成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
綾里 春美…黄緑 | |
綾里 キミ子…灰 | |
霧崎 哲郎…紺 | |
葉中 のどか…紫 | |
大沢木 ナツミ…橙 | |
堀田(自称)…黄 |
地方裁判所 被告人第3控え室 | |
真: |
‥‥やっぱり、ホントなの‥‥? おばさまのコト‥‥。 |
成: |
のどかさん1人で、霧崎先生を 殺害するのはムリだ。 条件に当てはまるのは‥‥ キミ子さんしかいない。 |
真: |
そんな‥‥ヒドいよ。 どうして、おばさまが‥‥? |
冥: |
‥‥予想どおりの しめっぽさね、成歩堂 龍一。 |
真: |
あっ! かるま検事! どういうコトですかッ! なるほどくんにフクシューなんて! あなたのお父さんのコトは、 なるほどくんのせいじゃ‥‥ |
冥: |
‥‥そんなコトより。 あなたは自分のシンパイを することね‥‥おじょうさん。 |
真: |
う。 ‥‥同い年なのに‥‥。 |
成: |
‥‥マンゾクか? ぼくを苦しめることができて。 |
冥: |
まだよ。 私の目的は、あなたを倒して、 それを全世界に知らしめるコト。 |
成: |
‥‥そんなことをしたって、 きみのお父さんは帰ってこないよ。 |
冥: |
‥‥‥‥‥‥ フッ‥‥まあ、いいわ。 とりあえず、この勝負に ケリをつけましょう。 そのとき、 すべてがアキラカになるわ! |
地方裁判所 第2法廷 | |
裁: |
では、審理を再開しましょう。 ‥‥成歩堂くん。 |
成: | はい。 |
裁: |
葉中 のどかの動機を 立証してくれるのでしたな? |
成: |
‥‥おまかせください。 (‥‥葉中 のどかと霧崎医師を むすんでいるポイントは1つ。 1年前の、交通事故。 そこに何かがあるはずだ‥‥) 証人。‥‥1年前の交通事故 について、証言してください。 |
葉: |
あれえ? 私の動機を 聞かせてくれるんですよねえ? そんなの、ヒトコトでスパッと 言えないんですかあ? |
裁: | 証人。おねがいします。 |
葉: |
‥‥ハイハイ。 ムダだと思いますけどお。 |
葉: |
『あれは‥‥、 1年前の5月のことでしたあ。』(証言1) 『お姉さんの病院は当時、 タイヘンなコトになっていて‥‥。』(証言2) 『その夜も、運転中のお姉さん、 つかれきっていましたあ。』(証言3) 『私もつい、 助手席で眠っちゃって‥‥』(証言4) 『スゴい衝撃で目がさめたら、 まわりはもう、火の海でぇ。』(証言5) 『ドアを開けて逃げるのが やっとでしたあ。』(証言6) |
裁: |
ふむう‥‥。その話なら 聞いたことがあります。 |
成: |
1年前のワイドショーで、 毎日さわがれていましたからね。 |
裁: |
たしか、霧崎医師が‥‥お姉さんに 睡眠薬を盛ったという‥‥ くひッ! |
冥: |
ただの”ウワサ”よ。 ‥‥コンキョなど、ない。 |
裁: |
ううう‥‥、弁護人。 尋問をおねがいします。 |
千: |
‥‥”霧崎先生が睡眠薬を 盛ったかどうか?”‥‥ ‥‥今さら、そんなことを 立証するのはムリよ。 |
成: |
ええ。‥‥別の方向から 攻めてみます。 |
成: | ”つかれきっていた”‥‥? |
葉: |
連日、警察の取り調べや取材が ありましたからねえ。 ‥‥ホント、ヒドい 状況だったんですよお。 |
成: |
じゃあ、交通事故を起こしても フシギではなかったわけですね。 |
成: |
どうして、かわって あげなかったんですか? |
葉: |
え‥‥。 な、何をですかあ? |
成: |
運転ですよ、ウンテン。 お姉さんがつかれていたのなら、 あなたがすればよかったのに。 |
裁: | それもそうですねえ。 |
葉: |
あ、でも、私‥‥ 免許、持ってませんからあ。 |
冥: |
証人は免許を持っていなかった。 ‥‥初耳ね、私も。 |
