成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
マックス…赤 | |
ミリカ…黄 | |
トミー…紺 | |
ベン…灰 | ← |
リロ…橙 | → |
アクロ…紫 |
タチミ・サーカス テント内 | |
成: |
‥‥意外とせまいんだなあ、 サーカスのステージって。 |
真: |
へええ。みんな、こんなところで 曲芸とかしてるんだねー。 ほら、なるほどくん! トンボ返りトンボ返り。 |
成: | できないよ。 |
真: |
なーんだ。 見かけだおしだなあ。 |
成: | (どんな見かけだ‥‥?) |
?: | グルルルルル‥‥ |
真: | なに? なるほどくん。 |
成: | ぼくじゃないぞ。 |
?: |
グルルルルル‥‥ ガオオオオォォォォッッッ! |
真: | ト、ト、ト、ト、トラだよ! |
成: | こ、こ、こ、こ、こっち来るぞ! |
?: |
グルグルグルグル‥‥ ガオオオオォォォォッッッ! |
成: | う、うわああああああああっ! |
真: |
なるほどくん! 死んじゃイヤ! ‥‥なるほどくーん! |
?: | ステイ! ラトー! ステイ! |
?: | グルルルルルルルル‥‥ |
成: |
(‥‥し、死んだワケじゃ なさそうだな‥‥) |
真: |
な‥‥なるほどくん! なるほどくん! だいじょうぶ? |
?: |
あははっ。ビックリした? カワイイでしょー。 ラトー、っていうんだよ! |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
真: | ‥‥‥‥‥‥ |
?: |
‥‥どしたの? 2人とも、だまっちゃって。 |
真: |
”どしたの”じゃないッ! な、なるほどくん、 死ぬトコだったじゃないの! |
?: |
えー。そんなコトないよお。 この子、ヒトはかまないモン。 ‥‥めったに。 それに、ナマでトラとあそべる なんて、フツー、できないよ? よかったねー。 |
成: | ‥‥え。 |
?: | よかったよね。‥‥ね? |
成: | ‥‥‥‥‥‥うん。 |
真: |
なな、ナニうなずいてんの、 なるほどくん! |
?: | あー、そのコスチューム。 |
真: | え。 |
?: |
カワイイねー。 ミリカも着てみたいなー。 |
真: |
あ‥‥こ、これ? こすちゅーむ、 っていうか、装束‥‥ |
?: |
今度、ミリカにも着せてよ? ‥‥ね? |
真: | あ‥‥いいけど。 |
?: |
ホント! すッごいウレシイなー! |
成: |
(うーん‥‥スッカリ なごんでしまった‥‥) |
?: |
あ! 自己紹介、 まだだったよね。 ミリカ、っていうの。 猛獣使いなの! |
真: |
あたしはね、綾里 真宵。 霊媒師だよ。 |
成: |
成歩堂 龍一。弁護士だ。 (猛獣使いと並べられると、 ぼくたちまで芸人みたいだな) |
ミ: | よろしくねっ! |
成: | ここ、こちらこそ。 |
真: |
ね。ね。ミリカちゃん。 きのうのコト、何か知ってる? |
ミ: |
あ。もしかしてアレ? ‥‥サツジン事件。 |
成: | そうそう。それ。 |
ミ: |
ミリカのパパが 死んじゃったヤツ。 |
成: |
そうそう。 ‥‥って、ナニィ! |
真: |
あ、あの。団長さんって、 ミリカちゃんの‥‥? |
ミ: | うん。パパ。 |
真: |
そ‥‥そうだったんだ。 ゴメンね。 |
ミ: | ゴメンね‥‥って、何が? |
真: | え。 |
ミ: |
んーとね。きのうの夜は、 みんなここで練習してたんだよ。 |
成: | パパもいたの? |
ミ: |
うん。みんないたよ。 ‥‥でね。10時に解散したの。 みんな、バラバラになって。 ミリカだけ、ちょっと残ってたの。 |
