綾里家・控えの間 | |
成: |
(ここは‥‥<<控えの間>>か。 休憩室みたいなものかな。 ふとんがふくらんでる。 だれか寝ているみたいだ。 そっとしておくか‥‥) |
?: |
おーい! そこの人! ちょっとええかー。 |
成: |
(‥‥む。この大阪弁、どこかで 聞いたことがあるような‥‥) |
?: |
あ、あれッ! アンタ、ナルホドーやんか! ひっさしぶりやなあ! なんや、1年ぶりぐらいか? |
成: | え、ええと、たしかあなたは‥‥。 |
成: | たしか、ナツミさん‥‥ですよね。 |
ナ: |
ビンゴやッ! ”オカルト報道業界にこの人あり” 大沢木(おおさわぎ) ナツミや! |
成: |
へえ。まだ目ざしてたんですか、 フリーカメラマン‥‥。 |
ナ: |
そらそうや! 今日こそ、ホンモノの スクープ写真、モノにしたるんや! あ、そうそう! こんなところで ダベってる場合やないんや。 そろそろ始まるで! 霊媒。 |
成: | そうなんですか! |
ナ: |
すぐに<<修験者の間>>に集まれ、 ってコトや。 ‥‥ほな、伝えたで! |
成: |
(ナツミさん‥‥か。 この前の事件ではホント、 ヒドい目にあったなあ。 まあ今となっては、いい思い出と 言えなくもないけど‥‥) |
綾里家・修験者の間 | |
キ: |
ではこれより、倉院流霊媒術を 始めたいと存じます。 術者と依頼者は、あちらの <<対面の間>>にお入りください。 |
霧: |
これで世間の連中をぎゃふんと 言わせてやれますよ! いいですか? いまどき ”ぎゃふん”ですぞ。 聞きたいでしょう? ねえ、成歩堂さん! |
成: |
え、ぼくですか! も、もちろん聞いてみたいです。 |
キ: |
それでは、真宵さま。 <<対面の間>>のカギはお持ちに? |
真: | あ。持ったよ、ホラ。 |
キ: |
よろしゅうござあます。 1個しかないカギですからね、 気をつけてくださいまし。 |
真: |
だいじょうぶだよ、おばさま。 なくさないって! ‥‥じゃあ、霧崎先生。 行きましょうか。 |
霧: | ハイ。まいりましょう! |
キ: |
では、アタクシどもは、 ここでお待ちいたしましょう。 それはそれはニガいお茶と、アゴが はずれるほどアマい大福を‥‥ |
ナ: | ちょっと、オバハン! |
キ: | ‥‥‥‥オバハン? |
ナ: |
なんでウチらは部屋に 入られへんねん! |
キ: |
ああた、アレでござあますわねえ。 とても日本語がおじょうずな‥‥ |
ナ: | ウチはネっからのナニワっ子や! |
キ: |
ならばその、 ナニワとやらにお帰りなさい。 |
ナ: | な‥‥なんや‥‥? |
キ: |
ここは倉院の里。 しきたりに従えない人間は、 出ていくことでござあます。 |
ナ: |
‥‥‥‥! ‥‥うう。ス、スンマセン。 |
成: |
(うわあ‥‥あのナツミさんを ヘコませたぞ‥‥すげえ!) |
キ: |
では。 ‥‥お待ちいたしましょう。 |
ナ: |
うわあッ! ‥‥なな、なんや今の音! |
成: |
(<<対面の間>>の中から 聞こえたぞ‥‥) |
ナ: | ニイちゃん! コレ、銃声やで! |
キ: | な、なんでござあますって! |
ナ: |
前にも聞いたことがあるんや。 マチガイない! 銃声や! |
成: | (な‥‥中には真宵ちゃんが!) |
ナ: | どうする気や! ニイちゃん! |
成: |
もちろん、 あの部屋に入るんですよ! |
ナ: |
え! で、でも、 1個しかないカギは、あの子が‥‥ |
成: |
トビラごと、ぶっコワします。 いいですね! キミ子さん。 |
キ: |
え‥‥で、でも、 アレでござあますねえ、その‥‥ |
成: |
止めてもムダです。 修理費の請求書は、 成歩堂法律事務所へどうぞ! |
ナ: |
ええでッ! オトコやナルホドー! |
‥‥ドカッ! ‥‥ドカッ! | |
成: | き‥‥霧崎先生ッ! |
?: |
‥‥あたしは‥‥ あたしは‥‥殺されたの‥‥ |
成: | ま‥‥真宵‥‥ちゃん? |
?: |
あの男は‥‥私を殺した‥‥ ‥‥だから‥‥殺してやった‥‥ |
成: | な‥‥なんだって‥‥! |
成: |
ナツミさん! ‥‥こんなときに‥‥ |
ナ: |
こんなときだからこそ、や! それより、ど‥‥どういうことや! この子‥‥真宵はん‥‥なんか? |
キ: |
おまかせなさい。 ああたたちは、警察に電話を! |
成: | ‥‥で、でも‥‥ |
キ: |
早くなさいッ! ‥‥ギセイ者がふえる前に。 |
ナ: |
ほれ! 行くでニイちゃん! オバハンにまかせるんやッ! |
倉院の里 | |
成: |
