成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
綾里 春美…黄緑 | |
綾里 キミ子…灰 | |
霧崎 哲郎…紺 | |
葉中 のどか…紫 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
堀田(自称)…黄 |
綾里家・わたりろうか | |
葉: | あらあ。‥‥おひさしぶりです。 |
成: |
どうも。 (そろそろ、このヒトのヒミツが 見えてきたかな‥‥) |
葉: |
‥‥なんですかあ。 コワいカオして‥‥ |
成: |
聞かせてもらいましょう。 ‥‥交通事故について。 |
葉: | え? だれの事故ですかあ? |
成: |
き、決まってるでしょう。 お姉さんの事故ですよ! |
葉: |
あ、ああ‥‥そうですよねえ。 お姉さんは眠らされたんですう。 あの霧崎先生に‥‥。 それ以上、お話しするコトなんて ありませえん。 |
成: |
ううん‥‥ (‥‥今、のどかさん、 気になることを言ったな‥‥ ”だれの事故ですかあ?” ‥‥って。 それって、つまり‥‥ 未実さん以外の”交通事故” の情報を知ってる、ってコトだ) じゃあ、のどかさん。 聞かせてもらえますか。 ‥‥別の人物の”交通事故” について‥‥。 |
葉: |
別のヒトの‥‥交通事故。 いったい、だれの事故ですかあ? |
成: |
のどかさん‥‥ あなた自身の交通事故ですよ。 |
葉: | わ‥‥私‥‥ですか! |
成: | そうです。 |
葉: |
おかしいですねえ。 知りませんよお、事故なんて。 証拠でもあるんですかあ? 私が交通事故にあった、っていう。 |
成: |
これを見てください。 1年前の新聞記事です。 <<生存者・葉中 のどかさんの話>> ‥‥って書いてあります。 |
葉: | ‥‥あっ! |
成: |
大ケガして、 入院したんですよね? |
葉: |
ちょ‥‥ちょっと、 待ってくださあい。 |
成: | なんですか? |
葉: |
‥‥‥‥‥‥ それ、私じゃありませんよお。 |
成: | なんですって! |
葉: |
きっと、たまたま同じ名前の 別のヒトですよお。 ほら。”葉中 のどか”なんて、 ありふれた名前ですからあ。 |
成: |
ナニ言ってるんですか! お姉さんの名前が”葉中 未実” って、書いてあるでしょう! |
葉: |
いやあ‥‥コワいですよねー。 グーゼン、って、ホント。 |
成: |
(そ‥‥そんなイイワケが とおるのか!) |
葉: |
それとも、なんですかあ? 証拠でもあるんですかあ? この私が入院していた、っていう。 |
成: | これが、その証拠です。 |
葉: | ‥‥そ、その写真は‥‥? |
成: |
あなたが入院していた病院で もらってきたんです。 |
葉: | ど‥‥どういうコト? |
成: |
患者さんにね。 あなたのファンがいたんですよ。 記念に、とっておいたそうです。 ‥‥どう見ても、あなたです。 |
葉: | ‥‥あのニセ院長! |
成: |
さあ。今度こそ聞かせてください。 事故のこと‥‥ |
葉: |
ちょっと待ってくださあい。 たしかに私、 事故にあいましたあ。 でも、それがなんですかあ? 今度の事件と関係ないでしょお? |
成: |
関係はあるはずです。 新聞記事を見てください。 <<女性1人が死亡した>> って書いてありますね。 |
葉: | ‥‥そ‥‥それが? |
成: |
この、”死亡した女性” というのは、だれだったんですか? |
葉: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
交通事故で死亡した女性とは、 この人物だったのでは‥‥? |
成: |
