成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
綾里 春美…黄緑 | |
綾里 キミ子…灰 | |
霧崎 哲郎…紺 | |
葉中 のどか…紫 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
堀田(自称)…黄 |
堀田クリニック ロビー | |
成: |
(‥‥ここが、のどかさんが 入院してた病院か‥‥) |
?: | ん。ご面会かな? ん。 |
成: |
あ。どうも‥‥。 先生は、ここの‥‥? |
?: |
ん。院長の堀田(ほった) ですわ。ほっほっ。 |
成: |
(うわ、いきなり 院長先生と対面か‥‥) |
堀: | ん。どうしたかな? ん? |
成: |
あの。葉中 のどかさんの ことなんですけど‥‥。 |
堀: |
ん。葉中? む。のどか、と。 ‥‥んんん‥‥。ああ、あの! ザンネンだな。ん。 彼女はもう、その。 ずいぶん前に退院しちまったよ。 |
看: | コラ! おじいちゃん! |
成: | ? |
看: |
ダメでしょ! 病室を出ちゃ。 ホラホラ、早くもどりなさい! |
堀: |
あ。マチコくん。ま。ま。 カタいこと言いっこなし。な。 |
看: |
なにが”マチコくん”よ! いいかげんにしないと、 病院からほっぽり出すよ! |
成: |
(ひゃあ‥‥院長に向かって、 スゴい看護婦だな‥‥) |
看: |
いい? 院長先生の白衣、 ちゃんと返しておくのよ! |
堀: |
はいはい。了解。 りょーかいさん。ん。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
堀: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: | あの。 |
堀: | ん。ナニかな? ん。 |
成: |
ん。じゃありませんよ。 あなた、いったいダレなんですか? |
堀: | 院長の堀田ですわ。ほっほっ。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥ (看護婦さんは行っちゃったし‥‥ 相手してくれそうなのは‥‥ このヒトだけか。 ‥‥とほほ‥‥) |
成: |
あの。この病院は、 どういう‥‥? |
堀: |
んん。その、外科一般を やっとるよ。ん。 |
成: | 外科一般‥‥? |
堀: |
あんまり詳しいコトは 知らんケドね。ほっほっ。 |
成: | ‥‥‥‥。 |
堀: |
ん。ん。なんだその目は。 そ、そうだな。この近くに 大きな総合病院があるんだよ。ん。 患者が収容しきれないとき、 こっちに回されてくるんだよ。ん。 |
成: |
ここでは、外科手術を やってるんですよね? |
堀: |
ん。形成外科の手術なんぞも やってるみたいだけど。ん。 |
成: | やってるみたい‥‥ですか。 |
堀: | ん。ん。やってるみたいだよ。 |
成: |
葉中 のどかさんのことを 聞きたいんですけど‥‥。 |
堀: |
きたッ! ん。あの子ね。たしか、 総合病院から移されてきたんだよ。 |
成: |
総合病院から‥‥? 彼女、何か外科手術を 受けたんですか? |
堀: |
ん。それ。外科手術。 タイヘンだったわ、アレは。 |
成: | どんな手術を‥‥? |
堀: |
ん。それは。いやいやいや。 ちょっとそれは。ん。言えんよ。 |
成: |
(センセイ、ジツに うれしそうに笑ってるぞ‥‥) |
堀: |
ホレ。なんか、医者って連中は、 患者のコトしゃべっちゃイカンの。 な。な。テレビのドラマでも そうだろ? ん? |
成: |
(このままじゃラチが あかないな‥‥ このジイさん‥‥ちょっと、 オドしつけてやれないかな?) |