真: | どうして? |
ミ: | ラトーとあそんでたんだ。 |
成: | (ラトー‥‥あのケダモノか) |
ミ: |
そのうち、ケーサツが来てね。 行ってみたら、死んでたの。パパ。 |
成: |
(パパが死んだってのに、なんで こんなにケロッとしてるんだ? もう少し情報がほしいな‥‥ パパについて) |
真: |
ね。ね。猛獣使いなんだよね。 スゴいなー。 |
ミ: | えー、そうかなあ。 |
真: | だって、コワいでしょ? |
ミ: | コワい? どうして? |
真: | え。 |
ミ: |
ラトーはね。 とってもカワイイの。 レオンがいなくなってから、 ミリカのイチバンのお友だち。 |
成: | レオン‥‥? |
ミ: | うん。ライオン。 |
成: |
(ライオンのレオンに、 トラのラトー、ねえ‥‥) |
真: | レオン‥‥死んじゃったの? |
ミ: |
うん。殺されちゃった。 ‥‥パパに。 |
成: | ‥‥え! |
真: | な、なんで? |
ミ: |
わかんないの。 ‥‥なんでかな? |
成: |
(そんなムジャキな目で 見つめられても困るけど‥‥) |
ミ: |
パパね。練習が終わったら、 すぐ部屋にもどっちゃった。 |
真: | へや? |
ミ: |
うん。 そこのドアを入ったところにね、 団長室があるんだよ。 |
成: | ふうん‥‥。 |
ミ: |
なんかね。とても急いでたの。 どうしてかな‥‥? |
成: |
(団長の部屋、か‥‥。 行ってみたほうがよさそうだな) |
ミ: |
あ。マックス! ねえ。マックスは今、どこなの? |
成: | し、知らないの? |
ミ: | うん。 |
成: |
逮捕されたんだ。 団長さんの事件の容疑者として。 |
真: |
だいじょうぶだよ! あたしたちが助けてあげるから! |
ミ: |
マックスじゃないよね? ‥‥ハンニン。 |
成: | も、もちろんだよ! |
ミ: |
ミリカね。 いっぱい、悩んでるの。今。 |
真: | へええ‥‥。なになに? |
ミ: | ふふっ‥‥。 |
真: |
ねえ、教えてよー。 何を悩んでるの? |
ミ: |
ふふ‥‥。 じゃあ、真宵ちゃんだけだよ。 |
成: | え。 |
ミ: | んーとね。‥‥ごにょごにょ。 |
真: | えーっ。ホントに! |
ミ: | さらにね。‥‥ごにょごにょ。 |
真: |
うっわあ。 スゴいなあミリカちゃん! |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
真: |
なな、泣かないで! なるほどくん。 |
成: | ‥‥いいんだ、ぼくなんか。 |
真: |
あのね。ミリカちゃん、 愛の告白をされたんだって。 |
成: | こ‥‥コクハク‥‥? |
真: |
しかも! あのマックス・ ギャラクティカにだよ! |
成: |
(‥‥いくつ盗んだんだ? アイツのハート‥‥) |
真: |
でね、でね。同じ日に、別の ヒトからも告白されたんだって! |
成: | はああ。‥‥だれ? |
真: | リロ、ってヒト。 |
成: | リロ‥‥? |
真: | テノール歌手だって。 |
成: | (まだ、会ってないな‥‥) |
真: |
モテモテだよねー、 ミリカちゃん。 |
成: |
彼女、フシギな ミリョクがあるからなあ。 |
真: |
ホントにね。 あたしも したくなってきたもん。コクハク。 |
成: | (‥‥じつは、ぼくもだ) |
ミ: | ふふ‥‥。 |
テント内 団長室 | |
真: | ここが、団長さんの‥‥? |
成: |
そう。 ‥‥被害者の部屋、だね。 きのうの夜、マックスはこの部屋で 団長に会っているはずだ。 |
真: |
そういえば そんなこと言ってたね。 |
