第2話『再会、そして逆転』探偵パート1日目(その1)

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成歩堂 龍一…黒
綾里 千尋…赤
綾里 真宵…青
狩魔 冥…水
糸鋸 圭介…黄土
裁判長…緑
綾里 春美…黄緑
綾里 キミ子…灰
霧崎 哲郎…紺
葉中 のどか…紫
大沢木 ナツミ…橙
堀田(自称)…黄
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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‥‥睡眠薬を飲まされたの‥‥
あれは‥‥事故じゃなかったわ
あたしは‥‥殺されたのよ
‥‥アイツに‥‥
‥‥だから‥‥復讐してやった‥‥
当然でしょ? のどか‥‥

真: ‥‥せっかくまた、
なるほどくんに会えたのに‥‥。
成: きみのせいじゃないよ。
真: あたし‥‥殺しちゃったんだ。
‥‥あの人を。
成: あれは、きみじゃなかったんだ。
真: ううん。
おんなじことだよ‥‥。
成: (まさか、こんなことに
なるなんて‥‥
‥‥すべての始まりが、
アタマの中によみがった。
‥‥あの、うっとうしい
雨の午後の情景が‥‥)


6月16日 午後 3時34分
成歩堂法律事務所

?: ‥‥うっとうしい雨です。
わかりますか?
うっとうしいんですよ、私は!
成: は、はあ‥‥。
?: それ以上にハラが立つのが、
天気予報のお姉さんです。
<<梅雨の合間、つかのまの
お日さまがのぞくでしょう>>‥‥
お姉さんはこう、ハッキリ言った!
断言してもいい!
成: それはそれは‥‥。
?: だから私は今日、
カサを持ってこなかった。
‥‥それが、このザマです!
15万円のスーツが台無しだ!
成: あの‥‥。
それで、ご用件は?
その天気予報のお姉さんを
訴えるんですか?
?: ‥‥‥‥‥
これは、シツレイ。
本題に入る前の、軽い
世間話のツモリだったのですが。
私、外科医をやっております。
霧崎 哲郎(きりさきてつろう)。
成: (この先生に手術されるのは
カンベンしてほしいな‥‥)
霧: 今日は、この件で
やってまいりました。
成: <<霧崎外科医院で医療ミス。
14人の入院患者が死亡>>
‥‥ああ。
あなたが、あの‥‥?
霧: まったく、ハラ立たしい話です。
いいですか? これは保証します。
私は、ハラを立てているんです!
成: はいはいはい。
そうなんでしょうね、霧崎先生。
霧: ミスをしたのは、看護婦なんだ!
14人を殺したのは、
看護婦の投薬ミスだったのですぞ!
しかも!
いいですか、しかもですぞ!
この看護婦は、自分の罪を認める
前に、死んじまったんです!
あろうことか、この私に
なんのことわりもなく!
勝手に交通事故を起こして、
勝手に車ごとぺちゃんこです!
ぺちゃんこですぞ!
わかりますか? それも、車ごと!
成: (‥‥そう。今から1年前、
ワイドショーは大さわぎだった。
14人も亡くなった医療ミスと、
看護婦のナゾの事故死‥‥
事故は霧崎先生が仕組んだ、
なんてウワサもあった。
医療ミスの真相をかくすため、
永久にダマらせたのだ、と‥‥)
霧: なんで私が‥‥
いいですか、もう一度言いますよ!
なんでこの私が、あの看護婦を
殺さなければならないんですか?
14人殺したのは、彼女なんだ!
私じゃない!
成: おキノドクだと思いますけどね。
でも、もう1年も前の話ですよ。
なんで、今さら‥‥?
霧: 今だからこそ!
なんとかせねばならんのです!
いいですか! 私の病院には、
患者が寄りつかない。
どういうことかわかりますか?
来ないんですよ、患者が!
成: (‥‥そりゃそうか。
ぼくだって行きたくないもん)
それで‥‥ぼくに、どうしろと?
霧: 私の無実を証明する
お手伝いをしていただきたい。
成: ‥‥あの。ぼくは弁護士で、
探偵じゃありませんよ。
霧: いや。これは、あなたにしか
おねがいできないのです。
成: ‥‥‥?
霧: 綾里 真宵。
‥‥もちろん、ごぞんじですね?
成: ‥‥‥‥!
(アヤサトマヨイ‥‥
どうして、その名前が‥‥!)
霧: あなた、彼女の下で
しばらく働いていたそうですね。
成: まあ、たしかに‥‥。って、
ちょっと待ってください!
ぼくが”彼女の下で”
働いていたんですか?
霧: ええ。ちがうんですか?
彼女はそう言っていましたが‥‥。
成: ‥‥以前、いっしょに
法廷に立っていたんです。
‥‥今はもう、”修行”に
もどってしまいましたけど。
霧: ええ、聞いてますよ。
おさびしいでしょう。
成: な、そんな!
べ、べつにぼくは‥‥
霧: 彼女の”修行”、リッパに
実をむすんだようですよ。
成: えっ。
霧: 私の知り合いに、オカルトに
くわしい人がいまして。
紹介してくれたのです。
綾里 真宵さんをね。
成: (‥‥真宵ちゃん‥‥
そんな有名人だったのか?)
霧: で、私。
このたび、依頼したんですよ。
成: ナニをですか?
霧: 霊媒ですよ。
決まってるでしょう!
勝手に死んだ、あの看護婦を
呼びだしてもらうんです!
成: な、なるほど‥‥。
(真宵ちゃん、か。
‥‥どうしてるかな)
真: 『あたしたち綾里家の女は代々、
霊媒師として生きてきたの。
綾里の血は、強い霊力を
宿しているから‥‥。』
成: (‥‥そんなこと言ってたっけ。
どうやら、一人前に
なれたみたいだな‥‥)
霧: 彼女、修行以外で、だれかの霊を
呼び出すのは初めてなので、
1つ、条件を出してきましてね。
それで引き受けてくれることに。
成: ‥‥条件?
霧: それが、あなたなんですよ、
成歩堂さん。
あなたが立ち会うなら、
霊媒を引き受ける、と言うんです。
成: ‥‥ぼくが‥‥
霧: ということで、
つきあっていただけますね!
あなたも、会いたいでしょう?
‥‥彼女に。
成: (‥‥というわけで‥‥
ぼくは、彼女のふるさとへ
同行することになった‥‥)


