成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
綾里 春美…黄緑 | |
綾里 キミ子…灰 | |
霧崎 哲郎…紺 | |
葉中 のどか…紫 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
堀田(自称)…黄 |
葉: |
『霊媒が始まったとき、私、 ”控えの間”で寝ていましたあ。』(証言1) 『しばらくしたら、急にだれかが 部屋に入ってきたんですう。』(証言2) 『‥‥それは‥‥ お、お姉さんだったんです!』(証言3) 『私、なつかしくってえ‥‥、 うれしかったんですう。でも。』(証言4) 『お姉さん‥‥私に、 おそろしいことを話したんです。』(証言5) |
裁: |
ちょちょ、ちょっと待ちなさい! 部屋に”お姉さんが入ってきた”? 被告人‥‥”綾里 真宵”の まちがいではないのですか? |
冥: |
いいかげん、認めるの ‥‥裁判長。 綾里 真宵はそのとき、 霊媒中だったのよ。 |
裁: |
その霊が‥‥この証人の お姉さんだった、というのですか! |
冥: |
‥‥葉中 未実。霧崎医師の 病院で、看護婦をしていたわ。 |
裁: | な‥‥なんとまあ‥‥ |
冥: | 証人。 |
葉: | はあい。 |
冥: |
あなたは”おそろしいこと”を 聞いたと証言した。 いったいそれは、 どんなことだったのか‥‥? 私たちに教えて。 |
葉: |
‥‥あのお‥‥どうしても、 言わなくちゃダメですかあ? |
冥: | ダメ。 |
裁: |
‥‥証人。 おねがいします。 |
葉: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ お姉さん‥‥私に、 こんなことを言ったんですう。 |
あれは‥‥事故じゃなかったわ あたしは‥‥殺されたのよ ‥‥アイツに‥‥ ‥‥だから‥‥復讐してやった‥‥ 当然でしょ? のどか‥‥ | |
裁: |
”復讐してやった”‥‥ まちがいなく、 そう言ったんですか? |
葉: | はあい‥‥。 |
冥: | いかが? 裁判長。 |
裁: |
‥‥私には、信じられません。 霊媒師にとりついた霊が、自分を 殺した人物に復讐するなんて‥‥ |
冥: |
たしかに、信じがたいわ。 しかし、すべての証拠や証言は、 それが事実だったと叫んでいる! ‥‥以上。 |
裁: |
‥‥どう思いますか? 弁護人。 たしかに、尋問の余地は ないと思いますが‥‥。 |
成: |
(これが‥‥ 今の証言がすべて、 作り話だっていうのか‥‥?) |
千: | 当然でしょ、なるほどくん。 |
成: | ‥‥千尋さん! |
千: |
よくできた作り話。‥‥でも、 それ以上のものではない。 たたきつぶしてやりましょう。 ‥‥こんな証言。 できるはずでしょ。 ‥‥私たちなら! |
成: |
‥‥裁判長! 弁護側の 尋問を聞いてください。 それで、すべてを 明らかにして見せます! |
冥: |
バカのバカによるバカのための バカさわぎ‥‥ ‥‥せいぜい、楽しませて もらおうかしら‥‥。 |
成: | ‥‥なつかしかった? |
葉: |
ええ。だってえ、 お姉さんですからねえ。 |
成: |
ふつう、おどろきませんか? 亡くなったお姉さんが現れたら。 |
葉: |
うーん。シロートさんなら そうかもしれませんねえ。 でも私、倉院流霊媒道のコト、 知ってましたからあ。 |
冥: |
とにかく証人は、すぐにそれが ”姉”だとわかったわけね。 |
葉: | そうですう‥‥。 |
成: |
(この証言‥‥ どうなんだろう‥‥?) |
成: |
まったく”おかしい”と 思わなかったんですか? |
葉: |
ええ。 ‥‥だってえ、アヤシイって思う 理由がありませんでしたからあ。 |
成: |
しかし‥‥ あいた! |
冥: | 同じコトを聞かない。 |
成: |
‥‥そういうときは”異議あり” って言いましょうよ‥‥ |
裁: |
ふむう‥‥成歩堂くん。 ”証人がお姉さんを見たとき、 どう思ったか?”‥‥ ‥‥それが、 そんなに重要なのですか? |
成: |
もちろん、重要です! (ナニが重要かわからないけど ここは、ハッタリをカマすべき フンイキと見た‥‥!) |
裁: |
‥‥わかりました。 証人は、証言を変えてください。 |
葉: |
はあい。 いいですけどお、べつにい。 『こわくはなかったです。装束にも あやしいところはなかったし。』(証言・補足) |
成: |
‥‥のどかさん。 よく考えたウソでしたね。 |
葉: | ‥‥! |
冥: |
な‥‥何を言い出すの! 成歩堂 龍一! |
成: |
よくできた作り話です。 でも‥‥それ以上ではない。 |