堀: | ん? ナニかなそれは? |
成: |
ぼくは弁護士です。今、 ある事件の調査をしています。 |
堀: |
ん。ん。なんだコワいカオして。 ボーリョクはよくないぞ。ん。 |
成: |
裁判は明日です。 ‥‥情報がほしいんですよ。 |
堀: |
む。そ、そうだったか。 ‥‥‥‥じつはな。そのう‥‥。 これはヒミツなんだが‥‥。 |
成: | なんですか? |
堀: |
ん。じつはワシ、 ‥‥院長じゃないんだコレが。 |
成: | 知ってますよそんなこと! |
堀: | え! な、なんで! |
成: | (カンゼンにナメられてる!) |
堀: |
ま。ま。待ちなさいって。 あげるから。ジョーホー。 |
成: | ? |
堀: |
ワシはな。この病院の、ホレ、 なんだ。‥‥ナマ字引? |
成: | 生き字引‥‥ですか? |
堀: |
それそれ。特に若い女のコちゃんの 患者なら知らんコトはない。 いや、おハズかしい話。 |
成: |
‥‥ホントに ハズかしいですね。 |
堀: |
ほっほっほっ。とにかく、 葉中 のどか嬢のコトだったな。 |
成: | (のどか”嬢”‥‥) |
堀: |
あの子は特に、その。 よおくおぼえとるぞ。よおく、な。 |
成: |
のどかさんのこと、 聞かせてください。 |
堀: |
ん。まかせなさい。 ほっほっ。まーかせなさい。 あの子は‥‥そう。1年ぐらい前、 総合病院からまわされてきたんだ。 その。ホレ。急患っちゅうコトで。 |
成: | なんの病気だったんですか? |
堀: |
いやいやいや。 ありゃ、ケガだったよ。 ワシね、一目で見ぬいたよ。そりゃ もう、バッチリ。大ケガだ、って。 |
成: | 大ケガ‥‥ですか。 |
堀: |
カラダ中ホータイでぐるぐるまき。 ウデもギブスで固められてたしな。 |
成: | それはたしかに‥‥大ケガですね。 |
堀: |
ん。事故だよ事故。コワいね。 やっぱりホレ。クルマはさ。ん。 |
成: |
クルマ? ‥‥交通事故だったんですか? |
堀: |
そうだよ。あれだけの大ケガだ、 きっと新聞にのってると思ってさ。 もう、ホレ。調べた調べた。 タイヘンだったね。ん。 |
成: |
(‥‥なんなんだ このジイさんは‥‥) |
成: |
さっき‥‥、大手術だった、 って言ってましたね。 |
堀: | ん? のどか嬢の手術かい? |
成: | え、ええ。のどか嬢の。 |
堀: |
そりゃまあ、その。なんだ。 あれだけの事故だったし。 ん。カオのヤケドがさ。 特にヒドくて。タイヘンだったわ。 |
成: |
そんなに ヒドかったんですか‥‥。 |
堀: |
たまたま、のどか嬢が自分の写真を 持っていたからね。 それを見て、復元したらしいね。 カオをさ。 |
成: | 写真‥‥ |
堀: |
彼女さ。ホレ、なんだ。免許を とったばっかりだったんだな。 その免許証のために撮った 写真を、ちょうど持ってたワケだ。 |
成: | はあ‥‥。 |
堀: |
ワシね。記念にもらっちゃったよ。 その写真。コッソリと。 |
成: | (‥‥いいのか‥‥?) |
堀: | な? な? よく撮れてるだろ? |
成: | はあ‥‥。 |
堀: | お宝だよ、お宝。ワシの。 |
成: |
カンジンの免許証のほうは どうなったんですか? |
堀: |
さあ。知らんよ。聞いてないな。 燃えちまったんじゃないかね。ん。 |
データを法廷記録にファイルした。 | |
成: |
あの‥‥調べたんですよね、 のどかさんの事故のこと。 |
堀: |
そりゃもう。そりゃね。ん。 当時の新聞はゼンブ見たぞ。 |
成: |
‥‥どんな事故だったか、 おぼえてますか? |
堀: |
ん。ちょっと待ってな。 今、持ってくるから。記事。 |
成: |
