成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
綾里 春美…黄緑 | |
綾里 キミ子…灰 | |
霧崎 哲郎…紺 | |
葉中 のどか…紫 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
堀田(自称)…黄 |
地方裁判所 被告人第3控え室 | |
真: | ‥‥あのさ。なるほどくん。 |
成: | ん? |
真: |
あの子‥‥2代目狩魔検事、 18才なんだって。知ってた? |
成: |
あ、そうなんだ。 ‥‥それがどうかした? |
真: |
すごいな、って思って。 今までアメリカで、たったひとりで がんばってきたんだよ。 |
成: |
‥‥うーん。きっと、すごい プレッシャーがあっただろうね。 |
真: |
‥‥それにひきかえ、 あたしときたら。 家元のムスメなのに、 なんか中途ハンパ。 おまけに、何かといえばハンニン あつかいでタイホされちゃうし。 |
成: |
(うーん‥‥じゅうぶんスゴいと 思うけどな、真宵ちゃんも‥‥) |
春: |
おはようございます! 今日もお2人、なかよしですね。 ‥‥わたくし、うれしいです。 |
真: |
あ、はみちゃん! おはよう。 |
春: |
真宵さま、 もう安心ですからね! |
真: | ‥‥え? |
春: |
今日は、おかあさまが 味方になってくれますから! |
真: | う‥‥うん。そうだよね! |
成: | ‥‥春美ちゃん。 |
春: |
‥‥? なんですか、なるほどくん。 |
成: |
あのさ。今日も 呼んでくれないかな? 千尋さん。 |
春: |
え? ‥‥できればわたくし、 お席のほうで裁判の見学を‥‥ |
成: |
‥‥たのむよ。 自信がないんだ、ぼくだけじゃ。 |
春: |
もう。ダメですよ、なるほどくん。 愛しいヒトの前で 殿方が弱音を吐いてしまっては。 |
真: |
は、はみちゃん! ま、またそんなコト‥‥。 |
成: |
おねがいできるかな? 春美ちゃん。 |
春: |
‥‥ふふ。いいですよ。 真宵さまのためですから。 ‥‥じゃあわたくし、 したくしてきますね! |
成: | ‥‥これで、よし。 |
真: | なるほどくん‥‥? |
成: |
‥‥これで春美ちゃんは、 今日の裁判を聞くことはできない。 |
真: | ‥‥ど、どういうこと‥‥? |
地方裁判所 第2法廷 | |
裁: |
これより、綾里 真宵の法廷を 開廷します。 |
成: | 弁護側、準備完了しております。 |
冥: |
‥‥そんなコトは どうでもよろしい。 成歩堂 龍一。 今夜のニュースが楽しみね。 全世界に流れるわ。 ‥‥あなたの敗北するすがたが! |
千: |
全世界‥‥。有名になった ものね、なるほどくん。 |
冥: |
‥‥バカな服を着たバカに ふさわしいバカなカンちがいね。 有名なのは、この私。 13才から5年間、 無敗の天才なのよ。 その私が、この国で初勝利する。 全世界が注目しているわ! |
千: |
それはそれは‥‥。 おキノドクにね。 |
冥: |
‥‥フン。イセイのいい お姉さんだこと。 |
成: |
(うう‥‥オンナの戦いは コワいな‥‥) |
裁: |
‥‥さて。きのうの法廷で、 ある可能性が示されました。 |
冥: |
‥‥被告人が、”対面の間”から 出たかもしれないという可能性。 |
裁: |
まさしく。このカギが、 その証拠です。 ”対面の間”にあるはずのカギが、 他の場所から見つかりました。 |
冥: |
‥‥裁判長。最初に1つ、 言っておくことがあるの。 |
裁: |
ほ、ほう‥‥。 なんでしょうか。 |
冥: |
事件発生から逮捕までのあいだ、 被告人は一度、あの部屋を出た‥‥ 検察側は、それを ジジツとして認めるわ。 |
成: | な‥‥なんだって! |
裁: |
しかし‥‥狩魔検事! では、この写真は どう説明するつもりですか? この人物も、 被告ではなかった、と‥‥? |
冥: |
‥‥私は被告が 無実だとは言っていない。 |
裁: | で、ではいったいどういう‥‥? |
冥: |
綾里 真宵は被害者を殺害後、 あの部屋から出たのよ。 カギは、そのとき落とした と考えられるわ。 |
裁: |
‥‥それを 立証できるのですか? |
冥: |
そのために私はここにいる。 証人として、被告人のおば、 綾里 キミ子を入廷させるわ。 |
千: | ‥‥やっぱり、おばさまが‥‥ |