葉中 未実。 ‥‥あなたのお姉さんだった。 |
葉: | ‥‥お姉さん‥‥。 |
成: |
あなたは、お姉さんが 運転する車に乗っていた。 2人は、いっしょに 交通事故にあったんです! |
葉: |
そう‥‥。 あの日、私は‥‥乗っていました。 あのクルマに‥‥ お姉さんといっしょに。 うちに帰る途中だったんです。 私、助手席に乗っていました。 でも、眠りこんじゃって‥‥。 ‥‥あとは、記事のとおりです。 とっさにハンドバッグだけ持って、 助手席のドアから逃げた‥‥ |
成: | ‥‥お姉さんは? |
葉: |
どうしようもなかったの。 車の中はケムリでいっぱいで‥‥ 何も見えなかった。 |
成: | そうだったんですか‥‥ |
成: |
あの事故は、霧崎先生が睡眠薬を 盛ったせいで起こったわけですか。 |
葉: |
もしかして、疑ってるんですか? ‥‥私のこと。 お姉さんのカタキをうつために、 霧崎先生を‥‥、って。 |
成: |
(そりゃそうだろう‥‥ 霧崎先生を殺害する動機は、 今のところ、これしかない!) |
葉: |
‥‥ふふふ。 タンジュンなんですねえ。 |
成: | どういうことですか? |
葉: |
‥‥ムリだと思いますよお。 私を追いつめるのは。 |
成: | なんですって‥‥ |
葉: |
‥‥今にわかりますよお。 たたきのめしてあげちゃいます! ‥‥楽しみですねえ。 ふふふ‥‥。 |
倉院の里 | |
成: |
‥‥‥‥? あそこで、なんかモメてるぞ‥‥。 |
春: |
お‥‥おかあさまを! おかあさまをイジめないで! |
糸: |
い‥‥いたたッ。まま、待つッス! そんなつもりは‥‥ |
キ: |
春美ちゃん。 だいじょうぶでござあますよ。 ほんの少し、この殿方と お出かけするだけでござあます。 |
春: |
おかあさま! わたくしも ごいっしょに‥‥! |
キ: |
‥‥ダメです。 あなたは、屋敷をお守りなさい。 |
春: | うう‥‥ |
糸: |
そ、そんなカオしちゃダメッス。 あっ! そッス! 今、イイもの見せてあげるッス。 ホンモノのピストルを‥‥ |
キ: |
‥‥刑事さん! まいりますわよ。 |
糸: |
うう‥‥。 こりゃどうも、すまねッス。 |
成: |
(‥‥キミ子さん、イトノコ刑事を つれて行っちまったぞ‥‥) |
春: | おかあさま‥‥。 |
春: |
おかあさま‥‥ 今までこんなこと、 一度もなかったのに‥‥。 |
成: | 春美ちゃん‥‥ |
春: |
なるほどくん! ‥‥わたくし、とてもイヤな 予感がします。 何か、とても悪いことが 起こるような‥‥ こわいです。 ‥‥なるほどくん‥‥ |
成: |
(弱ったな‥‥ かけるコトバも見あたらないぞ) |
春: |
なるほどくん! 真宵さま‥‥真宵さまは? |
成: |
だいじょうぶだよ。 ‥‥材料はそろったと思う。 |
春: |
きっと‥‥きっと、真宵さまも ココロ細いと思います。 なるほどくん! 行ってあげてください! |
成: |
え。でも‥‥春美ちゃんを 置いては行けないよ。 |
春: |
わ、わたくしなら だいじょうぶです! おねがいです! 真宵さまの そばにいてあげてください! |
成: |
(春美ちゃんのまなざしが つきささってくる‥‥) |
留置所 面会室 | |
千: | 待っていたわ、なるほどくん。 |
成: | 千尋さん‥‥! |
千: | どう? 明日の準備は。 |
成: |
たぶん‥‥ 材料はそろったと思います。 |
千: |
この事件は‥‥ 明日、カタがつくわ。 ‥‥無罪にしろ、 そうでないにしろ‥‥ね。 |
成: |
(ぼくはおぼえている‥‥ 千尋さんのムネに、 ヒミツが‥‥ サイコ・ロックが かかっていることを!) 千尋さん。‥‥最後の手がかりを いただきたいと思います。 |