裁: |
そうですね。‥‥証人、 今の証言をつけ加えてください。 |
葉: |
はあい、わかりましたあ。 とにかく‥‥ 『私、免許を持ってないから、運転を かわってあげられなかったんです。』(証言・補足) |
成: |
‥‥のどかさん。 今のウソは、おそまつでしたね。 |
葉: | どういうこと‥‥ですかあ? |
成: |
あなたは免許を 持っていたはずです! これは、その免許証のために 撮った写真ですね! |
葉: | あッ‥‥ |
裁: |
‥‥証人! どういうことですか! |
葉: |
‥‥あ、あの‥‥ そ、そうですぅ。 た、たしかに私、 免許を持ってますけどお‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ でも、交付されたのは あの事故のあとなんですよお。 |
成: |
そんなはずはありません! あなたは、事故があったとき、 すでに免許を持っていた! 堀田院長‥‥らしきヒトが そう言ってました! |
葉: |
‥‥あの、すけべな ニセ院長のこと? |
成: |
そのすけべなニセ院長です。 しかし、すけべだからといって‥‥ あうっ! |
冥: |
‥‥そんなコトは どうでもよろしい。 証人。あなたの免許証が 発行されたのは、いつなの? |
葉: | 去年の11月ですぅ。 |
成: | え。‥‥11月‥‥? |
冥: |
交通事故があったのは5月。 ‥‥その半年後、ということね。 |
成: | どどどどど、どういうことだ! |
裁: |
そそそそそ、そういうことです 成歩堂くん! 事故があったとき、証人はまだ 免許を持っていなかった! |
成: |
うううう‥‥ いてェ! |
冥: | ‥‥泣きっツラにムチ。 |
裁: |
とにかく、免許がないのでは、 運転をかわれるワケがありません。 |
葉: |
わかってもらえれば いいんですけどお。 でも、たぶん私が免許を持って いたとしても、 運転させてもらえなかった と思いますけどねえ‥‥ |
成: |
(‥‥ふうん‥‥) わちゃッ! |
千: |
”ふうん”じゃないでしょ! なるほどくん! |
成: |
ちち、千尋さんまで ムチを‥‥ッ! |
千: |
証人! なぜ、運転させて もらえなかったと思うのですか? |
葉: | え? ええと‥‥それはぁ、 |
裁: |
ついでですから、証人。 そのことを証言してください。 |
葉: |
えー。めんどくさぁい。 よけいなコト、 言っちゃいましたねぇ‥‥。 |
葉: |
『あのころ、私、もうちょっとで 免許をもらえるところでしたぁ。』(証言1) 『お姉さん、クルマをものすごく ダイジにしてたんですう。』(証言2) 『とどいたばかりの新車でしたぁ。 まっ赤なスポーツカー。』(証言3) 『「新人ドライバーには運転させて あげないよ」‥‥って。』(証言4) 『だから、あの夜も、私、 助手席に乗ってましたぁ。』(証言5) |
裁: |
ふむう‥‥なるほど。 まっかなすぽーつかー、ですか。 ‥‥では、 尋問をおねがいします。 |
成: |
(ううん‥‥ クルマはニガテなんだよな‥‥) |
成: | 新車‥‥ですか。 |
葉: |
ええ。 とどいたばっかりだったんですよ。 ‥‥アメリカから。 |
裁: | は? ‥‥あめりか‥‥ |
葉: |
しかも、特別限定モデルだった んですよお。 とどくまで、1年ぐらい 待ってたんですからねえ。 |
成: |
(クルマ好きには たまらない話題なんだろうな) |
成: |
(クルマのことは よくわからないけど‥‥ どうもこれは、ムネに キュンと来るモノがある!) 裁判長! |
裁: | なんですか? |
成: |
今の証人の発言を、 証言に加えてください! |
裁: | 特別仕様の外車のくだりですか? |
成: | はい! |
裁: |