成: |
それにしても‥‥ すごいな、ポスター。 |
真: |
あっ! マックスのポスターがあるよ! ほしい。なるほどくん。 |
成: | やれやれ‥‥。 |
真: |
いっぱいあるよねー、 ポスター。 |
成: | そうだね。 |
真: |
これなら、1枚ぐらいなくなっても わかんないねー。 |
成: |
ダメだぞ。 勝手にもらっちゃ。 |
真: |
だってホラ、なるほどくんだって 気づいてないでしょ? |
成: |
(ムム‥‥。すでに1枚、 シッケイしていたらしい) |
真: | えへへ。 |
成: | えへへ、じゃないよ‥‥。 |
真宵ちゃんがくすねた。 | |
成: |
来客用のテーブル‥‥ 書類がおいてあるな。 |
真: |
あ、これ。‥‥マックスの 出演料が書いてあるよ。 ぐッ! |
成: | ど、どうした? |
真: |
こ、こんなにもうかるんだ ‥‥魔術師って‥‥ |
成: |
(オドロキのあまり、 ちょっとヨロめいている) どれどれ? ‥‥うッ! |
真: | ね? |
成: |
た、たしかに。 (これは、ギャラ値上げ 交渉の書類だ。 団長のサインがしてある。 日付は‥‥?) |
真: | どうしたの? なるほどくん。 |
成: |
マックスのギャラが 上がってるんだよ。 ‥‥事件の1週間前にね‥‥。 |
法廷記録にファイルした。 | |
宿舎前 広場 | |
成: |
ここは‥‥サーカスの人たちが 泊まっている宿舎、みたいだね。 |
真: |
え! じゃあ、あのユカイな ピエロさんとか、いるのかな。 |
?: | おッ! アンタたち。 |
真: | あ。イトノコ刑事さん! |
糸: |
‥‥現場に行くと、いっつも 見るカオッスねー、アンタたちは。 |
真: |
刑事さんもがんばってますね! おシゴト。 |
糸: |
ベツに、がんばりたくないッス。 事件が勝手にがんばってるッス。 せっかくサーカスに来たんだから、 猛獣とか綱渡りとか見たいッス。 でも、自分がどこへ行っても、 だしもののメニューは同じ。 ‥‥死体ッス。 |
真: |
な、なるほどくん。 ‥‥グチりだしたよ! |
成: |
キケンだ。 さっさと仕事の話をしよう。 |
成: |
明日の法廷ですけど‥‥ 検事は、だれが? |
糸: | もちろん、狩魔検事ッス。 |
成: |
うう‥‥。また ムチでたたかれるのか‥‥。 |
糸: |
アンタは法廷だけだから、 まだいいッス。 あの検事が来てから、警察署は ムチの音が絶えないッス。 |
真: |
ねえ、イトノコ刑事さん。 狩魔検事はいいんですけど‥‥、 あのヒトはどうしたんですか? |
糸: | あのヒト‥‥? |
真: |
ミツルギ検事に 決まってるじゃないですか! なるほどくんのライバルといえば、 あのヒトでしょ! あたしが里に帰っているあいだに、 いったい、何があったんですか? |
糸: |
み、御剣検事‥‥。 あの、聞いてないッスか? |
真: |
なるほどくん、 教えてくれないんですよ! |
糸: |
うう‥‥自分のクチからも、 ちょっと言えないッス。 あのヒトはもう‥‥ いない、としか。 |
真: |
い、いない‥‥! なるほどくん! どういうことッ? |
成: |
聞いたとおりだよ。 ‥‥もう、アイツはいないんだ。 その名前は二度と言わないで。 |
真: | な‥‥なるほどくん‥‥? |
成: |
このサーカスの団長さんが 殺害されたんですよね? |
糸: |
そッス。きのうの晩、 午後10時ごろのことッス。 きっと、サムかったッス。 ‥‥かわいそうに。 |
真: | ‥‥サムかった? |
糸: |
事件はここで起こったッス。 死体は、そこにたおれていたッス。 ちょうど、アンタが 立っているあたりッス。 |
真: | きゃああああああああああああッ! |