千: | それ‥‥私のセリフじゃない。 |
成: |
‥‥いいですか、のどかさん。 あなたは、こう証言しました。 ”お姉さんのすがたを見たとき、 特にあやしいと思わなかった” |
葉: | そ、そうですけどお‥‥? |
成: |
それはあり得ないんです! ‥‥この写真を見てください。 ‥‥あなたが会った ”お姉さん”の写真です。 この人物が目の前に現れたら‥‥ とりあえずビックリするでしょう! |
冥: | ‥‥返り血‥‥ |
成: |
のどかさん! どうしてあなたは、返り血の ことを証言しなかったのですか! 本来ならば、まっさきに 証言されるはずです! |
葉: | ‥‥ううぅっ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! ‥‥証人、どうなんですか? |
葉: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: | ‥‥証人? |
葉: |
今、考えてるでしょ! 話しかけないで! |
裁: |
‥‥あ、そ、その‥‥ へひッ! |
冥: |
‥‥裁判長がウロタエて どうするの‥‥ |
裁: |
え、あ、あ。 そ、そうでした‥‥。 |
千: |
‥‥あの証人‥‥ 急に性格が変わるのね。 |
成: |
証言台に立つと そういう人、多いですよ。 |
千: | ‥‥‥‥‥‥‥ |
冥: |
証人。‥‥まずは、 落ちつきなさい。 |
葉: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ すみませえん。私、 カッとなっちゃうタチでえ‥‥。 |
冥: |
‥‥では。 証言をつづけなさい。 |
裁: | おね、おねがいします‥‥。 |
成: |
(裁判長‥‥ まだビビってるぞ) |
葉: |
『”控えの間”って、ちょっと 暗かったんですよお。』(証言1) 『あの装束、ムラサキだったし、 血が見えなかったんですう。』(証言2) 『私、お姉さんを説得したんですう。 こんなことしちゃダメ、って。』(証言3) 『そして‥‥”対面の間”へ、 お姉さんをつれて行きましたあ。』(証言4) |
裁: |
ふむう‥‥ なるほど、わかりました。 血に気がつかなかった理由も ハッキリしましたな。 |
葉: |
そうでしょお? ありがとうございまあす。 |
裁: | いかがですか、弁護人。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
ナットクできない、と。 わかりました。 尋問をおねがいします。 |
成: |
お姉さん‥‥葉中 未実さんの 反応はどうでしたか? |
葉: |
霧崎先生を撃っちゃって、 スゴくコーフンしてましたケド‥‥ わかってくれたみたいです。 申しわけないコトをした、って。 私といっしょに、キミ子さんに あやまりに行こう、って。 |
成: |
そんなコトを言ったんですか? 未実さんの霊が‥‥。 |
葉: | そうなんですよお‥‥。 |
成: |
そのとき、 お姉さんはおとなしく‥‥? |
葉: |
そうですねえ‥‥。 たぶん、霧崎先生に復讐して、 スッキリしたんじゃないですかあ? |
冥: |
私も早くスッキリしたいものね。 ‥‥成歩堂 龍一。 |
成: |
(ムチをかまえて 言われてもなあ‥‥) |
葉: |
”対面の間”には、キミ子さん しかいませんでしたあ。 |
成: |
‥‥もう1つ、いいですか? のどかさん。 |
葉: | なんですかあ? |
成: |
何か、変わったことは ありませんでしたか? |
葉: |
変わったコト‥‥? あの、いつですかあ? |
成: | い、いつ、って‥‥ |
成: |
もちろん、”対面の間”に 向かう途中ですよ! |
葉: |
そうですねえ‥‥ 特にありませんでしたよお。 |
成: |
(あっさりかわされた‥‥ どうしよう‥‥) |
成: | よく思い出してください! |
葉: | よく思い出せませえん。 |
成: |
そうはいきません! ここはハッキリさせておきたい! |
裁: |
‥‥ふむう‥‥ 証人がお姉さんをつれて行く途中、 変わったことがなかった‥‥。 それが、重要なことなのですか? |
成: |
重要だから聞いてるんですよ! (‥‥というか、ここまで来て アトにはひけない!) |
裁: |
‥‥わかりました。 では、証人。今の発言を、 証言に追加してください。 |
葉: |
別に、かまいませんけどお‥‥。 『”対面の間”へ行く途中は、 だれにも会いませんでしたあ。』(証言・補足) |
成: |
のどかさん。ついに‥‥ 決定的なボロを出しましたね。 |
葉: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: | このツボを見てください。 |