6月19日 午後 1時25分
倉院の里

成: (倉院(くらいん)の里。
真宵ちゃんの‥‥ふるさとか)
?: ‥‥‥‥
成: ‥‥や、やあ。こんにちは。
?: ‥‥‥‥
成: ‥‥なんだ。
ブアイソウな子だな‥‥。
?: おーい、はみちゃーん!
待ってよー。
成: (ん? また
だれか来るぞ‥‥)
?: ああああっ! なるほどくん!
成: ま、真宵ちゃん。
‥‥ひさしぶり。
真: うわあ。ホントに来てくれるとは
思わなかったよ!
成: 大ゲサだなあ。うちの事務所から
電車で2時間じゃないか。
真: まあね。
成: こんな近いんなら、たまには
遊びにくればよかったのに。
真: ダメだよ。
あたし、決めたんだもん。
一人前になるまで、ひとりで
がんばる、って‥‥
成: まあ、いいや。
とにかく、おめでとう。
修行がうまくいって。
真: へへ‥‥。

(「今日の依頼」を聞く)
成: ついに、霊媒師として
仕事をするんだね。
真: そうだねー。こんなに早いとは
思わなかったな。
成: でも、ちょっとメンドウな話だな。
‥‥ちゃんとわかってる?
真: ふっふっふっ。真宵ちゃんの
情報網をナメちゃダメだよ。
アレでしょ。霧崎先生、医療ミスで
14人殺しちゃったんでしょ。
で、看護婦さんにその罪を
ゼーンブかぶせるために、
交通事故に見せかけて
殺しちゃったんだよね!
成: え‥‥。
あのさ。
”真宵ちゃんの情報網”って‥‥?
真: ワイドショー。
成: ‥‥だと思った。
真: ‥‥‥‥あはは。
ジョウダンだよ!
ホントは逆なんでしょ。
事情は先生から聞いてるって!
成: ‥‥‥‥
真: アッタリマエでしょ!
サツジンハンの依頼なんて、
引き受けないよ!
コワいもん。
成: (ま、そりゃそうだな)