糸: |
はっはっはっ。 カルいジョークッス。 |
真: | 笑えません! |
成: |
あの。ところで、 被害者は‥‥どうやって? |
糸: |
頭ガイコツが砕けるほど、 こっぴどく殴られたッス。 |
真: | ひゃあ‥‥ |
糸: |
わかりやすい事件ッス。 発見も早かったッスから。 ただ‥‥。 |
成: | ただ‥‥? |
糸: |
奇妙な点があるッス。 1つだけ。 |
真: |
おッ! やっぱり、 ナゾが1つぐらいなくっちゃね! |
成: |
‥‥なんですか? この事件の ”奇妙な点”って。 |
糸: | 足跡ッス。 |
真: | あしあと‥‥ |
糸: | ‥‥これが現場の写真ッス。 |
成: |
なんですか? この、 死体の下にある”木箱”は? |
糸: |
さあー、わからねッス。 鑑識の連中が持って帰って、 今、調べてるッス。 |
真: |
で? で? イトノコさん。 足跡のナゾって? |
糸: |
まま。落ちつくッス。 写真の足跡を、よく見るッス。 |
成: | ‥‥被害者の足跡がありますね。 |
糸: | それはいいッス。問題は‥‥ |
真: |
‥‥! 犯人の足跡がないよ! |
糸: |
そッス。 犯人がどこから来て、 どこへ消えたのか‥‥? まさか、空を飛ぶハズも ないッスからねえ‥‥ |
成: |
空を飛ぶ‥‥犯人‥‥ (そのとき‥‥アタマの中に、 1つの光景が浮かんだ‥‥) |
真: |
まま、まさかね! そーんなコト、あるワケないって。 |
成: |
そ、そうだよなあ。 いくらなんでもなあ。はははは。 |
糸: | ナニ、チカラなく笑ってるッス? |
成: | い、いえ。な、なんでもないッス。 |
糸: | ‥‥? |
成: |
(とりあえず‥‥ さりげなく、マックスの 情報を聞き出せないかな‥‥?) |
法廷記録にファイルした。 | |
糸: |
どうもこのサーカスでは、 テッテー的にキラわれてるッス。 もう、評判のワルいこと ワルいこと‥‥。 |
成: |
(留置所でも、みんなのこと 見下してたみたいだしな‥‥) |
真: |
でも! 評判がワルいからって、 ハンニンってワケじゃないでしょ! |
糸: |
評判だけじゃないッス。 ‥‥しっかりあるッスよ、証拠も。 |
真: | え。 |
糸: |
現場に、コイツが落ちていたッス。 あの手品師のトレードマークッス。 なんでも、特注の シルクハットらしいッス。 |
真: |
カッコイイかざりが ついてますからねー。 |
法廷記録にファイルした。 | |
糸: |
マント、シルクハット、ムネの 白いバラが、ヤツのシンボルッス。 |
成: | ‥‥ありがちなシンボルだなあ。 |
真: |
いいんだよ! わかりやすいほうが! |
成: | (怒られた‥‥) |
糸: | それに。‥‥今回も、いたッス。 |
成: | な‥‥ナニがですか? |
糸: | 目撃者ッス。 |
真: | えッ! |
成: |
そ、その話、 くわしく聞かせてください! |
成: |
あの‥‥目撃者って、 いったい‥‥? |
糸: |
おぉっと! そいつはダメッス。 教えるワケにはいかねッス。 検察側のキリフダッスからねェ。 |
成: | はあ。しかたない、か‥‥。 |
糸: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ あ! そうだ、アンタたち! |
成: | ? |
糸: |
言っておくッスが、この先の 宿舎には、入っちゃダメッスよ。 |
真: | ‥‥? どうしてですか? |
糸: |
い、いやッ! ベツにッ! フト思い浮かんだだけッス。 |
真: |
‥‥どうやら、目撃者は 宿舎にいるみたいだね。 |
成: | 行ってみようか。 |
糸: | ダメッスよッ! |