成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
マックス…赤 | |
ミリカ…黄 | |
トミー…紺 | |
ベン…灰 | ← |
リロ…橙 | → |
アクロ…紫 |
‥‥本日最後のだしものは‥‥ <<奇跡の空中飛翔>>! 今世紀最高の大魔術師‥‥ その名もマキシミリアーン ‥‥ギャラクティカァッ‥‥!
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タチミ・サーカス テント前 | |
春: |
‥‥はあ。 ユメのようなヒトトキでした‥‥。 まだ、ムネがどきどき しています。 |
真: |
ね。ね。スゴかったでしょ はみちゃん! |
春: |
はい、それはもう! ‥‥おウマさんはダンスをするし、 トラさんは炎の輪をくぐり、 ゾウさんは大きなマリに乗り、 あげくのはてに、殿方がお空を 飛びまわる始末。 |
真: |
でしょ。でしょ。カッコイイよね! マックス・ギャラクティカ。 |
春: |
‥‥はい? なんですか? まっくす‥‥ |
真: |
マックス・ギャラクティカ。 今世紀最高の魔術師。 |
春: | まじゅつし? |
真: | そうだよ。 |
春: | あの。なるほどくん。 |
成: | ん? なに? 春美ちゃん。 |
春: |
‥‥それは霊媒師とは、いかなる 関係にあたるのでしょうか? |
成: |
(‥‥いかなるカンケーにも あたらないと思うけど‥‥) ‥‥もしかして、 知らないの? 魔術師。 |
春: | もうしわけありません‥‥。 |
成: |
(倉院の里の事件から、半年‥‥ 年末の寒空の下、春美ちゃんを つれてサーカス見物に来てみた。 春美ちゃんに会うのは あの事件以来だけど‥‥ ‥‥がんばってるみたいだ。 日常を取りもどそうとして) |
真: |
‥‥あ。 そろそろ行かないと。 |
春: |
そうですね。 電車がなくなってしまいます。 |
成: |
お。春美ちゃん、 おぼえたんだ。”電車”。 |
春: |
もちろんです! ‥‥まだ、”とっきゅう”という 仕組みがよく、わかりませんけど。 |
真: |
じゃ、なるほどくん。 また、来年ね。 事務所の大そうじ、 きちんとやるんだよ! |
成: | ああ。だいじょうぶだよ。 |
春: |
あの。よろしいのですか? 真宵さま。 |
真: | え。 |
春: |
せっかくですから、いとしい ヒトと、ふたりきりのお正月を‥‥ |
真: |
も、もう! ホラ、行くよ! はみちゃん! |
春: |
あ。それではなるほどくん。 よいお年を。 |
成: |
(”よいお年を”か‥‥ ホント、 そうなるといいよな‥‥) |
成歩堂法律事務所 | |
成: |
(いちおう今日で 仕事おさめなんだけど‥‥ 大そうじ、1日で終わるかな) |
電: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥ピッ‥‥ |
成: |
‥‥はい。 成歩堂法律事務所で |
真: |
『なるほどくん! たた、タイヘンだよっ!』 |
成: |
お、真宵ちゃんか。 ちょうどいいところに。 じつは、 こっちもタイヘンなんだ。 |
真: | 『え。』 |
成: | いや、大そうじがね‥‥ |
真: | 『ナニ言ってるのッ!』 |
成: |
‥‥なんだよ、 そんなにコーフンして。 |
真: |
『いいからホラ、 テレビつける! 早く!』 |
成: | (テレビ‥‥?) |
テ: |
‥‥ということで、さっそく 現場を呼び出してみましょう! |
成: |
(‥‥? 何かあったのか‥‥) |
テ: |
‥‥はーい。こちらは タチミ・サーカス前でーす。 サーカス以上にセンセーショナルな 殺人事件が起こった現場ですねー。 もう、すんごいヤジウマ。 みなさん、盛り上がってますかー! |