成: | (千尋さんもツラそうだ‥‥) |
冥: | 証人。‥‥名前と職業を。 |
キ: |
綾里 キミ子と申します。 職業は、霊媒を少々‥‥ |
裁: |
し、シツレイですが、 ナニを少々ですって‥‥? きゃん! |
冥: |
‥‥そんなコトは どうでもよろしい。 事件があったとき、証人は 被告の介抱をしたわね? |
キ: |
‥‥そうでござあますわね。 真宵さまに除霊の術を ほどこしたのでござあます。 |
裁: | じょ、じょれいのじゅつ‥‥? |
キ: |
体内に宿った霊を、冥界に おくる術でござあますが、何か? |
裁: |
な、”ナニか?”ってあなた‥‥ むふっ! |
冥: |
あなたはダマってなさいな。 ‥‥それで、証人。 除霊の術をほどこしたときに、 何かあったんでしょ? |
キ: | ‥‥はい。 |
成: | い、いったい、何が‥‥? |
キ: |
お逃げになったのです。 ‥‥真宵さまが。 |
裁: | なんですって! |
冥: |
そのとおり! 綾里 真宵は、霊が宿ったまま ”対面の間”から消えた! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! 証人! そのときのことを 証言してください! |
キ: |
‥‥おおせのままに いたしましょう。 |
千: |
いきなり 盛り上がってきたわね‥‥。 |
キ: |
『銃声が聞こえて、おふたりが 扉をこわして現場に入られました。』(証言1) 『アタクシ、成歩堂さんたちに警察を 呼ぶようおねがいしました。』(証言2) 『真宵さまはピストルをぶら下げて 放心しておられたのですが‥‥』(証言3) 『いきなりアタクシをつきとばして、 部屋を出てしまわれたのです。』(証言4) 『すごいイキオイで首スジを たたかれて、少し気絶して‥‥』(証言5) 『真宵さまがどこへ行かれたかは、 存じません。』(証言6) |
成: |
どうして、今まで かくしていたんですか! |
キ: |
真宵さまに‥‥ごメイワクを かけたくなかったのでござあます。 しかし‥‥アヤマチは ただされなくてはなりません。 |
冥: |
‥‥そのとおり。 ただされることね、成歩堂 龍一。 |
成: | (なんでぼくなんだよ‥‥) |
裁: |
では、弁護人。 尋問をおねがいします。 |
千: |
‥‥おばさまは、とても アタマのいい人よ。 つけいるスキを 作ってくれるかしらね‥‥ |
成: | ”おふたり”というのは‥‥ |
キ: |
ああたと、あの外国人の 女のかたでござあますわね。 |
成: |
‥‥ナツミさんは ニッポン人ですけど‥‥。 |
キ: |
そうなのでござあますか。 見苦しい身なりに 聞き苦しい日本語でしたので、 アタクシはてっきり‥‥ |
成: |
(‥‥関西の黒人ふうの ヒトたちに怒られるぞ‥‥) |
キ: |
とにかく、ドアの修理代は 事務所に請求いたしましたので。 |
成: | そ、それはどうも。 |
裁: |
ふむう‥‥それから、 証人はどうしましたか? |
成: |
電話をかけるだけなのに、 なぜ2人を行かせたのですか? 逃げられる可能性があったのなら、 どちらかを残すべきでした! |
裁: |
‥‥ふむう‥‥ たしかに、そのとおりですな。 |
キ: |
あのときはアタクシも 動転しておりました。 それに、あの。 なんと言いますか‥‥。 |
裁: | なんですか? |
キ: |
‥‥いえ。 それだけでござあます。 |
成: |
(‥‥少しワザとらしく 口ごもったみたいだけど‥‥) |
成: |
何か、他にも 理由があったんですね! |
キ: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
証言してください。なぜ、 ぼくたちを追い払ったんですか! |
キ: |
‥‥あの医者の他に、ギセイ者を 出したくありませんでしたの。 |
成: | ‥‥‥‥! |
キ: |
”ああたや、あのカメラマンの 命も危ないかもしれない”‥‥ ‥‥そう考えたのでござあます。 |
裁: |
ふむう‥‥さすが、 おエラいココロがけですな。 |
成: |
(まずいな‥‥悪い印象を 与えちまった) |
千: |
ワナだったみたいね。 ‥‥さすが、おばさまだわ。 |
裁: |
‥‥もう、じゅうぶんでしょう。 証人。つづきをおねがいします。 |
成: |
あなたは、あのとき たしか、こう言ってました。 『すぐに被告人に当て身をして、 気絶させた』‥‥と。 |
キ: |