(「倉院の里」を聞く)
成: ここ、真宵ちゃんの
ふるさとなんだ。
真: そうだよ。
倉院の里。‥‥霊媒師の谷
とも呼ばれてるみたい。
成: へえ‥‥。
住んでる人、
霊媒師ばっかりなの?
真: そうだねえ。
ウチの親せきは、
たいていそうかな‥‥。
成: (綾里家の血は、霊力が
強いらしいからな‥‥)
真: ま。でも、霊媒師は
女の人だけだけど。
成: 男の人は、何をしてるの?
真: ほとんど、
出かせぎに行ってるよ。

(「さっきの女の子」を聞く)
成: そういえば、さっきの女の子‥‥
知り合い?
真: ああ。はみちゃん。
成: はみちゃん?
真: 綾里 春美(あやさとはるみ)。
あたしのイトコなんだよ。
もお、カワイイでしょ?
あたしに似てさ。
成: イトコ‥‥ってことは、
彼女も?
真: うん。霊媒師。
はみちゃんはね、テンサイなんだ!
成: ふうん‥‥。
さっき声をかけたら、
圧倒的にムシされたぞ。
真: ああ。おばさまにキビしく
教えられているから。
”アヤシイ人に声をかけられたら
逃げなさい”って。
成: あ、アヤシイ人‥‥。
真: だってなるほどくん、
修行者の装束を着てないでしょ。
成: あたりまえだ。
真: はみちゃんはね、
おばさまの宝物だから。
あんまり、そとの世界のこと
知らないんだよ。
成: ‥‥おばさま?
真: はみちゃんのおかあさん。
あたしの、おばさま。
‥‥じゃあ、あたし
そろそろしたくするから。
成: え? あ、ああ。
真: あたしのウチに行ってて。
あそこでやるから。
終わったら、
おいしいみそラーメン作るからね。
成: わかった。
‥‥じゃ、がんばって。
真: うん!
成: (やれやれ‥‥。
元気そうでなによりだな)

(「修験者の間」に移動する)


同日 某時刻
綾里家・修験者の間

霧: あ、成歩堂さん。
よく来てくれました!
成: 今日はいい天気で
よかったですね。
霧: いや、まったくです。
ま、天気予報のお姉さんは
またハズしてましたがね。
<<今日はドシャぶりでしょう>>
スズしいカオして言ってましたよ。
あんなガセ情報を、あろうことか
公共の電波でお茶の間に‥‥
成: (‥‥この先生に天気の話題は
タブーだな‥‥)
霧: ‥‥いや、それにしても
リッパな屋敷ですな。
成: (たしかに‥‥ここが
真宵ちゃんの家とは‥‥)
霧: 屋敷の見取り図を
もらってきましたよ。
成歩堂さんもどうぞ。

<<上面図>>を
法廷記録に挟んだ。

(「今日の依頼」を聞く)
成: 看護婦さんの霊に会って、
どうするつもりなんですか?
霧: 決まってます。
念書を書かせるんですよ。
成: ねんしょ?
霧: そう、念書です。
いいですか、こう書かせるんです。
<<1年前の5月2日
私の不注意で、14人の患者を
死なせてしまいました。
そして、同月24日
これまた自分の不注意で、
居眠り運転による交通事故死。
不注意で
どうもすみませんでした>>
‥‥いかがです!
これで私の心は
もう梅雨あけですぞ!
成: そ、そうですか‥‥。

(「真宵のこと」を聞く)
成: あの。綾里 真宵のことは、
どなたから‥‥?
霧: 私の知り合いにね。大学でオカルト
を研究してる女の子がいるんです。
その子に、この里を紹介して
もらったワケですよ。
倉院流霊媒道の総本山
ということで。
成: そうほんざん‥‥
霧: そして真宵さんは、
家元のムスメさんですからね。
成: いえもと‥‥
霧: ほら、そこに見えるトビラ。
あそこが霊と対面する部屋です。
真宵さんのおばさんにあたる
人がいます。会ってきてみては?