成: | タ‥‥タチミ・サーカスって‥‥ |
真: |
『そう! こないだ 見に行ったでしょ! アレだよ!』 |
成: | 殺人事件‥‥って言ってるぞ。 |
真: |
『そうなの! タイホされちゃったの!』 |
成: | だ‥‥だれが? |
真: |
『マックスが! マックス・ギャラクティカが つかまっちゃったんだよおお!』 |
成: |
(マキシミリアン・ギャラクティカ ‥‥通称、マックス。 空中を自由に飛び回る 大魔術で人気のマジシャンだ。 真宵ちゃんも大ファンだって 言ってたっけ‥‥) |
真: |
『いいね、なるほどくん! 2時間後、留置所前。』 |
成: | え? な、何が。 |
真: |
『待ち合わせ。 ‥‥仕事おさめなんて、 いつでもできるでしょ!』 |
成: | えええええっ! |
電: | ‥‥ピッ‥‥ |
留置所・面会室 | |
真: |
どーいうコトよ! なんでマックスが! |
成: |
ぼくに言うなよ。 たぶん、魔術師だけに、 手品でも使って殺人を‥‥ |
真: |
マックスは! マックスは そんなコト、しないもん! |
?: |
ゴージャス! まさに、そのとおり! ‥‥さすがハニイ。 わかってるじゃないか。 |
成: |
(なな、なんだ ”ゴージャス”って‥‥) |
マ: | ようこそ、わが面会室へ。 |
真: |
マックスだ! なるほどくん! ホンモノだよっ! |
マ: |
さあハニイ。 1枚、引いてくれないかい。 |
真: |
は、”はにい”だって! なるほどくん! |
マ: |
ハッハッハッ。 さあ、早くお引きよハニイ。 |
真: | ここ、こうですか? |
マ: |
フッ‥‥。きっとハニイなら、 それを引くと思ったよ‥‥。 ハートのエースをね! |
真: |
きゃっ! 当たったよ、 なるほどくん! |
マ: |
‥‥これでハニイは、 まんまと盗んだワケだねえ。 この、マックス・ギャラクティカの ハートを‥‥1ケ。 |
真: | マックスゥ‥‥。 |
マ: |
さあ。ゴージャスに行こうよ、 ハニイ! |
真: |
ね。ね。なるほどくんも やってもらいなよ! |
成: |
(マックスのハートなんて 盗みたくないぞ‥‥) |
マ: |
‥‥ナニ、キミは。 ハニイの運転手? |
成: | え‥‥? |
マ: |
まあいい。 さっさと引きたまえ、ホレ。 |
成: | は、はあ‥‥。 |
マ: |
さ。それで? ハニイ。 今日は、このマックスに 面会してくれるために? |
真: |
は、はい! あたし、大ファンなんです! |
マ: |
おお! ゴージャスゴージャス! とってもサンキュー! |
成: |
あ、あの‥‥。 このカードは‥‥? |
マ: |
やるよ。記念品だ。 取っときたまえ。 |
成: | ‥‥‥‥ |
真: |
さあ、なるほどくん。 そろそろ仕事にかかろうか。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
真: |
どうしたの? なるほどくん。 ソッポ向いて。 |
成: |
おヒル、ナニ食べようか 考えてるんだ。 |
マ: |
さあ、ハニイ。そんな ハリネズミはほっといて。 キミのヒトミに、ボクだけを うつして。オーケイ、ハニイ? |
真: | い‥‥いえす‥‥ |
マ: | んゴオオォォージャスゴージャス! |
成: | (やれやれ‥‥) |
真: |
あの。マックスさんのコト、 教えてほしいんですけど‥‥。 |
マ: |
ゴージャス! キミもその気に なってくれたかいハニイ。 いいとも。 さあ、こっちへおいでよハニイ! |
真: |
‥‥でも、防弾ガラスの カベがありますけど‥‥。 |
マ: |
‥‥おお、ジーザス! なんてことだ! ああ、ボクに魔法が使えたら! こんなカベなんて‥‥。 |