え。 ‥‥も、持ってるんですか? |
堀: |
ま。ま。ま。ま。ま。ま。ま。ま。 こんなコトもあろうかと思ってさ。 |
成: |
(あの、あくなき探求心‥‥ 見ならうべきかも‥‥) |
堀: |
ああ、これこれ。これだ。ん。 どうやらのどか嬢、 助手席に座ってたらしいな。 |
成: | 助手席ですか‥‥。 |
堀: |
眠っとったらしいよ。 ものすごい衝撃で目がさめたら、 あたり一面、火の海だ。 のどか嬢、必死でドアを開けて、 なんとか自力で逃げたわけだ。 ‥‥ま。くわしいコトはホレ。 この記事を読めば。ん。 |
法廷記録に挟んだ。 | |
成: |
(新しい手がかりだ! 目を とおしておいたほうがいいな) |
堀: |
のどか嬢、手術してから 治るまで、半年はかかったな。 去年の12月ごろ、 退院していったよ。 |
成: | (‥‥半年前、か‥‥) |
堀: |
ん。ホレ、どうよ。 けっこう役に立ったろ? ん? |
成: |
は、はい。 ありがとうございました。 |
堀: |
ん。じゃ、ワシ。そろそろ 病室にもどるからさ。 のどか嬢によろしくな。ん。 |
成: | (ぼくも行くとするか。ん) |
倉院の里 | |
ナ: |
あ! どやった! 行ってみたんか、病院は? |
成: |
ええ。いろいろ聞いて きたんですけど‥‥。 |
ナ: |
‥‥なんや。 ハギレ悪いなぁ。 あ。そういえばナ。さっき、 オバハンがケーサツ呼んだで。 |
成: |
‥‥え。 キミ子さんが‥‥警察を? |
ナ: |
”話がある”ゆうてな。 なんや、オモロなってきたなァ。 |
ナ: |
それにしても、あのオバハン ホンマついてないなー。 |
成: | まあ、そうですね。 |
ナ: |
たった1つの小石に けつまづいたおかげで、 家元の座はうばわれるは、 里の人間からはバカにされるは‥‥ あげくの果てに、こないな 殺人事件まで起こってしもうて。 |
成: |
まったくですね。 ‥‥‥‥‥‥ って、ちょっと待ってください! |
ナ: | なんや。 |
成: |
今のハナシ‥‥はじめて聞くコト ばっかりだったんですけど。 |
ナ: |
えー、ホンマかァ? この世界じゃァ、ダレでも 知ってるコトやで。 |
成: |
(なぜだ‥‥? だれも教えてくれなかったぞ!) たしか、”家元の座をうばわれた” ‥‥って言いましたよね‥‥? |
ナ: |
そうや。 今、家元は綾里 舞子っちゅう 霊媒師なんやけど‥‥ ホンマは、あのオバハンが 家元になるはずやったんや。 |
成: | (キミ子さんが‥‥家元‥‥?) |
成: | のどかさんは‥‥? |
ナ: |
ああ。さっき見かけたで。 ボンヤリ庭、見とったワ。 |
成: | そうですか‥‥。 |
ナ: | なんや。話でもあるんか? |
成: |
(彼女には、いろいろ 聞くべきことがあるぞ‥‥) |
ナ: |
いやナ。なんでも、家元は 長女がつぐものらしいんや。 |
成: | 長女‥‥ってことは‥‥ |
ナ: |
キミ子はな。姉なんや。 綾里 舞子の‥‥ |
成: | そ、そうだったんですか。 |
ナ: |
フツーはな。姉のほうが 強いらしいで。‥‥霊力。 |
成: |
(そういえば‥‥ムカシ、 真宵ちゃんも言ってたな。 お姉ちゃん‥‥千尋さんの霊力は シャレにならなかった、って) |
ナ: |
‥‥ところが。 どうしたワケか、あのオバハン、 妹の舞子に負けちまったワケや。 |
成: | そうだったんですか‥‥ |
ナ: |
里の連中から、それはそれは ケーベツされたらしいで。 ”長女のクセに、家元を つげなかった”ってナ。 |
成: |
(そんなことがあったのか‥‥) ‥‥もし、キミ子さんの霊力が 強かったら‥‥? |
ナ: |
真宵はんは、分家のムスメ、 ってコトになってたやろな。 |