(「対面の間」に移動する)


同日 某時刻
綾里家・対面の間

成: (うわあ‥‥
なんてまあ、アヤシイ‥‥
このユラユラした明かりは‥‥
ローソク、みたいだな)
?: ああた!
‥‥どちらさまで?
成: うわ! は、はい。
ぼくは成歩堂 龍一といって‥‥
?: ああ。
‥‥ああたが、あの。
成: (”ああた”って‥‥
ぼくのコトか?)
?: ああた、ベンゴシでござあましょ?
真宵さまから
うかがっておりますわよ。
成: それはどうも。
(真宵”サマ”‥‥?)
?: アタクシは真宵さまのおば、
綾里 キミ子でござあます。
成: よ、よろしくおねがいします。
キ: ああた、アレでござあますわねえ。
殿方なんですから、あまり真宵さま
に頼ってばかりでは、
みっとものうござあますよ。
成: は?
キ: アレでござあましょ?
ああたが勝訴した事件のほとんどは
真宵さまのスイリとヒラメキで‥‥
成: (‥‥女の子には走って逃げられ、
おばさんにはマユをしかめられ
どうも、ダメなオトコの
見本になってるな、ぼく‥‥)
キ: ま。アレでござあますわね。
もっとシャンとなさるコト。
成: ‥‥ココロがけます。

(「真宵のこと」を聞く)
成: 真宵ちゃん、”サマ”づけで
呼ばれるほどエラいんですか?
キ: ああたッ!
成: はいッ!
キ: 真宵さまに向かって、なんて
なれなれしい!
成: す‥‥すみません。
キ: ”真宵さま”と
お呼びなさいまし!
成: あ、あの。‥‥その、真宵さま
‥‥のコトですけど?
キ: 血‥‥でござあます。
成: ”血”‥‥?
キ: あの方は、家元の血を受けた
最後のひとりでござあます。
成: (”最後の”‥‥?)
キ: 倉院流霊媒道の正当な後継者‥‥
それが、真宵さまでござあます。
成: じゃあ‥‥あの、
ああた‥‥いや、あなたは?
キ: そうでござあますね。
アタクシども、姓は綾里ですが、
”分家”なのでござあます。
成: ‥‥ぶんけ?
キ: 分家の人間は、たとえどんなに
霊力が強くとも‥‥
倉院流の家元になることは
できないのでござあます。
成: あの‥‥あなたの霊力は
どうなんですか?
キ: ‥‥‥‥‥‥‥‥
ザンネンでござあますが‥‥
家元の足もとにも
およびませんわね。
成: (そんなものなのか‥‥)

(「今日の依頼」を聞く)
成: 今日の霊媒は、彼女の初仕事に
なるとか?
キ: そのとおりでござあます。
交通事故の死者は
思念が強うござあますから、
呼び出すのは、たやすい
コトでござあましょう。
成: (”交通事故”ねえ‥‥)
キ: 霊媒はこの<<対面の間>>にて
おこなわれますので。
アタクシがこうして今、
準備をしているのでござあます。

(「対面の間について」を聞く)
成: あの‥‥この部屋は‥‥。
<<対面の間>>でしたっけ?
キ: 霊媒師が、霊と語らう
場所でござあますわ。
成: じゃあ、ぼくたちもここで‥‥?
キ: トンデモござあません。
ここに入れるのは、依頼者と
術者の2人だけでござあます。
成: そ、そうなんですか?
キ: 倉院流の奥義を、そうそう人前で
お見せするわけにはまいりません。
成: (真宵ちゃん、ぼくの前で
見せまくっていたけどな‥‥)
キ: 何かマチガイがあっては
困りますから、
交霊中は、そこのトビラに
カギをかけることに‥‥。
成: カギ‥‥ですか。
キ: ‥‥‥‥‥‥‥‥
ああ、そういえば。
ああた、春美ちゃんを
見かけませんでしたかしら?
成: ”はるみちゃん”‥‥?
キ: 天女のような、愛くるしい
女の子でござあます。
成: ああ。あのブアイソウな‥‥
キ: アタクシのムスメでござあますが、
今、なんと‥‥?
成: か‥‥
かわいいムスメさんですね。
キ: 世間知らずで好奇心が
強いものでござあますから。
あまり相手にしない
ようにしてくださいましね。
成: (あの子のほうが
相手にしてくれなかったけど)
キ: くれぐれも、マチガイを
起こしませぬよう。
成: 起こしませんよ!

(「修験者の間」に移動する)

(「わたりろうか」に移動する)


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