千: |
‥‥いいわ。 うばってみなさい。私から。 |
成: | 千尋さん‥‥。 |
千: | なあに? |
成: |
千尋さんには‥‥ 心当たりがあるんですね? この事件の真犯人に。 |
千: | ‥‥‥! |
千: | どうして‥‥そう思うの? |
成: |
(人のヒミツが見えるのも、 ツラいときがあるな‥‥) |
千: |
‥‥どうやら‥‥あなたの 考えを聞くときが来たようね。 |
成: |
そのようですね‥‥。 (千尋さんと‥‥勝負だ!) |
千: |
明日の開廷までに、どうしても 知っておくべきことがあるわ。 |
成: |
真犯人が、どうやってあの部屋に 入って霧崎先生を殺害したか‥‥? |
千: |
そうね。 そもそも、犯人はいつ<<対面の間>> に入りこんだのか‥‥? 霊媒が始まってからは、あなたたち が部屋の前にいたわ。 |
成: |
ということは、犯人は、霊媒が 始まる前から、あの部屋に‥‥? |
千: | そう考えるのが自然ね。 |
成: |
でも、真宵ちゃんは ”だれもいなかった”って‥‥ |
千: |
‥‥そうね‥‥。 とにかく、犯人の行動を立証 できなければ、勝ち目はない。 |
成: | (ううん‥‥) |
千: |
‥‥どうしたの? 霊媒に興味を持ったのかしら。 |
成: |
今回の事件では、霊媒が ”当然あるもの”になっています。 なんだか、どうも ナットクできなくて‥‥。 |
千: |
‥‥それがフツウよ。 ”霊媒”なんて術は、日常の 近くにあるべきじゃないわ。 |
成: | そうなんでしょうね。 |
千: |
生前の人のすがたに変身する力は、 とおい祖先が手に入れたの。 アヤサト キョウコさま っていうんだけど。 |
成: | ‥‥その名前、聞きました。 |
千: |
アヤサトはもともと、神に仕える 血筋の家だったの。 キョウコさまは、生まれた ときから”さだめ”があった。 ”神のもとに供えられる子” という”さだめ”。 彼女の魂は、今もツボに 封じこめられているの。 ろうかにかざってあったでしょ? 彼女の名前が書かれているわ。 |
成: | はあ‥‥。 |
千: |
そんなカオしないで。 ‥‥おとぎ話よ。 |
成: |
(千尋さんだって、 おとぎ話みたいだよな‥‥) |
千: |
‥‥なるほどくん。 私が、だれかの情報をかくしている ‥‥そう思っているんでしょう? |
成: | ‥‥そうです。 |
千: |
聞かせて。私は、だれのことを かくしているのかしら? |
成: |
もちろん、キミ子さんですよ。 ‥‥千尋さんがかばおうとする 人物は、他にいません。 |
千: |
‥‥ミゴトね。でも‥‥ おばさまは犯行の時間、 あなたといっしょにいたのよ。 これ以上たしかなアリバイはない。 |
成: | そうですね‥‥。 |
千: |
それならば、見せて。 おばさまがアヤシイという証拠を。 |
成: |
そのコンキョは‥‥ この黒いカギです。 |
千: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
このカギは、霊媒が始まるまで、 真宵ちゃんが持っていました。 それがいつのまにか、庭の 焼却炉に移動していた。 |
千: | ‥‥たしかにそうね。 |
成: |
警察を呼びに行ってるあいだに、 それができたのは、1人だけ。 真宵ちゃんを介抱していた キミ子さんです。 |
千: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: | どうですか? |
千: | ‥‥それだけでは弱いわね。 |
成: | え‥‥? |
千: |
そのカギはいつ、 あの焼却炉に移動したのかしら? もしかしたら、事件が起こった ずっと後かもしれない。 |
