成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
綾里 春美…黄緑 | |
綾里 キミ子…灰 | |
霧崎 哲郎…紺 | |
葉中 のどか…紫 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
堀田(自称)…黄 |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! ‥‥なんともその、あー、ええ‥‥ はむッ! |
冥: |
ナニを言うの、成歩堂 龍一! きのうの証言を思い出しなさい! 霊媒が始まったとき、あの部屋には 被告と被害者しかいなかったはず! |
裁: |
そう! それです! ‥‥どうなんですか弁護人! |
成: |
もちろん、のどかさんは かくれていたんです。現場に。 |
葉: |
あたしが‥‥ かくれていたですって! どこに! 現場のどこに かくれるところがあったのよッ! |
成: | それは、もちろんここです。 |
裁: |
ビョウブの‥‥ウラ、ですか‥‥ はふッ! |
冥: |
何度も言わせないで! きのうの証言を思い出しなさい! |
ナ: |
『ビョウブのウラ、ヒトなんか おらんかったハズやで!』 |
葉: |
ほら見なさい! バカじゃないの、アホ! アセってソンしたじゃない! |
裁: |
‥‥ま、まあまあ、証人。 ワカい女性がそんな‥‥ |
葉: |
ナニよ! イイ年して、 アンタがキチンとしろっての! |
裁: | ス、スミマセン! |
成: |
(もうゲンカイだな。 そろそろキメてやるか‥‥) 証人は、ビョウブのウラに かくれていた。‥‥これを使って! |
成: |
のどかさん! あなたが、どうやって 現場にかくれていたか‥‥ カンタンなコトです。 ‥‥この中に入っていた! |
葉: |
うう‥‥ッ! ‥‥そそ、そ、そんな小さなハコ、 ヒトなんか入れない‥‥ |
成: |
ザンネンながら、 すでにもう実験してあります! (ナツミさんが 入れるのはわかってるからな) |
葉: | う‥‥ッ! |
冥: |
その衣装ばこはたしか、 ”控えの間”にあったものでしょ! この事件とは関係ないわ! |
葉: |
‥‥そうよ! あそこで 寝てたから、私、知ってるわ。 衣装ばこなら、ずっとあったわよ! ”控えの間”にね! |
裁: |
‥‥ふむう‥‥ 成歩堂くん、どうなんですか? 事件の際、その衣装ばこが どこにあったか、証明できますか? |
成: |
‥‥それでは、提示しましょう。 事件の際、衣装ばこが 殺人現場にあった、という証拠を! |
成: |
‥‥この衣装ばこを よく見てください。 |
葉: |
バカバカしい。そんなものに 証拠が残ってるわけが‥‥ |
裁: |
‥‥‥‥! こ、これは‥‥いったい‥‥! もふッ! |
冥: |
おどろいてるヒマがあったら さっさと言う! |
裁: |
あ‥‥穴があいています! 足もとから20cmの高さに! |
成: |
足もとから20cmの穴。 ‥‥聞いたことのあるデータです。 |
冥: |
‥‥ビョウブに‥‥ あいた穴と、同じ高さ! |
成: |
そのとおり! これで明らかでしょう! 発砲があったとき、衣装ばこは ビョウブの近くに置かれていた! そして‥‥ピストルの弾丸で つらぬかれたんです! ビョウブといっしょに! |
葉: | ‥‥むうウゥゥッ! |
成: |
のどかさん! あなたは、ビョウブのウラで チャンスを待っていた! ‥‥そう! 霧崎先生を 殺害するチャンスをッ! |
葉: | ‥‥うがあああっ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! ‥‥それはつまり、こ |
冥: |
じゃ、じゃあ‥‥成歩堂 龍一! この写真は! この写真の人物が‥‥ ‥‥葉中 のどかだと言うのッ! |
成: |
葉中 のどかだと言うのです! 葉中 のどかさん! あなたはこの衣装ばこの 中にかくれていた! 霊媒師の装束を着て‥‥ 綾里 真宵に変装していたのです! |
裁: | あ‥‥綾里 真宵に変装! |
成: |
はじめから 計画されていたんですよ。 霧崎先生を殺害して、 被告に罪を着せるところまで! |
葉: |
‥‥や‥‥やめて‥‥ も、もう‥‥ |
冥: |