成: |
(手品師がナニ言ってるんだよ!) ところで‥‥最近、急に有名に なりましたよね、マックスさん。 |
マ: |
マックス”様”だよキミ。 やりなおしたまえ。 |
成: |
(こんなのばっかりだぞ最近‥‥) ‥‥たしか、大きな賞を 取られたとか。マックス様。 |
マ: |
ゴージャス! そのとおり。 国際マジック協会のコンテスト。 ボクはグランプリを受賞したのさ! 世界でサイコーにゴージャスな マジシャンにおくられる賞だ。 トロフィーに、胸像。 ‥‥スバラシイ1日だったよ。 |
真: | へええ。スゴいんですねえ。 |
マ: |
そう。スゴいんだ。 なにしろ、世界一だからね。 |
成: |
(たしかに‥‥ここまで成功した 魔術師なんて、聞いたことない) |
真: |
独占出演契約を結んだんですよね。 タチミ・サーカスと。 |
マ: |
そのとおり! さすが ボクのハニイ。よく知ってるね。 大魔術はね、テレビで 見るものじゃないんだ。 目の前で、こうゴージャスに 楽しむものなんだよハニイ。 |
真: | わかりますわかります! |
マ: |
そもそも、サーカスなんてさ。 古クサい、過去の化石だよ。 ‥‥今さらそんなもの、 ダレも見やしない。 |
真: |
え。 ‥‥そ、そんなことは‥‥ |
マ: |
ボクはね! だからこそ 契約してやったんだよ! |
成: | どういうことですか? |
マ: |
タチミ・サーカスは 今や、大人気さ! マックス・ギャラクティカの芸が ヒトを呼ぶんだ! つぶれかけていたサーカスが 奇跡の復活! これもまた、ボクの大魔術なのさ。 ゴージャスだろ? ハニイ! |
真: | そ‥‥そうですね。 |
マ: |
ヤツらのカビクサい芸なんて、 もう時代が求めていないんだ! |
真: |
‥‥あたし、 サーカス好きですけど‥‥。 |
成: |
(真宵ちゃん、 ちょっとさびしそうだな‥‥) |
成: |
いったい、タチミ・サーカスで 何があったんですか? |
マ: |
ああ。なんか、ゆうべさ。 殺されたんだよ、団長が。 |
真: |
団長‥‥って、 タチミ・サーカスの‥‥ |
マ: |
殴られたらしいよ。 地面にメリこむほどね。 真夜中だってのに、警察が ゴージャスに現れてさあ。 ボクも、やっと取り調べが 終わったところなんだ。 |
成: | ‥‥取り調べ? |
マ: |
なんでもね。殺された団長に 最後に会ったのが、ボクらしくて。 ‥‥ゆうべ、団長の部屋でね。 |
真: |
どうして、タイホ されちゃったんですか? |
マ: |
‥‥タイホ? 大ゲサだなあハニイは。 参考までに、話をしてやった だけだよ、ボクは。 |
真: |
なるほどくん‥‥。 マックスさん、自分の立場を わかってないみたい。 |
成: |
(そうだな‥‥キチンと 思い知らせてあげようか‥‥) |
成: |
事件の前に、 団長に会ったんですね? |
マ: | そうだよ。 |
成: | どんな話を? |
マ: | キミには言いたくない。 |
成: | 真宵ちゃん。よろしく。 |
真: |
どんな話をしたんですか? 団長さんと。 |
マ: |
いやね。下世話な話で アレなんだけどさ。 ‥‥ギャラのコトで ちょっと、ね。 |
真: | ぎゃら‥‥? |
マ: |
サーカスは、ボク1人の力で ヒトを集めている。 もっと、もらってもイイと 思ったんだ。わかるだろハニイ? |
真: | は‥‥はい。 |
成: | 話したのは、それだけですか? |
マ: | ゴージャス! もちろんだよ! |
成: |
(ゴージャス! この手品師、 何かかくしてる、ってワケか!) |
真: |
どうしたの? なるほどくん。 ‥‥タメ息なんかついて。 |
マ: |
‥‥なんだ、そのバッジ? 消してみせるっての? |
成: |