成: | ずっと‥‥後? |
千: |
落ちていたカギをだれかが拾って、 焼却炉に捨てたのかもしれないわ。 |
成: | ‥‥そんな‥‥。 |
千: |
少なくとも、あの検事なら それぐらいは切り返してくるはず。 そのカギの他に、ないかしら? キミ子さんを示す証拠は? |
成: |
キミ子さんを指し示す もう1つの証拠は、これです。 |
千: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
これも、わたりろうかの 焼却炉から見つかりました。 真宵ちゃんの装束と同じモノです。 ‥‥そして、少し血がついている。 |
千: |
でも、真宵のものとは かぎらないんじゃないかしら? |
成: |
真宵ちゃんはこう言ってました。 『霊媒中、カギは たもとに入れておいた』 ‥‥そのカギが、この布きれと いっしょに焼却炉から見つかった。 ということは、この布きれは、 真宵ちゃんの装束なんです。 |
千: |
でも‥‥逮捕されたとき、 真宵はちゃんと装束を着ていたわ。 |
成: | 着せ替えられたんです。 |
千: |
着せ替え‥‥。 いったい、なぜ? |
成: |
それはわかりません。 でも‥‥それができた人物は、 たった1人です。 |
千: |
真宵を介抱していた人物‥‥。 おばさま、というわけ。 |
千: | ‥‥ミゴトね。なるほどくん‥‥。 |
成: | ありがとうございます。 |
千: |
その2つの証拠があるかぎり、 おばさまは疑わしくなるわ。 ‥‥でも。 |
成: | で、でも‥‥? |
千: |
最初にも言ったとおり、 おばさまにはアリバイがあるわ。 |
成: |
ええ‥‥。キミ子さん、ぼくたちと いっしょにいましたからね。 |
千: |
最後に聞かせて。 ‥‥確証はなくてもいいわ。 おばさまが犯人だというのなら、 その犯行の方法を教えて。 |
成: | 犯行の方法‥‥ |
千: |
あなたの考えを聞きたいの。 おばさまが、霧崎先生を殺害する ために必要だったのは‥‥? |
成: |
‥‥葉中 のどか。 彼女こそ、最後の答えです。 |
千: |
つまり、おばさまと のどかさんは‥‥? |
成: | 共犯だったんですね! |
千: |
‥‥ずっと気になっていたわ。 この犯行は、ふつうの人には 絶対にムリ。 綾里屋敷のことや、倉院の里の しきたりを知っていなければ、ね。 |
成: |
‥‥でも、キミ子さんには アリバイがあった‥‥。 |
千: |
そう。だから、どうやったのか わからなかったわ。 のどかさんのことを 知るまでは‥‥。 |
成: |
でも‥‥1つだけ、 大きな問題がありますよ。 |
千: | ‥‥問題? 何かしら? |
成: |
動機です。 なぜキミ子さんが、霧崎先生を 殺害しなくちゃならないんですか? それも、のどかさんと 協力してまで‥‥。 |
千: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(‥‥千尋さんも、 わかっていないのか‥‥) |
千: |
‥‥1つだけあるわ。 可能性が。 |
成: | え! |
千: |
あなたも考えてみて。 おばさまがなぜ、 こんな事件を起こしたのか? しかも、こんな 手のこんだ方法を使って。 |
成: | ‥‥それは‥‥? |
千: |
そのカギは‥‥、 母がにぎってるわ。 |
成: |
‥‥おかあさん? ぼくのですか? |
千: |
何をバカなこと言ってるの。 私の母よ。‥‥綾里 舞子。 |
成: |
(千尋さんと真宵ちゃんの おかあさん‥‥?) |
千: |
‥‥さあ。 ついに、すべての手がかりが そろったわ。 ‥‥あとは、勝つだけ。 明日、すべてがあきらかになるわ。 |
成: |
は‥‥はい! よろしくおねがいします! |