‥‥ダマって聞いていれば バカなコトをぐだぐだと‥‥! それならば、成歩堂 龍一! あなたはこう主張するの! この証人が、現場に衣装ばこを 運びこみ、被告に変装して‥‥、 被害者を殺害したあと、 現場を脱出した、と! ‥‥たった1人でそんなコト、 不可能に決まってるでしょう! |
成: |
たしかに、不可能でしょう。 ‥‥犯行の準備を ひとりでするのは、ね。 いてててっ! |
冥: |
だから言ったでしょう! バカだからってヨウシャは‥‥ |
成: |
ちょ、ちょっと 待ってください! 狩魔検事。‥‥”ひとりではムリ” と言ったんですよ? |
冥: | な‥‥! ま、まさか‥‥ |
葉: | ‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥ |
成: |
のどかさん! ‥‥あなたには、 共犯者がいたんですよ! |
葉: | ‥‥ぐッ、このヒトは‥‥! |
成: |
倉院の里の人間でなければ、 霊媒師の装束を用意できない。 綾里屋敷の人間でなければ、 衣装ばこを用意できない‥‥ |
冥: | アヤサト‥‥キミ子! |
裁: | 先ほどの証人ではないですか! |
成: |
さあ、のどかさん! 何か言うことはありますか! |
葉: | ‥‥う‥‥ううう‥‥ |
成: |
あなたは、霧崎医師を撃った! ‥‥その手で! ちがいますかッ! |
葉: |
きゃああああああああああああああ ああああああああああああああっ! |
成: |
‥‥犯行は、おそらく こんな感じで進められました。 犯人は、あらかじめ 現場にひそんでおきます。 霊媒師の装束とカツラをつけて、 被告人に変装して‥‥。 やがて、霊媒が始まります。 目を閉じているふたりに、 犯人は足音を殺してしのびよる。 ‥‥まず、綾里 真宵を 強い睡眠薬で眠らせます。 そして‥‥霧崎先生を、 ナイフで刺した! 次に、衣装ばこの中に 被告人をかくす‥‥。 彼女と入れかわって、 罪を着せるためです。 |
千: |
‥‥しかし。そこで手ちがいが 起こった‥‥ |
裁: | 手ちがい‥‥? |
成: | そのとおり。 |
成: |
霧崎先生は、 まだ死んでいなかった! ‥‥最後の力をふりしぼって、 犯人に向かってピストルを撃った! だから、ビョウブの弾痕は 低い位置にあったのです! 犯人は霧崎先生から ピストルを奪いとって‥‥ |
裁: |
その直後、あなたたちが部屋に 踏みこんだわけですか‥‥ |
成: |
おそらく銃声は、計算外の ことだったはずです。 それを聞いて、ぼくたちは ”対面の間”に踏みこみました。 |
成: |
‥‥のどかさんは、とっさに 自分の装束に血をこすりつけて‥‥ |
成: | 綾里 真宵のフリをしたんです。 |
冥: |
で、でも! ‥‥そんなの、 すぐにバレるに決まってる! |
成: |
‥‥だから、キミ子さんが せかしたんですよ。 |
キ: |
『この場はアタクシに おまかせなさい。 ああたたちは、警察に電話を! 早くなさいッ! ‥‥ギセイ者がふえる前に。』 |
裁: |
な‥‥ なんということでしょう‥‥ |
成: | これが、この事件の真相です。 |
‥‥フッフッフッフッ‥‥ | |
裁: |
だ、だれですか! こんなときに、笑って‥‥ あひッ! |
冥: |
‥‥ケッサクな連中ね。 ホント、単純な生き物だわ。 |
成: | ど‥‥どういうことだ‥‥? |
裁: |
か‥‥狩魔検事‥‥ ま、まさか‥‥ |
冥: |
もちろん! 狩魔家の人間が、これぐらいの コトで負けを認めると思って? |
成: | ‥‥なんだとおぉぉォッ! |
冥: |
‥‥成歩堂 龍一! あなたの立証には、 重要な部分が欠けている! |
成: | そ、それは‥‥? |
冥: |
この証人が犯人だとしたら‥‥、 なぜ、そんなメンドウな コトをする必要があったの? |
成: | ‥‥え? |
冥: |
わざわざ霊媒師と手を組んで、 霊媒師に変装して、シバイして‥‥ そんなバカげたことをした 理由はなんなの? |
成: | え? そ、それは‥‥ |
葉: |
‥‥そ、そうよ! あたしが言いたかったのも、それ! |
冥: |
‥‥それに、もう1つ。 そもそも、葉中 のどかはなぜ、 霧崎医師を殺害したの? |
葉: |
そうよ! あたしも それを言いたかったのよ! ドーキよ、ドーキ! あたしにはないわ、そんなの! |