ぼくは魔術師じゃありません。 ‥‥弁護士なんです。 |
マ: |
べんごし? ぼくにはカンケーないね‥‥ |
真: |
そんなことないです! だって、マックスさんは‥‥ |
マ: |
オーケイオーケイ。 ‥‥うれしいよハニイ。 ボクのために、そんな 取りこし苦労を。 |
真: | ううう‥‥ |
マ: |
‥‥‥‥‥‥ ところでさ。さっきから、 気になってるコトがあるんだ。 |
真: | なんですか? |
マ: |
どうしてハニイは、そんなに 悲しそうな目でボクを見るんだい? |
真: |
だ、だって! タイホ されてるんですよ! 殺人罪で! |
マ: |
なな、ナニをバカな。 そんなワケ、ないじゃないか! |
成: | どうしてですか? |
マ: |
だってボクは、マキシミリアン・ ギャラクティカだよ? |
成: | それで? |
マ: | タチミ・サーカスの大スターだ。 |
成: | 他には? |
マ: | ギャラもたくさん、もらってる。 |
成: | だから? |
マ: | ‥‥‥‥‥‥ |
真: | マックスさん‥‥。 |
マ: |
まま、まさか! ウソだろ! ケーサツの連中、 ホンキでボクにタイホ状を? |
成: | 冗談で逮捕状はもらえません。 |
マ: | ‥‥‥‥!! |
真: |
ま、マックスさん、 ヘコんじゃったよ‥‥。 |
成: |
いいクスリじゃないか。 (ぼくもスッキリしたし) |
マ: | ‥‥あ‥‥あの。 |
成: | はい? |
マ: |
キミ‥‥いや、 アナタ、弁護士さん? |
成: | え? ええ、そうです。 |
マ: |
おねがいだあ! 助けてけれ! オラ、殺してねえよ? |
真: | お、”オラ”‥‥? |
マ: |
オラ、ちょっとチヤホヤされて、 テングになってたかもしんね。 で、でもよ? 殺人なんて‥‥ オラ、そんな、 オソロシげなコトよぉぉ‥‥! |
真: | まま、マックス‥‥? |
マ: |
ホントだよぉ! イナカの父ちゃんの借金、 返したかっただけなんだぁ! |
成: |
‥‥わ、わかりましたよ。 引き受けますから! |
マ: | ホントけ? ホントけ? |
成: | ホントです、ホントです。 |
マ: |
うう‥‥。あ、ありがとな。 あんたら、あったけえよぉぉ。 |
真: | あ、あの‥‥マックスさん。 |
マ: | あんだ? |
真: |
ホントのお名前は ‥‥なんて? |
マ: |
山田 耕平(やまだこうへい) だけんど? |
真: | ‥‥‥‥‥‥ッ! |
成: |
ど、どうしたの? 真宵ちゃん。 |
真: | ニッポン人だったんだ。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
マ: |
‥‥フッ。 さっきは、ちょっと取りみだして、 すまなかったねハニイ。 |
真: | は、はあ‥‥。 |
マ: | 弁護士さん。 |
成: | はい。 |
マ: |
さっき、ぼくのカードを 1枚、引いたね? |
成: | (あ、ああ‥‥そういえば‥‥) |
マ: | ハートの10‥‥をね。 |
成: | (げ。あ、当たってるよ!) |
マ: |
これでアナタも、 まんまと盗んだわけだ‥‥ この、マックス・ギャラクティカの ハートを‥‥10ケ。 |
成: |
(あんたは、いくつ ハートがあるんだよ!) |
マ: |
フッフッフッ‥‥。 よろしくたのむよ、ハニイ。 |
成: |
(ハニイ‥‥って、 ぼくのことか?) |
真: |
よーし! ゴージャスに 行こうね! なるほどくん! |
タチミ・サーカス 正門前 | |
真: | ‥‥また来ちゃったね。 |
成: |
ああ。今度はシゴトだけど。 (事件が起きて間がないため、 警官たちが動き回っている) |
真: |
とりあえず、事件のコト 知ってそうな人、探そうよ。 |
成: | そうだね。 |