あれは‥‥ ウソでござあました。 |
成: |
‥‥! ど、どうしてそんなウソを! |
キ: |
‥‥アタクシの口からは申し上げ にくいのでござあますが‥‥。 |
冥: |
‥‥証人は、被告人を かばうため、ウソをついたのよ。 |
成: | (真宵ちゃんを‥‥かばうため?) |
成: |
”被告をかばう”‥‥ それは、どういう意味ですか! |
キ: |
‥‥そうでござあますわねえ。 あとで知ったのでござあますが、 逃げた真宵さまは、 とんでもないことをなさって‥‥ |
裁: |
と、”とんでもないこと”! それはいったい‥‥ ふひっ! |
冥: |
この証人は、それを 目撃しているわけではない。 ”とんでもないこと”については、 のちほど説明するわ。 |
裁: | は‥‥はい。わかりました。 |
成: |
(うう‥‥ イヤな予感がするなあ‥‥) |
冥: |
じゃあ、証人。何があったか、 証言をつづけて。 |
成: |
アッサリ、逃げられて しまったんですか? |
キ: |
‥‥ええ。メンボクない 話でござあますわね。 |
成: |
あなたは、被告よりも 体格がいい。 そうカンタンに 逃げられるとは‥‥ |
冥: |
お忘れみたいね‥‥成歩堂 龍一。 この写真をごらんなさい。 そのとき被告人は、”綾里 真宵” ではなかったのよ! |
成: | ‥‥うぐっ! |
裁: |
うむむ‥‥。年寄りには ややこしい話ですなあ。 |
キ: |
おそらく、あの看護婦は生前、 カラテでもやっていたのでしょう。 |
成: |
‥‥でも! 逃げられたのなら、 すぐに追うべきだった! |
キ: |
ええ。たしかに そのとおりでござあましたが‥‥ |
成: | ‥‥キゼツ、ですか? |
キ: |
目の前がクラクラっとして ‥‥倒れてしまいましたの。 |
裁: |
気絶されていた時間は どのぐらいでしたか? |
キ: |
さあ‥‥。たぶん、10分ぐらいの ことでござあましょう。 |
裁: |
ふむう‥‥。 被告人はそのあいだ、どこへ行って いたのでしょうねえ‥‥。 |
冥: |
いかが? 証人。 ‥‥その点については。 |
成: | 気絶していたから、ですか? |
キ: | ‥‥さようでござあます。 |
成: | (‥‥どうしよう‥‥?) |
成: |
気絶していたのなら、被告の行動は まったくわからないんですね? |
キ: | もちろんでござあます。 |
成: |
それなら、被告が”対面の間”から 出ていったかどうか‥‥、 あなたにはわからないはずです! |
裁: |
言われてみれば ‥‥そのとおりです! |
冥: |
‥‥たしかに、この証人には 知りようがない。 ”この証人には”‥‥ね。 |
成: | ど、どういうことですか! |
千: |
‥‥他の証人がいる。 そういうことでしょうね。 どうやら、あの検事さんは 次の証人を用意してるみたい。 |
裁: |
そこまで! ‥‥どうやら、証言には 問題ないようです。 綾里 真宵を現場から逃がして しまった事情は、わかりました。 |
成: |
(ううん‥‥ これでよかったのかな‥‥) |
冥: |
‥‥じゃあ、 次のステップに進むわ。 ”現場から消えた被告が、 どこへ向かったか‥‥?” |
裁: |
そ‥‥そうですね。 やはり、気になるのは‥‥ かはっ! |
冥: |
‥‥口を挟まない。 逃げだした被告は、 ある人物と会話をしていたのよ! |
成: | か‥‥会話だって! |
裁: |
そ‥‥その人物とは、 いったいだれですか! |
冥: |
事件当日、<<控えの間>>にいた 葉中 のどかを入廷させなさい。 |
成: | の、のどかさん‥‥? |
千: |
‥‥どうやら 話が見えてきたわね‥‥。 |
冥: | 証人。名前と職業を。 |
葉: |
ええとお、お名前はあ‥‥ 葉中 のどかでえす。 あのお、大学でえ、超心理学を 研究していまあす。 |
裁: | ちょうしんりがく? |
葉: |
ええとお‥‥オカルトですねえ、 ひらたく言えば。 |
裁: |
ひらたく言われても リカイできません。 |
冥: |
ウチに帰って 自分で調べなさい。 |
裁: | は。 |
冥: |
‥‥さて、証人。 あなたは事件直後、 被告人・綾里 真宵と対面した。 ‥‥まちがいないかしら? |
葉: |
そうですねえ‥‥。 ええっとお‥‥ |
冥: |
まちがいない、と。 ‥‥じゃ、証言してもらうわ。 いいわね、裁判長。 |
裁: | は。 |
成: | (いいのか、裁判長!) |