成: |
ど‥‥動機。それは‥‥ (ここで”ない”とは言えない! 今の時点で考えられる動機! 霧崎先生を殺害した理由は‥‥) あなたが霧崎先生を殺害した 理由は‥‥ッ! |
葉: |
‥‥ハッ! ‥‥予想どおり。 つまんない答えね、成歩堂 龍一。 |
成: |
(こいつまでぼくのことを フルネームで呼び始めたぞ‥‥) |
葉: | お姉さんの復讐‥‥ってワケ? |
成: |
そ、そうです! それに、あなた自身も、 あの事故で大ケガをしています! |
葉: |
‥‥バカバカしい! 霧崎が、お姉さんに睡眠薬を 盛った証拠なんて、ないのよ? それに、復讐したけりゃ さっさとやるわよ。 |
裁: | ど、どういうことですか‥‥? |
葉: |
ものわかりがワルいジイさんね。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ いいですかあ? 私が退院したのは、 もう半年も前ですよお。 復讐に燃えていたんなら、 半年もぼやぼやしてませえん。 ‥‥それに、霊媒のことを 思いついたのは霧崎自身ですよお。 私が相談されたのは、 グーゼンなんですからねえ。 |
成: |
(た、立ちなおられたか‥‥ッ!) し、しかしですね‥‥ あいた! |
冥: |
みっともないわよ ‥‥成歩堂 龍一。 あなたは、 立証にシッパイしたの。 ‥‥以上。 |
裁: |
どうやら、答えが出たようですな。 ‥‥成歩堂 龍一。 たしかに、この証人の言うことは もっともです。 復讐にしては計画がフクザツだし、 そもそも動機が見あたらない。 綾里 キミ子が、その犯行に 手を貸す理由すらありません。 そしてさらに決定的なのは‥‥ 証拠がない、ということです。 |
冥: |
ないないづくし、ってヤツね。 ‥‥あなたの立場もふくめて。 |
成: |
ぐはぁっッ‥‥! (な‥‥なんてこった! 追いつめたハズだったのに‥‥) |
葉: |
ふふ‥‥。だから 言ったでしょお、弁護士さん。 |
成: | ‥‥‥‥? |
葉: |
たたきのめしてあげちゃいます、 ‥‥ってぇ。 |
裁: |
‥‥それでは、この証人に対する 質問を終了します! |
千: |
‥‥裁判長。 1分だけ、時間をいただきます。 |
裁: | は。 |
千: |
負けちゃダメ、なるほどくん。 ‥‥自分を信じて。 |
成: | 千尋さん‥‥ |
千: |
たしかに、あの子の言うとおり。 これはムチャクチャな殺人計画よ。 ‥‥でもね。それでも彼女は、 この犯罪を実行したのよ。 |
成: |
‥‥ほ、本当に そうなんでしょうか‥‥? |
千: |
‥‥‥‥‥‥ いい? なるほどくん。 ものごとには、 かならず理由があるわ。 彼女は、霧崎先生を殺害しなければ ならない理由があったの。 そしてそのためには、この方法を とるしかなかったのよ。 |
裁: |
‥‥時間切れです。 成歩堂くん。 最後の答えを聞きましょう。 もしや、この証人の動機を 立証できると言うのですかな? なぜ、こんな方法で被害者を 殺害したのか、理由を言えますか? |
成: |
(‥‥このぼくに‥‥ できるのか‥‥?) |
成: |
(”できる””できない” ‥‥そんなことは問題じゃない) |
千: |
そう。あなたはもう‥‥ やるしかないの。 |
成: |
‥‥立証してみせます。 のどかさんの動機を‥‥! |
葉: |
ぶー。ザンネンでしたあ。 もう、おそいですぅ。 だってぇ。私の尋問、 もう終わっちゃいましたからあ。 きゃはッ! |
冥: |
‥‥おもしろい。 やってもらおうじゃない、 成歩堂 龍一。 |
葉: |
なな、ナニ言ってるのよ! アナタ、私の味方‥‥ きゃはッ! |
冥: |
‥‥狩魔はカンペキな勝利 のみを、ヨシとする‥‥。 戦う意志がなくなるまで、 何度でもたたきふせる! |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
冥: |
それをジャマするものは‥‥ たとえ私の証人でもユルさない。 |
葉: | そ‥‥そんな‥‥‥‥ |
裁: |
わかりました。 それではここで、5分間の 休憩をとりたいと思います。 証人に対する質問は、 それから再開しましょう。 |
葉: |
ちょ、ちょっと 待ちなさいよッ! |