(‥‥ここからじゃ、携帯電話の 電波は届かない。 ぼくたちは、そとの公衆電話から 警察に事件を通報した‥‥) |
ナ: | どうや‥‥? |
成: | すぐこちらへ向かうそうです。 |
ナ: |
ううう‥‥ホンモノや! ホンモノの怪奇現象やで‥‥。 |
成: |
(ナツミさん、すっかり ビビってるな‥‥ ムリもない。 ‥‥ぼくだってコワい‥‥) |
ナ: |
なあ、ニイちゃん? ‥‥あの子‥‥真宵はんや なかったよなあ‥‥? |
成: |
(そうか‥‥ナツミさんは 知らないんだ‥‥ 真宵ちゃんが霊媒をすると、 すがたまで変わってしまうこと) |
ナ: |
でも‥‥あの部屋には 2人しかおらんかった。 やっぱり、あの‥‥真宵はんが? |
成: |
ナツミさん。 霧崎先生のことは‥‥? |
ナ: |
チョコっとやけど、 調べてるで。 あんまり、評判はよくない みたいやなあ。 |
成: | そうなんですか? |
ナ: |
ウデはな、かなりイイんや。 ただ、性格がな‥‥。 |
成: | (わかるような気がする‥‥) |
ナ: |
キツいんや。 患者も看護婦も、思いどおりに 動かんと、すぐにドナりちらして、 それはもう タイヘンだったそうや。 |
綾里家・修験者の間 | |
キ: | ああ。成歩堂さん。 |
成: |
キミ子さん! あの、真宵‥‥さま、は? |
キ: |
”こちら側”にもどられました。 除霊の術をほどこしましたので。 |
成: | 会わせてください! |
キ: |
今は気を失っておられます。 そっとしておいてくださいまし。 |
成: | (まいったな‥‥) |
糸: |
お待たせしたッス! 警察ッス! あ、あれ。‥‥またアンタッスか! |
成: |
なんでイトノコ刑事が こんなところに‥‥? |
糸: |
たまたまッス。 出張でこっちに来てたッス。 では、これから現場を調べるッス。 みなさん、のちほど取り調べを するッスから、 ここから動いちゃダメッスよ! |
成: |
(なんでぼくの目を 見つめて言うんだよ‥‥) |
キ: |
じゃあ、イトノコ刑事さん。 現場にご案内いたしましょう。 |
糸: |
いや、あの‥‥。 自分はイトノコではないッス‥‥ |
成: |
(2人は<<対面の間>>に 入ってしまった。 しかたない、みんなの 話でも聞いてまわるかな‥‥) |
綾里家・対面の間 | |
成: |
(警官たちがいそがしそうに 動きまわっている。 真宵ちゃんのすがたは ‥‥見えない) |
糸: |
あ、アンタ! 勝手に入っちゃダメッス。 |
成: |
少しだけ、 話を聞かせてください! |
糸: |
うう‥‥。断りにくい目で 見つめないでほしいッス。 じゃ、ちょっとだけッスよ。 |
成: | あの‥‥真宵ちゃんは‥‥? |
糸: |
アンタには言いにくいッスが‥‥ 状況から、彼女が犯人であることは マチガイないッス。 |
成: |
(たしかに、この部屋には被害者と 彼女しかいなかったからな‥‥) でも、真宵ちゃんは‥‥ |
糸: |
くわしい事情はあとで聞くッス。 今は、この部屋に残された 証拠を集めるのが先ッス。 |
成: |
(さすが、こんなときは ”プロのカオ”になるなあ。 ‥‥ちょっと見た感じは 変わらないけど‥‥) |
成: |
あの‥‥霧崎先生は、 やっぱりピストルで? |
糸: |
コメカミを 撃ち抜かれているッス。 ただ‥‥。 |
成: | ‥‥ただ? |
糸: |
ムネをナイフで 刺されているッス。 |
成: | (‥‥ナイフ‥‥?) |
糸: |
被害者は、刺されたあと ピストルでトドメを刺されたッス。 |
倉院の里 | |
ナ: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(目の前で殺人事件が起こって、 さすがに動揺してるみたいだな) ナツミさん? |
ナ: | ぎゃわわあっ! |
成: |
うおっ! お、おどかさないでくださいよ! |
ナ: |
なにゆうとるんやッ! ビックリしたのはこっちや! これがウチじゃなかったら、死体が もう1個、ころがっとるところや! |
成: |
ナツミさん。何か気づいたこと、 ありません? |
ナ: |
‥‥ああ。 1つだけ、あるで。 |
成: | なんですかッ! |
ナ: |
ウチなぁ、意外とこーゆう話、 ニガテやったんやねえ。 |
成: | ‥‥は、はあ? |
ナ: |
タタリとかオバケの復讐とか‥‥。 もうタクサンや。やめやめ。 |
成: | な、何がですか? |
ナ: |
オカルトがらみのカメラマン。 よく考えたら、めっちゃコワいわ。 今日から芸能カメラマンに転向や。 |
成: |
‥‥スクープ写真はモノにできず、 ってコトですか。 |