‥‥やれやれ。クルマ好きは これだから‥‥ |
成: |
そういう問題じゃありません! (‥‥と言っても、どういう問題か ぼくもよくわからないけど‥‥) |
裁: |
‥‥証人。証言を 変えていただけますか? |
葉: |
いいですけどぉ‥‥。 『お姉さんの車、アメリカ製で 特別仕様の新車だったんですぅ。』(証言・補足) |
成: |
‥‥のどかさん。 この記事、おぼえていますか? |
葉: | ‥‥‥‥? |
成: |
交通事故の記事。 あなたの証言がのっています。 ”左のドアを開けて、クルマから 転がり出た”‥‥ まちがいありませんね? |
葉: |
な‥‥なんで急に そんなものを‥‥ |
成: |
裁判長。‥‥クルマの助手席は、 左右どちら側にありますか? |
裁: |
それはもちろん‥‥左側でしょう。 運転席が右側ですからね。 |
成: |
それは、日本車の場合です。 アメリカのクルマは‥‥逆です。 |
裁: | ぎゃく‥‥ |
成: |
2人の乗っていたクルマは アメリカ製だった! この場合、助手席は 右側になります! |
冥: | ‥‥ああああっ! |
裁: | ど、どういうことですかッ! |
成: |
のどかさん! あなたは 左のドアから逃げたと言う! それならば! あなたが座っていたのは‥‥ 運転席だったことになる! |
葉: | きゃああアアッ! |
裁: |
せ‥‥静粛に! 静粛に! 静粛に! 静粛にィィッ! 静粛‥‥ かはッ! |
冥: |
ナニを言いだすの! 運転していたのは、姉のほう ‥‥葉中 未実なのよ! |
成: |
‥‥そのとおり。 話にスジが通らない。 つまり、ぼくたちはどこかで カンちがいをしてるんですよ! |
千: |
なるほどくん。 やっと‥‥見えたわね。 この事件の真相が! |
成: |
すべての要素をつなげて考えれば、 答えは1つしかない! 問題は! 姉と妹‥‥ どちらが運転席にいたのか? |
成: |
運転免許を持っていたのは、 姉の葉中 未実です。 ならば当然、運転していたのは 彼女でなければならない! |
裁: |
し‥‥しかし、 あなたは証明したばかりです! この証人が‥‥のどかさんが、 運転席にいたことを! |
成: | ‥‥それが、次の問題です。 |
葉: | 次の‥‥ |
冥: | 問題‥‥ |
裁: | ですって! |
成: |
その証人台に立っている人物は いったい、だれなのか‥‥? |
葉: | ‥‥むぐ‥‥ッ! |
冥: |
な‥‥ナニを言いだすの! 成歩堂 龍一‥‥ こ、この証人は‥‥ この証人の名前は‥‥ |
成: |
ぼくが教えてあげましょう。 ‥‥この証人の名前は! |
成: |
‥‥葉中 未実。 それがあなたの、本当の名前です。 |
葉: | ‥‥‥‥‥‥ |
冥: |
バ、バカ言わないで! じゃ、じゃあ この写真はいったいなんなの! |
成: |
この証人は、入院したとき、 カオに大ヤケドをしていました。 そのため、復元の整形手術を 受けています! |
冥: | せ‥‥整形手術‥‥! |
成: |
そのとき、彼女は この写真をわたしたんです。 そう! 妹の写真をね! |
葉: | ‥‥きゃあああっ! |
裁: |
し‥‥しかし! 葉中 未実は 死んだはず‥‥交通事故で! |
成: |
みんなそう思っていました。 しかし‥‥そうではなかった。 |
冥: |
じゃ、‥‥じゃあ、 事故現場で見つかった死体は‥‥ |
成: |
葉中 のどかさんだったのです。 ‥‥ホンモノのね。 いかがですか! ‥‥葉中 未実さん! |
葉: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(1年前の交通事故‥‥ 死んだのは、葉中 のどかの ほうだった。 姉の未実は、妹のカオに 整形して‥‥生まれ変わった。 そして、”葉中 未実”の存在を ‥‥自ら消そうとしたんだ!) |
千: |