葉: | ツボ‥‥? |
成: |
ヒビが入っています。 ‥‥気がつきませんでしたか? |
葉: |
‥‥そ、 それがどうしたんですかあ? |
冥: |
そんなみすぼらしいツボ、 どうでもいいわ! |
葉: |
そうですよお。 私、現場に行く途中、だれにも 会わなかったって言っただけです。 ツボのコトなんて、 何も言ってませんよお? |
成: |
‥‥どうやら、まだ わからないようですね。 もし本当にあの時間、 わたりろうかを通ったのなら、 あなたはこの人物を 見ていなければおかしい! |
成: |
‥‥ご紹介しましょう。 キミ子さんのムスメさん、 春美ちゃんです。 |
裁: | そ‥‥その子が、何か‥‥? |
成: |
霊媒が始まったころ、春美ちゃんは 庭であそんでいました。 |
裁: | ほお‥‥ |
成: |
そして‥‥割ってしまったんです。 このツボを、ね。 |
裁: |
ほお‥‥ ひぐッ! |
冥: |
ちょ、ちょっと待ちなさい! ‥‥ツボを‥‥割った? |
成: |
そのとおり! マリをぶつけてね! |
葉: | う‥‥ッ! |
成: |
そして、春美ちゃんは そいつを修理していたんですよ。 ‥‥わたりろうかに座りこんで! |
葉: | なんですってェェェェッ! |
成: | のどかさん‥‥。 |
葉: | ‥‥! |
成: |
春美ちゃんは、あの時間、 わたりろうかにいたんですよ。 ツボのカケラをろうか中に ぶちまけて、ね。 それを見落とすことは ゼッタイ、不可能です! |
葉: | ぐ‥‥ぐぐッ‥‥ |
成: |
つまり、のどかさん。 ‥‥これで証明されたわけです。 あなたは、大ウソつきだ! |
葉: | ぐぐううウッ! |
裁: |
弁護人! 口をつつしみなさい! |
成: |
口をつつしむのは そこの証人です! さあ、のどかさん! 教えてもらいましょうか! |
葉: | な、何を‥‥! |
成: |
決まっているでしょう! 事件があったとき、あなたが 本当はどこにいたのか! |
冥: |
それはすでに 証言されているはずよ! |
葉: |
そ、そうよ! 私は、”控えの間”で 寝ていた、って‥‥ |
成: |
(‥‥”控えの間”で寝ていた! 本当にそうなのか‥‥?) |
成: | そんな主張は、もう通らない! |
葉: | ど‥‥どういうコトよ! |
成: |
証人は、事件のあいだ ずっと”控えの間”で寝ていた‥‥ それはあり得ない。 ‥‥ムジュンしています! |
裁: |
ムジュン‥‥! いったい、 何とムジュンしているんですか! |
成: |
‥‥さっきの尋問で、のどかさんは こんな証言をしました。 |
葉: |
『”対面の間”には、キミ子さん しかいませんでしたあ。』 |
成: |
‥‥たしかにあのとき、 ナツミさんとぼくは、いなかった。 警察へ通報しに 行ってましたからね。 |
葉: |
‥‥そ、それが なんだって言うのよ! |
成: |
‥‥カンタンなことです。 どうしてそれを あなたが知っているんですか? |
葉: | ‥‥ど、”どうして”‥‥? |
成: |
たしかに”対面の間”には キミ子さんしかいませんでした。 しかし、その情報は”控えの間”に 寝ていては、知ることはできない! |
葉: | ‥‥‥‥ッ! |
成: |
つまり、のどかさん! あなたは、”対面の間”に 行ったことになる! それも、 わたりろうかを通らずに! |
葉: | ぐはああァァッ‥‥ッ! |
裁: |
し‥‥しかし! お屋敷の上面図を見てください! ”控えの間”から”対面の間”へ 行くためには、 わたりろうかを通るしか ありません! |
成: |
‥‥そのとおりです。 だからこそ‥‥ だからこそ、聞いているんです! 事件当時、 証人はどこにいたのか、と! |
葉: | ‥‥く‥‥くッ! |
成: | のどかさん! 答えてください! |
冥: |
‥‥‥‥‥‥ コンキョのない推理で 尋問をしないでほしいわね‥‥ |
成: | ‥‥! |
冥: |
そこまで言うのなら ‥‥成歩堂 龍一! あなたの考えを言いなさい! ”事件があったとき、 証人がどこにいたのか”! |
千: | チャンスよ! なるほどくん。 |
成: | はい! |
千: |
霧崎先生を殺害できたのは 葉中 のどかしかいない! ‥‥今こそ、 それを証明してやりましょうッ! |
裁: |
では、弁護人。あなたの 考えを示してください。 事件が発生したとき、 証人はどこにいたのか‥‥? |
成: |
もちろん、のどかさんは ここにいたんですよ。 |
裁: |
な! そ‥‥そこは ”対面の間”‥‥ |
冥: | ‥‥事件のあった現場じゃないッ! |
成: |
そのとおり! のどかさんは 殺人現場にいたんです! |