ナ: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: | ‥‥どうしました? |
ナ: | それやッ! |
成: | ど‥‥どれですか? |
ナ: |
ついに、どデカいスクープを モノにしたったでぇ! |
成: | えっ? |
ナ: |
ウチ、そういえば、あの現場で 押しとったやん! シャッター! |
成: |
(そ、そうだった‥‥! しかも、2回も!) |
ナ: |
霊媒中に起こった殺人‥‥ だ、大スクープやッ! |
成: | な‥‥ナツミさん! |
ナ: |
ゴメン! ジャーナリストの血が 煮えたぎってきたわ! 先にあやまっとくワ。 ごめんなぁ! ウチ、タレこむわ、ケーサツに。 うおおおおおおおおおおおおおおお おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ‥‥‥ |
成: |
(ま、まいったな‥‥ また、この前の事件と同じ テンカイになっちまった‥‥) |
綾里家・控えの間 | |
成: |
(そういえば、さっきここで、 だれか寝ていたけど‥‥) |
?: | どなたですかあ‥‥? |
成: |
うわ! ど、どうも、その。ぼくはあの! |
?: |
‥‥あのお。 そろそろ始まるんですかあ? |
成: |
え。 な‥‥ナニがですか? |
?: | 霊媒ですよお、霊媒。 |
成: |
あ、れ、霊媒‥‥? ‥‥いやいやいやいやいや。 それどころじゃないんですよ! |
?: |
はあ‥‥。 と、言いますと? |
成: |
オドロかないでください。 ‥‥殺人があったんです! |
?: |
‥‥‥‥‥‥ サツジン‥‥て、あの。 人が殺される、アレですかあ? |
成: |
そうです! 人が殺される、アレです! |
?: |
まあ‥‥。それは、 なんていうんですか、そのお‥‥ ‥‥タイヘンですねえ。 |
成: |
‥‥はあ。 (やっと出てきたコトバがそれか) |
葉: |
あ。申しおくれました。 私、葉中(はなか) のどか といいます。 ええと‥‥大学で、 超心理学を研究しています。 |
成: | ちょうしんりがく? |
葉: |
はい。 ええと‥‥ひらたく言えば、その、 オカルト‥‥ですねえ。 超常現象とか、超能力とか‥‥。 |
成: |
(うわ、アヤシイ‥‥) ぼくは弁護士の成歩堂 龍一です。 |
成: | 今日は、どうしてここに‥‥? |
葉: |
ええと。そのお‥‥ 私が紹介したんですよお。 いい霊媒師を知りませんか、 というご相談を受けて‥‥。 |
成: |
(そういえば、霧崎先生も そんなことを言ってたっけ) |
葉: |
私、交霊とか多重人格とか、 そのへんが専門ですから‥‥。 |
成: |
はあ‥‥。それがどうして、 ここで寝てたんですか? |
葉: |
あのお‥‥ダメなんですよねえ、 私って。 |
成: | ? |
葉: |
おソバ。 アレルギーなんですう。 この里でいただいたお昼の料理に、 ソバ粉が入ってたんですよお。 |
成: | そ、それはそれは。 |
葉: |
‥‥気分が悪くなって、 ここで寝かせてもらって。 ホント、何しに来たんでしょう、 私ったら‥‥。 |
成: |
ずっとここで 寝ていたんですか? |
葉: |
そうですねえ。 お昼からずっと‥‥。 |
成: |
じゃあ、事件のコトは、 何も知らない‥‥? |
葉: |
‥‥え? あ、ああ。 なんにも知りませんよお。 いったい、どなたが 殺されたんですかあ‥‥? |
成: |
霊媒を依頼した先生です。 外科医の霧崎先生。 |
葉: | ‥‥‥‥‥。 |
成: |
お知り合いなんですよね? 霧崎先生と。 |
葉: |
‥‥‥‥! 知り合いなんてもんじゃないわ! |
成: |
あ、そ、そうなんですか? いや。霧崎先生が そう言ってたから‥‥ |
葉: |
え! ‥‥あ、ああ。 ‥‥あのお、ムカシ‥‥ そう、患者だったんですよねえ。 |
成: |
(この人‥‥。 何か、かくしている‥‥) |
綾里家・わたりろうか | |
成: |
(あいかわらず、 だれもいない、か‥‥) うわっ! ‥‥や、やあ。また会ったね。 |
春: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: | 春美ちゃん、ていうんだよね? |
春: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(やれやれ、まただんまりか‥‥ ‥‥? ちいさな手に、 何かにぎりしめてるぞ‥‥ ‥‥どこかで見たような‥‥) |
成: | あのさ‥‥。 |
春: | ‥‥‥‥! |
成: |
(‥‥ナニがいけないんだ! この髪型か‥‥?) |