裁判長。 ‥‥これで、なぜ霧崎先生が殺害 されたか、おわかりでしょう。 |
裁: |
ど‥‥どういうことですか? はわっ! |
冥: |
どういうことッ! 成歩堂 龍一! |
成: |
霧崎医師は、死者を 呼び出そうとしていました。 事故で死んだ看護婦 ‥‥葉中 未実の霊を。 しかし、そんなこと できるわけがない! なぜなら、”葉中 未実”は 生きているからです! ‥‥霊媒をされては、 それがバレてしまいます。 この証人は、それだけは 防がなければならなかった! ‥‥なんとしても! |
冥: |
だ‥‥だから‥‥ だから、殺害したと言うの? ‥‥霧崎 哲郎を‥‥ |
成: |
‥‥そうです。 霊媒が始まる前に、ね。 霧崎先生は不幸にも、霊媒の相談を この証人に持ちかけてしまった。 その瞬間‥‥ 霧崎先生の運命は決まったのです! |
裁: |
い‥‥‥‥ いかがですか? のどか‥‥イヤ、かるま‥‥ はひッ! |
冥: |
‥‥なぜそこで 私の名前が出てくるのっ! |
葉: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ やられた‥‥わね。 |
冥: | ‥‥しょ‥‥証人‥‥? |
葉: |
そうよ。あたしの名前は ‥‥葉中 未実。 |
成: | ‥‥‥‥! |
葉: |
‥‥あのヤブ医者、ケッキョク 最後までコケにしてくれたわ。 もうちょっとで‥‥ 未実を捨てることができたのに。 本当に‥‥、 もうちょっとだった‥‥ |
裁: |
し、しかし‥‥なぜです! どうしてそこまでして、 葉中 未実を‥‥ 妹さんになりすますなんて! |
葉: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(ぼくには、なんとなく わかるような気がする‥‥ 葉中 未実が自分を 消そうとした理由は‥‥) |
冥: |
‥‥そ、それは‥‥ 医療ミス‥‥ッ! |
成: |
霧崎先生は正しかったんですよ。 あのミスは、ある看護婦によって 引き起こされました。 ‥‥葉中 未実という名の 看護婦によって。 そう。今、証言台に立っている 人物です。 ‥‥そのミスから、 たった数週間後‥‥ 葉中 未実は、今度は交通事故を 起こしてしまった。 そして‥‥妹が死にました。 |
冥: | さ‥‥サイアクのタイミング‥‥ |
成: |
事故とはいえ、14人の患者と 妹の生命をうばってしまった。 ‥‥背負って生きていくには、 重すぎたのです。 |
葉: |
‥‥逃れる方法があったわ。 たった、1つだけ‥‥。 |
成: |
事故は、すべてを焼きつくした。 妹の亡きがらも、自らのカオも。 ‥‥それこそが、 最後のチャンスだったのです。 過去を捨てて、”妹”として 新しい人生を始めるチャンス‥‥ |
裁: | ‥‥想像を絶する事件ですな‥‥ |
葉: |
アイツが‥‥ 霊媒なんてくだらないコト、 思いつきさえしなければ‥‥ |
成: | くだらないコト‥‥? |
葉: |
あたしが”のどか”になって、 一番イヤだったコト。 霊媒‥‥オカルト‥‥ そんなのあたし、大ッキライ。 |
裁: |
‥‥いくつかのナゾは、 残されたままです。 なぜ、こんなフクザツな 殺人計画が実行されたのか? 綾里 キミ子は、なぜ 葉中 未実に協力したのか‥‥? ‥‥しかし。1つだけ、 ハッキリしたことがあります。 |
成: | 被告人・綾里 真宵の無実‥‥ |
冥: |
こ‥‥こんな‥‥ こんなバカなッ! 私は‥‥私は カンペキだったはず! この私が‥‥狩魔 冥が‥‥ |
成: |
‥‥今夜のニュースが楽しみ だね、狩魔検事。 全世界に流れるんだろ? ‥‥キミの敗北するすがたが。 あちっ! |
裁: | ひひいッ! |
葉: | あぎゃッ! |
成: |
いてててていてていててててていて ててていててていててていてていて |
冥: | そして、トドメよッ! |
千: |
なな、なるほどくん! しっかりして! なるほどくん! |
冥: | こんな裁判、認められないわ! |
裁: |
‥‥それでは。 弁護人が目をさますまで、 もう少しかかりそうなので‥‥ 先に、綾里 真宵に対する 判決を言いわたします。 |
裁: | ‥‥では、本日はこれにて閉廷! |
地方裁判所 被告人第3控え室 | |
千: | ‥‥おめでとう、真宵。 |
真: | おっ! お姉ちゃん! |
千: |
‥‥ひさしぶりね、真宵。 元気だった? |
真: |
お姉ちゃん! お姉ちゃあん‥‥ あたし‥‥あたし、 だれも殺してないんだよね? |
千: |
そうよ。あなたは、 夢を見ていただけ。 悪い夢を、ね‥‥ |
真: |
‥‥あのね、お姉ちゃん。 夢の中でね。 なつかしいニオイがしたんだよ。 |
千: | なつかしい‥‥? |
真: |
あたし、衣装ばこの中に 入れられてたんでしょ? あの衣装ばこ‥‥ お姉ちゃんの、むかしの 装束がしまってあったんだよ。 |
千: | ‥‥そうだったの‥‥ |
成: |
‥‥1つ、わからないことが あるんですよ。 |
千: | なあに? |
成: |
霧崎先生が撃たなかったら‥‥ どうなっていたんでしょう? 銃声を聞いたから、ぼくたちは 現場に踏みこんだんですから。 |
千: |
たぶん計画では、葉中 未実自身が カギを開けるはずだったのよ。 そして、あなたとナツミさんに 目撃させたはずよ。 ”霊の乗りうつった真宵が 殺人を犯したシーン”をね。 |
成: |
‥‥細かいところまで、 計算されていたんですね‥‥ |
真: | なるほどくん! |
成: | おめでとう。真宵ちゃん。 |
真: |
ありがとう! ‥‥また、 助けてもらっちゃったね。 |
成: | まあ、ね。 |
真: |
‥‥でも。 ホントにもう、こんなの、 二度とヤだな。 |
成: | ‥‥? |
真: |
あたしはいいよ。なるほどくんが 助けてくれるから。 ‥‥でも、事件が起こると、 大切な人がいなくなるの。 お姉ちゃんも‥‥そして、 おばさまも。 |
成: | ‥‥‥‥。 |
真: |
ねえ、なるほどくん。教えて! どうしておばさま、 こんなヒドいことをしたの? あんな計画に‥‥、 未実さんに手を貸すなんて‥‥! あたし、ホントに ‥‥こわかったんだよ? |
成: | そ、それは‥‥。 |
真: |
なるほどくん‥‥ 教えてくれるよね? |
成: |
(キミ子さんが、葉中 未実に 手を貸した理由‥‥それは‥‥) |
真: | ‥‥はみちゃん? |
成: |
今から4年後‥‥倉院の里には、 新しい家元が生まれる。 ‥‥きみだよ、真宵ちゃん。 |
真: | そ、それが‥‥? |
成: |
でも、もしきみが いなくなったら‥‥ 本家の血は絶えてしまう。 ‥‥そのときは? |
真: |
‥‥‥‥‥‥ 分家の‥‥おばさまが‥‥ |
成: |
‥‥ちがう。キミ子さんの霊力は そんなに強くない。 つぐのは‥‥春美ちゃんだ。 |
真: | ‥‥あああああっ‥‥! |
成: |
すべては、そのために。 春美ちゃんを家元に するためだったんだよ。 |
真: |
そ、そうだったんだね‥‥。 ‥‥‥‥ |
成: |
(‥‥? 今、真宵ちゃん、 なんか言わなかったか‥‥? ”やっぱり”‥‥ ‥‥そう聞こえたような‥‥) |
留置所 13号独房 | |
‥‥アタクシの‥‥春美。 ああたこそが、倉院の家元に ふさわしい霊媒師でござあます。 アタクシは‥‥そのために、 すべてをギセイにした‥‥ あのバカな看護婦のために 殺人の計画を立ててやったのも、 ちゃらちゃらした検事に 協力してやったのも、 すべてはあの、 いまいましい本家のムスメ‥‥ 綾里 真宵を ほうむるためだったのに。 ‥‥待つのです。春美。 チャンスはきっと‥‥ ‥‥また、おとずれます‥‥ |